ゲームの力でこの世界を生きていく   作:疾風の警備員

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どうも、疾風の警備員です。

今回は戦闘はアッサリと終らせて、他のサンシャインキャラの登場回となります。

サンシャイン原作とはだいぶキャラ関係が変わってるのが何人かいます。

その辺を気にしない人はどうぞ。


プロローグⅡ

一誠side

 

おいおい…なんだよこの展開は…‼

 

俺は目の前で起きている事が信じられなかった。化け物の事もそうだが、ルシファーと桜内が変なアイテムで違う姿になっちまったからだ。

 

「夢って思いてぇけど……どうやら現実みたいだな…」

 

何故なら、隣で完全に怯えて俺に引っ付いている黒澤のシャツを引っ張る感覚が俺に伝わっているからだ。

 

「せ…先輩…‼」

 

「シッ‼大きな声を出すな。アイツらに気付かれる。」

 

この言葉に黒澤は自分の手で口を覆った。

 

「アイツら……裏でこそこそこんな事をやってたのか…‼」

 

戦いを始めた二人を見て、俺は思わず拳を握り締める。心の中で燃え滾るワクワクを表現するかのように……

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

「死ね~。」

 

抑揚のない声で、ミメルは巨大な尾の針を突き刺そうとしてくるが……

 

「遅い。」

 

その悉くを梨子が全身の砲台からの射撃で撃ち落とされ、終いには針が破壊された。

 

「はあッ‼」

 

その間に近づいた俺は、ガシャコンソードで片側の足を全て切り落とす。

 

「痛った~。」

 

ダメージの割にまるで痛みが無いかのように、残った足を出してくるのを、手から波動を放ってミメル本体もろとも弾き飛ばす。

 

「痛覚も鈍いのか…」

 

「早く終わらせよう。これ以上は時間の無駄だよ。」

 

「ああ、一気にやるぞ。」

 

『『ガッチョーン、キメワザ‼』』

 

ベルトのレバーを閉じ、剣や砲口にエネルギーが溜まった所で再び開いた。

 

『『ガッチャーン‼』』

 

『TADDLE CRITICAL SLASH!!』

 

『BANG BANG CRITICAL FIRE!!』

 

「ふッ‼」

 

「やあッ‼」

 

俺は飛び上がり、莉子が全ての砲門から高密度のエネルギー弾を連射して、穴だらけになった体に禍々しいオーラを纏った剣を振り下ろした。

 

「たあッ‼」

 

ザンッ‼‼

 

この一撃で真っ二つになったミメルはあっさりと消滅した。

 

「術式終了。」

 

「ミッションクリア。」

 

『『ガッチョーン、ガシューン。』』

 

レバーを閉じガシャットを抜いて変身を解除した俺は後ろを振り返り……

 

「出てこい一誠にルビィ。いるのは分かってるぞ。」

 

そう呼び掛けると、階段付近の物陰から二人が出てきた。

 

「やっぱバレてたか。」

 

「す、すすすすすすみませんッ‼‼」

 

一誠はあまり態度を変えず、ルビィは高速で何度も頭を下げていた。

 

「どうする、ヴァーリ君?」

 

「俺は記憶操作は苦手だし、一誠の場合は力づくで破りそうだしな……正直に話すか。」

 

バレた以上、アイツの性格から考えると何があろうと関わろうとするだろうからな。

 

「家に来い。そこで話してやる。」

 

「ルビィちゃんも悪いけど…」

 

「おう‼」

 

「は……はい…」

 

ビルから出て俺達は二人を家まで案内する。その数分後、二人の人物がそこに来たのを知らずに……

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「着いたぞ。」

 

ルシファーに案内されて来たのは、少し大きめの一軒家だった。

 

「案外フツーなのな?」

 

「何を想像してたんだ?とにかく上がってくれ。」

 

そう言ってルシファーがドアを開けたら…………

 

「フッフッフッ…‼ようやく帰って来たわね、我が下僕達よ。さあ‼私の黒魔導の儀式の手伝いを(ガシッ)むがッ!?」

 

