ゲームの力でこの世界を生きていく   作:疾風の警備員

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どうも、疾風の警備員です。

今回はクロノスが派手にやらかします。

さあ、きらめきアイドルの運命はどうなるのか……

では、本編をどうぞ。


砕かれるJewel

「諸君……この戦争(ゲーム)は無効だ。」

 

新たにこの場に現れた潜在……クロノスはゆっくりと歩きながらヴァーリ達とコカビエルの間に立つ。

 

「おい貴様……一体何の真似だ?」

 

コカビエルはせっかく気分がノッていた所に水を指され、額に青筋を浮かべながらクロノスを睨み付ける。

 

「私は君に用があって来たのだよ………コカビエル。」

 

「俺に用だと…?」

 

「そうとも。私は君をスカウトしに来たのさ……私の右腕としてね?」

 

その内容にコカビエルの表情が怒りに染まった。

 

「この俺が……貴様の右腕扱いだと…………ふざけるなよキサマアアアァァァァァァァァァッ‼‼」

 

その完全に上から目線の言葉にコカビエルはキレて、両手の槍を構えてクロノスへと突っ込んだ。

 

「フゥ…………無意味な事を。」

 

その行動にクロノスはため息を吐きつつ、バグルドライバーⅡのAボタンとBボタンを同時に押す。

 

「ッ‼止めろッ‼」

 

『PAUSE』

 

それに気づいたヴァーリがクロノスへと駆け出すが時すでに遅く、電子音声が流れると周囲に異変が起きる。クロノスの周りにあるすべてのものが動きを止めたのだ。コカビエルの翼から抜けた羽や、ヴァーリが駆け出す時に起きた砂煙さえも落ちたり消えたりせずその場に留まっている。それはヴァーリ達にも当てはまり、彼らもまるでマネキンチャレンジをやっているかの様にその場で止まっていた。

 

「これだから脳筋というのは…」

 

『ガッチョーン、ガッチャーン…‼』

 

その中をクロノスだけは動く事ができ、バグルドライバーⅡを外し右手に持っているグリップに赤い銃口を前にして取り付け、コカビエルを撃つ。止まっているお陰か難なく当て、HITの文字を浮かばせながら一瞬体がぐらつき再び止まる。

 

そしてバグヴァイザーⅡをベルトに戻し、もう一度ボタンを同時押しする。

 

『RE:START』

 

「ッ!?グオアァァァァァァァァァッ!?」

 

その瞬間、再び周りが動き始めコカビエルが爆炎に包まれながら校庭へと落ちた。

 

「えッ!?何が起きたのッ!?」

 

「コカビエルが一瞬で負けた…!?」

 

「な…なんだ……!?今……何が起きた…!?」

 

痛みに耐えつつ立ち上がろうとするコカビエルの前に、クロノスは悠然と立つ。

 

「話は最後まで聞くものだ。私の右腕になるならば君に強力な力と……それを存分に振るえる戦場を提供しよう。もちろん、そこでの成果によって更なる報酬も約束する。」

 

「力だと…?」

 

「そうだ。手に入るかどうかは君次第だが、上手くいけば堕天使総督や魔王すら凌駕する存在になれるぞ?」

 

「何だと…!?」

 

その言葉はコカビエルの心を揺さぶるのに、充分な効果があった。大規模な戦争を望む彼だが、だからこそ自分の力がどの程度のものなのかキチンと把握している。今のままでは堕天使総督であるアザゼルにギリギリで勝てるかどうかというレベルだということも……

 

「させるかぁッ‼‼」

 

「ん?」

 

その時、ヴァーリがガシャコンソードをクロノスへと振るうが、それを右腕でアッサリと受け止めた。

 

「スカウトの邪魔をしないでくれるかな、タドルファンタジー?」

 

「貴様こそッ‼俺のガシャットを返せェッ‼」

 

距離を離しマントを槍の様にして何度も突き出すが、クロノスはそれをダンスを踊るかの様な動きで回避する。

 

「無意味な事を…」

 

クロノスはその行動に呆れつつ、ドライバーのボタンを叩く……

 

「させないッ‼」

 

直前にクロノスに砲撃が命中した。

 

「…………これは何の真似かな、バンバンシミュレーションズ?」

 

