ゲームの力でこの世界を生きていく   作:疾風の警備員

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どうも、疾風の警備員です。

遅くなってスミマセン‼中々展開が決まらなかったので…

今回でサンシャイン編は終わりです。

では、どうぞ。


皆に届くSONG

「ハァッ‼」

 

「オリャッ‼」

 

現在、サドンダス相手に戦闘中のパラドクスとジュエル。この二人の意外と息の合った攻撃にサドンダスは押されていた。上段からのパラブレイガン振り下ろしを喰らい下がるサドンダスだが、勢いそのままにしゃがんだパラドクスを飛び越えたジュエルの蹴りの追撃が襲う。そこからも、防御をさせない速さで蹴りを次々と繰り出し、怯ませる。そして顔に回し蹴りを喰らわせたら、回転しながら右にずれ、そこにパラドクスが飛び込みパラブレイガンで切り裂いた。

 

「グオオオォォォォォォォッ!?」

 

「まだまだ終わらない…ぜッ‼」

 

「ハアアアアアァァァァァァッ‼‼」

 

続けて左手だけで横一閃しつつ回り、右手に手を繋いだジュエルを振り回して遠心力もプラスさせた回し蹴りを喰らわせた。

 

「グオワァァァァァッ!?」

 

「さっきまでの威勢はどうしたッ‼」

 

「パラドさんッ!?あまり挑発はしない方が…‼」

 

パラドの言葉に怒ったのか、サドンダスは先程まで無かった翼を広げて二人へと高速で迫ってくる。その姿はさながら砲弾の様だ。

 

「うおっとッ!?」

 

「ひゃあッ!?」

 

二人は左右に転がる事でそれを回避する。しかし、サドンダスは方向転換すると再び二人へと突進してくる。

 

「なら、打ち返すまでだ‼」

 

『マッスル化‼』『マッスル化‼』『マッスル化‼』

 

マッスル化のアイテムを3つ取得し、さながらバッターのごとくパラブレイガンを持つパラドクス。しかし彼は忘れている…サドンダスにはもう1つ攻撃手段があったのを…

 

「ゴアアアアアァァァァァァッ‼‼」

 

「いッ!?うおわぁッ‼」

 

サドンダスの口から放たれる火炎熱線を間一髪で避けたパラドだったが、このせいでアイテムの効果が切れてしまった。

 

「あっぶな…今の攻撃すっかり忘れてたぜ…」

 

「まったく…調子に乗りすぎですわよ。」(ペシッ)

 

「あたっ」

 

ジュエルに叩かれた頭をさすりながらサドンダスを観察するパラドクス。今の飛ばれた状態では、さすがに面倒ではあったのでそれを潰す事にする。

 

「先ずはあの翼をもぎ取るか。」

 

今度はエナジーアイテムを6つ集め、3枚を自身に、もう3枚をジュエルに渡す。

 

『マッスル化‼』『高速化‼』『高速化‼』

 

『マッスル化‼』『鋼鉄化‼』『鋼鉄化‼』

 

「え…何故私にも?」

 

「俺が羽根を潰したら一気に攻めろ。」

 

『ガシューン、デュアルガシャット‼キメワザ‼』

 

ガシャットをパラブレイガンに装填したパラドクスは、アイテムの効果で目に見えぬ速さでサドンダスの背後に回り必殺技を発動する。

 

『KNOCK OUT!! CRITICAL FINISH!!』

 

「オリャアッ‼‼」

 

「グゴガァァァァァァァァァァァァァッ!?!?!?」

 

振り下ろされたパラブレイガンに両翼を切り落とされ、痛みに呻くサドンダス。その隙を逃さずジュエルは接近し鋼鉄化した足でサドンダスを蹴りまくる。

 

「セイッ‼ヤッ‼ハッ‼」

 

エナジーアイテムのお陰で足にダメージも無く、怒濤の攻撃を行っていく。そして最後は後ろ回し蹴りで蹴り飛ばした。

 

「やはりこのアイテムはスゴいですわね…もう少し活用法を探してみましょうか。」

 

「お前も油断するな。アイツ、まだくたばってないぜ?」

 

アイテムの活用法を考え始めていたジュエルにパラドクスは注意する。彼の言葉の通り、サドンダスはまだ平気と言わんばかりに勢い良く立ち上がった。

 

「まだ立つとか…心が踊るなぁ‼」

 

「私の輝き、見せてあげますわ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルビィside

 

