ゲームの力でこの世界を生きていく   作:疾風の警備員

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どうも、疾風の警備員です。

久々にこちらの更新ですが、今回は幕間にしました。

なので主人公組は一切出ません。よくて名前だけです。

ではどうぞ。


幕間 とあるCompanyの1日

明日奈(ポッピーピポパポ)side

 

皆~♪ヤッホー♪……じゃなかった。どうもお久し振りになりますね、ポッピーピポパポこと仮野 明日奈です。え?何で性格を変えてるんだって?普段は明るい性格だけど、今はお仕事モードだからよ。

 

因みに私の働いている場所は【幻夢コーポレーション】って言うゲーム会社で社長秘書をやってるの。それで今日はウチで作ったゲーム【バンバンシミュレーションズ】と【ウィッチクリエイト】の新作発表会なんです。

 

「ようポッピー、仕事は順調か?」

 

発表会の段取りの確認をやっていたら、緑と茶色の民族衣装みたいな服を着て小さなケースを持った男が私に話し掛けてきた。

 

「ちょっと【グラファイト】‼仕事の時は明日那って呼んでよ‼何回も言ってるでしょ‼」

 

「ああスマンスマン、そうだったな。」

 

この男の名は【グラファイト】。彼は私と同じヴァーリが作って失敗しまくったガシャットの1つ【ドラゴナイトハンターZ】から生まれたバグスターで、普段は社長の護衛を担当しているわ。

 

「もうすぐ開始時間だけど今の所大丈夫よ。ここの所、悪魔の襲撃が多いからセキュリティレベルも上げてるし、商品説明をやるのはアイツだから。」

 

実は最近、ウチで作ったライダーシステムを寄越せという悪魔の頼み(ていうか脅しね)を社長が断ったら、社長宛に何度も刺客を差し向けて来てるの。しかも1週間の間にその数既に20を越えているからたまったものじゃない。なので、今日は幻夢コーポレーションの最高戦力を集結させた。

 

「なるほど、戦力は充分だな。それに社長もいるなら勝ちは確定か。」

 

「ええ、ところでその持ってるケースは何なの?」

 

「ん?ああこれか。」

 

グラファイトは持ってたケースを開き、中を私に見せるとそこにはヴァーリが失敗しまくった色が黒い10個のガシャットと白と黒、ピンクと白の2つのガシャットが入っていた。

 

「これってッ!?」

 

「真っ黒なのは社長がアイツの失敗作を回収して完成させたガシャットのプロトタイプ、さしずめ“プロトガシャット”だな。」

 

「あれを完成させるなんて…ある意味似た者同士ね。でも、2つ多くない?」

 

「1つは社長で、1つはお前のだ。」

 

そう言って彼はピンクと白のガシャットを取り出して、私に渡してきた。

 

「これって【ときめきクライシス】のガシャット?」

 

「それと護身用に渡されてたバグヴァイザーツヴァイを使えば、お前もライダーになれるそうだ。」

 

「え?あれ、そんな機能あったの?」

 

まさかアレがベルトだったなんて……

 

「っと、そろそろ社長が到着する時間か。俺は出迎えに行くがお前は?」

 

「私はまだ段取りの確認が残ってるから。」

 

「わかった。」

 

グラファイトを見送ってから再び仕事をこなし、30分程経ち発表会が始まった。

 

会場内には沢山のゲーム雑誌の記者がいて、部屋の冷房を最大で入れないとかなり辛いレベルの暑さになっていた。

 

『会場の皆様、お待たせ致しました。これより幻夢コーポレーションの新作発表会を始めさせて頂きます。』

 

なお、司会進行は私だ。

 

『では、新作の紹介に入らせて頂きます。』

 

私がそう言うと、壇上に白いスーツに赤いシャツを着て胸にバラを差している小太りの男が立った。

 

『皆様ようこそいらっしゃいました‼私が幻夢コーポレーション広報担当の【天ヶ崎 恋】です。因みに、座右の銘は“世界中にI LOVE YOU”‼』

 

その自己紹介に記者の皆様はドン引きだった。

 

アイツは【天ヶ崎 恋】。見た目は人間だけど、実態は私やグラファイトと同じバグスターだ。ただ、私やグラファイトと違う点があって、彼はさっきグラファイトが持っていた10個のプロトガシャットのバグスターではなく、その後ヴァーリが新しくデータを作っていた【ときめきクライシス】から生まれたバグスターなの。つまり、私がさっき貰ったガシャットの大本なんだけど…………あんなのだと思うと、正直ショックだ。