クロノスの視線の先には、両腕の主砲ユニットを構える梨子がいた。

 

「これ以上、ヴァーリ君のガシャットを悪用させない‼」

 

「そういう事ッ‼」

 

そこに善子が魔法陣から鎖を伸ばして、クロノスの腕を縛り上げる。

 

「これでポーズは使えない筈ッ‼」

 

「Niceよ、ヨハネッ‼」

 

鞠莉がその隙をついてガシャットを奪い返そうと近づいて手を伸ばす。

 

「言った筈だ、無意味な事をと。」

 

「えッ!?キャアッ‼」

 

しかし、クロノスはその鎖をアッサリと断ち切り、ガシャットへと伸ばしていた鞠莉の手を掴んで放り投げた。

 

「くっ……おっとッ‼」

 

そして地面にぶつかりそうになるが、寸前でヴァーリがお姫様抱っこで受け止めた。

 

「oh、ありがとうヴァーリ…」

 

「気にするな、しかしこっちもそうだが、木場達の方も何とかしないと…「なら、私が行ってくるわ。」……わかった、頼むぞ…美歌。」

 

木場の方を美歌に任せてクロノスに挑もうとしたら……

 

『PAUSE』

 

再びポーズを発動され、彼らは動きを止めた。

 

「聞き分けの悪い子には…」

 

『ガッチョーン…ガッチャーン…‼キメワザ…‼」

 

その止まった時の中でクロノスはバグヴァイザーⅡをガンモードにしてキメワザを発動させる。

 

「お仕置きだ…」

 

『CRITICAL JUDGEMENT!!』

 

「フンッ‼」

 

右手を横凪ぎに振るいながら撃たれた必殺技は5人に命中した。

 

『終焉の一撃‼』

 

「反省したまえ。」

 

『RE:START』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美歌side

 

ヴァーリ達から離れ、私は木場とフリードが戦っている場所に走り、途中でゲーマから射出されて二人の間に降り立った。

 

「よっと。久し振りね、フリード?」

 

「ああん?テメェはあん時の…‼」

 

「そこを退けッ‼エクスカリバーは僕が…「黙ってろ。」ガッ!」

 

後ろで吠える木場の首を掴み、レベル0の力で悪魔の駒の力を抑制し、一時的に動けなくさせる。

 

「因縁があるのは、私もなのよ。」

 

「おやおやぁ~?仲間割れですかあ~?」

 

「そうね…………これも仲間割れね。」

 

フリードの言葉にそう呟き、ガシャコンキースラッシャーを構える。

 

「でしょ?()()()()()()()()N()o().()1()()()()()()()()()()()?」

 

「ッ!?なんでその呼び方を…‼」

 

「半分勘だったけどやっぱりね……貴方の本当の目的はあの機関で行われる筈だったNo.1同士の勝負かしら?」

 

「ああそうだッ‼それをしなきゃ、俺は本当のNo.1にはなれねぇんだよッ‼‼」

 

「なら丁度良いわ……ここできちんと決着つけましょうか?」

 

「どういう意味だ?」

 

意味が分からないという顔をしているフリードに、私は自分の過去を教える。

 

()()()()()()()()N()o().()1()()()()()()()()C()……貴方の探してる因縁の相手は……私よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠side

 

「く…‼一体何が起きたんだ…!?」

 

パラドが何かを喋りそうになった時に不思議な感覚が襲い、次の瞬間には変身が解けて学校の校庭に俺達はいた。

 

「お前ら、無事かッ!?」

 

「う、うん…‼皆、無事だよ‼」

 

曜の言葉に安心し、息を吐き出したら……

 

「グアァァァァァァァッ!?」

 

「「「「キャアアアァァァァァァァァッ!?」」」」

 

「「「「「「ッ‼」」」」」」

 

突然聞こえた悲鳴に視線を前に向けると、悠然と立つ黒と黄緑の仮面ライダーと、爆炎の中に倒れるルシファー達の姿が見えた。

 

「マジかよ…!?」

 

「千歌ちゃん達が……負けた…!?」

 

あのルシファー達が一瞬で全滅した…!?アイツ一体何者だッ!?

