ゲームの力でこの世界を生きていく   作:疾風の警備員

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どうも、疾風の警備員です。

今回は出そうか迷ったあのキャラが少しだけ出てきます。

では、どうぞ。


プロローグⅢ

ヴァーリside

 

「これでアイツのデータ入力も終了した。後はあのデータだけか…」

 

データを保存してパソコンから視線を外し、少し目を休ませる。

 

「お疲れ様、完成まで後一歩だね。」

 

「ああ、だが片割れが何処にいるのやら…」

 

なるべくなら2体同時に確保したいが、そう都合よくいく訳無いからな……

 

梨子が淹れてくれた紅茶を飲みながら思案していたら、パソコンの画面が急に消えた。

 

「ん?」

 

「これって…」

 

その現象に覚えがある俺達が画面を見ていたら、再び画面が点いたがさっきまでプログラミングしていた画面ではなく、白い壁に赤いラインが所々走りドット柄のアイテムが周囲に散らばっている空間が映った。

 

『おーい、誰かいる~?』

 

そして新たに画面に映ったのは白とレモン色に黄緑の縁取りがされたドレスを身に纏い、同じ色合いのミニハットにピンクのショートヘアーの女性だった。

 

「ポッピーか。」

 

「お久し振りです、ポッピーさん。」

 

『うん、二人ともひっさしぶり~‼』

 

コイツは【ポッピーピポパポ】。俺が原作初期の10個のガシャットを何とか作ろうとして失敗しまくった内の1つから出てきた存在【バグスター】の一体だ。今はじいさん……リゼヴィムの仕事の補佐と護衛を他2体のバグスターと一緒に行っている。

 

「どうしたんだ?」

 

『リゼヴィムから言伝てを預かったの。え~とね…』

 

スカートのポケットから1枚の紙を取り出すと、それを俺達に見せた。

 

『じゃ~ん‼なんと…もう一人が見つかったのだ~‼』

 

「ホントかッ!?」

 

その情報に俺は思わず椅子から立ち上がった。

 

『うんうん‼しかも、既にそっちにいるんだって‼よっしゃ、ラッキーだ~♪』

 

確かにこれはまたとないラッキーだ。これでやっと完成できる‼

 

『しかもしかも~、どっちも今日の夜に町外れの工場にいるはぐれを退治に行くって情報も掴んだから、ここでまとめてデータをGETだぜ~‼』

 

「サンキューな、ポッピー。」

 

「ありがとう、ポッピーさん。」

 

『いやいや~♪それじゃ、私は戻るね~♪ペポパピプチッとな。』

 

最後にそんな言葉で通信?は切れて何時もの画面に戻った。

 

「梨子、3人に連絡を入れろ。あれとは必ず戦いになるからな。」

 

「うん‼」

 

梨子がメールを送る傍らで俺は機械に差してある深緑色のガシャットギアデュアルΣを抜き取る。

 

「そろそろ原作が始まる……アイツには生き残ってほしい。このくだらない戦い(ゲーム)から…」

 

そう呟き、それを鞄に入れた。

 

 

 

 

 

一誠side

 

「あ~…体が鈍る…」

 

通学途中に絡んできた他校の奴等相手に一運動(ケンカ)を終えた俺は、やる気無く歩いていた。

 

「もっと俺をワクワクさせてくれる奴はいないもんか…」

 

あのルシファー達の戦いを見てしまった後、俺はどんな喧嘩をしてもそれほどワクワクを感じなくなっていた。

 

「あんな人の枠を越えた勝負が出来たら……このワクワクが満たされるのかね?」

 

「何をブツブツ言ってるの?」

 

「ん……?なんだ、曜か。」

 

少しボーっとしながら歩いていたら、いつの間にか曜が隣にいた。

 

「また朝からケンカ?いい加減にしなよ、果南ちゃんも心配してるんだから。」

 

「悪いがそれは却下だ。」

 

喧嘩は既に俺の生き甲斐みたいなもんになってる。それを辞めるなんてもう出来ねぇ。

 

「もう…」

 

呆れる様に肩を竦める曜と一緒に学園まで歩く。

 

「カナ姉は?」

 

「今日は日直なんだって。」

 

「ふぅん…」

 

そんな感じに世間話的なのをやっていたら、校門の前に人だかりが出来ていた。

 

「なんだ?邪魔くせぇなぁ…」

 

「ああ~、丁度あの人達が来る時間だったんだ。」

 

「あの人達?」

 

何の事か分からなかったが、目を凝らすと赤い髪をした少女とそれに付き従う様に3人の男女がいた。

 

