48番目の逸般人   作:白鷺 葵

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【諸注意】
・クロスオーバー先のネタバレ注意。
・クロスオーバー先はねつ造要素を多分に含んだハッピーエンド。原作の展開とは違っている。
・クロスオーバー先にカップリング要素がある。ニット帽のオカン×美しき悪魔。
・カップリングと思しき要素はあるが、まだ恋愛関係ではない。
・オチに「誰か×ぐだ子」が確定しているが、相手は不明。

【主人公】
有里(アリサト) 六華(リッカ) 性別:女性 高校3年生:18歳
・5つ年の離れた姉、荒垣(アラガキ)(ミナト)がいる。旧姓有里(アリサト)(ミナト)
・厳戸台にある月光館学園高等学校に在籍。特待生無利子奨学金を利用。生徒会長をしていたが、一般公募選出と同時期に引退・後釜に引き継ぎが行われている。
・17年前の事故で両親を失い、7年程前までは親戚縁者をたらい回しにされていた。現在は伯父が後見人になっている。


ケース:有里六華の場合
社交性魔人が往く


 2009年 1月31日。

 この日、世界が危機に陥ったことを知る人間は、幾らいるだろう。

 

 月光館学園の制服を着た姉の背中を、覚えている。

 姉が絆を結んで手繰り寄せた奇跡の価値を、知っている。

 ――だって、自分もまた、姉の絆によって生かされた命だったから。

 

 

***

 

 

 ――燃え盛る街が、眼前に広がっている。

 

 

「ギシャアアアアアアアアアッ!!」

 

 

 眼前に迫りくる脅威。ガイコツが吼え、有里(アリサト)六華(リッカ)の命を奪わんと得物を振り上げてきた。

 

 

「先輩!」

 

 

 マシュの金切り声が響いた。彼女の立っている位置と距離から考えると、今からマシュが六華を庇おうとしても間に合わないだろう。

 だが、ハッキリ言って、ガイコツの動きは遅い。カルデアに来る以前に戦った敵――現実世界の片隅で怪異を引き起こすシャドウたちの方がまだ早かった。

 六華は余裕をもって敵の攻撃を回避する。体勢を崩したガイコツは勢い余って崩れ落ちた。その隙を見逃さず、六華は即座に行動を起こした。

 

 腰から拳銃を取り出す。――一般人から見れば何てこともない、単なるモデルガンだ。けれどこれは、有里六華にとっては、欠かせない()()である。

 六華はこめかみに銃口を突きつける。ドクン、と、心臓が軋むような音を立てた。ひやりとした感覚が背中に走る。――『死』が、ひたひたと近付いてくるような。

 

 けれど、それは一瞬のこと。六華は躊躇うことなく、銃の引き金を引いた。

 

 

「――ペルソナ!」

 

 

 パリン、と、何かが割れる音がした。風が高らかに吹き荒れた後、六華の心の海に住まう仮面(ペルソナ)が顕現する。

 顕現したのは黒い影。姉とのつながりによって心の海に宿った、死の権化――タナトスだ。死神は数多の腕を振りかざすと、ガイコツどもを容赦なく蹂躙した。

 

 

◆◆◆

 

 

【カルデア:マイルーム】

 

 

「外の世界はすごいですね。カルデアでは知りえなかった情報ばかりで……毎時間、新しい発見の連続です。先輩は、どうですか?」

 

「本当に、毎日が新しいことの発見だよ! 時空を超えて、英雄たちが活躍した時代に飛ぶなんて夢みたい! 普通の学生じゃあ絶対経験できないよ!」

 

「そ、そうなんですね……」

 

「そういう意味では、私とマシュはお揃いだね!」

 

「先輩とお揃い……ですか?」

 

 

 >マシュは驚いたように目を丸くしている……。

 

 

「あれ? 嫌だった?」

 

「そんなことありません! その……嬉しいです。とっても」

 

 

 >マシュは頬を染めている。

 

 >嬉しそうだ……。

 

 

「あ、先輩。私、先輩がカルデアに来る以前の話に興味があるんですけど……」

 

「私の?」

 

「先輩がよければで構いませんので、聞いてみたいな、って……」

 

「いいよ! それじゃあ、楽しい話をしようか!」

 

 

 >…………。

 

 >マシュと、学生生活についての楽しい話題で盛り上がった……。

 

 

 >目をキラキラ輝かせる彼女の瞳から、彼女の好奇心が伝わってくる……。

 

 >マシュのことが少しわかった気がした……。

 

 

 刑死者 マシュ・キリエライト   RANK UP!