 

「さて……煩い虫は潰した。次の目的に移るとしよう。」

 

黒いライダーは俺達の方を見ると、ゆっくりと歩いてきた。それに嫌な予感がした俺は、すぐに立ち上がってソイツの前に立ち塞がった。

 

「フム……君はたしか、セイヴァー・サバイバルだったかな?」

 

「…………今から何をやる気だ…!?」

 

俺の全力の殺気も何処吹く風の様に立ち、ゲーム名で人を呼ぶコイツに多少腹が立つ。

 

「それを教えるのは構わない。」

 

ゆっくりと右手を上げるソイツに意識を集中させ、真っ直ぐ伸ばしたら人差し指を立てる。最初は何かの攻撃かと思い注意していたが、それが誰かを差していると分かったらその先を見る。そこにいたのは……

 

「ぴぎぃッ!?わ、私?」

 

黒澤妹だった。

 

「黒澤妹に何の用があるってんだッ‼」

 

「簡単な事さ…」

 

そこでソイツは言葉を切り……

 

「きらめきアイドル……君は絶版だ。」

 

黒澤妹にそう宣告した。

 

「絶版…?」

 

「絶版とは会社が商品の重版を止め、出版権すら放棄した事を言いますわ。つまり……商品的な死…‼」

 

「死ッ!?」

 

黒澤姉の言葉に国木田が驚きの声を上げる。

 

「させっかよぉッ‼‼」

 

『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼マザルアップ‼セイヴァー・サバイバールッ‼』

 

それを阻止する為に俺はドラゴネスに変身し、ライダーへと向かう。

 

「セイヴァー・サバイバル……それは無意味だ。」

 

『PAUSE』『RE:START』

 

「ッ!?ウアアアァァァァァァァッ‼‼」

 

『ガシューン。』

 

だが、奴がバックルを叩いた瞬間に俺は爆炎に包まれ、強烈なダメージと共に変身が解けて倒れた。

 

「「イッセー(君)ッ‼」」

 

「グッ…だ、大丈夫だ…‼」

 

駆け寄ってきた曜とカナ姉に起こされ、大丈夫と見栄を張るが実際は結構キツかった。

 

(なんだ……アイツは今何をやったんだッ!?視認できない速さで動いた?……いや、そんな生易しいものじゃない‼まるで…)

 

奴の秘密を解き明かそうとするも、身体中に走る痛みで思考が上手く回らず、その間に黒いライダーは黒澤妹へと近づいていく。

 

「あ……あ…」

 

「さあ、大人しく絶版になるといい…」

 

「させるかッ‼」

 

「むぅ…‼」

 

黒いライダーは黒澤妹へとバグヴァイザーⅡを向けるが、横から飛んできた弾丸を受けて怯んだ。その弾が飛んできた方を見ると……

 

「今度は君か……パーフェクト・ノックアウト?」

 

パラドクスに変身したパラドが、ガシャコンパラブレイガンをガンモードにして構えていた。

 

『1・2・3・4・5・6・7‼』

 

「ハアッ‼」

 

パラドはBボタンを連打し、7つの弾丸を同時に放って黒いライダーの周囲に着弾、土煙を上げて視界を塞いだその隙に、パラドは黒澤妹の前に立つ。

 

『7連鎖‼』

 

「おいおい、お前の相手は俺達だ。目移りすんなよな?」

 

「そうだぜ……黒澤に手ぇ出すんなら、俺達を倒してからにするんだな…‼」

 

俺もそこに参戦するため、心配する曜を引き剥がしてパラドの隣に立つ。

 

「さすがに、鬱陶しくなってきたな…」

 

「マックス大変身ッ‼」

 

『デュアルガシャット‼ガッチャーン‼マザルアップ‼セイヴァー・サバイバール‼』

 

俺は再びドラゴネスになると、ガントレットを装備して拳を握り締める。

 

「パラドッ‼今だけは協力しろッ‼‼」

 

「おうッ‼心が滾るぜッ‼‼」

 

 

―推奨BGM【JUSTICE】―

 

 

俺達が同時に走り出すと奴は後ろに飛んで距離を取ろうし、させまいと俺達も奴へと飛び込む。

 

「せっかくだ。我が力…クロノスの発表会といこうか。」

 

「「その前にぶっ潰すッ‼‼」」

 

