ゲームの力でこの世界を生きていく   作:疾風の警備員

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どうも、疾風の警備員です。

劇場版2話です。今回でパラドの謎のどんどん明かしていきます。まず彼の出生の秘密です。

では、どうぞ。


パラドのSECRET

デンライナーに乗り込んだ一誠とパラド。彼等は良太郎達の案内に従い進んで行くと、ある車両に到着する。

 

「ここよ。」

 

「ここは……食堂車か?」

 

「僕の仲間もここにいるんだ。」

 

コハナが先頭に立って扉を開ける。ここから必ず彼女達を助け出すと意気込みをいれながら中に入って彼らが見たものは…

 

「ねぇねぇ君、この後ボクと海の見える素敵なカフェでお茶でもどうかな?」

 

「えッ!?私、そういうのはちょっと…」

 

曜が水色の怪人【ウラタロス】にナンパされていたり…

 

「Zzz…」

 

「本当になにやっても起きないズラ…」(ペシペシ)

 

花丸が黄色の怪人【キンタロス】を起こそうと顔を叩いていたり…

 

「イェーイ、シャボン玉~!!」

 

「わぁ~♪」

 

ルビィが紫の怪人【リュウタロス】とシャボン玉ではしゃいでいたり…

 

「ハーイ皆さーん!!コーヒー出来ましたよ~♪」

 

「ありが…え、これコーヒー?」

 

果南が乗務員から渡されたコーヒーを見て絶句したりしていた。

 

「テメェ等ッ!!なに和んでんだよ!?というかカメッ!!ナンパしてんじゃねぇ!!クマもとっとと起きろ!!後ハナタレ小僧はシャボン玉が鬱陶しいわ!!」

 

「センパイ、カリカリし過ぎじゃない?カルシウム足りてる?」

 

「Zzz…相変わらずモモの字は気が短いなぁ…」

 

「というか、モモタロスの方が鬱陶しいし。」

 

「テメェら、うるせぇぞ!!!!」

 

「「「(モモタロス)/(センパイ)/(モモの字)の方がうるさい。」」」

 

「おーし上等だぁ…こうなったらまとめて相手してやらぁ!!」

 

「フゥ……騒々しいですわね…」

 

………………まさに人間と怪人が織り成すカオスだった。

 

「あ、イッセーお帰り。」

 

「……………………心配して損したぜ…」

 

笑顔で手を振る果南を見てガックリと項垂れる一誠…因みにパラドはルビィ達とシャボン玉ではしゃいでいる。

 

「アンタ達ッ!!大人しくしなさい!!」

 

そのカオスにコハナが飛び込むと、拳を握り全力で振るいモモタロスを殴り飛ばした。

 

「イデェッ!?何しやがる、このコハナクソ女ッ!!!!」

 

「アンタが一番うるさいからよ!!」(ゴスッ!!)

 

「ギャアアアアアアアッ!?そこは泣き所ォ~!?」

 

コハナに蹴られ、右足の脛を押さえてピョンピョン跳び跳ねるモモタロス。もはや車内全てが新喜劇の様だ。

 

「………………………………帰っていいか?」

 

「ゴメン、もう少し待っててくれるかな?」

 

良太郎に言われて待つこと数分、コハナの手によって怪人達【イマジン】は(武力で)黙らされた。

 

「全く、手を焼かせないでよね。」

 

「「「「ハイ…」」」」

 

「それじゃあ話を…「おや、皆さんお揃いですねぇ。」あ、オーナー。」

 

コハナが説明しようとした時、奥の車両から一人の男性が入ってきた。ピシッとしたスーツに杖、溢れるオーラからかなり上級の職種についてる人だと解る。

 

「この人はこのデンライナーを取り仕切ってるオーナーなの。」

 

「どうも初めまして、皆さん。ナオミちゃん、いつものを。」

 

「はーい♪」

 

ナオミと呼ばれた乗務員はその言葉に調理場に引っ込み、すぐにある料理が乗ったお皿を持って出てきた。

 

「お待たせしましたー、チャーハンでーす♪」

 

そのお皿に乗っていたのは出来立てのチャーハンだった。その中央にはデンライナーが描かれた旗が刺さっている。

 

「あれ、出来立てだよね?何時作ってたの?さっきまでコーヒーしか作ってなかったのに…」

 

「それは……企業秘密です♪」

 

「さて、お話の前にパラド君…君に聞きたい事があります。」

 

テーブルを叩いて浮き上がったスプーンを右手で掴み、チャーハンを食べようとしたオーナーだったが、その手を止めパラドに視線を向ける。

 

「なんだ?」

 

「君はどうやって()()()()()()()()()()()?」

 

「ッ!?」

 

その言葉にパラドは驚いた顔をする。その顔はまるでどうして知っているかと物語っていた。

 

「え?過去に移動?」

 