 

『それでは、ゲームの説明に入らせてもらいます。』

 

そこからは特に問題もなく進んでいき、終了となった。

 

『これにて本日の新作発表会を終了とさせて頂きます。皆様、本日は来ていただきありがとうございました。』

 

記者が全員帰っていき私と恋だけが残っていると、グラファイトと銀髪の中年男性が部屋に入ってきた。

 

「どもども~♪二人ともお疲れちゃ~ん♪」

 

「社長、お疲れ様です。」

 

そう、この銀髪の中年男性こそ幻夢コーポレーションの社長だ。

 

「いや~今日の発表会も良かったよ‼さっすが明日那ちゃ~ん♪結婚しない?」

 

「ありがとうございます。それはお断りしますね。」

 

「ありゃりゃ、振られちった~。ま、解ってたからいいけど。」

 

「お前ら、今日は社長の奢りで焼肉だとさ。」

 

「さすが社長、太っ腹ですな~?」

 

「いやいや、チミの立派なお腹には負けちゃうよ~?」

 

「まったく……」

 

恋と社長のやり取りに、私は頭を抱えた。

 

この社長……今の状況分かってるのかな……

 

「お誘いはありがたいですけど、今ウチは悪魔に狙われてるんですよ?そんな呑気に…」

 

「でも奴さん、もう来てるよ?」

 

「「「え?」」」

 

その時、足下に魔法陣が展開され目映い光と共に私達は何処かの荒野に転移させられていた。

 

「いつの間に魔法陣をッ‼」

 

「どうせ記者の誰かを洗脳して、機材に隠してたアイテムで仕掛けてたんだろうね。」

 

「その通りだッ‼‼」

 

その新たな声に周囲を見ると、20人程の悪魔と100体近くの魔獣がいた。

 

「悪いと思うが「なら、やんないでくんない?」黙ってろ‼さあ、貴様らが持つ秘匿技術の全てをこの私【クゴス・コイザー】に寄越すがいい‼さすれば、命は助けてやるぞ?」

 

その言葉に社長はため息を吐いた。

 

「あのね~、これはウチの社員の努力の結晶なのよ?それをアンタみたいな奴に渡すわけないっしょ。」

 

「そうか……ならば殺して奪うのみ‼」

 

クゴスが右手を上げ、振り下ろすと魔獣達が襲い掛かってきた。

 

「これは俺の出番だな。」

 

そこにグラファイトが前に出ると、中央に液晶のディスプレイがあり左に2つの銃口みたいなのと赤いボタン、右にはチェーンソーと薄紫のボタンが付いた紫色のパッドを取り出して、赤いAボタンを押すと不気味なメロディーが流れ始める。

 

「培養。」

 

そしてパッドを右手のグリップに合体させた。

 

『INFECTION』

 

するとグラファイトが炎を撒き散らしながら、深紅の龍人を彷彿とさせる姿へと変わった。

 

『レッツゲーム‼バッドゲーム‼デッドゲーム‼ワッチャネーム!?ザ・バグスター‼』

 

「さて、楽しませて貰おうか。」

 

彼は片方が赤く、もう片方は白い武骨な牙を思わせる薙刀を手に持ち、魔獣の群れに突っ込んでいった。

 

「では、私も行きましょうかね。」

 

そして恋もバグヴァイザーを持ち、赤いボタンを押す。

 

「培養。」

 

『INFECTION』『レッツゲーム‼バッドゲーム‼デッドゲーム‼ワッチャネーム!?ザ・バグスター‼』

 

バラを象った光に包まれると白とピンクのボディに右肩には花束みたいな装飾が付いた怪人態になった。

 

「おいで、僕のラヴリーガール達‼」

 

手を叩きながらそう言うと、彼の背後にメイド服を着た頭がオレンジのバイ菌みたいな頭の存在が4体出てくる。

 

「例え魔獣だろうと、僕の魅力で落としてあげるよ‼」

 

そして彼も魔獣に向かっていき、私と社長の前にクゴスとその他の悪魔が来る。

 

「社長‼下がってください‼」

 

「それよりもバグヴァイザーツヴァイは持ってる?」

 

「え?え、ええ…」

 

社長に言われバグヴァイザーを取り出すと、それを持っているのとは反対の手に、銀色のバックルみたいものを置いた。

 

「これとそれを合体させて腰に当てればベルトになるから、後はガシャットの力で何とかしてちょ‼」

 

「わかりました。」

 

『ガッチャーン』

 

バックルの出っぱりをヴァイザーの裏の窪みに入れるとぴったり填まり、それを腰にあてるとベルトが伸びて巻き付いた。

 

そしてさっきグラファイトから渡されたガシャットを取り出して起動ボタンを押した。

 

『ときめきクライシス‼』

 

すると何故か私の声でゲーム名を発した。

 

ちょっと待って…‼何でガシャットの声が私のになってるの!?こんな収録とかやった覚えないんだけどッ!?

