今回から夏休み編になります。
先ずは幻夢コーポレーションの見学です。そこでエグゼイド原作のあの人も登場しますよ。
では、どうぞ。
Companyを見学しよう‼
異世界からやって来た一誠とヴァーリとのバトルから数日後……
「ヴェアーハッハッハッハッハッハッ‼‼‼ハーッハッハッハッハッハッハッ‼‼」
早朝に一人、研究室に籠っていたヴァーリが突然高笑いを始めた。その目には隈が濃く浮かんでいて何日も徹夜していた事が窺える。更に近くにある大皿にはチョコが1個だけ寂しくあった。
「コンティニューチョコ、残り1個……ようやく完成したぞおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ‼‼‼‼」
そう叫ぶヴァーリの机の上には、2つのガシャットギアデュアルと見たこと無い形の金色のガシャットがあった。
「プロトガシャットの研究に77個…そこからのガシャット開発に21個も使ったが、これでクロノスに対抗できる…‼‼‼やはり俺(の特典の才能)は神ダアァァァァァァァァァッ‼‼‼‼」
「「「「「朝からうるさいッ‼‼‼‼」」」」」
歓喜の叫びを上げるヴァーリの研究室に梨子達が怒鳴り込んでくる。因みに現在朝の4時……夏休みなのでまだ寝ていたい眷属達からすれば傍迷惑この上ない……
「それで?一体何が出来たのよ?」
「よくぞ聞いてくれたッ‼‼‼ようやくレベル100のガシャットギアデュアルとクロノス攻略の為のガシャットが完成したのだッ‼‼‼‼」
「Wow‼ どんなやつなのッ!?」
「それはだな…」
目を輝かせて聞いてくる鞠莉にヴァーリは答えようとするが、そこで彼の動きが止まった。もちろんクロノスのPAUSEではない。現に梨子達は動けているのだから。
「あれ?ヴァーリく~ん?」
気になった千歌が近くに寄ってみたら……
「………………………………Zzz…」
寝息が聞こえた。
「寝とるッ!?」
「さすがに限界だったみたいね。」
「私達ももう一度寝ましょう。」
美歌の提案に全員が頷き、部屋に戻って再び夢の世界に旅立った。そして朝8時に再び起床して、朝食を食べて今日の予定を確認していた。
「確か今日よね?ダイヤさん達が幻夢コーポレーションに来るのは。」
「ああ、一応バグスターの体に異常がないか検査はしておきたいからな。それに爺さんにも呼ばれてるし…」
ダイヤは初めて人間からバグスターになった存在で、もしかしたら体に不備があるかもしれないので、夏休みに1度、検査する事になっていた。他のメンバーは付き添いだ。
「俺がやるからお前達はルビィ達に社内を案内するといい。最近、新しい施設を作ったとメールがあったしな。」
幻夢コーポレーションはリゼヴィムが社長を務めるゲーム会社だが、建物内に色々な娯楽施設を作って社員の疲れを取ったり、新しい発想を生み出す場にしていた。
「今度はどんな施設だろうね?」
「スポーツジムに図書室、ペット広場に託児所、医療施設にバーとか普通の会社ならあり得ないわよ?」
「だからこそ優秀な社員が多いんだよ。」
尚、幻夢コーポレーションの業績は毎年うなぎ登りなのが、その証明である。
「さて…そろそろ時間だな。準備して行くぞ。」
「「「「「はーい。」」」」」
各々が着替えに部屋に戻る。そこでヴァーリは新しく作ったガシャットを渡し忘れていたのを思いだし、会社で渡すためにそれらを鞄に仕舞った。
「皆さん、幻夢コーポレーションにようこそ‼‼‼」
「「「「「よろしくお願いしまーす‼」」」」」
ヴァーリ達はダイヤ達いつものメンバーと合流し、幻夢コーポレーションの前に来ると恋が出迎えてくれた。