 

 

***

 

 

【カルデア:ドクターロマンの執務室】

 

 

六華(リッカ)ちゃんは、ソロモン王についてどれくらい知ってる?」

 

 

 >ロマニが問いかけてきた。

 

 >……心なしか、目が真剣なように思える。

 

 

「……そうですねぇ。“旧約聖書の『列王記』に登場する、イスラエル王国の3代目。父親は先王ダビデ、母親はパテシバ。父王亡き後、王位を狙う者たちを打倒して王となった。エジプトに臣下の礼を取り、ファラオの娘を降嫁されることで安全保障を確立して、王国の最盛期を築いた”ことくらい? あ、あと、『ソロモン伝承』や『偽ソロモン文書』には“英知を持って悪霊を支配していた”という記述があったっけ。神殿建設に72柱の悪魔を駆り出したとか、子どもの親の見分け方とか、頭の回転もそうだけど、凄いカリスマの持ち主だなって――」

 

「タンマタンマ! 分かった、分かったから! キミがソロモンのことをよく知っていることは、充分理解し(わかっ)たから!!」

 

「え? でも、ざっくばらんにしか知らないし……」

 

「充分だよ。充分、分かりやすくまとまってるから……」

 

 

 >ロマニの顔が真っ赤になっている……。

 

 

「でも、私の知識なんて大したことないですよ? まだまだ勉強不足だし。これでソロモンのことを網羅してるなんて言ったらおこがましいよ」

 

「……そんなこと、ないと思うけどなあ」

 

「まだまだですって。それに、一番馴染み深い相手だったから、色々読み漁ってただけに過ぎないんだ」

 

「馴染み深い? ソロモンが? ……それまた、どうして?」

 

「私が最初に顕現したペルソナ、ソロモンだったの」

 

「え……」

 

 

 >ロマニはとても驚いているようだ……。

 

 

「ソロモンの力を借りて、私はずっと戦ってきた。今ではお姉ちゃんとのつながりでメサイアとタナトスを召喚できるけど、当時はソロモンが私の相棒だったの」

 

「ソロモンが、相棒……」

 

「形は何であれど、ソロモンには毎回助けられてきたからさ。そういう相手のことを学ぶって大事だと思ったんだ」

 

「……そっか。そっかぁ……」

 

 

 >ロマニはどこか嬉しそうだ……。

 

 

「そういえば、ドクターもソロモン王のファンなんだよね? にわか知識の小娘で良ければだけど、話をしない?」

 

「うん、いいよ。ボクでいいなら。――あ、そうだ! 折角だから、とっておきのお茶菓子を用意するよ! ちょっと待ってて……!」

 

 

 >…………。

 

 >ロマニと、ソロモン王についての話題で盛り上がった……。

 

 

 >目を輝かせたり、嬉しそうに目を細めたりするロマニの表情が、とても鮮やかだ。

 

 >ロマニの新たな一面を見た気がする。

 

 >ロマニとの距離が縮まった気がした……。

 

 

 隠者 ロマニ・アーキマン   RANK UP!

 

 

***

 

 

 

【夢世界・王の神殿:庭園】

 

 

 >…………。

 

 >……また、この場所だ。

 

 

 >所持品を確認してみる。

 

 >……トリュフチョコ、スイートポテト、さくさくクッキー、バナナカップケーキ……。 

 

 >約束していた菓子は、今回もきちんと()()()()に持ち込むことができたようだ。

 

 

「――来たか。人類最後のマスター、我が怨敵よ」

 

 

 >振り返ると、ソロモンが立っている。

 

 >言葉とは裏腹に、穏やかな気配が漂っている……。

 

 >気のせいか、どことなく嬉しそうだ。

 

 >……六華がここに来るのを、待っていてくれたのだろうか?