先に俺が殴りかかるが後ろへと受け流され、続けてパラドがハンドアックスを振り降ろすも、左腕で楽に受け止められた。

 

「オラァッ‼」

 

受け流された俺は右足で踏ん張り、左足で後ろ回し蹴りを繰り出すが…

 

ガシッ‼

 

「遅いぞ?」

 

「なッ‼うおわぁッ!?」

 

「やらせるかッ‼」

 

『ズ・ガーン‼』

 

その足を掴まれ振り回されそうになるが、パラドがハンドアックスをガンモードにして奴…クロノスの手を撃ち、力が弱くなった隙に脱出する。

 

「サンキュー…‼」

 

「イッセー…奴の攻略法は解ってるな?」

 

「ああ…今はそれしか手段がねぇ…」

 

「何をしようと無意味だと、まだ気づかないのか?」

 

余裕をかますクロノスを尻目に、俺とパラドは近くのメダルを取り込む。

 

『『高速化‼』』

 

そして同時にクロノスへと突撃をかまし、拳を振るうも簡単に防がれた。

 

「この程度で…「「まだまだぁッ‼‼」」ヌゥッ!?」

 

そこから俺達は怒濤のラッシュを始める。クロノスに反撃もさせず、片方を防ごうとすればもう片方がその隙にがら空きの所に攻撃を叩き込んでいく。

 

「お前のその不思議な技の攻略法は…‼」

 

「それをさせないレベルで、攻撃を繰り出していく事だッ‼」

 

「く…‼小癪な真似を…‼」

 

二人同時のラッシュを何とか凌いでいるクロノスだが、やはり発動が出来ないのかさっきの能力を使ってこない。

 

「そろそろ時間だッ‼」

 

「OK‼」

 

エナジーアイテムの効果時間が迫ってくると、パラドが能力でアイテムを集め、再び高速化を取り込む。

 

『『高速化‼』』

 

「このまま一気に…‼」

 

「押し切ってやる‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠とパラドの攻略法によってクロノスは防戦一方となっていた。しかし、クロノスはこの状況には全く動じてはいない。何故ならクロノスはこの攻略法の穴を知っているからだ。

 

そして遂にその瞬間が訪れる。

 

「くッ!?効果が…‼」

 

「だが、アイテムが…‼」

 

そう…この攻略法は高速化のアイテムだよりだ。つまり、それをする為のアイテムが無くなればそれだけで成り立たなくなる。

 

「フッフッフッ。」

 

『PAUSE』

 

動きが止まった瞬間にクロノスはポーズを発動し動きを止め、仮面の奥でほくそ笑みながら二人へと歩み寄っていく。

 

「さあ、お仕置きの時間だ。」

 

そう言ってクロノスはドライバーのBボタンを2連続で押す。

 

『キメワザ…‼CRITICAL CREWS-AID!!』

 

するとクロノス達の足下に光の時計盤が現れ、その上でクロノスが半時計回りに回ると時計盤の長針もそれに合わせて動き最後には回し蹴りを二人に叩き込む。

 

『終焉の一撃‼』

 

「フン…」

 

『RE:START』

 

「「グアアァァァァァァァァッ‼‼」」

 

『『ガシューン。』』

 

そして再び動き出したら、二人は爆炎と共に吹き飛ばされて気絶した。

 

「これ以上君達に関わっている程、私は暇では無いのでね…」

 

二人を倒してからは見向きもせず、クロノスはルビィの元へと歩き出す。その姿はまるで人間に裁きを下す神にも見えた。

 

「さあ、審判の時だ…」

 

「あ……ああ…」

 

ルビィは腰を抜かし、涙目になりながら何とか変身しようとするが、クロノスがバグヴァイザーⅡを彼女の腰から奪い取り遠くへと放り投げた。

 

「余計な事などさせんよ。」

 

『ガッチョーン…ガッチャーン…‼』

 

自身のバグヴァイザーⅡをガンモードに変えると、その銃口をルビィへと向ける。

 

「これで…絶版だ。」

 

「お待ちなさいッ‼‼」

 

しかしそこで大声で待ったを掛けながら、一人の人物が二人の間に入ってきた。

 

「お姉ちゃんッ‼」

 

入ってきたのはルビィの姉、ダイヤだ。

 

