ゲームの力でこの世界を生きていく   作:疾風の警備員

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どうも、疾風の警備員です。

最近職場を異動したので、今後は投稿が遅れます。

それでも、なるべく投稿を早められる様に頑張りますので今後も応援の方、よろしくお願いします。

では、本編をどうぞ。


クロノスのPURPOSE

前回から時間を少し巻き戻り……

 

 

リアスside

 

「ハァ……ハァ……‼」

 

「どうやら、ガス欠の様ね?」

 

旧校舎の中でのギャスパーをめぐる戦いは、彼をおさえている魔導師以外はリアスによって倒されたが、その一人を倒す前に彼女の魔力が底をついてしまった。

 

彼女が会得した不可視の滅びの盾はいまだ未完成で、魔力の消費が激しいのだ。しかし今回は多対一という状況の為にやむ無く使用した。

 

そして援護しようと拘束からもがく小猫も、左腕以外を力ずくで壊してそこを外そうとしていた。

 

「結局貴女は眷属一人守れない無能なのよ。」

 

「それでも…………ギャスパーに…手出しは……させないわ…‼」

 

「部長…‼」

 

涙目で自分を見るギャスパーにリアスは微笑む。まだ、諦めるなという思いを込めて。

 

「もういいわ……死になさい。」

 

それをつまらなそうに見ていた魔導師は右手に魔力弾を作り、リアスへと飛ばした。

 

既に体力と魔力が切れている彼女にそれをかわす術はない。

 

(まだよ…まだ終わってたまるものですか…‼)

 

直撃を覚悟したリアスは魔力弾を睨み付ける…

 

「やあああああァァァァァァァァッ‼‼‼‼」

 

ボゴォッ‼

 

そこに小猫の声と何かが壊れる音が聞こえ、リアスの前に躍り出た彼女がそれを防いだ……左腕に付けたままの十字架で。

 

「小猫ッ!?」

 

そのあまりに荒唐無稽な行動にリアスは驚く。

 

「部長は……やらせませんッ‼‼」

 

「チッ‼なんて馬鹿力…‼」

 

「それが私の役割ですから…」

 

そしてそのまま魔導師へと殴り掛かるが……

 

「だったら、こうするだけよ。」

 

手元に魔法陣を浮かべ、そこから伸ばした鎖で彼女をがんじがらめに縛り上げた。

 

「う……ぐ…‼」

 

「ウフフ……このまま絞め殺してあげる…‼」

 

「小猫ッ‼‼」

 

すぐに助けたいと思うも、今の彼女に魔力は残されていない。それでも黙って見ている訳にもいかないと起き上がろうとしたその時、彼女の耳に歌が届いた。

 

「これは……歌?どうして…………ッ!?」

 

その歌に耳を傾けていた彼女は、自身に起きている事に気づいた。

 

(魔力が……回復しているッ!?)

 

先程まで空っぽだった魔力が回復…………いや、今まで以上に満ちてくる感覚を覚えた。その歌はまるで自分に戦う力をくれる応援歌(エール)の様に…

 

「えい…」(バキィンッ‼)

 

それは小猫も同様だったのか、身動き1つ出来なかった彼女も自らの力で魔力の鎖を引きちぎった。

 

「なッ!?……一体どうしてッ!?」

 

「吹っ飛べ…‼」

 

そして魔導師の前に移動した小猫は左腕を思いきり振るい、魔導師を殴った…………拳ではなく十字架で。

 

「ブッゴバァッ!?」

 

元々の十字架の強度にルークの力で振られた勢いの威力は凄まじいのか、魔導師は壁を突き破って廊下に出てもう1つ壁を突き抜け隣の部屋で倒れた。それでも持ち前のしぶとさなのか、まだ意識はあった。

 

「ふざけないでよ…‼‼この私が負けるなん「それが遺言でいいかしら?」ひッ!?」

 

起き上がり小猫を睨もうとした魔導師の眼前には、魔力を掌に集め何時でも放てる様にしたリアスが立っていた。その表情は美しさを保ちながらも憤怒のごとき怒りを見せている。

 

「ま、待ってッ!?もうしないッ‼彼も貴女達に返すからッ‼‼お願いッ‼‼‼命だ(バシュン‼)」

 

それに自分の状況を理解した魔導師は何とか生き残ろうと必死に命乞いをしたが、それはリアスが放った滅びの魔力で永遠に中断された。

 

「遺言なら聞いた。それ以上は聞く耳持たないわ…」

 

「ぶちょ~ッ‼‼」

 