「どういう事ですの?パラドさんは兵藤さんから生まれたバグスターでは?それは花丸さんの力で確認済みですわ。」

 

確かにそれはパラド自身が認めた事。自身は一誠から生まれたバグスターだと……それにその事については花丸の神器でも確かめられている。しかし、これに異を唱える者がいた。

 

「ん?マルはそんな事言ってないよ?」

 

その人物はまさかの花丸だった。

 

「えッ!?花丸ちゃん、どういう事ッ!?」

 

「詳しくは…………ルビィちゃん、手伝って。」

 

「え?…う、うん…」

 

花丸はルビィを呼ぶと全員の視覚の枠外に思いっきり手を伸ばした。

 

「「せーの!!」」

 

そこに視線が向く前に二人はそこから何かを引っ張ってくる。それは何かの画面らしく、そこには【第35話 ETERNALな輝き】と書かれていた。

 

「これを見るズラ!!」

 

「「「「「「「どっから出した!?」」」」」」」

 

「そんな事より……ここだよ。」

 

その画面をスクロールしていき、ある一文を指差す。それは花丸がパラドの事を話す所だった。

 

「「「「「「「んん~?」」」」」」」

 

「ほら、ここ!!ここ!!」

 

「「「「「「「ん?」」」」」」」」

 

「「あッ!?」」

 

全員がまだ首を傾げる中、ダイヤとウラタロスだけはそれに気づいた。

 

「ダイヤさんと青い怪人さんは気づきましたか……そう、マルは生まれ【る】と言っているのです!!」

 

「「「「「「「「え、どういう事?」」」」」」」」

 

「言葉が過去形ではないんですの!!」

 

「つまり、その時点ではまだ起きてないって事だよね?」

 

「「「「「「「「え…ええッ!?」」」」」」」」

 

そう、花丸の言葉は過去形ではなかった。つまり、あの時まだパラドは生まれていないという事なのだ。

 

「本当はパラドさんに黙っててって言われてたけど、あの時は非常時だったから…」

 

「ま、何時かは話そうと思ってたけどな。」

 

「じゃあ、パラド君は誰のバグスターなの!?」

 

曜の問いに、パラドは答える。今まで隠してきた真実を…

 

「俺は……【未来の一誠から分離したバグスター】だ。」

 

「未来の俺……だと…」

 

驚く一誠の顔を見ながらパラドはポツリポツリと話し始める。自分の秘めていた事を。

 

「ああ……俺は最初、一誠とは敵対関係だったんだ。」

 

その言葉にダイヤ達は信じられないといった顔をする。今までの彼を見てると、敵だったなど思えないのだ。

 

「お互いに何度も何度も戦い、時には共闘したりもしてその過程で俺は一誠の遺伝子を手に入れてバグスターなのにレベルアップ出来る様になった。その後も幾度となく戦いお互いをライバルと認め合って…そして最後の戦いを始めようとした時……アイツが現れたんだ…!!」

 

話す彼の顔は怒りを露にしつつも、その体は小刻みに震えていた。まるで恐ろしい(かたき)であるかの様に…

 

「奴は強く俺達は手を組んだ。しかしその強さになすすべもなく毎回やられるだけ……だが、ヴァーリが作ったハイパームテキのお陰で戦局は覆った。でもそれに憤慨した奴は……卑怯な手段とラスボスの力を手に入れる事で更なる力を持ったんだ。そのせいで仲間は一人、また一人と消滅していき…最後には一誠も…」

 

(頼むパラド…!!俺達の…未来を…!!)

 

(解ってるッ!!!!でも今は自分の心配を…!!)

 

(へ…頼んだぜ…)

 

(おいイッセー?イッセェェェェェェェェェッ!!!!)

 

そこで彼は思い出す…自身の半身とも呼べる男の最後を…

 

「これが俺が完全体の理由だ。」

 

「そんな…!!」

 

その話に全員が絶句する。自分達の未来が最悪の結末だと知ればそうなるのも頷ける。

 

「ではどうやって過去に?」

 

「俺は敵討ちの為にその敵と戦っていたら、突如割けた空間に引き込まれて気づいたらこの時代にいたんだ。」

 

「敵って一体…?」

 

コハナがその敵について訪ねると、パラドは体を震わせ拳を強く握るだけで答えなかった。

 

「もともと劣勢だったんだ。それでここに来たら周囲の情報から過去だと知った俺は動いた。あんな未来を越させない為に…!!」

 

「なるほど、君はその敵に支配された未来を変える為に動いていたのですね……しかし、君の存在が最悪の事態を招いてしまったんです。」

 

「最悪の事態?」

 

オーナーの言葉に疑問が深まるパラド。その答えをオーナーが告げた。

 

「君が過去を変え過ぎた事で、時間が分岐してしまったのです。」

 

「時間が分岐?」

 