「誰だ、ありゃ?」

 

「えッ!?グレモリー先輩達の事、知らないの!?有名だよ、美男美女のグループって。」

 

「へぇ~…」

 

「イッセー君の好みの子もいるんじゃない?」

 

曜がそう言ってくるから一応見てみたが……

 

「ないな。アイツらはねぇわ。」

 

一目見てすぐにそう言った。

 

「ありゃ、そうなの?」

 

「あんな腹に一物抱えてそうな奴等とか、マジで無理だよ。」

 

喧嘩屋の勘みたいなものだが、アイツらは何かとんでもない事を隠してる。そんな奴等と恋仲とか想像しただけでも殴り飛ばしたくなる。

 

「なら、どんな子がイッセー君の好みなのかな?」

 

「そうだな…………言う訳ねぇだろ。」

 

「う~ん、残念。」

 

「ほら、遅刻すっぞ?」

 

「って待ってよ~‼」

 

曜の言葉を流しながら俺は校門の端の隙間から校内に入り、曜もそこから入ってくる。

 

「そんじゃ、つまんねぇ授業でも聞きながら、寝るか。」

 

「いや、真面目に受けようよ?」

 

 

 

ー《睡眠学習中》ー

 

 

 

1時間目から寝ていたら、いつの間にか昼休みになっていた。

 

「さて、購買にでも行くか。」

 

スタートダッシュを逃している以上、ろくな物は残って無いだろうが食堂で食うと周りの視線が鬱陶しいから俺は使わない事にしているので、食糧調達の場所はそこしかない。

 

そして購買に着けば残っていたのは案の定、あんパンと牛乳という残り物の定番中の定番だったのでそれを買って屋上へと向かう。彼処は人が滅多に来ないから俺が唯一安らげる場所になっている。

 

因みに本当は立ち入り禁止だけど、扉の鍵が壊れている為一日中使用可能だ。

 

さっさと食ってもう一度寝ようかと考えていたら……

 

「あ、番長先輩ズラ。」

 

「え?」

 

「ん?……国木田に黒澤妹か。」

 

その場所に、黒澤妹達がいた。

 

「ここは立ち入り禁止だぞ?」

 

「先輩も入ってきてるじゃないですか。」

 

「俺は不良だからいいんだ。」

 

俺は二人から少し離れた位置に座り、柵に背を預けながら買ったあんパンを頬張る。ああ……甘え。

 

「あ……あの…………それだけで…足りるんですか……?」

 

「まさか……後は放課後まで寝て過ごすから問題ないだけだ。」

 

「それ、問題しかないズラ。」

 

あんパンを食い終わり牛乳を胃に流し込むが、やはり空腹を満たすには程遠い。

 

「ち……金はあんまねぇし、水でも飲む「あ、あの…‼」なんだ?」

 

水道に行く為、腰を上げたところで黒澤妹が俺を呼び止め、顔を赤くしながら持っていた箱を勢いよく見せてきた。

 

「よ、よよよよかったら…‼ひ…1つ、どうですか……‼」

 

それはコイツの弁当箱らしく、中には色々な具のサンドイッチが入っていた。

 

「そ…その……私が…………作った…から……美味しくない…かも…ですけど…」

 

が、その勢いはすぐに萎み顔を俯ける。

 

コイツを見てると、ガキの頃を思い出すな…あのクソ兄貴と比べられて自信を無くされていく日々を…

 

……しゃーねぇな。

 

俺は手を伸ばして、弁当箱からハムとレタスのサンドイッチを取り一口で頬張った。

 

「あ…」

 

「うん、結構イケんじゃねぇか。これならもっと自信持っても良いと思うぜ?んじゃ、ごっそさん。」

 

そう言って彼女の頭を一撫でしたら、俺は屋上から出た。

 

コイツに俺みたく腐って欲しくないからそう言ったが、実際食ってみたらかなり旨かった。カナ姉や曜ともタメを張れると思う。やべ……味を思い出したらまた腹減ってきた。水でも飲んでこよ。

 

その後、風の噂で聞いたが一人の女の子が保健室に運ばれたそうだ。なんでも緊張のし過ぎで倒れたんだと……何かの発表会でもあったのかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

授業が終わった俺達はポッピーピポパポから聞いた、ボロボロの廃工場に来ていた。

 

「うわ~…何かいそう…」

 

「千歌ちゃん、いそうじゃなくているんだよ。はぐれ悪魔だけど。」

 

「話は後にしてまずは中にいるはぐれを倒すぞ。作戦中に邪魔をされるのは勘弁してほしいからな。」

 

「「「「了解。」」」」

 