「あら…ほらギャスパー、もう泣かないの。」

 

「だって~ッ‼‼」

 

解放されたお陰で緊張が解けたギャスパーは泣きながらリアスに抱きつき、リアスはギャスパーの頭を優しく撫でた。

 

「もう大丈夫…………貴方には私達が付いてるから。」

 

「はいいぃぃぃ~ッ‼‼」

 

「部長……早く外に出ましょう。皆さんの援護をしないと…」

 

「そうね、行くわよギャスパー、小猫‼」

 

「「はいッ‼‼」」

 

 

 

 

 

 

アザゼルside

 

「さて…お前さん相手なら試運転には丁度いいかな?」

 

カテレアと対峙していたアザゼルは懐に手を入れると、そこから柄に紫の宝玉が付いた、金色の短剣を取り出した。

 

「それは…?」

 

「こいつは堕天龍の閃光槍(ダウンフォール・ドラゴン・スピア)……俺が作り上げた【人工神器】さ。」

 

「まさか…‼」

 

「因みにこんなことも出来るぜ…?」

 

そう言って頭上に掲げた人工神器を手放し小さく呟く。己が身を強くする最強の言葉を……

 

「バランス…ブレイク…‼」

 

その瞬間神器は強い光を発しアザゼルの体を包むと、その姿を一変させる。光が収まるとそこには紫の宝玉が付いた黄金の鎧を纏い、堕天使の翼を生やしたアザゼルがいた。

 

「禁手ですって…‼」

 

「ああ……【堕天龍の鎧(ダウンフォールドラゴン・アナザーアーマー)】、これがこいつの名前だ。」

 

そして右手に三又の槍を作り、カテレアへと突きつける。

 

「んじゃ、サクッと倒しますか。」

 

「嘗めるなッ‼‼」

 

カテレアは魔力弾を作り、アザゼルへと飛ばしていくがそこに音楽が聞こえ、アザゼルはそれを聞きつつ魔力弾全てを槍の一振りで打ち払った。

 

「そんなッ!?」

 

「うおッ!?何だこの出力ッ!?俺の設計を遥かに越えてやがるのに、完全に安定してやがるッ!?」

 

その現状にカテレアだけでなくアザゼルまで驚いた。彼の人工神器の禁手は一種の暴走状態で、力が不安定であり時間制限もあるのだが、今はそれ以上の力が完全制御状態になっているのだ。驚かない訳がない。

 

「こりゃ、アイツ等の歌の力か。」

 

「このままでは…………こうなったらッ‼」

 

この状況に危機感を募らせたカテレアは小瓶を取り出し、その中にあるものを飲み干した。すると、彼女のオーラが爆発的に上昇した。

 

「なんだ…?」

 

「これで私の力は全盛期の魔王レベルよッ‼‼これなら(ザシュ‼)へ?」

 

それで勝ち誇っているカテレアの隙をアザゼルが逃す筈がない。一気に近づき槍を一閃、カテレアの右腕を切り落とした。

 

「その程度で勝ち誇ってんじゃねぇよ。」

 

「ガハッ!?」

 

そして槍をカテレアの腹に突き刺す。

 

「これで終わりだ。」

 

「………………まだだッ‼‼‼‼」

 

しかし、まだ生きていたカテレアは左腕をアザゼルへと伸ばした。それに嫌な感じがしたアザゼルは下がるが、一足遅く左腕を掴まれ、そのまま自身へと融合され、更に彼女の体に紋様が浮かぶ。

 

「こうなったら、貴方諸とも自爆してやるわッ‼‼‼」

 

「悪ぃが、そういうデートはお断りだね。」

 

アザゼルはそう言うと槍で自身の左腕を切り落とした。

 

「なッ!?」

 

「これで逝け。」

 

そして投げられた槍がカテレアの頭に突き刺さり、そのまま彼女は消滅した。

 

「言っただろ、力で誰かを支配しようとする奴はそれより強い力で滅びるって………………お前はあの少女達の思いの強さに負けたんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

「ハアッ‼」

 

「ヌンッ‼」

 

ヴァーリのガシャコンソードとセイリュウのグラファイトエッジが一瞬で何度もぶつかり、大量の火花を散らしながらも二人は距離を離す事なく、そのまま攻撃を続けていく。

 

「貴様等の目的は何だッ!?」

 

「貴方ごときに説明したところで、理解など出来ませんよッ‼」

 

「ならばッ‼」

 

ヴァーリの上段からの攻撃をセイリュウは剣をクロスして受け止めた。そこで彼は剣から左手を離し、セイリュウの胸に押し当てると全力の波動を零距離で打ち込んだ。

 