「えいッ‼えいッ‼えーいッ‼‼」

 

先輩の助けになればと思って私はなけなしの勇気を振り絞ってバグヴァイザーⅡで攻撃を始めたんだけど…

 

――ヒョイ、ヒョイ――

 

「るびぃぃぃぃぃ…!?全然当たらないよぉ!?」

 

どれだけ攻撃しても当たる気配がなくて、泣きたくなってきました…

 

「ほら、落ち着いてルビィちゃん。」

 

「ふえ…果南ちゃん?」

 

それでも攻撃を続けていたら、果南ちゃんが私の肩に手を置いた。

 

「ルビィちゃんの出来る事ならそれじゃなくて、別にあるでしょ?」

 

「私に…………あ…‼」

 

そう言われて私は自分の力がどんなのか思い出した。

 

「うん‼ルビィも出来る事をやる‼」『ガッチャーン…‼』

 

私はバグヴァイザーⅡをビームガンからバックルへと変えて、腰に巻いてからガシャットを起動させる。

 

『きらめきアイドル‼』

 

「変身ッ‼」

 

『ガシャット‼バグルアップ‼トゥインクルガール‼(Wooooo!!)星のオーディション‼素敵な笑顔‼きらめきアイドル‼(Wooooo!!)』

 

「仮面ライダー…エール‼」

 

「えええええええぇぇぇぇぇぇぇッ!?!?!?そっちのルビィちゃんまで変身しちゃったッ!?」

 

私が変身したのを見て、この世界の千歌ちゃんが叫ぶ。うん、私も最初にルシファー先輩達の変身を見ちゃった時は、全力で叫びそうになったからよくわかるよ…

 

「皆さん、ルビィと一緒に歌ってください‼」

 

私はそう言ってこの世界の皆に頭を下げる。

 

「え?歌う?」

 

「ルビィの力は歌う事で戦ってる皆を強く出来るんです‼そうすれば今、ルビィ達を守ってくれてる先輩の力になれるの‼だから…お願いします‼」

 

そうやって頼み込んだら…

 

「もちろん‼私達も協力するよ‼」

 

「皆、私達の世界の為に戦ってくれてるんだもん‼」

 

「だったら、手伝わないわけないじゃない‼」

 

全員が協力してくれる事になった。

 

「ありがとうございます‼」

 

私はお礼を言ってから近くのエナジーアイテムを取り込む。

 

『ミュージック‼』

 

「皆に届け‼私達のエール‼」

 

「「「「「Aqours!!サンシャイーンッ‼‼」」」」」

 

 

―推奨BGM【MY舞☆TONIGHT】―(エール&Aqours ver)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

周囲に流れるメロディ。それにいち早く反応したのが、ディエンドが呼び出したライダー【響鬼】【威吹鬼】【轟鬼】達だった。

 

「おっ?良い音楽だな。」

 

「ええ、それに僕達の力も上昇してるみたいですし…あの仮面ライダーの力かな?」

 

「響鬼さん‼威吹鬼さん‼自分達もこの音楽に合わせて演奏しましょうよッ‼」

 

「いいね。なら、いっちょやりますか‼」

 

3人のライダーの前には足を全て潰されて達磨状態の土蜘蛛がいる。響鬼は真ん中の1体の背に乗ると【音撃鼓 火炎鼓】を取り付け両手には【音撃棒 烈火】を持ち、威吹鬼は左の土蜘蛛に【音撃管 烈風】で鬼石の弾丸を何発か撃ち込み、その後部にマウスピースを前部には【音撃鳴 鳴神】を取り付けてトランペットへと変え、轟鬼は右の土蜘蛛に【音撃弦 烈雷】を突き刺し【音撃震 雷轟】を取り付けてギターに変える。

 

「【音撃打・豪火連舞】の型‼」

 

「【音撃射・疾風一閃】‼」

 

「【音撃斬・雷電激震】‼」

 

3人は流れているメロディに合わせて音楽を奏でる。戦場でなければ全ての人を魅了出来るほどに…

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおッ‼‼何だこの力ッ‼負ける気がしねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼‼‼」

 

そして漲る力にテンションがうなぎ登りのクローズチャージ。数に少し押されていたが、その形勢を一気に覆して暴れまわる。レイドラグーンに拳を叩き込む度に爆発の花が花開いていく…それはドラゴネスも同じで空中のレイドラグーンを次々と撃破していた。

 