「恋、俺はダイヤ先輩と医療施設に向かうから他のメンバーを案内してやってくれ。」
「畏まりました。」
ヴァーリはダイヤを連れて別れると、医療施設にある部屋に入る。
「私の体は大丈夫なのですか?」
「構造は問題ないですよ、これは念のためです。」
「そうですか…」
そして部屋にあるベッド(CRにあったのと同じ)に彼女を横たわらせた。
「さぁ、じっけ…いえ、検査を初めよう。」
「お待ちなさいッ!?今、実験って言おうとしましたわねッ!?」
その頃、他のメンバーは……
「恋さん、新しく出来た施設って何々ッ!?」
「今回は入浴施設ですよ。ウチの様な会社は泊まり組が多いですからね……取引先等に失礼にならない様にするためです。」
恋に案内された場所には【湯】と書かれた暖簾のある部屋の前に来ていた。因みに男湯の暖簾はパズル柄、女湯の暖簾は炎が描かれている。
「中には大浴場に電気風呂、滝湯にジェットバスにサウナ、炭酸風呂に泡風呂と露天風呂に五右衛門風呂など、種類も豊富ですよ。」
「お~ッ‼お風呂の遊園地ズラッ‼」
「因みに一番の目玉は【暗黒ミルク風呂】です。」
「「「「「「白黒どっちやねん‼」」」」」」
どこかずれたツッコミをしつつ、更に社内を案内していたら…
「あッ‼梨子さん達じゃないですか‼」
一人の男が梨子達に近づいてきた。その手には書類の束が握られていて、一番最初の面には【新作ゲームの概要】と題が書いてあった。
「あ、小星さん‼お久し振りです。」
「今日チーフは?」
「今は別件で…社内にはいますから。」
「そうですか…」
「梨子ちゃん、この人は?」
曜の質問に梨子は皆へと向き直り、全員に紹介を始めた。
「この人は【小星 作】さん、幻夢コーポレーションのゲーム開発部で2番目に偉い人で、会社創立当初からいるベテランよ。」
「そんな、よしてくださいよッ!?私なんてまだまだ…チーフの作るゲームに比べたら…」
「そこは自信持ちなさいよ…」
梨子の紹介に遠慮がちになる小星を見て、善子はため息を吐く。彼が最初に手掛けたゲーム【ジュージューバーガー】は、その年の売り上げでヴァーリが同時期に手掛けた【マイティアクションX】の次に高いのだ。その後も斬新な設定のゲームを多数作り、ファンも多い。彼の現在の地位はその実績に見あったものだとはリゼヴィムの談だ。
「それで今度はどんなゲームを作ったんですか?」
「そうだッ‼良かったら皆さんで試してもらえませんか?私の新作ゲーム‼」
それに楽しそうに目を輝かせるパラド…どうやらゲーマー魂に火が付いたようだ。
「一誠、これで勝負しようぜッ‼」
「いいぜ、やってやろうじゃねぇかッ‼」
「あ、まだ試作品だから対戦プレイは出来ないんだ…完成の暁には実装する予定だけどね。」
「「なんだよ…シラケるなぁ…」」
テンションが下がったパラドと一誠に苦笑いしつつ、全員で小星の製作ルームに移動すると、部屋にはゲーム機と銃型のコントローラー、インカムが置かれていた。
「これが今回のゲーム?」
「はいッ‼その名も……
【ボーズ・オブ・テラー《お経と銃でゾンビをブッ倒せ‼》】ですッ‼」
「「「「「名前長ッ!?」」」」」
その題名を聞いた皆がポカーンとした顔になり、恋は笑いを堪えていた。
「フフフ…‼さすがは小星氏‼面白いネーミングですな?」
「こういうのはインパクトが大事ですから。で、誰がやってくれるのかな?」
「ハイッ‼」
誰がプレイヤーになるのかを聞くと、珍しく花丸が一番に手を上げた。
「お寺の子として、このゲームはクリアしなくてはいけない気がするズラッ‼」
