幻想氷留記-A Humanbeing Trips Opposite World- 作:プエラリア炉端
お姉様ったら今回の《前回までのあらすじ》を書いたメモを置き忘れていたの!だから今回は私が書いとくね!
美鈴と修行してた氷秋だったけど、お姉様から言われた《忘れられていないのに存在が無い》って言葉について考えているうちに、眠っちゃったのかな?
で、目が覚めると見知らぬ建物に行っちゃってたの!!
さてどうなるのかな?えーりんのテストって、何だろ?
「貴女は人間?」
「はい」
「貴女は幻想郷の人間?」
「いいえ」
「貴女は能力者?」
「はい」
今ちょうど、『はい』か『いいえ』かでしか答えてはいけない、そういった《テスト》をやらされている。
「貴女は既に妖怪を見た?」
「はい」
この女医・八意永淋は人ではあるものの、根本的に何か違う様な気がした。
私を見る眼さえ、全てを見通している様な、余裕とも優越ともつかない色が見え隠れしていた。
「貴女は博麗神社に現れた」
「いいえ」
一体何を調べる為のテストなのか、私には見当がつかない。
単に身の上調査ではないのは明らかだった。が、でなければ何のテストなのか。
「貴女は私の身の上を知っている」
「いいえ」
知らない、だが私が知る『人間』の規定からは外れているのは確かだろうな、と思った。
「では最後の質問です。
・・・貴女は自らの存在に疑問を抱いている」
「・・・はい」
「・・・テストは以上です。お疲れ様。
ウドンゲ、この娘を待合室まで」
「はい師匠」
何のテストだったのか結局解らなかったが、いくつか分かった事があった。
まずここが《永遠亭》という診療所だということ。
そして今が夜だということ。
さらにここは竹林の中で、この夜の中出ていこうものなら迷うだろう事だった。
「氷秋・・・って言ったっけ。貴女、能力者なのね?」
鈴仙がそう訊いてきて、私は返事を返した。
「うん。・・・まあ、使うところ他の人は認識できないけれど」
「へえ・・・。で、どんな?」
「《過去を繕う程度の能力》」
「それって、《歴史喰い》と同じかなぁ」
「え?」
私と同じ能力を持ってる誰かもいるのか、とその《歴史喰い》なるものが気になった。
「彼女なら人里にいるわよ。日中は寺子屋で教鞭を執ってるよ?」
学校ではなく寺子屋と言うところが、何とも別世界感が漂っていて良い感じだ。
「明日行ってみたら?何なら私も付いていくけど?」
何か鈴仙、やけに積極的な気がする。
ウサギだから?それとも何か別に理由があるのだろうか?
「付いてきてくれるのはありがたいけど・・・大丈夫なの?」
そのうさみみで人前に行って、果たして他の人はどうなのか。彼女が妖怪である事を知っているのだろうか。
「大丈夫よ、私人里には薬売りに何度も行ってるから。そういう貴女こそその格好で大丈夫?
そういう服を着た人、人里にはいないわよ?」
私はそうして、人生初の和服を着る事となった。
まさか私の初めてが紺と白の矢絣(やがすり)になろうとは・・・。
「良い良い!似合ってるよ和服!!」
「・・・そ、そう・・・?」
「これで明日はバッチリね!さ、明日は早いから、さっさと寝ましょ?」
と言って、鈴仙は二つ布団を出して、並列に並べた。
「・・・え?」
「え、一緒に話したい事山ほどあるのに。今夜は寝かさないわよ~?」
鈴仙はやっぱり積極的だ。
「ああ、あと私のフルネーム。
鈴仙・優曇華院・イナバって言うの。師匠はいっつもウドンゲって言ってるけどね。
・・・鈴仙じゃなくて、ウドンゲでもいいよ?」
誘ってるのか?私女ぞ!?
ドキドキしている私をよそに、ウドンゲは話し続ける。
そうして夜通し喋り続け、私もウドンゲも寝不足のまま人里に行く事になったのは言うまでもない。