そして全員で中に入ると、上から何かが落ちてきた。

 

「クククク……バカな獲物が5個も来やがったぜ。」

 

それは人型で大きさも俺達と同じだが、全身から黒いオーラを放ち、一本の剣を右手に持っていた。

 

「アイツが標的か。」

 

「お前らさぁ~?ちょっと僕の剣の練習に付き合ってよ。もちろん…………サンドバッグとしてさぁッ‼‼」

 

そう言って剣を突きの構えにして突っ込んでくるので、散開するようにして回避する。

 

「イイねぇイイねぇ~…‼‼そのまま逃げ回れよ‼」

 

「梨子と善子は結界‼鞠莉はその護衛‼千歌、出番だッ‼【昇格(プロモーション)】を許可する‼」

 

「うんッ‼昇格・女王‼」

 

結界が張られ千歌は女王に昇格すると腰にゲーマドライバーを装着し、右手にオレンジとエメラルドの2色に縦半分に分けて塗られてダイヤルが無く、まるで銃のグリップみたいなガシャットを取り出して、起動ボタンを押す。

 

あれは本来作る予定に無かったが、初期ガシャットがどうしても出来なかった時の息抜きに作ってみたら何故か出来てしまったのだ。恐らく、原作ではあれが能力の元になったからだろうと俺は予想している。

 

「いっくよ~‼」

 

『マイティブラザーズ・ダブルエーックス‼』

 

千歌の背後に表示されたスタート画面と、そこを中心にオレンジとエメラルドの光が広がりながらゲームエリアを構築、更に周囲に強化アイテムである【エナジーアイテム】が散らばっていく。

 

そして右手を左前に突きだし、そこから大きく腕を回しながらガシャットを顔の右側に持ってきて……

 

「変身ッ‼」

 

そう叫んでガシャットを反転させながら左手に持ち変えると、上に高く掲げ一気に振り下ろしながらドライバーに差し込み、レバーを思いっきり開いた。

 

『ダブル・ガシャット‼ガッチャーン‼』

 

すると彼女の周りに様々な姿のキャラが描かれたアイコンが回りながら出現し、開いた時に伸ばしたままの右手が右がオレンジ、左がエメラルド色になっているキャラのアイコンに触れ、SELECTと表示されると彼女に重なっていく。

 

『レベルアーップ‼マイティ・ブラザーズ‼二人で一人‼マイティ・ブラザーズ‼二人でビクトリー‼エーックス‼』

 

そして完全に重なると千歌の姿が完全にアイコンのキャラになるが、俺と梨子が変身した時と違い短い手足にずんぐりとした胴体、大きな頭という4頭身の姿になっていた。

 

「よ~し、ノーコンティニューで……‼」

 

『クリアしてあげるわ。』

 

そこから決め台詞を言うが、前半と後半で声音がかなり変わっていた。

 

「おいおい……そんなヘンテコな姿で勝てると思ってるのかい?」

 

変身した千歌を見たはぐれが彼女へと向かって剣を振るうが、それを見た目とは裏腹な見事なスウェーで回避する。

 

「おりゃッ‼」

 

「うぐッ!?」

 

そのまま起き上がるのと同時に両手を突きだしてはぐれを吹き飛ばす。

 

「へぇ~…意外とや「う~りゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃッ‼‼」ごッ!?ぶッ!?べッ!?」

 

はぐれが体勢を直す前に飛び上がった千歌は、華麗な空中連続蹴りを放ちはぐれにダメージを与えていく。

 

「この…‼大人しくしろ『遅いわ。』なッ!?僕の剣が…‼」

 

それに怒ったはぐれが剣を右手に振るうが、千歌はそれを掴むと両手で思いっきり曲げて、使い物にならなくした。

 

「これで…ッ‼」

 

『終わりね。』

 

「うごばぁッ‼‼」

 

それで放心状態になっているはぐれに両足蹴りを叩き込み、それを喰らったはぐれは吹き飛び、壁に激突すると動かなくなった。

 

「イェイッ‼ビクトリィー‼」

 

『楽勝よ。』

 

勝利の決めポーズを決める千歌に結界を解除してから近づいていく。

 

「よくやった。後はこっちに任せろ。」

 

「うん、善子ちゃんの護衛は任せて‼」

 

遠くから「ヨハネよッ‼」なんて聞こえてくるが、聞かなかった事にして俺は梨子と一緒に工場の中心に立つ。

 

「準備は良いか?」

 

「うん。」

 