「ヌ…!?」

 

思わぬ一撃だったのか、セイリュウは数歩後ずさった。

 

「貴様の口をこじ開けるだけだ。」

 

「フフフ……貴方に出来ますか?たかがレベル50の貴方が、このレベル99の私から…‼」

 

勝ちを確信しているかの様なセイリュウの言葉に、ヴァーリは仮面の下で不適に微笑む。

 

「レベル差がある相手にどうやって勝つか考えるのも……ゲームの醍醐味だぞ?」

 

「負け惜しみを…‼」

 

速攻でヴァーリを倒すと決めたセイリュウは必殺技を放とうと構えたが、そこに歌が聞こえてきた。

 

「何です…?耳障りな…‼」

 

「これで俺とお前の勝負は決まった。」

 

その歌に顔をしかめるセイリュウだったが、その表情はすぐに変わった。距離があったヴァーリがいつの間にか自身の間合いに飛び込んでいて、その剣の突きで自身が吹き飛ばされているのを理解した時に。

 

「な、何がッ!?貴様、まだ力を隠して…‼」

 

「いや、さっきまでも本気だったさ。だがな……俺達にはまだ勝利を呼び込む秘策が有ったのさッ‼‼」

 

「秘策?………………まさかッ!?」

 

「そう、お前の想像通り、これこそが……この歌こそが仮面ライダーエールの隠された機能……【ユニット】だッ‼‼」

 

剣を1度下ろしたヴァーリはセイリュウ相手に楽しげに説明を始める。

 

「エールには歌で仲間を強化出来るが、そこに他の誰かが加わる事でその力を更に倍増出来るのさッ‼‼それも人が増えればそのまた倍と……際限無くなッ‼‼‼‼」

 

今、エールと一緒に歌っているのは9人……エール自身を含めると10人という大きなユニットとなっていて、それが戦っているメンバー全員の力を限界以上に強化させたのだ。

 

「これこそがユニットの魔法というものさ……お前みたいな屑には、一生縁の無いものだろうがなッ‼‼ヴェアー ハッハッハッハッハッハッハッハッ‼‼‼‼」

 

「フン…‼」

 

「ヴェハッ!?」

 

楽しそうに高笑いするヴァーリ……その姿は隙が丸出しでセイリュウは容易く切り捨てた。

 

「ユニット?私にはそもそも必要の無い物ですね。周りと群れないと何も出来ない弱者の集まりじゃないですか。」

 

「く…‼その俺とお前の違いが、勝敗を分けるのさッ‼‼」

 

『ガッチョーン、キメワザ‼』

 

「良いでしょう……貴方の考えを粉々に砕いてあげましょう…‼」

 

二人は刀身にエネルギーを充填していき、それを同時に解放する。

 

『ガッチャーン‼ TADDLE!! CRITICAL SLASH!!』

 

「ゴゴゴゴゴ蒼刀撃龍刃ッ‼‼」

 

二人は同時に剣から斬撃を放ち中央でぶつかりあう。普通に考えればヴァーリの攻撃が押し負けると思うのだが……

 

「私の攻撃が……押し返されているッ!?」

 

その予想とは逆に、セイリュウの攻撃が押し返されていた。

 

「あり得ない…‼なぜ倍近くあるレベルを覆せるッ!?」

 

「それが……想いの力だッ‼‼」

 

最後は攻撃を掻き消して、セイリュウへと直撃した。

 

「ドハァッ!?」

 

セイリュウは想像以上のダメージに膝を着いた。

 

「なるほど……クロノス様がエールを危険視していたのは…………こういう事か…‼」

 

「音楽のゲームは競いあうだけじゃなく、一緒に楽しむのもありだろ?」

 

「…………ここはクロノス様には申し訳ないが、撤退させてもらおう…‼」

 

そう言ってセイリュウはノイズを残して消えた。

 

「よしッ‼急いで皆の所へ…‼」

 

ヴァーリは歌っている彼女達を守る為にその場から転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間は戻り……

 

 

「不様だな、クロノス?」

 

「……何しに来た…‼」

 

「雇い主を助けに来ただけさ。お前からはまだ、報酬を貰って無いからな。俺も、アイツ等も…」

 

コカビエルは嫌みを言いつつクロノスへと手を差し出し、それを掴んだクロノスを引き起こす。

 

『アハハハハハハッ‼クロノスってば超ダサ~い♪』

 

『…………口を慎め【ゲノムス】』

 