黒いマントを羽織り何か痛々しいセリフを喋る女の子がいて、ルシファーはソイツの頭を右手で掴んで持ち上げた。

 

「おい善子……客の前で人を下僕呼ばわりとは、いい度胸してるな?」

 

「ギャアアアアアッ‼‼待って‼割れる割れる割れる割れる割~れ~る~ッ‼」

 

「このまま粉微塵に割ってやろうか?」

 

「謝る謝るッ‼謝るからは~な~し~て~ッ‼‼」

 

「まったく…」

 

「みぎゃッ‼」

 

ルシファーが手を離すと、ソイツは尻から床に落ちた。

 

「うう~……ほんとに砕けるかと思った…‼」

 

「もう、よっちゃんも少しは学ばないと。ヴァーリ君は私達の王なんだから。」

 

「だからって、ちょっとしたお茶目にアイアンクロー決める!?」

 

「ああ?」

 

「すみませんでした‼」

 

ルシファーの睨みに善子と呼ばれた女は、見事すぎる土下座を決めた。

 

「お客様もいる前でやったら、私でもそうするよ?」

 

「お客…?」

 

そこで、顔を上げた女は俺達に気づいたみたいだ。

 

「あ、ルビィに番長先輩。」

 

「こ……こんば…んわ…」

 

「おい待て、なんだその呼び名は?」

 

いつから俺は番長になったんだ?

 

「一年の間ではこう呼ばれてますよ?【駒王の番長】って。だから番長先輩。」

 

そのあだ名を広めた奴……覚えてろ…‼

 

「ほら、善子はさっさと着替えてこい。後の二人は?」

 

「善子言うな‼ヨハネよ‼‼あの二人だったら…」

 

「これでFINISHッ‼」

 

「ああ~ッ‼ち、ちょっと待ってぇぇぇぇぇッ!?」

 

そこで奥の部屋から新たに二人の女性の声が聞こえてきた。

 

「大体わかった。梨子はお茶の用意を頼む。」

 

「うん。」

 

桜内と善子?と別れ、ルシファーの後に続いてリビングに入ると、二人の少女が対戦ゲームをしていた。画面にはPERFECT GAMEと表示されている。へぇ、ノーダメで勝つなんてやるな。

 

「Yeah‼私の勝ちね、千歌?」

 

「うう~……全然攻撃できなかった…鞠莉ちゃん、強すぎだよ~…」

 

「千歌に鞠莉、ゲーム仕舞え。客がいるんだから。」

 

「あ、ヴァーリ君お帰りなさい。」

 

「あら、お帰りヴァーリ。」

 

その二人は駒王の制服を着ている上、片方は俺の隣のクラスの奴だった。

 

「お前は確か…高海か?」

 

「あれ、兵藤君だ。」

 

「コイツとルビィに戦闘現場を見られてな。」

 

その言葉に二人は驚いた顔をしてルシファーを見た後、俺達を見る。

 

「Oh…大丈夫なの?」

 

「だから説明の為に呼んだんだ。」

 

「はーい、お茶が用意出来たよ。」

 

そこにカップとティーポットをトレイに乗せた桜内が来たので、俺達はソファーや床に座る。

 

「さて、話を始めるか。」

 

そしてルシファーから語られたのは、この世界には天使や悪魔、堕天使等のよくいうファンタジーの存在がいるという事、大きな戦争でその三種族は存続の危機にある事、人間には不思議なアイテム【神器(セイクリッド・ギア)】が宿る場合がある事、悪魔が開発した悪魔に転生させる【悪魔の駒(イーヴィル・ピース)】の事、桜内達はルシファーの眷属という事、あの戦いに使ったのはルシファーが作った装備という事だった。

 

「大体話したが、質問はあるか?」

 

「そもそも、そんな存在を信じろって方が無理だ……って言いてぇけど、あんなモン見ちまったから信じるしかねぇだろ。」

 

隣にいる黒澤は既に頭から煙を出してオーバーヒートしてるみてぇだけど……

 