他の戦闘員や怪人達はレーザーやヨハネ、平成2期ライダー達によってほぼ全滅していて、残っているのは死神博士と地獄大使となっていた。

 

「さて、そろそろエンディングとしようか?」

 

「ええい…‼‼こうなれば、ワシらが自ら始末してくれよう‼」

 

そう言う死神博士は両手に何かを持つ。それを見た千歌&美歌は目を丸くした。彼が持っているのは…

 

「イカと…ビール?」

 

そう、夜の晩酌の定番といえるスルメイカとビールだったのだ。これから反省会でもやるのかと思っていた彼女だったが………

 

「そう‼イカでビール………………………イカデビルッ‼‼」

 

そう言って体をイカを模した怪人へと変えた。

 

「………………………………………………美歌、判定は?」

 

「マイナス百万点。」

 

「はい、今回は縁が無かったということで。」

 

「そうか、イケると思ったんじゃが………って何やらせるゲソッ!?」

 

「その語尾で更にマイナス百万点。」

 

「では、また次回のお笑いコンテストにも参加してくださいね。」

 

「やかましいゲソッ‼」

 

そんな即席コントをしつつ、地獄大使を見れば彼は…

 

「ガ~ラガラガラガラガラガラ…‼」

 

何故かうがいをしていた。

 

「ガラガラガラガラガラ………ガラガランダッ‼」

 

そしていきなり体を青いヘビの様な怪人へと変えた。

 

「アンタら、ダジャレやらなきゃ変われないの?」

 

「というか今、水飲んじゃってない?」

 

「文句なら、そこのディケイドに言えッ‼」

 

「これはヤツの映画でやらされた事なのだからなッ‼」

 

「「おのれディケイドォォォォォォォォォォッ‼‼」」

 

「なんでも俺のせいにするなッ‼‼」

 

呆れる美歌達に二人は責任をディケイドに投げる。

 

「とりあえず、貴方達を倒してゲームクリアだよ。」

 

「我らを簡単に倒せるとは思うてくれるなよ…‼」

 

「先ずは一番厄介な貴様ゲソッ‼」

 

エグゼイドへと向かうイカデビルとガラガランダだが、そこにブレイブが飛び込んで、イカデビルを引き離した。

 

「お前の相手は俺だ…」

 

「ゲソォッ!?」

 

ブレイブはガシャコンソードを炎剣にしてイカデビルを切り裂く。そして後ろに下がるのに合わせて自身も前へ進み、距離を離さずどんどん切り裂いていく。

 

「はぁ~♪美味しそうな匂いがするズラ♥」

 

「花丸ちゃん、ヨダレヨダレ。」

 

「というか、イカ怪人の丸焼きとか私は逆に食欲無くなってきたよ…」

 

「そ…そう考えれば…」

 

炎で段々とこんがり焼かれていくイカデビルの香りに、花丸がよだれを垂らすが果南と曜によって正気に戻された。

 

「貴様ッ!?もしやワシをこんがりと焼いて食べる気ゲソかッ!?」

 

「悪いな…イカは嫌いなんだ。」

 

『ガッチョーン、スゴワザ‼ガッチャーン‼TADDLE!! CRITICAL STRIKE!!』

 

ブレイブはイカデビルの言葉に返すと必殺技を発動、刀身に強力な炎を纏わせてイカデビルを縦一閃で切り捨てた。

 

「イカは体に良い栄養がたくさんあるゲソォォォォォォォォォォォォォォォッ‼‼」

 

倒れながら断末魔の悲鳴の如く叫ぶイカデビルは、地面に倒れると爆発四散した。

 

「神の才能は、二人といらない…ヴェハハハハハハッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは…ルビィの歌ッ‼」

 

「なら、もう負けはないな。」

 

パラドクスとジュエルはエールの歌の効果で力が上がったのを感じ、サドンダスにとどめを刺す為に動き始める。

 

『ガシューン、ガシャット‼』

 

ジュエルはイマージュ・ミラージュガシャットをキメワザスロットホルダーに装填すると、スロットのボタンを5回押す。すると近くの鏡からボタンの数だけのジュエルの分身が出てくる。しかし鏡から出てきたからなのか、外見はジュエルの鏡写しになっている。

 

「へぇ、自分で分身を呼べるのか‼だったら俺も…‼」

 

『ガッチョーン、ウラワザ‼』『分身‼』

 

パラドクスもエナジーアイテムを使い、同じ数の分身を呼び出す。

 