『アンタは良い子ちゃんぶってんじゃないわよ【風魔】…‼』

 

ゲノムスと呼ばれた赤い異形はクロノスを指差しながら笑い、ゲーマドライバーを付けた忍者【仮面ライダー風魔】はその行動を嗜めるが、ゲノムスは逆に怒りを風魔へと向ける。2体とも声にエコーが掛かっていて、性別すら予測できない。

 

「何、あの怪物に忍者達…」

 

「一人は仮面ライダーだし…」

 

「ドライバーのデータまで盗んでたって事!?」

 

「Oh,そうみたいね。」

 

ルシファー眷属はその相手に驚きが隠せない。

 

『貴女達もお久~♪元気してた~?』

 

「「「「え?」」」」

 

突然のゲノムスからの呼び掛けに千歌達は再度驚く。勿論彼女達にあんな怪物との面識はない。だからこそ、その行動が理解できなかった。

 

『あ、そういえばまだ怪人態だったわね。』

 

そこでゲノムスは自分の姿を思い出して姿を変えるが、その姿を見た瞬間全員が目を見開いた。そこにいたのは手足が怪人態のままだが服はなぜかミニのチャイナ服で、茶髪の髪をポニテにした少女がいた。その顔に彼女達も見覚えがあった。何故なら彼女は……

 

「「「「紫藤イリナッ!?」」」」

 

聖剣事件の時に会った紫藤イリナだったからだ。

 

「アンタ…………人間辞めたのね?」

 

「べっつに~、人間でいる事に執着なんてないし~?手足も治ったしね~♪見た目も変えられるし。」

 

美歌の言葉に彼女は手足も人間の物に変えた。その姿に最も衝撃を受けていたのはゼノヴィアだ。

 

「イリナ……お前…‼」

 

「あら、アンタもいたのねゼノヴィア。」

 

「あの後、お前を探したが千切れた手足と血痕以外見つけることが出来なかったのは……そういう理由だったんだな?」

 

「そっ♪達磨になって転がってたんだけど、クロノスが助けてくれてね?手足を治すオマケに体まで強くして貰っちゃった♪」

 

「お前は…………ッ‼‼」

 

それに怒りを覚えたゼノヴィアは結界から飛び出し、デュランダルをその手に掴む。

 

「いけませんッ‼ゼノヴィアさんッ‼‼」

 

アーシアが制止の声を出すが彼女は剣をイリナへと振るう……

 

「ウオオオオオオオオオォォォォォォォォッ‼‼‼‼」

 

「ハァ……マジウッザ…」

 

それにイリナはため息を吐き、右手の人差し指と中指で挟む様にして受け止めた。

 

「なッ!?」

 

「キャハッ‼‼」

 

「ごぶゥッ!?」

 

それに動きを止めたゼノヴィアにイリナは腹へと蹴りを喰らわせ、彼女は踞る。

 

「何勝手にキレてんのよ、アンタ馬鹿ぁ?」

 

「ぐ…‼」

 

「ウフフ…ついでにコレ、貰ってくから。」

 

そして彼女の手からデュランダルを奪った。

 

「返せ…‼それは私の…」

 

「イ・ヤ・よ♪」

 

楽しそうに言うイリナがデュランダルを振るう。それで放たれた斬撃は魔王達が共同で張っている結界をアッサリと砕いた。

 

「「なッ!?」」

 

その事実にサーゼクスとセラフォルー、ミカエルは驚きを禁じ得ない。自分達の結界を粗雑な一振りの斬撃で砕かれたのだ。それはつまり、今の一撃は自身を簡単に消滅できるだけの力があったことになる。

 

「ッ‼曜ッ‼」

 

『…………行かせはしない。』

 

それを見た一誠は曜達の下へ行こうとしたが、風魔が行く手を阻んだ。

 

「退きやがれッ‼‼」

 

『……………』

 

『ガシューン。』

 

風魔は一誠の怒りに何も反応せずに、ガシャットをベルトから抜き、キメワザスロットホルダーに装填してボタンを2連打する。

 

『ガシャット‼キメワザ‼ HURRICANE!! CRITICAL STRIKE!!』

 

「テメ…‼」

 

必殺技を放とうとする風魔に一誠は突撃しようと思ったが、その必殺技が先に放たれて命中し押し返される。

 

「うおッ!?」

 

「イッセーッ!?」

 

パラドは一誠を助ける為に背後に回って受け止めた。

 

「お前……何の真似だ…?」

 

『……単なる嫌がらせ。』

 

「おい、俺の心を滾らせるなよ…‼」

 