 

「オレチャンの趣味、良いでしょ?」

 

「…………後でハッ倒す…‼」

 

社長の無駄な考えでこんな仕様になった事を、後でボコると決意しながら、ベルトになったバグヴァイザー、【バグルドライバーツヴァイ】のAボタンを叩き、ガシャットを入れ横のボタンを押す。

 

『ガシャット‼バグルアップ‼』

 

そして前に出たゲートを潜ると、ピンクのショートヘアにハートが付いたカチューシャと水色の瞳、黄色にピンクで縁取られたワンピース様な格好のライダーになった。

 

『ドリーミングガール‼(Wooooo!!)恋のシミュレーション‼乙女は何時もときめきクライシス‼(Wooooo!!)』

 

「仮面ライダー…………ポッピー‼」

 

おお~‼何かテンション上がってキターッ‼‼

 

「これ以上おイタをするなら…お仕置きしちゃうぞ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

社長side

 

うんうん、バグルドライバーツヴァイも正常に作動してるね~♪

 

「ピプペポ……パァーッ‼‼」

 

ポッピーちゃんは変身した姿で、華麗に動き回って悪魔達を翻弄し……

 

「やれやれ、魔獣でももう少しお利口じゃなきゃ、レディは振り向かないよ?」

 

恋ことラヴリカちゃんもその特徴ゆえ、魔獣の攻撃が全て無効になっており…

 

「そんなレベルじゃオレに勝つのは不可能だぞ?何せオレのレベルは……99(ナインティナイン)だからな‼」

 

グラちゃんにいたっては薙刀を振り回しただけで魔獣が吹き飛び…

 

「超絶奥義・ドドドドド紅蓮爆龍剣‼」

 

放たれる必殺技で、あっさりと消滅していった。

 

「いや~♪皆サイッコォー‼オイチャン、テンションMAXだよ♪」

 

「くっ……ならば、貴様だけでも…‼」

 

クゴスは不利を悟り始めたのか、ワシへと向かって来るけど……

 

「ほい、ザンネ~ン。」

 

「ギャアッ!?」

 

万が一に備えて持ってたバグヴァイザーをガンモードにして、奴の右肩を撃ち抜いた。

 

「ギャハハハハハハハハ‼なに?丸腰だと思った?あんだけ強い護衛がいんだから?んな訳ねぇ~じゃん‼バッカでぇ‼」

 

クゴスの行動を嘲笑いながらポッピーちゃんに渡したのとは色違いのバックルをバグヴァイザーに付ける。

 

『ガッチョーン』

 

それを腰にあてるとベルトが伸びて装着される。

 

そしてグラちゃんが置いていったケースから白と黒の色合いのガシャットを取り出す。

 

「んじゃ、君には面白い物を見せてあげるよ。」

 

『デンジャラスゾンビ‼』

 

ガシャットを起動させると、背後にスタート画面が現れゲームエリアが展開されていく。

 

「変…身。」

 

『ガシャット‼バグルアップ‼』

 

そしてゾンビが踊っているようなゲートを砕きながら変身していく。

 

『デンジャー‼デンジャー‼(GENOCIDE!!)デス・ザ・クライシス‼デンジャラスゾンビ(Wooooo!!)‼』

 

ゲートを砕き終わると、ワシの姿が黒いボディスーツに骨を意識した白い左右非対称の鎧に赤と青のオッドアイに胸にあるゲージは最初から空になっている禍々しい姿になった。

 

「そ、それは…‼」

 

「これ?これは【仮面ライダーゲンム・ゾンビゲーマー】っつーの。そだ、面白い事考えちった♪」

 

ワシはその場で棒立ちになる。

 

「…………何のつもりだ?」

 

「せっかくだし~、1回だけ殺せる機会をあげようと思ったんだよ~♪」

 

「…ふざけやがってッ‼‼そんなに言うなら殺してやる‼‼」

 

クゴスは両手に魔力を凝縮していき、ワシへと投げて直撃すると大爆発が起きて、ワシはその場に倒れた。

 