 

 

「それを言うなら、『貴方が呼んだ』の間違いじゃないの?」

 

「違いないな」

 

「人理焼却の犯人が敵対する小娘をこんなところに呼び込むなんて……貴方の気まぐれも大概だね」

 

「貴様のような矮小な人間が、今更何をしようと無駄なことだ。私の勝ちは揺らがない」

 

 

 >ソロモンは得意げに笑っている。

 

 

「……それに、大概なのは貴様だろう」

 

 

 >ソロモンは、呆れたように肩をすくめた。

 

 

「敵前に引きずり出されても尚、貴様は慌てふためくこともなく、この空間に馴染んでいる。……終いには、毎度毎度菓子を持ってくる始末」

 

「だって『献上する』って約束したもの。……要らなかった?」

 

「そんなことはない。断じて」

 

 

 >ソロモンは、妙に食い気味に宣言した。

 

 >……意外だ。いつもは「献上を赦す」と、尊大な態度で言い放つのに。

 

 >だが、彼はすぐに眉間に皺を刻んで唸った。

 

 

「ただ……」

 

「ただ?」

 

「……どう返礼すればよいのか、分からないんだ」

 

「どうして? ソロモン王なら、各国から沢山の贈り物を貰っていたでしょう?」

 

 

 >……ソロモンは、バツが悪そうに視線を彷徨わせる。

 

 

「……その、だな。私個人に対する贈り物を貰った経験が、皆無なんだ」

 

「……つまり、貴方個人に贈り物を贈ったのは、私が初めてってこと?」

 

「そうなるな」

 

「ふふふ」

 

「何だ」

 

「王と呼ばれるに相応しい貫禄と尊大な態度を兼ね備えているんだなと思ってたけど、意外と可愛いところあるんだぁ」

 

 

 >ソロモンは目を丸くしている。

 

 >……心なしか、顔が赤い。

 

 

「……私にそんなことを言ったのは、貴様が初めてだ」

 

「あ、照れてる? あはは、一気に親しみやすくなったなー。嬉しい」

 

「…………本来なら、貴様は即座に殺している。だが、この空間に足を踏み入れた者は例外なく『私の客人』だ。寛大な措置に感謝するがいい」

 

「うん。ありがとう、ソロモン! 嬉しいんだ。貴方とのお茶会、楽しみだったから!」

 

「…………ハァ」

 

 

 >ソロモンは深々とため息をつき、椅子に腰かける。

 

 >その横顔が、ほんの少し寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。

 

 >……彼は何かに気づいたらしく、眉間に皺を寄せた。

 

 

「おい。献上品の数が減ってないか?」

 

「あ、本当だ。ごっそりなくなってる」

 

「……まさか……」

 

『美味なり、美味なり!』

 

「やはり貴様か! 返せナベリウス!」

 

『『『美味なり、美味なり!』』』

 

「貴様らもか!」

 

「ふむ、意外と美味いな」

 

「死にたいようだなフラウロス」

 

「いだだだだだだだだだだだだだ」

 

 

 >…………魔神柱たちとお菓子の争奪戦を繰り広げるソロモンの様子を見守った。

 

 >ソロモンたちと和気藹々とした時間を過ごした……。

 

 

 >一通り、騒ぎも治まったようだ。

 

 >ソロモンは、どこか昏い表情を浮かべている。

 

 

「……我が怨敵」

 

「なに?」

 

「お前は、私が――……いいや、何でもない」

 

 

 >なんだか、寂しそうだ……。

 

 >……今回の茶会では、ソロモンの意外な表情を見ることができた。

 

 >彼の内面に近づくことができたような気がした……。

 

 

 

 運命 ソロモン   RANK UP!

 

 

◆◆◆

 

 

 『誰も気づかぬうちに、いつの間にか2016年が終わりそうになっていた』――(ちまた)はその話題で大盛り上がりとなっている。特に、結婚式を控えていたお調子者の後輩や、会社経営者である同級生兼雇い主が頭を抱えていたか。

 しかし、話はこれだけでは終わらなかった。この事態に関して、何かあったのだろう。義妹のバイト先である人理保証機関フィニス・カルデアが会見を行ったのだ。……行った、の、だが。

 

 

「真次郎さん! 六華が、六華が!!」

 

「何ィ!?」

 

 

 妻の湊が悲鳴を上げた。それにつられてテレビ画面を覗き込んで、真次郎も悲鳴を上げた。

 

