僕らのLOVE 君とのLIFE〜ラブライブ!×カゲロウプロジェクト〜 作:生きる核兵器
たっ、と地面を蹴る。
「みんなみんなー!こっちだよー!」
μ'sの9人は私服だ。奥まったところにある雑居ビルが立ち並ぶ通り。そこからさらに入った裏路地。
そこに9人はいた。
「穂乃果、ただでさえ迷いやすい道なのですから、一緒に居てください」
厳しい目をする海未をみてことりが苦笑する。
「あはは…でも、もうすぐだし、そんなに迷うことはないんじゃないかなぁ?」
事前にもらった地図を見つつ、歩を進める。
「…こんな怪しい道…ほんとに安全な人たちなんでしょうね?」
にこがむくれる。歩き疲れたという気持ちもあるのだろう。
「私もにこちゃんと同じ考え。昼間なのに薄暗いし…なんなのよもう…」
同調したのは真姫だった。
「そこは大丈夫なんじゃないかしら」
絵里が反論する。
「そうそう!えりちの言う通りやで!ウチの占いも、大丈夫やって言うてるやーん!」
カードを持つのは希。にこの側でひひっ、と笑う。
「でももう疲れたにゃー…」
体力自慢のはずの凛も音をあげる。
「ま、まぁまぁ、もうちょっと頑張ってみよ…?」
花陽がそう窘めるとかよちんがそう言うなら、とため息をついた。
「あ、ここの角曲がったらすぐみたいだよー?」
穂乃果が紙を片手に角を指さした。
「ほんとだね〜!そろそろ約束の時間だし、急ごっか〜?」
ことりは急ぐ、と言いながらもおっとりしている。
薄暗い路地裏に、“9人の女神”の足音が響いていた。
***
「もうすぐ12時半…だぞ」
シンタローが携帯を弄りつつ呟いた。
「そうみたいだな…そろそろ来るはずなんだが…」
沢山ある時計を見回すのはキド。
「まぁまぁ、ちょっとぐらいは遅れる前提でしょー?」
へらへらと笑うのはカノ。
「遅れるのはちょっと駄目かと…でもここ、奥まってて来にくいですしねー、遅れても仕方ないと思いますよー?」
シンタローの携帯から声がする。
ご存知エネである。
「でもそろそろなんじゃないっすか?…マリーは…」
「大丈夫だよ!みんなと色々交流して、いっぱいお話してももう平気なんだから!」
「…いつの間にそうなったんすか?偉いっすよ!」
セトがマリーの頭を撫でる。
「…偉い…」
ついでにコノハも。
「マリーちゃん、いっぱい特訓したもんね!」
モモがマリーに笑いかける。
「おばさんは何もしてないけどね」
「おばさんじゃない!」
ヒビヤがモモをからかう。
「そういえば…」
カノがにやにやしながらモモに話しかける。
相変わらず読めない表情。モモに話しかけたことによってか、シンタローの目がちらりと動いた。心なしか表情に変化があるようにも見える。
「ご主人…抑えてください」
エネがカノを警戒しつつも牽制する。
カノはその動作を見つめ楽しんでいるようにも見えた。
「今から来る子達、モモちゃんの同業者なんだよね?」
ボールペンをくるくると回しつつ質問する表情は酷くサディスティックに見えた。
「あ、はい!あ…いえ、厳密に言うとちょっと違うんですけど…」
そこで一度言葉を切る。言葉を選んでいるようだ。
「…でも、ほとんど一緒です。あの子達と連絡を取り始めたのだって、仕事関係からですし…」
そこまで言うと、モモは何ていうのが正しいんだろう、と考え込んだ。
「ふふっ、昨日調べたけど、モモちゃんより売れてるっぽいね?」
カノがにやりと笑う。
「この子達プロって訳じゃないんでしょ?スクールアイドル、だっけ。素人の子に負けちゃっててもいいの?」
カノは笑ったが、その笑いはあくまで嘲笑だった。
「おい、カノ、そのへんに…」
シンタローが遮ろうとする。
「はい」
が、モモの力強い返事に戸惑った。
「私はもう、“アイドル如月モモ”じゃないので。」
意外な決意が見れた、というふうに。わざとらしくカノが目を見開く。
「私は、“メカクシ団No.5如月モモ”!…です!」
狭い部屋が少し静かになる。
しかしその静寂もキドの含み笑いで遮られた。
「ちょっとー!なんでわらうんですかー!」
「いや…wその、な」
「…なんですか!」
「それは多分ここにいるみんなが分かってる。大丈夫だぞ。」
そうキドは笑った。
カノと違い、優しい笑顔。
それはまるで、聖母のような。