「そうか…君はきらめきアイドルの姉か。」

 

「これ以上、ルビィには指1本触れさせませんわよッ‼」

 

「ダイヤッ!?止めてッ‼」

 

「ダイヤさんッ‼‼」

 

その行動に果南と花丸が止めるように叫ぶが、彼女はそこから動かなかった。

 

「しかし、何の力も持たない君に…一体何が出来るというのかね?」

 

クロノスのいう通り、彼女はライダーの力も無ければ神器も持っていない…ただの一般人だ。そんな彼女がクロノスに勝てる可能性など、1%もない。

 

「例えそうだとしても、妹を守らない姉が何処にいますかッ‼‼」

 

「でも…‼(パチパチパチパチ)え…?」

 

果南が何とか止めさせようとすると、手を叩く音が聞こえてきた。その場に似つかわしくない音に誰がやっているのか、音の発生源を見ると…

 

「なるほどなるほど……これが麗しき姉妹愛と言うものか。」

 

手を叩いていたのは、敵であるクロノスだった。その事に全員が唖然とする。

 

「これは確かに素晴らしい……感動的だな。」

 

「……馬鹿にしてますの?」

 

「いやいや、私は思った事を言ったまでさ。ふむ…」

 

そこでクロノスは何かを考える様な仕草をすると、体を反転させて彼女達から離れ始めた。

 

「それは何の真似…」

 

「今回は君達の姉妹愛に免じて……きらめきアイドルを絶版にするのは止めにしよう。」

 

「本当ですのッ!?」

 

その事実にダイヤは驚きながらも喜びを感じた。自分のした事が無駄ではないと思えたからだ。

 

「ただし…」

 

しかし、本当の悪夢はここから始まる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「代わりに君が絶版になるといい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロノスはそう告げ、右手に持ったバグヴァイザーⅡから黒い粒子を蒔き、ダイヤへと振り掛けた。

 

「な…‼あ……がぁ…ッ!?」

 

するとダイヤの身体中を紫のノイズが走りだし、苦しそうにその場に倒れた。

 

「ダイヤッ!?」

 

「お姉ちゃんッ!?」

 

果南とルビィの二人がダイヤへと駆け寄るも、彼女の身に起きてる異変に動きが止まる。

 

「何…これ…ッ!?」

 

「お姉ちゃんの身体が…透けてる…‼」

 

その異変とはダイヤの身体がまるで消えるかの様に、透けたり戻ったりを繰り返していた。

 

「ねぇッ‼ダイヤに何をしたのッ‼‼」

 

「私は彼女にバグスターウィルスを感染させただけさ。それも私が改造した失敗作を…」

 

「失敗作…?」

 

「バグスターウィルスの価値はバグスターを生み出す事にある。だがこれは、感染者を()()()()()がバグスターを生み出さない。そんな物には何の価値も無い。廃棄処分しようと思っていた所だが……丁度良かった。」

 

クロノスのその言葉に怒りが沸くよりも、別の言葉が彼女達の恐怖を煽る。

 

「確実に……殺す…ッ!?」

 

「じゃあお姉ちゃんは…‼」

 

「彼女は死の運命から逃れる事は出来ない……という事だ。」

 

「なんで……なんでそんな残酷を平然とッ‼‼」

 

「こうなったのはきらめきアイドル……君のせいなのだよ?」

 

「え?」

 

果南の叫びを無視し、クロノスはルビィに告げる。

 

「君が素直に絶版されれば、姉がこの様になる事は無かった。もしくは私と戦えるだけの気持ちがあれば、また違った未来があったかもしれない。」

 

その言葉がルビィの心に突き刺さる。自分が弱いと解っていてそれでも自分は役に立てなくて、誰かに助けてもらってばかりだと……

 

「あ……ああ…‼」

 

「この結末は弱い君が生んだ運命だ。」

 

「そん……そんな……ッ‼」

 

「ルビィちゃんッ‼聞いちゃダメッ‼‼」

 

「ダメズラッ‼ルビィちゃんッ‼‼」

 

果南と花丸が叫ぶも心に刺さった刃はそう簡単には抜けず、更に奥にと突き刺さっていく。

 

「どうだね?自分の姉を死なせてまで……生き残った気分は?」

 

「うあ……ああ…‼」

 