「話はわかった。んじゃ俺に渡すヤツってのも、そのお前が作った装備ってやつなんだな?」

 

「ああ、調べて分かったがお前の兄には神器……それもその中で神をも殺せる可能性を秘めた13の神器【神滅具(ロンギヌス)】の所持者だと判明したからな。それは必ず戦いを呼び込む。俺としてはそれに巻き込まれて、お前が死ぬのは嫌なんでな。」

 

「ケッ‼そんな簡単に死ぬかよ。」

 

「そうだな。では、説明が終わったところで改めて自己紹介するか。俺はヴァーリ・ルシファー、魔王ルシファーの血族と人間のハーフでここにいるメンツの王を勤めている。」

 

「桜内梨子、ヴァーリ君の女王をしています。」

 

「私は三年の小原鞠莉、ヴァーリのKnightを担当してるわ。」

 

「我が名はヨハネ「津島善子な?」うっさい‼闇の魔導を操り、世界を混沌に導く者「一年生でヴァーリ君の僧侶です。」ちょっと人がかっこよく決めてい「じゃあ次は私だね‼」おいッ!?」

 

「二年の高海千歌、ヴァーリ君の兵士だよ‼」

 

「以上が俺のメンバーだ。」

 

自己紹介が(1名微妙だったが)終わり、この事はあまり広めない様に言われたところで、時間も7時近くになっていたので俺は帰る事にした。そこで、何故か黒澤を送って行くように全員からいわれ、仕方なく一緒に歩いていた。

 

「す、すみません…御迷惑……でしたか…?」

 

「あ?別になんとも思わねぇよ。」

 

そんな感じに並んで歩いていたら……

 

「おい、テメェが兵藤一誠か?」

 

「んあ?」

 

後ろから中々に威圧のある声で呼び掛けられて、振り返って見ると俺と同じ位の男が10人ほど立っていた。その中には頭や顔、腕等に包帯を巻いてるのが8人いた。

 

「誰、あんたら?」

 

「昼間は俺の部下を可愛がってくれたそうじゃねぇか?そのお礼に来たんだよ…‼」

 

ああ、昼間に黒澤に絡んでた奴等か……

 

「ハッ‼悪ぃな、雑魚の顔なんざ覚えてねぇんだわ。」

 

「テンメェ…‼‼」

 

この言葉にキレたのか、一人が突っ込んでくるが……

 

「フンッ‼」

 

「プンバッ!?」

 

顔面を殴って一撃で沈めた。

 

「おい黒澤、そこの路地に行って目と耳を塞いで隠れてろ。邪魔だ。」

 

「は、はい…‼」

 

すぐ横の路地に黒澤を移動させ、俺はその路地の前に立つ。これならアイツらの狙いが分散しねぇから、よりやり易くなる。

 

「テメェ……よくも、てっちゃんをッ‼‼」

 

「御託はいいからかかってこいよ。今日の俺は気分が良いから半殺しで終わらせてやる。」

 

そう言って、右手の人差し指を何度か曲げたりして挑発する。

 

「オイお前ら‼‼やっちまうぞ‼‼」

 

「さあ、遊ぼうぜッ‼‼」

 

向かってくる雑魚共にいい笑顔でそう叫び、喧嘩を初めて3分程で俺のノーダメによる完全勝利で終わった。

 

「ふう、リーダーの方はまあまあ楽しかったぜ?また遊ぼうな。」

 

既に全員気絶してるから返事はねぇけど……

 

「おーい黒澤、もう出てきてもいいぞ?」

 

路地に向かってそう呼ぶが、何の反応も返ってこなかった。

 

「……そういや目と耳を塞がせてたんだったな。」

 

路地に入ると黒澤が言われた通り目と耳を塞いでしゃがみこんでいた。

 

「おい、終わったぞ。」

 

「ぴぎぃッ‼‼…………せ、先輩…?」

 

肩を叩いたら最初は驚いた声を上げ、ゆっくりとこっちを向いた。

 