『キメワザ‼』

 

そしてジュエルも必殺技を発動させると、二人の分身が同時に動き始める。

 

『ガッチャーン‼ PERFECT KNOCK OUT‼ CRITICAL BOMBER!!』

 

『IMAGE!! CRITICAL STRIKE!!』

 

ジュエルと分身の1体がライダーキックを決めると次にパラドクスの分身の1体がライダーキックを決め、それを交互に行っていき、分身が攻撃を終えたら本体である二人がダブルライダーキックをお見舞いした。

 

「ゲームクリアだな。」

 

「ええ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ハアッ‼‼」」

 

「ぬあッ!?」

 

ガラガランダVSエグゼイドは圧倒的な差でエグゼイドが押していた。

 

「ヌウ…なんという力だ…‼」

 

「アンタがなんで勝てないか教えてあげるわ。」

 

近距離ワープでガラガランダの前に現れたエグゼイドがキースラッシャーを振るう。ガラガランダはそれを右手の鞭で受け止めた。

 

「勝てん理由だとッ!?」

 

「怪人になる事で獲得した人並み外れた身体能力………でも、アンタはその力に私達みたく思考スピードが追い付けていないのよッ‼‼こっちから見れば動物みたく、本能で動いてるだけ‼」

 

「そんな筈はないッ‼‼」

 

エグゼイドの言葉に右腕を振るって、弾き飛ばすと同時に攻撃を加えようとしたが既に彼の前にエグゼイドはいない。

 

「ど、何処に行っ「後ろだよ。」ッ‼グアッ!?」

 

唐突に背後から聞こえるエグゼイドの声に振り返ると同時に切り裂かれ、地面を転がるガラガランダ。

 

「だから貴方の動きだって読める。」

 

「人並み外れた身体能力にそれと同時進行で行える思考判断、そして誰かの為に戦える勇気………それが揃って初めて、無敵の力と言えるのよ。」

 

『キメワザ‼』

 

ガシャットのボタンを叩きキースラッシャーを放り投げて構えるエグゼイド。ガラガランダもその攻撃に備えて構えた。

 

『HYPER!! CRITICAL SPARKING!!』

 

ガシャットのボタンを再度叩き、エグゼイドが飛び上がるとガラガランダは右腕を振るってはたき落とそうとするもその場からエグゼイドが消え、背後から2回と左右から4回、正面の回し蹴りにムーンサルトで打ち上げられ、最後に上からの蹴りで地面に叩きつけられた。

 

『究極の1発‼』

 

「スーパーショッカー………………超万歳ッ‼‼」

 

その言葉と共にガラガランダは爆散した。

 

『完全勝利‼』

 

それと同時にエールの歌も終わり、続けて大量の爆発音がして怪人が全滅し、この戦いが完全に終わった事を告げた。

 

「「「「「やったぁーッ‼‼」」」」」

 

それを喜ぶ彼女達だったが、そのせいで校庭に吹いた一陣の風に気づかなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、この世界の千歌から今日はウチの旅館に泊まっていったらと言われ、戦闘で疲れきったのもあってその言葉に甘える事にしたヴァーリ達一行。その際、彼女の姉である高海美渡が二人ずつになっているAqoursメンバーを見て大声を上げ、更にその上の姉である高海志満に怒られるといった場面もあったが、今日起きていた出来事を知っていたので二人とも、彼女達の無事に安堵していた。

 

「いや~、温泉は疲れがとれるなぁ~…」

 

「じじくせぇぞ、ルシファー。」

 

「そう言うな。俺だって死神博士のガシャットの解析やら、戦闘やらをこなしていたんだぞ?」

 

「まぁな…」

 

男湯では今、一誠とヴァーリが入っている。パラドは散歩に行っていてここにはいない。因みに女湯には女性メンバー全員が入っている。そして柵越しにかしましい声が聞こえている。

 

「そうだ一誠、後でまたガシャットを貸せ。」

 

「ん?何すんだ?」

 

「もう1つのリミッターも外す。今のお前ならそれだけの力量があると思うからな。」

 

「わかった。」

 

『ね~ね~‼そっちに美歌いない~?』

 

二人で話していたら、女湯にいる千歌から質問が飛んでくる。

 

「いないぞ~?」

 

「つーか、こっちにいたら確実に痴女じゃねぇか…」

 

『そ~だよね~、ゴメンね~‼』

 