「勝手に……殺さないで…………くださいます…ッ!?」

 

クロノスの言葉がルビィを苦しめていく中、ダイヤが必死に声を上げる。苦痛に表情を歪めながらも、その目にはまだ強い意思が残っている。

 

「ッ!?……お姉……ちゃん…‼」

 

「泣くんじゃありません…………自分が弱いと…理解したのなら………………強く…なりなさい…‼」

 

「でもッ‼お姉ちゃんが…‼」

 

「貴方を守れたのですから……後悔はありません…」

 

そして震える右手を伸ばし、ルビィの頬に触れる。

 

「貴方ならきっと出来る…‼自分に自信を……持ちなさい…‼‼」

 

「無理だよ…‼‼お姉ちゃんがいなきゃ…‼」

 

「甘えないのッ‼‼」

 

「ひッ!?」

 

「私はルビィの姉よ…?その姉が言ってるのです……だから信じなさい……自分の心を…‼」

 

「うん…‼うんッ‼解った‼信じる‼信じるよ‼だから…‼」

 

「なら……心残りは…………ありませんわ…」

 

そう言ってダイヤが目を閉じると、透けたり戻ったりの感覚が短くなりドット状の粒子が彼女から零れていく。

 

「いや…‼嫌だッ‼お姉ちゃんッ‼‼」

 

その粒子を逃がさない様にルビィは手を伸ばすが、その数はどんどん増えて零れては消えていく……

 

「ダイヤ…‼‼」

 

「ダイヤさんッ‼‼」

 

その三人の元に花丸もやって来た。その顔からは涙が止めどなく流れている。

 

「二人とも……ルビィを…………お願いします…」

 

「それは……ダイヤの…役目でしょ…‼」

 

「そう…ズラ…‼」

 

「それでも……です…」

 

ダイヤは二人にそう頼むと、再びルビィへと顔を向ける。

 

「ルビィ…………笑顔を………(パシュ)…忘れないで…」

 

その言葉の途中で、ダイヤの体に何かの光が当たった。

 

「ん~?何をしたのかな、タドルファンタジー?」

 

クロノスがその光の発射方向を見ると、先程クロノスが投げ捨てたルビィのバグヴァイザーⅡを持ったヴァーリがいた。

 

「決まっているだろォ‼明日を繋げる一手だァッ‼」

 

そう叫んだら彼は再び気絶した。どうやら渾身の力で動いていた様だ。

 

「全く……無意味だというのに…」

 

クロノスは視線をルビィ達に移すと、ダイヤの体はもうほとんど消えかけていた。

 

(ああ……これで終わりなんですのね…)

 

そんな中ダイヤの頭に様々な思い出が駆け巡った。所謂走馬灯だが、その中にルビィが出ない事は無かった。

 

(なんだ……姉妹離れが出来てなかったのは…………私もだったのね…)

 

そう思えたらダイヤは自然と笑みが零れた。自分から自立しろと言っておきながら、自分自身が出来てなかったのだから可笑しくない訳がない。

 

そして最近の思い出になってくると、ルビィの隣に一誠の姿がいるのが増えてくる。

 

(あの方なら……ルビィを任せられますわ…)

 

そう思うと少し寂しい気持ちが出てくる。それともう1つ別の思いが浮かんでくる。

 

(もし……また人として生まれる事が出来たなら…私も素敵な方と恋をしてみたいですわ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『GAME OVER』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで、私の意識は消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ…ああ……‼お姉ちゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああんッ‼‼‼‼」

 

粒子となって消えたダイヤにルビィの悲鳴が校庭にこだました。そんな中、一人笑い声を上げる者がいる。それはこの状況を引き起こした張本人…クロノスだ。

 

「ハッハッハッハッハッハッ‼‼これできらめきアイドルの姉は完全に消滅した‼そしてそれを心の弱いきらめきアイドルが耐えられる訳がない…‼もう歌う事も不可能だろう…‼つまり…………事実上の絶版だァ…‼」




いかがでしたか?

ダイヤさんファンの皆さん、スミマセンでしたああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼‼‼

でも、シナリオ上仕方なかったんです‼‼あ、やめて‼衝撃集中爆弾を投げないでください‼

では次回でお会いしましょう。

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