「ハハハハハハッ‼やったぞ‼これで奴の技術は私の物だぁッ‼‼」

 

あらら~、あんなに喜んじゃって……マジウケる‼‼

 

喜んでいるクゴスを尻目に、ワシは紫と黒が混じったオーラを纏ってユラリ…と立ち上がった。

 

「ば、バカな…‼」

 

「アヒャヒャヒャヒャヒャッ‼今のオレチャンはゾンビなの‼つまり元から死んでるみたいなもんだから、これ以上死なないのよね~‼‼」

 

「そんな…‼」

 

いいね~、その喜びから絶望に突き落とされる時の表情‼何度見ても飽きないなぁ~‼

 

そんな狂った喜びを感じつつ、ベルトの両ボタンを押し待機音を鳴らしつつ、バカな再度Aボタンを押す。

 

『CRITICAL END!!』

 

そして捻りや縦回転を加えながら上昇していき、ある高さから回転しながら落下していき、クゴスに蹴りを決めた。

 

「ギャアアアアアアアアアアッ!?」

 

爆発するクゴスを確認しながら近づく。

 

「さてと、最後に一仕事っと。」

 

辛うじて息があるように加減したので、まだ生きてる間にバグヴァイザーを向けて死のデータを吸収する。するとガシャットが禍々しい光を放った。

 

「おっ、ようやくレベル(エックス)になったか。いや~、襲撃者全員の死のデータを集めた甲斐があった♪」

 

「社長ッ‼」

 

それを喜んでいたら、敵を全滅させた3人が戻ってきた。

 

「皆、お疲れちゃ~「セリャアッ‼」ギャバラッ!?」

 

手を振って出迎えたら、ポッピーちゃんから強烈な跳び膝蹴りが顔面に入った。

 

「いったいな~……何するのさポッピーちゃん?」

 

「さっき言った事を実行したまでです‼」

 

「覚えてたのね…」

 

「ほら、さっさと戻りますよ‼」

 

「はいは~い。」

 

ワシは転移魔法陣を使い、皆で転移される前の幻夢コーポレーションに戻る。

 

「さて、残ったお仕事終わらせますかね~。」

 

「手伝いますよ。」「俺も付き合おう。」

 

そのままポッピーちゃんとグラちゃんを連れて社長室に入ったら…

 

「ありゃ?」

 

「な、何これッ!?」

 

部屋の中が滅茶苦茶に荒らされていた。

 

「一体誰が…‼」

 

「どうやらクゴスは囮だったみたいだね。」

 

元から計画された襲撃……まさか、今までの刺客も油断を誘う為の囮か……?

 

それで何か盗まれてないか見ていたら…

 

「あ、予備のバグヴァイザーツヴァイが無くなってる。」

 

「ええッ!?」

 

机の引き出しを開けたら、故障時に入れていた予備のバグヴァイザーツヴァイが消えていた。

 

「まさか…」

 

それでワシは嫌な予感がして、パソコンを調べると……

 

「やってくれたね、この犯人…」

 

あるデータが無くなっている事が分かり、ワシは怒りに震えた。

 

アイツが作ったゲームのデータを持っていくとは…完全に頭にキタぜ‼‼

 

「どうたんですか、社長?」

 

「この犯人、アイツが…ヴァーリが作ったゲームのデータを持っていった上に、ここにあったのを全部削除していったのよ。」

 

「ええッ!?そのゲームってまさか…‼」

 

「【仮面ライダークロニクル】…」

 

アレはアイツが大事に大事に計画して作っていた最高傑作……それをこんなにするなんて…ッ‼

 

「ポッピーちゃん、今すぐカメラの確認を。何か分かったら最優先で教えて。グラファイトは周囲の警戒の強化。」

 

「分かりました、リゼヴィム社長。」「了解だ。」

 

ワシの指示でポスターちゃんとグラファイトは部屋を飛び出していった。

 

「さて…何処のどいつか知らないけど、ワシらへ売られた喧嘩……買ってやろうじゃない…‼」

 

ワシは静かに社長席に座りながら、この盗人に静かに怒りを燃やした。

 

「なら、早く【アレ】を作りますか‼」

 

ワシはパソコンに隠し持ってた銀色のガシャットを繋ぎ、データの確認を始める。

 

そのパソコンの画面には【MMX】と表示されていた。




いかがでしたか。

デンジャラスゾンビはアンケートでそこまで表が入らなかったので、彼の物になりました。

次回は本編に戻ります…

では、また次回でお会いしましょう。

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