俺達は腰にゲーマドライバーを装着し、βの仮想ガシャットを梨子に渡すと屋根から光翼を生やした黒髪の優男が、壁からは赤い籠手を左手に付けた一誠似の男【兵藤 錬二】が入ってきた。

 

「へぇ……はぐれってあの美人の子だったんだ?」

 

「お、美人な女の子発見‼俺の物にしてやるか‼」

 

「『『『うわぁ…』』』」

 

向こうの俺を見ずに梨子だけを物のように見ている言葉に女子メンバーがドン引きする。

 

どっちの性格も踏み台みたいな女好きのようだな。これなら情け容赦無くやれる…‼

 

「ねぇ君、そんな男じゃなくて僕のところに来ないか?僕ならはぐれ申請だって取り下げてあげられるよ?」

 

「おいテメェ‼人の物に何手を出してやがんだ‼あの子は俺の物だぞ‼」

 

「……私はヴァーリ君のものなんだけどな(ボソッ)。」

 

「ん、何か言ったか?」

 

「え?う、ううん‼何でもないよッ!?」

 

「オイ‼テメェも人の物に手ぇ出してんじゃねぇぞ‼」

 

「脱け殻の分際でまだ生きてたんだ?なら、ここで殺してあげるよ。」

 

「ハァ……善子、結界をもう一度張れ。さっさと終わらせて帰るぞ。」

 

『いい加減ヨハネって呼びなさいよ‼ちょっと待ちなさい……【この場に漂いし数多の精霊達よ……我が命に従い、この地を全ての穢れより隔絶せよ。】』

 

善子に連絡を入れると呪文と共に空間がさっきのよりも強力な結界で覆われた。

 

「く…‼罠か‼」

 

「テメェら…‼はぐれじゃねぇな‼」

 

「ようやく気づいたか…」

 

『TADDLE FANTASY !!』

 

『BANG BANG SIMULATIONS !!』

 

ガシャットギアデュアルβのダイヤルを回して起動させると、それをゲーマドライバーに差し込んでレバーを開いた。

 

「術式レベル50。」

 

「第伍拾戦術。」

 

「「変身。」」

 

『『デュアル・ガシャット‼ガッチャーン‼デュアルアップ‼』』

 

『タドルメグル‼RPG‼タドルファンタジー‼』

 

『スクランブルだ‼出撃発進‼バンバンシミュレーションズ‼発進‼』

 

ブレイブとスナイプに変身完了すると、梨子が全身の砲を撃ち、アイツらの距離を離してくれたのでその隙に俺は赤い籠手を付けた奴へと向かう。

 

「この…‼お前らも転生者か‼」

 

「正確には、俺だけだ。」

 

『ガシャコンソード‼』

 

剣を右手に持ち、男が撃ち出してくる魔力弾を左手からの波動で掻き消す。

 

「そんなものか、【赤き龍の帝王】の力は?まるで使いこなせてないな。」

 

「うるせぇんだよッ‼」

 

『Boost!!』

 

そこに神器から音声が聞こえ、奴の力が強くなる。

 

「オラオラッ‼時間が立てば簡単にお前を捻ってやるぜ‼」

 

「残念だが…」

 

俺は手から攻撃とは別の波動を放ち、奴に当たると……

 

『Burst』

 

「なッ!?」

 

奴の倍加した力が失われた。

 

「俺に神器の力は通じない……ハアッ‼」

 

「ぐわッ!?」

 

それに動揺している間に左腕を剣で弾き、空いた胴に左手を当ててゼロ距離波動を叩き込んだ。

 

「悪いが、しばらくじっとしていてもらおうか。」

 

『コ・チーン‼』

 

ソードの刀身を氷剣に変え、Bボタンを5連打して地面に突き刺す。すると刀身の冷気が地面を凍らせながら進んでいき、男に当たると左手以外を瞬時に凍らせた。

 

「術式終了、まずは1つ確保だな。」

 

こっちが終わり視線を梨子の方に向けると……

 

「この…‼こっちは武器なんて無いんだぞ‼そっちも接近戦でやるべきじゃないのかい‼」

 

「わざわざ貴方の間合いに入る必要はないわ。」

 

全身の砲を撃って、空にいる男に攻撃していた。しかも、その射撃は相手の動きをうまく封じるものだ。

 

「く……攻めに転じられない‼」

 

「これくらい、ヴァーリ君なら簡単に抜けられるわ。なら貴方はヴァーリ君以下ね。」

 

「僕が脱け殻以下だって…‼もう許さない‼君を倒して強引にでも僕のものにしてやるよ‼」

 

「はい、終わり。」『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

梨子の言葉にキレたのか、事もあろうに真っ直ぐに突っ込んでくる相手に梨子は、レバーを閉じて必殺技の準備に入り、ある程度近づかれた所でレバーを開いた。

 