「おら、終わったから帰るぞ。」

 

「あ…ま、待ってください…‼」

 

早く帰ろうとする俺に、黒澤は慌てて走りよって来て制服を掴む。

 

「おい、なんだよ?」

 

「すみません……でも…今だけ…」

 

そう言う黒澤の手は震えていた。

 

……ま、コイツからしたらああいうのは怖いんだろうな。俺はそんな感覚、もうとっくに麻痺しちまってるけど。

 

「しゃーねぇな……家に着いたら離せよ?」

 

そんなこんなで、黒澤の歩行ペースに合わせながらゆっくりと歩き、ようやくコイツの家に着いたけど家の前に二人の少女がいた。

 

「ルビィちゃん、まだ帰ってないんですか?」

 

「ええ、何処で何をやってるのやら…」

 

一人はコイツと一緒に助けた事があったな……もう片方は姉か。

 

「おい、着いたぞ?」

 

「あ、お姉ちゃんに花丸ちゃん…」

 

「え…?ああッ‼ダイヤさん‼ルビィちゃんに番長先輩ズラッ‼」

 

「だから誰が番長だ…」

 

ほんとに一年の奴等全員に伝わってるのかよ……俺の番長呼びは…

 

「貴方は…」

 

呼び始めた奴をどうしてやろうかと考えていたら、黒澤姉が目付きを鋭くしながら俺に近寄って来た。

 

「あんたは?」

 

「ルビィの姉の【黒澤ダイヤ】です。」

 

「……俺に何か用っすか?」

 

「聞きたいことは1つだけですわ。私の妹を連れて何をやっていたのですか?」

 

……どうやらこの姉さんは俺に否定的な奴みたいだ。

 

「俺がそれで語って……あんたはそれを信じるのか?」

 

「事と次第によりますわね。」

 

「だったら俺は何も言わねぇ。俺が何を言っても弁解か反論にしかならねぇしな。そっちで好き勝手に解釈してろ。」

 

どうせこういう奴には何を言おうが無駄なのは分かってるよ。

 

「………………なら、そうさせてもらいますわね。」

 

そこで俺は飛んでくるであろう罵詈雑言を聞き流そうと思っていたが、その姉さんの予想外の行動に俺は思考が一瞬止まった。

 

「…………何故頭を下げる?」

 

そう、黒澤姉は俺に頭を下げていたのだ。

 

「ルビィの貴方に対する態度を見れば分かります。恐らく、また不良に絡まれている妹を助けてくれたのでしょう?これはそれに対する正当な行為ですわ。妹を助けてくれてありがとうございます。」

 

「マルからも、ありがとうございます‼」

 

そこに、もう一人いた少女まで加わった。

 

「…………頭を上げてくれ。俺は感謝なんかされる人間じゃねぇ。」

 

「…確かに、普段の行いは褒められたものではありませんわ。でも、それで助けられた者達も大勢います。だから、貴方は感謝されても良いのですよ。」

 

「そうズラ‼マルも先輩に助けて貰った事があるズラ‼」

 

なんか調子が狂うぜ……感謝されるなんざ、親以外なかったからな……

 

「とりあえず、あんたの妹は無事に届けたぜ?」

 

「はい……ルビィ、いらっしゃい。」

 

「うん。」

 

黒澤妹が離れて姉のところに行ったら、俺はもう一人の少女を見た。

 

「ああ、それとそっちの……お前、名前なんだっけ?」

 

「マルですか?マルは【国木田花丸】です‼」

 

「国木田ね……ついでだ、お前も家まで送ってやる。」

 

「え…いいんですか?」

 

「さっき俺絡みの連中に会ったんだよ。他にもいるかも知れねぇし、それに他の奴を巻き込むのは後味が悪いんでね。」

 

「花丸さん、ここは好意に甘えておきなさい。」

 

「じゃあ…お願いします。」

 

最初渋る感じだったが、俺が話した理由と黒澤姉の言葉で国木田は答えた。

 

「んじゃ、行くぞ。」

 