「本来、この時間が進む未来は別物でした……しかし、君が過去を変えた事で未来は分岐した方を選択した。」

 

「だったら何ももん…「ですが。」ッ!?」

 

パラドの言葉をオーナーは杖を突き付けて遮る。

 

「本来の未来にいた君という存在が過去にいる事で消える筈の確定されなかった未来が、すぐに消滅しなかったんですよ。そして緩やかに消滅が始まりつつも増していく負のエネルギーが外に漏れ始めている…」

 

「このままだと……どうなるんですか?」

 

コハナの言葉にオーナーは一口チャーハンを食べ…

 

「バグスターウィルスが他の時間にまで感染する…つまりパラド君のせいでこのままでは、全ての時間を巻き込んだパンデミックになってしまいます。」

 

最悪の未来の訪れを告げた。

 

「オレの……せいで…!?」

 

その事実に崩れ落ちるパラド…自分のしてきた行為が未来を助けるどころか、他の時間にまで災厄を飛び火させてしまったのだ。

 

「たくよぉ…だからその尻拭いに俺達が動いてんだよ。ありがたく思ってプリン寄越せ。」

 

「黙ってなさい!!」

 

「フガッ!?キュ~…」

 

「それよりも問題は、どうやってその未来に行くかだよね。ボクたちが行こうとしても分岐した未来はレールが繋がってないし…」

 

「それやったらレールを曲げて、無理やり繋げるってのはどうや?」

 

「無理だよクマちゃん、ボクそれやろうとしたけどあのレール、スッゴい固くてびくともしなかったもん。」

 

「やろうとしたんだ…」

 

「だったらギュインギュインのズドドドドドドで…!!」

 

「果南さん、擬音ばっかりで中身がさっぱりですわよ…」

 

「それだったら問題ない。」

 

全員で分裂した未来への行き方を模索していると、テディが既に考えがあるようにパラドを指差した。

 

「彼はその未来から来たのだから、彼にチケットを翳せばその時間へのレールを繋げられる筈だ。」

 

「「「「「「あ、そっか。」」」」」」

 

早速良太郎がチケットをパラドに翳すと、仮面ライダーパラドクスの絵と日付が浮かび上がる。それは今の時代よりも10年先の未来だった。

 

「本当に未来の日付だわ…」

 

「よっしゃ良太郎!!早速行くぞ!!」

 

「うん。」

 

モモタロスと良太郎は先頭車両へと駆け足で向かっていく。更に幸太郎とテディは出口へと歩みを進める。

 

「あれ、幸太郎はどこ行くの?」

 

「俺はオーナーからの頼まれ事があるから、一旦別行動をとるよ。」

 

「では皆さん、また。」

 

そう言って車両を出ていった。そこで今まで何も言わなかった一誠がオーナーを見ながら口を開いた。

 

「…………おい爺さん、その未来の影響を無くす方法はあるのか?」

 

「時間の消滅は緩やかですが既に始まっています。出来るとしたら消滅までにそのラスボスとやらを倒して、時間への影響を最小限に留めるしかないでしょう。上手くいけば、パンデミックは防げるかもしれません。」

 

「なら簡単だな……俺も連れてけ。」

 

「ちょっと、イッセー君ッ!?」

 

そこに一誠が自分も参戦すると口にし、曜が驚いた。

 

「理由を聞いても?」

 

オーナーの言葉に、一誠は未だに床に踞っているパラドに視線を向け…

 

「アイツには随分と世話になったからな……こんな時に何もしねぇ程、俺は恩知らずじゃないんでね。」

 

「ですが、これからはかなり激しい戦いになりますよ?」

 

「むしろ臨むところだ。」

 

「はぁ…もう何を言っても止まらないか。」

 

それを聞いていた果南はため息を吐き…

 

「だったら私も行くよ。イッセーのストッパー役も必要だしね。」

 

そう言って自分も付いていく事にした。

 

「私も行くよ!!」「マルも!!」「ルビィも!!」「当然、私もですわ。」

 

更に曜達も付いていくと言い始めた。一誠は止めようと思ったが、長い付き合いで果南達が自分の言葉で止まる訳がないと理解してしまったので、自分が守ると心の中で誓った。

 

「…………本来でしたら、チケットのない者を乗せる訳にはいかないのですが、今回は非常時ですので特別に許可しましょう。」

 

オーナーが許可すると同時に車両が少し揺れ、発進し始める。これからデンライナー(コレ)が向かうのは最悪の未来。そこがどれだけ酷い世界なのか…彼等はまだ知らない。




いかがでしたか?

はい、実はパラドは未来から来たのでした~!!

35話のやつに気づいてた読者はいたのかな?

では次回で、お会いしましょう。

曜と果南、花丸も変身して戦う

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  • 我が魔王…存分に書かれよ
  • 止めて!!変身なんかしないで!!

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