「さて、体でも洗うか。」

 

ヴァーリは1度風呂から上がり、体を洗い始めた。

 

(にしても、一誠の成長速度は異常だな………これだと、もうすぐレベル99もアイツに追い付かなくなる…)

 

リミッターを解除しても振り回されず、すぐに幹部クラスの敵を圧倒できるほどの適応力。それはまさしく異常ともいえるものだった。

 

「そんなに彼の成長が気になるの?」

 

「ああ、もしやアイツのウィルスは原初のウィルスなのかもな。」

 

「へぇ~、それって今あるウィルスとは違うの?」

 

「質がまるで違う。原初のウィルスは何にも染まっていない状態だ。だから、上手くいけばガシャット………を…?」

 

そこで彼はふと思った。自分は誰と話しているのだろうと…彼がいるのは男湯で一緒にいるのは一誠だけ。だけど聞こえる声は明らかに女性だ。そこで先程の千歌の言葉を思い出す。美歌だけは向こうにいないと………

 

「ま…まさか…」

 

錆びたブリキ人形の様に首を後ろに回すと、そこにはタオルで前だけを隠している美歌がいた。

 

「お、おまッ!?ここで何を…ッ!?」

 

「ヴァーリの背中でも流してあげようかと思ってね♪」

 

「だからって男湯に来るなッ‼‼」

 

「フフフ…‼ドッキリ成功ね♪でも、背中を流すのは冗談じゃないわよ?」

 

そして自身の体を隠しているタオルに手を掛けようとしたところで…

 

「フンッ‼」

 

「あがッ!?」

 

ヴァーリは咄嗟に美歌の頭にアイアンクローを喰らわせ、全力で女湯に放り投げた。

 

「オォォォォラアァァァァッ‼‼」

 

『ひゃああああああああああああ…ブビャッ‼』(ドボン‼)

 

『うえッ!?美歌ッ‼何処から飛んできたのッ!?』

 

『今のって…男湯の方じゃない?』

 

『貴方は何やってますのッ!?』

 

女湯が騒がしくなる中、ヴァーリは美歌の行動でのぼせそうになる頭を何とか落ち着けようとしていて、それを見た一誠は近くの桶に水を入れてヴァーリの頭からぶっかけた。

 

「………………………助かった…」

 

「気にすんな。」

 

『ヴァーリ君………後で話があるかラ。』

 

『イッセーもだヨ?』

 

しかし、梨子と果南の言葉でそれは簡単に冷めるどころか、ヴァーリは逆に寒気すら感じていた。

 

「………おい、どうしてくれんだよ?」

 

「すまない………本当にすまない…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千歌side

 

「もうッ‼どうしてあんな事したのッ!?」

 

私は今、男湯に忍び込んでいた美歌にお説教中です‼

 

「あら、他の子よりリードするならこれくらいは普通よ?」

 

「いや、普通じゃないからッ‼それに美歌の体は私をモデルにしてるんでしょッ!?」

 

「ええ、寸分のズレもないから千歌の体そのものと言っても過言じゃないわ。」

 

それはつまり、私の裸を見られたのと同じと言ってるも当然だった。

 

「もうどんな顔してヴァーリ君に会えばいいのぉーッ!?」

 

「別にいいじゃない、好きな男になら見られても。」

 

「私がよくないよッ!?」

 

「でも千歌だってヴァーリが好きなんでしょ?」

 

「え?う~ん…それはよく解らないんだけど…」

 

ヴァーリ君は確かに好きだけど、それが恋なのかどうかは私はまだ理解できてないからなぁ…

 

「でも残念、私は貴方と心が繋がっているから解るわ。千歌の好きはライクじゃなくて確実にラブの方なのよ。」

 

「うえッ!?」

 

「まあまだ自覚してないから実感が湧かないんだと思うけど…じゃ、私は戻るわね。」

 

そう言って美歌は私の中に戻っていった。

 

「私がヴァーリ君を好き…」

 

そう思うと胸が少し温かくなるけど、それが恋なのか私にはまだ理解できなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、朝早くヴァーリ達は旅館の外にいた。そしてその近くにこの世界の千歌達もいる。

 

「それじゃそろそろ帰るぞ。」

 

「「「「「「「はーい‼」」」」」」」

 

「皆、本当にありがとうねッ‼」

 

「貴方達がいなかったら、どうなっていたか…」

 

「それは気にしないでください。それよりも…」

 