『ガッチャーン‼BANG BANG CRITICAL FIRE !!』

 

「ハッ‼」

 

そして両手に持つ船の船首部分の銃を合わせて、そこから強力なエネルギー弾を発射して、相手は回避や悲鳴をあげる事すら出来ずに落ちた。

 

『MISSION COMPLETE !!』

 

「ミッションクリア。」

 

そして変身を解除すると、攻撃で黒焦げになった男の前に行き……

 

「今度ヴァーリ君の事をバカにしたら……私達、ルシファー眷属は貴方を絶対に許しはしない。」

 

そう告げて、俺の所に戻ってきた。

 

「終わったよ。」

 

「ありがとな。お前のお陰で少しスッキリしたよ。」

 

「気にしないで、私もヴァーリ君をあんな風に言われて頭にキテたから。」

 

「そうよねぇ~?梨子ちゃんの愛しのヴァーリをあ~んな風に言われたら、我慢なんて出来ないわよね~?」

 

「ふえッ!?」

 

そこに騎士の力でやって来た鞠莉が梨子の後ろに現れ、耳元で何か囁いた。

 

「ち、ちょっと鞠莉さんッ‼その事は…‼」

 

「大丈夫よ、私もそこまで不粋な真似はしないから♪」

 

「うう~…‼」

 

梨子は顔を赤くしながら鞠莉を睨んでいたら、千歌が俺の元に来た。

 

「ねぇねぇ~、私も頑張ったんだから褒めてよ~。」

 

「ああ、千歌もよくやったな。」

 

「ゴロニャー♪……って猫とちがーうッ‼」

 

顎下を撫でてやると気持ち良さそうに目を細めたが、すぐに怒り出した。

 

「すまんすまん、お前は猫よりハムスターだもんな?」

 

「なんでッ!?」

 

「確かに。何か……千歌ちゃんって口一杯にみかんを頬張ってそうだから。」

 

「「ああ~。」」

 

「皆酷いッ‼」

 

善子も合流して女子メンバーで話し始めている間に俺は倒した二人に近づき、ガシャットギアデュアルΣを取り出す。

 

「さて、お前達の神器のデータ……いただくぞ?」

 

そして起動ボタンを押すと、二人の神器【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】と【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】からデータがガシャットに流れていき、それが終わるとダイヤルの右と右側面に4体の龍が争っている絵、左側には龍を模した鎧を纏った人間が巨大な魔王とおぼしき存在に立ち向かっている絵が浮き上がった。

 

「ふう、やっと完成したぞ…」

 

「それが彼の荒々しき乱神が纏いし災禍の鎧か?」

 

「よく分からんがそうだ、これが一誠のガシャットだ。」

 

これでやっとアイツの安全を確保できる……まあ、逆に自ら危険に突っ込んで行く気もするが……

 

「そういえば、一誠君のゲーマドライバーって作ってあったっけ?」

 

「……………………………………………………………………あ。」

 

完成の喜びに浸っていたら、梨子の言葉に俺は重要な事を思い出した。

 

「しまったあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?!?ガシャットに夢中になりすぎて肝心のゲーマドライバーを作るの忘れてたぁッ‼」

 

「何やってるのよ、もう…」

 

「でも、そんなヴァーリも愛しく感じる梨子ちゃんだった♪」

 

「鞠莉さんッ‼‼」

 

「こうしちゃいられん‼急いで戻って作成するぞ‼なーに既に作った事があるんだ‼三日で仕上げてやらぁッ‼」

 

「わぁ……ヴァーリ君が壊れたぁ…」

 

「そう?ガシャットを作り初める時はいつもこうでしょ?」

 

「お前らッ‼早く戻るぞ‼」

 

「「「「り、了解!?」」」」

 

俺は魔法陣を展開して、すぐに家へと転移する。

 

原作はもういつ始まってもおかしくないって時に……本気で急がないと…‼

 

自室に戻るとガシャットを端末に差し込み、バグがないか念のための点検をしつつ俺はすぐさまゲーマドライバーの製作に着手した。

 

だが俺は気づいていなかった。転生者によってストーリーが変わっていた事に……それによって次の日から無情にも始まった原作最初の戦いに一誠が巻き込まれる事に…




いかがでしたか?

今回、ガシャットが完成しましたが、ゲーマドライバーがまだないので一誠の変身はもう少し後になります。

そして次回、一誠(生身)VS人外が勃発‼勝つのはどっちだ!?

では、次回でお会いしましょう。

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