「頑張って、花丸ちゃんッ‼」
ルビィの応援を背にコントローラーを掴む花丸。その瞳には炎が燃えている。やる気は充分の様である。
「なら初めようか。」
そしてゲームをスタートさせると、画面にはシューティングモードの難易度が表示される。
「このゲームはシューティングの難易度を選んで遊べるんだ。今回はイージーを選んで。」
「ハイッ‼」
選択肢を選び、ゲームが始まると画面にはゾンビが出てくる。肉の腐食具合や血の表現など、かなりリアリティーがある。
「ピギィッ!?」
現にルビィはその絵に怯え、一誠の背中に隠れてしまった。
「おい、掴むなッ‼伸びる‼」
「さぁ、先ずはその銃で攻撃してみて。」
小星の言葉に花丸はゾンビへと銃を撃つが、怯むだけで倒れない。それから何発も撃つが全く倒せなかった。
「おい、なんだこのクソゲーは…‼」
「いえいえッ!?このゲームにはもう1つ必要な行程があるんですよッ!?」
攻略不可能な感じのゲームにパラドは怒りを表すが、小星はそう言って宥める。
「行程?」
「君、お経は唱えられる?」
「あ、はい。小さい頃から教えられてますから…」
「なら今度はインカムを付けて、お経を唱えながら撃ってみて。」
「はいズラ‼」
言われた通りインカムを付けてお経を唱えながら撃つと、さっきとは違ってゾンビが倒れた。
「あッ‼倒せた‼」
「このゲームは唱えるお経のリズムをインカムで拾って、それによって弾にゾンビを倒せる力を持たせられるんだ。」
「おお~ッ‼」
それから花丸は銃を撃ちまくる……だが、銃は得意ではないのか命中率が低く、中々先に進まない。
「結構……難しいズラ…‼」
「………………………………貸せ、ズラ丸。」
その時、パラドが花丸からガンコンを奪い取った。
「あッ!?」
「いいからお前はお経を唱えろ。」
「えッ!?は、はい…」
納得いかないという顔をしながらも、花丸はお経を唱え続ける。そしてパラドは……
「今度は俺が相手をしてやる…」
手にしたガンコンで、ゾンビを次々と倒していく。しかも全てがヘッドショットによる一撃必殺だ。
「こういうのは役割分担した方が上手くいくんだ。」
「なるほどッ‼こういう遊び方もあったんだ…‼」
「これで…………ラストッ‼」
最後のゾンビは画面に背を向け、左脇から銃を覗かせて背面撃ちで倒す。
「フフン…♪ざっとこんなもんさ。」
「いやぁ~ッ‼貴重な時間だったよッ‼これは改良の余地がまだあるぞ…‼」
小星はパラドからの意見でゲームの改良をするべく、パソコンに向かい始めた。
「おい、他にもゲームはあるのか?」
「そこの棚にあるやつなら、好きに遊んでいいよ。」
そう言われ、ゲームを選ぼうとしたら恋の携帯がなる。
「失礼……もしもし、どうされたのですか社長?」
電話の相手はリゼヴィムらしく、何度か頷いてから恋は通話を終わらせる。
「皆さん、社長が呼んでいますので私に付いてきてください。」
「……今日はタイミング悪いな…」
全員で社長室に行くとリゼヴィムに秘書のポッピーピポパポ(明日那)、護衛のグラファイトに検査を終えたヴァーリとダイヤがいた。それと部屋の角に何故か真っ白に燃え尽きているモータスも。
「お姉ちゃん、大丈夫だった?」
「ええ、問題ありませんでしたわ。」
「んで?何で俺達を呼んだんだ?」
「それなら爺さんに聞いてくれ…」
どこか疲れた表情をするヴァーリに皆が首を傾げつつ、リゼヴィムへと向き直った。
「いや~、いきなり呼んでメンゴね?実は君達に見せたい物があってね?」