「はい‼ダイヤさん、ルビィちゃん、またね~‼」

 

黒澤姉妹と別れて、国木田を家の前まで送る間は特にこれといった事はなく、それから自分が親に頼んで借りてる低賃金のアパートに向かった。

 

因みに俺が一人暮らししてるのは、あのクソ兄貴といると面白くもなんともない喧嘩にしかならないからだ。親父とお袋は仲を取り持とうとしてるけど俺達にそんなつもりは一切ない。

 

「さて、夕飯はどうす「やっと帰ってきたね、イッセー?」…げ、この声は…‼」

 

アパートの前で遅めの夕飯を考えていたら、少し上から聞き慣れた声が聞こえ、下に向けていた視線を上げると借りてる2階の部屋の前の手すりに体を預けている一人の少女がいた。

 

「せっかく来た幼馴染みに“げ”はないんじゃない?」

 

「カナ姉…‼」

 

それは俺の1つ上の幼馴染みである【松浦果南】だった。

 

「何しに来たんだよ?」

 

「様子を見てきてほしいって、イッセーのご両親に頼まれたのよ。」

 

「チッ……余計な事を…」

 

階段を登って部屋の前に着くと、彼女は扉の前で仁王立ちしていた。

 

「で?こんな時間まで何をやっていたのかな?」

 

「別に……話す程じゃねぇよ。」

 

「もう……可愛く無いなぁ…昔はあんなにカナ姉カナ姉って懐いてたのに。」

 

「昔は昔、今は今だ。」

 

話しながら部屋の鍵を開けて中に入り、さっさと閉めようとしたが……

 

「お邪魔しまーす。」

 

「いつの間に…」

 

カナ姉が既に奥の窓の前にいた。

 

「ほら、今日は久々に私が夕御飯作ってあげる♪」

 

「別にいいよ。ホラッ‼とにかく俺は大丈夫だって分かったからもういいだろ?」

 

「あ‼ちょっと!?押さないでよ‼」

 

俺はカナ姉の背後に回って肩に手を置き、外に出そうと押すが、カナ姉もそれに抵抗してくる。

 

「この…‼さっさと出てけ‼」

 

「嫌よ…‼」

 

そんな押し合いを続けていたら……

 

ツルッ‼

 

「おわッ!?」

 

「え?キャアッ‼」

 

俺は足を滑らせて、カナ姉を巻き込みながら床に倒れてしまった。

 

「イチチ…‼大丈夫か、カナね(ムニュ)ん?」

 

「ひゃうッ!?」

 

何だ、この右手の感触は?床にこんな柔らかい物は無い筈……なら何だ?

 

そう思って視線を右手に向けたら……

 

「な……ななななな…‼‼」

 

「いいッ!?」

 

俺はカナ姉に覆い被さる様になっていて、右手はそのカナ姉の立派に育った胸の上にあった。

 

「いや、これは事故であってわざとじゃ…‼」

 

「ちょ、あんまり動いたら…‼‼」

 

状況が状況だけに、軽くパニクりながら退こうとしたら……

 

「やっほー‼夕飯のおかず作りすぎたから、お裾分けに持ってき……た…」

 

「「あ。」」

 

新たに入ってきた少女に、まるで俺がカナ姉を押し倒しているかの様な現場を見られてしまった。

 

「「「…………………………………………」」」

 

3人でしばらく無言になるが、最初に動き出したのは新たに入ってきた少女だった。

 

キィ~……パタン……

 

彼女はゆっくりと扉を閉め……

 

『…………あ、もしもしお母さんッ!?今、イッセー君の部屋に来たらイッセー君と果南ちゃんが…‼』

 

「「待て待て待て待て待て待て‼ストォォォォォップ‼」」

 

ドア越しにそんな電話をし始めたのが聞こえたので、慌てて二人で外に出てカナ姉がソイツを押さえて俺がスマホを取り上げて、通話を切った。

 

「ハァ……ハァ……ま、間に合った…‼」

 

「今の…メールの一斉送信ボタンなんだけど?」

 

「「ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?!?!?」」

 

マジかッ!?俺、もしかして大変な事しちまった!?