 会見場の真ん中にいるのは、体感時間でつい数日前に見送った義理の妹である。最後に彼女を見たときより、義妹の横顔はより一段と逞しく、凛々しくなったように思う。琥珀色の双瞼は、多くの報道陣に囲まれていても揺らがない。

 報道陣からの質問に対し、義妹は粛々と返答する。時折、離れた席に座っていた美女や男性が解答権を奪うように発言しては、何やら難しい内容を口走っていた。勿論、真次郎が理解できるはずがない。頭に大量の疑問符を浮かべているうちに会見は終わってしまった。

 呆気に取られて暫しの時間が経過したとき、突如自宅の電話が鳴り響く。電話に出たのは妻で、電話の主は渦中の義妹であった。妻は迷うことなく電話のスピーカーモードを起動し、真次郎に手招きする。

 

 

「六華」

 

『お姉ちゃん! 私、私……』

 

「――頑張ったのね」

 

 

 湊は柔らかに微笑んだ。その笑い方は、嘗て真次郎の罪を――あるいは恋慕を受け入れてくれた時と同じ、慈愛に満ちたものだった。

 

 正直な話、フィニス・カルデアが開いた記者会見を見ていても、何があったのかを理解することは不可能だった。特に、頭はそんなに良くないと自負している真次郎では、さっぱり事態を把握できない。

 けれど、そんな真次郎でもわかることは1つある。有里六華は“何か”を成し遂げたのだ。嘗ての湊が影時間をなくすための戦いをやり遂げたように、六華も戦い抜いたのだ。失われた時間(2016年)は、六華の中にきちんと積み重ねられている。

 

 ならば、自分たちがかけるべき言葉は。

 戦い抜いた少女にかけるべき言葉は。

 ……難しく考える必要など、なかろう。

 

 

「頑張って、頑張って、やり遂げたんだよね。……偉いよ、六華」

 

「……おう。よくやった」

 

 

 スピーカーの向こう側で、ひゅっと息を飲む音が聞こえてきた気がした。幾何かの沈黙ののち、震える息遣いが零れてくる。

 頑張ったのだろう。歯を食いしばって、色々なことを耐えてきたのだろう。――それらすべてが、決壊したらしい。

 

 

『……うん。……うん……!!』

 

 

 涙で滲んだ声が、スピーカーから響いてきた。それに混ざるようにして、六華はぽつぽつと語り始める。『詳しいことは機密に係わるから言えない』と前置きして、だ。

 沢山の出会いがあった。沢山の別れがあった。湊と同じように、沢山の絆を紡いできた。そうして、駆け抜けた。――六華は声を震わせながら、言葉を紡ぐ。

 六華が落ち着いたのは、時計の針が2周ほど回った後であった。一息ついた六華は、今後の予定――いつ日本へと帰国するのか――を話し始める。

 

 どうやら、彼女は事後処理が済み次第日本に帰って来るらしい。時期的に、卒業式に参加するので手一杯になりそうだ、とも。

 

 

「お前、進路はどうするんだ?」

 

『このままバイト先に就職するつもりなんだ。どうしても、ここで働きたくて』

 

「そうか……」

 

 

 六華の過ごした2016年に何があったのかを知る由はない。けれど、その中で、六華は自分の行く道を決めた様子だった。流石は湊の妹である。姉妹揃って『はねっかえり』だ。

 手のかかる妹分だとばかり思っていたのだが、彼女の成長は早かった。なんだか感慨深い気分になる。真次郎がほぅ、と息を吐いたときだった。

 

 

『うぇぇぇ~ん、六華ー! マシュに殴られた上に、怒髪天のランスロットから宝具喰らった~! 慰めて~!』

 

『綾時、またマシュをナンパしてたの!? この前は清姫をナンパして焼き払われたのに、本当に懲りないね。いつかアイギスに撃ち殺されても知らないよ』

 

「おうちょっと待て綾時。お前なんで六華のバイト先にいるんだよ!? しかも、なな、ナンパだなんて、そんなふしだらな真似を……!」

 

『カルデアは美人さんが多いからね!』

 

 