そう言って机の引き出しから出されたのは、水色と緑の2色に塗られたガシャットだった。
「なんだ?このガシャットは?」
「【パラレルトラベラー】というガシャットだよ。この前、ヴァーリ達の前に現れた異世界の子達が帰る時の反応を調べて作り上げた平行世界渡航用のね?」
「えッ!?じゃあ異世界に行けるって事ッ!?」
「イグザクトリー♪」
「マジかよ…」
「でも、それって本当に行けるの?」
果南からの質問は最もだ。行った先が異世界だとは何の証拠も無しに信じるのは難しいのだ。
「ああ、それなら大丈夫♪先にモータスに使わせて実証済みだから♥」
リゼヴィムの言葉にポッピーとグラファイトはモータスから視線を反らし、静かに涙する。どうやら大変な世界に飛ばされた様だ。
「ああ~…だからか…」
「なら、使っても問題なさそうね。」
「そ~そ~、いい経験が出来るかもしれないし、ついでに皆で旅行でもしてきたら?」
「ハァ~…俺の許可なくガシャット何個も作りやがって……」
ため息を吐きながらヴァーリはガシャットを手にする。
「で?コイツはどう使うんだ?」
「変身の時と同じだよん。レバーを開くとゲートが現れるから。」
「なるほど…」『パラレルトラベラー‼』
ヴァーリは躊躇い無く起動ボタンを押し、ガシャットをドライバーに挿してレバーを開いた。
『ガシャット‼ガッチャーン‼』
すると彼の前に虹色に輝くゲートが現れる。
「なるほどな…」
『ガッチョーン、ガシューン』
そしてレバーを閉じてガシャットを抜くと、ゲートは消えた。
「戻るときは向こうの世界で同じようにやれば勝手に繋がるから。」
「分かった……皆はどうする?」
ヴァーリの問いに全員が楽しそうに瞳を輝かせる。どうやら皆行きたいらしい。
「なら明日、準備して朝の9時に幻夢コーポレーションに集合ということで。」
「「「「「「はーいッ‼」」」」」」
全員の返事の後、今日はこれで解散となりそれぞれ必要な物を揃えに帰っていった。
そして次の日、女性陣はスーツケースを男性陣はボストンバッグ(ヴァーリだけは+スーツケース)を持参し幻夢コーポレーション前に集まった。
「なあ曜にカナ姉……そんなに荷物いるか?」
「何いってるの、女の子には色々と必要な物があるんだよ?」
「そうそう。」
「そーすかい…」
彼は昨日の解散後、二人の荷物持ちとしてあちこち連れ回されたので、既に疲れ気味である。
「楽しみだね、お姉ちゃん‼」
「そうですわね。」
「異世界旅行なんて……未来ずら~‼」
「どんな世界だろうね、美歌?」
「さあ…行ってからのお楽しみにしましょう。」
「「さあヴァーリッ‼Hurry!!Hurry!!」」
「鞠莉さんによっちゃん、落ち着いてッ!?」
「良し、なら早速…」『パラレルトラベラー‼』『ガシャット‼ガッチャーン‼』
ヴァーリはガシャットを起動させ、ゲートを作る。
「では、異世界旅行に出発ッ‼」
「「「「「「「オオーッ‼」」」」」」」
そして全員でゲートを潜って異世界へと旅立った。
その頃、社長室……
「あッ‼ヤベェーイッ!?」
「どうしたんですか?」
突然大声を上げたリゼヴィムに明日那が訪ねると、彼は顔を青くして話した。
「あのガシャット……その世界には全員行けるけど、到着点が多少ずれる可能性があるのを教え忘れてたッ‼」
「なにやってんのよ、このボケ社長ッ‼」
「ブラァッ!?」
どうやら彼等の旅行は前途多難の様だ……
いかがでしたか?
次回から異世界旅行第一弾になります。何処なのかは、次回のお楽しみで‼
次回【異世界のTravel】
「何なんですの、あの変態は?」
では、次回でお会いしましょう。