 

あまりの展開に本気で焦り始めるが、ソイツの顔は必死に笑いを堪えているように見え……

 

「アハハハハハハハハッ‼‼冗談だよ、冗談♪」

 

ついに堪えきれず、笑いながら俺達にそう告げた。

 

「「………………………………………………」」

 

ソイツは笑っていたが、俺とカナ姉は無言のままソイツの頬を左右から摘まみ……

 

「「冗談ですむかあああぁぁぁぁぁぁッ‼‼」」

 

「いひゃい‼いひゃい‼いひゃい‼いひゃいッ‼‼」

 

全力でその頬を引っ張った。おおすげー、よく伸びる伸びる。

 

 

 

「うう~……ひどいよ二人とも…」

 

「タチの悪ぃ冗談言う…お前が悪い。」

 

「まったくだよ…反省しなさいね、曜ちゃん?」

 

あれから部屋に戻り、俺達をからかった近所に住む少女【渡辺曜】は赤く腫れた頬を擦りながら涙目でこっちを見てくるが、俺達はそれをバッサリと切り捨てた。因みに彼女はもう一人の幼馴染みで小さい頃から一緒に遊んだ仲だ。もちろん、クソ兄貴には一切教えてない。

 

「こうなったら、ネットに…「「それやったらどうなるか……分かってるよな(ね)?」」…ゴメンナサイ…」

 

曜がさっきの話を引きずろうとしてきたので、俺は両手の骨を鳴らし、カナ姉は料理するために持っている包丁を見せてイイ笑顔で言うと、顔を青くして謝った。

 

「ほら、ご飯出来たよ。」

 

あの後、結局カナ姉に夕飯を作ってもらう事になり、曜も食べていく事になった。

 

「はい、おまちどうさま。」

 

持ってきたトレイにはご飯にサラダとしょうが焼きに油揚げと大根の味噌汁、曜が持ってきたアジフライがあった。

 

「それじゃ、いただきます。」

 

「いただきま~す‼」

 

「……いただきます。」

 

そう言って食事を始める。やっぱカナ姉達の飯は俺が作るより味がダンチだわ。

 

「あ~…さっきのはそういう事だったんだ?」

 

「そうなのッ‼だから変な勘違いはしないでね?」

 

「え~?でもでも…まんざらでもなかったんじゃない?」

 

「う……‼そ、それは…まあ…」

 

「私は果南ちゃんの事、応援してるから。」

 

「うう……ありがと…」

 

「何の話してんだ?」

 

「「女同士の秘密‼」」

 

「はあ?」

 

そんな感じに食事は進んでいき、俺がアジフライにソースをかけてかじりついていたら…

 

「ねぇイッセー、今日はなんか良い事あったの?」

 

「あ?なんでそう思うんだ?」

 

そう聞いてきたカナ姉の言葉に返事すると、曜が唇の端を指差した。

 

「口元、微妙に弛んでるよ?イッセー君って昔から楽しい事があるとそうなる癖があるよね。」

 

「マジか……まぁ、ワクワクするような事ならあったぜ。」

 

「え、どんなのどんなの?」

 

「教えねぇよ。これは俺のワクワクだからな。」

 

「「ええ~?」」

 

ルシファーに言われた通り、俺は二人には今日の事を黙っておいた。

 

どうせ信じて貰えないだろうってのと、この二人は巻き込みたくないという思いもあるが、本当はあの時見たルシファー達と化け物の戦いで感じたワクワクが俺の中でまだ燃えていたからだ。

 

近いうちにあんなのと戦える力が手に入ると思うと、本当にワクワクが止まらねぇッ‼

 

そんな興奮を内に秘めながら、俺はまたアジフライにかじりついた。

 

 




いかがでしたか?

そういやマイティブラザーズXXってガシャットギアデュアルを作るための試作品で出来たんでしたよね?

なら、出しても問題………………無いですよね……?


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