千歌(原)と果南(原)のお礼を受け取りつつ、ヴァーリが視線をずらすと…

 

「ばうッ‼」

 

「「イヤアアアアァァァァァァァァァッ‼‼」」

 

この旅館で飼われている犬【しいたけ】に梨子と梨子(原)が追いかけ回されていた。

 

「あれをどうにかしてもらっても?」

 

「わわわッ!?しいたけ、ストッブゥーッ‼」

 

千歌(原)のお陰でしいたけは止まり、梨子(原)は曜(原)の梨子はヴァーリの背中に隠れた。

 

「まだ犬嫌いは治らないか?」

 

「ムリッ‼絶対にムリだからッ‼」

 

「アハハ…そっちの梨子ちゃんも犬嫌いなんだね?」

 

「昔、犬に追いかけ回されてな?しかも、逃げながら足が犬の顔を蹴ってたから犬も怒って更に追いかけ回すという悪循環によってこうなった。」

 

「ちょッ!?人の恥ずかしい過去バラさないでよッ!?」

 

「昨日の理不尽な説教の仕返しだ。」

 

「なんだなんだ?ずいぶん騒がしいな。」

 

二人の痴話喧嘩?に一人の男が割って入ってくる。その顔はヴァーリ以外は知らず、手にはアタッシュケースを、首にはマゼンタの2眼レフカメラを下げていた。

 

「貴方は…門矢士ッ!?」

 

そう彼が仮面ライダーディケイドの変身者【門矢士】その人である。

 

「へぇ…俺も有名だな。」

 

そう言って士は手に持っていたアタッシュケースをヴァーリへと投げ渡した。

 

「これは?」

 

「海東から奪ってきた。それはお前らにやる。」

 

ケースを開けるとそこには海東がスーパーショッカーから盗んだ、ドライバーとボトルやガジェットが1つずつとネビュラガスの設計図が入っていた。

 

「アイツが迷惑かけたからな、その迷惑料とでも思っとけ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「んじゃ、また何処かで会おうぜ。」

 

彼は銀色のオーロラを出すと、そこに入って去っていった。

 

「皆も何時でも遊びに来てね‼」

 

「その時は歓迎するから。」

 

「うん、楽しみにしてるね‼」

 

「それじゃ行くぞ。」

 

『パラレルトラベラー‼ガシャット‼ガッチャーン‼』

 

帰還用のゲートを出し、ヴァーリ達はその中へと入っていった。

 

「もう一人の自分に会うとか…すごい体験しちゃったね?」

 

「もしかしたら、本当にまた会えるかも知れませんわよ?」

 

「だねッ‼」

 

見送りを終えた彼女達も帰る事にした。

 

「ん?」

 

「どうしたの、果南?」

 

「いや、今変な風が吹いた様な………気のせいかな?」

 

「ところで千歌ちゃん、新しい歌詞は出来た?」

 

「それだったら………………………………あれ?歌詞ノートがないッ!?」

 

「「「「「「「「ええッ!?」」」」」」」」

 

大切なノートが無くなって大慌てのメンバー達を遠目で眺めていたのは海東大樹。その手には一冊のノートが握られていた。

 

「この世界のお宝は、確かに貰ったよ。」

 

そして彼も銀色のオーロラの中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まったく………クロノスも面倒な事をさせる…』

 

元の世界の幻夢コーポレーションの屋上に1つの人影が浮かぶ。それは仮面ライダー風魔だった。

 

『彼等が異世界に行くから付いていけとか………まぁ、収穫はあったけど…』

 

そう、風魔は透明化のエナジーアイテムと自身の技術で完全に姿を消して彼等の後を付いて異世界に付いて行ってたのだ。そしてそこでスーパーショッカーのアジトに潜入し、戦利品であるクローズダークのベルトとスクラッシュゼリー、幾つかのボトルと設計図を手にしていた。

 

『これならクロノスも満足かな?待ってて、私が必ず助けるから…』

 

いつもとは違う口調で呟き、その場から消える風魔。その言葉に強い思いを宿して…




いかがでしたか?

終わり方が少し雑な感じがしている作者です…

次回は番外編を1話挟んで、海神アグル様とのコラボになります。

次回【番外編・夏休みの出来事part1】

「私はある事を決めました。」

では、次回でお会いしましょう。



それと前話のやり過ぎATTACKの後半は、一部の間違いと何だか燃え足りなかったので修整しました。良ければそちらも見てください。

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