風魔の態度に苛立ちを露にするパラド。だが彼も奴の後ろに曜達がいるため、迂闊に動けなかった。

 

「お前達、そろそろ帰るぞ。」

 

「ええ~ッ!?もう、しょうがないなぁ…」

 

『…………………………了解。』

 

しかしコカビエルの言葉で二人は構えを解き、再びクロノスの下に集まった。

 

「では、今回はこれで失礼しよう。」

 

魔法陣を展開し転移しようとするクロノス達を誰も追おうとしない。全員疲労が目立ち、これ以上の戦闘が困難だからだ。

 

「待てコカビエル、1つ聞かせてくれ……お前達は禍の団に入っているのか?」

 

「…………………………今の所は、と言っておこう。」

 

咄嗟のアザゼルの問いにコカビエルは答え、光とともに消えた。それと同時に校庭にいた魔法使い達も姿を消した。戦闘の指揮者が倒された為、不利を悟ったのだろう。

 

「終わった…………みたいだな…」

 

アザゼルの呟きに全員がその場に座り込む。度重なる戦闘により緊張していた体の力が一気に緩んだ。

 

「も~無理、これ以上は戦えないわ…」

 

「私も~…」

 

千歌と美歌は互いに背中を預けてぐったりとし、善子は鞠莉の膝の上に倒れて膝枕してもらい鞠莉はその頭を優しく撫でる。

 

「お疲れ様、ヴァーリ君。」

 

「いや、それほどでも無いさ…梨子もお疲れ。」

 

ヴァーリと梨子は互いの苦労を労い合う。

 

「イッセー君ッ‼」

 

「うおッ!?曜、いきなり抱きつくなッ‼」

 

「イッセー、顔が真っ赤だぞ?」

 

「黙れ、パラドッ‼‼」

 

「あ~あ、曜ちゃんに先越されちゃったか…」

 

「………………残念ズラ…」

 

一誠の方も曜達に囲まれて騒いでいる。そんな中で……

 

「お姉ちゃぁぁぁぁぁぁんッ‼‼‼」

 

「ああもう、いい加減泣き止みなさいルビィ…‼」

 

ダイヤとルビィの黒澤姉妹はお互いに涙を流しながら抱き締めあっている。死んだと思ってた姉が生きていて再会できた嬉しさが溢れ出ているかの様に……

 

「あの光景が見れただけでも、俺にとっては充分勝利と言えるな。」

 

「うん…‼」

 

「さて、私達はここの修繕をするから君達はゆっくり休んでくれ。」

 

サーゼクスの言葉に従い、二人も皆がいる場所へと向かう。途中それぞれ何かを踏んだが、二人はそれを気のせいと思うことにした。

 

そしてこの後に改めて調印式が行われ、三勢力が結んだ同盟【駒王協定】は締結した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、某所……

 

とあるビルの一室で一人の男が電気も付けずに、一心不乱にパソコンで作業していた。

 

「何をやっている?」

 

その部屋に新たに男が入ってくる。それは先日、三勢力会談に乱入したコカビエルだ。

 

「………………………………」

 

だが男はコカビエルの問いに答えず、パソコンを操作する。

 

「黙りか…………それは構わないが、貴様の作ったガシャットはまんまと奪われてしまったな。どうするつもりだ?」

 

「…………………………問題ない…」

 

ようやく喋った男はそう言って、コカビエルに何かを投げ渡した。

 

「ん?……なるほど、そういう事か…」

 

それを見たコカビエルはニヤリと笑った後、それを男に返した。

 

「それと戦力の事だが……もっと増やせんのか?殆どのバグスター達をゲームのボスキャラにしてしまったら、作戦に支障が出るぞ?」

 

「…………………………」

 

男はまた何も答えずに、今度はタブレットを投げ渡す。

 

「今度は何だ…………………………おい、こんなのを何処で…!?」

 

「……………………………………………………」

 

「全く、変身時と今ではまるで性格が違うな……だが、お前の企みは理解した。()()()()()調()だし、計画の始まりを楽しみにしているぞ?」

 

タブレットを持ったコカビエルはそのまま部屋を出ていく。男はそれをまったく気にせず作業を続ける。パソコンの画面に少し映った瞳に、黒い輝きを秘めながら……

 

「俺の計画は誰にも邪魔はさせない……ククク…‼さあ……最高のゲームを始めようじゃないか…‼‼‼」




いかがでしたか?

今回で戦闘は終了になります。次は日常編を1話書いて次の章に移ろうと思っています。

次回【全員参加のPool】


では次回で、お会いしましょう。

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