 受話器越しにいるであろう綾時は、きっといい笑みを浮かべているに違いない。湊の人たらしを受け継ぎ、且つ、本人が女の子大好きな性格だからであろう。彼の姿を鮮明に思い浮かべることができたのは、それなりに付き合いが長かったためだ。

 綾時の特異性については、湊から聞いている。死を司る存在ニュクスが、湊の中で封印されていた結果、人間性を持って顕現した姿だ。ニュクス封印と共に消え去るはずだった彼だが、本人でも説明不能な事態に陥って、現在は『人間の側面を強く押し出した存在』として生きている。

 そんな奇跡を起こした張本人こそ、微笑ましそうに六華と綾時の話に耳を傾ける湊だ。朗らかに笑う彼女の姿から、彼女が世界を救った救世主であることを察する者などいないであろう。かくいう真次郎も、一時期共に戦ったことがあるにも関わらず、信じられなくなることがあった。閑話休題。

 

 元々死を司る存在――もとい、人外だった綾時だ。失われた2016年でもしぶとく生き抜き、六華の元に馳せ参じて力を貸したのだろう。湊が愛する妹は、綾時にとっても大切な相手である。そう考えると、綾時がカルデアにいることに関して、違和感は感じなかった。

 

 六華が家族と電話している姿を見たのか、背後が何やら騒がしくなってきた気配がする。六華や綾時の会話に紛れて、時折人の声が聞こえるのがその証拠だ。

 双方ともに、フィニス・カルデアなる組織でも、周りの人間と絆を紡ぐことができたらしい。真次郎は湊に視線を向ける。妻は我がことのように胸を張り、微笑んだ。

 

 

「そうだ、六華。卒業式が終わった後、特別課外活動部のみんなでパーティする予定なんだ。参加する?」

 

『本当!? したいしたい! あ、カルデアでできた友達と、恋人も連れってってもいいかな?』

 

「恋人!? おいちょっとまてどういうこと――」

 

「OKに決まってるじゃん! ね、紹介してよ!」

 

『うん! あ、そうだ。就職の件で伯父さんにも報告しておかなきゃいけないかなぁ』

 

「わかった。藤堂さんにも連絡してみる」

 

「待てコラ! 恋人って何だ、おーい!!」

 

 

 雑談は面白い程に続き、話が終わったのは時計の針が3周回った後だった。久々に聞いた義妹の声に、夫婦そろって安堵する。

 

 有里六華の旅は、ひとまずの終わりを迎えた。けれど、有里六華の人生は、これからも続いていくのだろう。荒垣真次郎と荒垣湊の人生が、これからも続いていくように。

 7年前の旅路を思い出す。限りある未来を守るために戦い抜いた少女の背中が浮かんでは消える。誰からも愛された少女は、罪深い男の運命すら変えて見せた。

 

 世界は続く。未来は続く。

 ああ、それはなんて、幸福な――

 

 

***

 

 

 ――さて。

 

 六華の卒業式は滞りなく終わった。生徒会長としての最後の仕事を全うし、後釜である天田乾に後が託された。

 嘗ての放課後特別活動部の面々と、六華の伯父である藤堂優也や彼の上司である南条圭らも加えてのパーティが開かれた。

 六華は真次郎の斜め右の席――湊の真正面に座っている。……では、彼女の周囲に座っている面々を確認しよう。

 

 右隣に座る少女――六華の後輩であるマシュ・キリエライトを除いて、みんな男ばかりだった。しかも、誰も彼もが彼氏面で座っている。

 六華は「恋人がいる」と言っていたし、姉そっくりで一途な気質だ。複数の男と関係するなんてことはあり得ない。絶対にない。

 

 では、誰が恋人なのだろう。真次郎は男たちを見つめてみたが、まったくもって判別できない。

 

 彼氏面が1人。

 彼氏面が2人。

 彼氏面が3人。

 彼氏面が……だめだ。頭が痛くなってきた。

 

 

(義妹よ。お前は何人攻略してきたんだ)

 

 

 義妹もまた、湊と同じ「人間タラシ」だったことを思い知り、真次郎は天を仰いだ。

 

 




クロスオーバー先:『ペルソナ3ポータブル』(P3P)

有里(アリサト) 六華(リッカ)
学力:天才
魅力:美しき悪魔
勇気:漢
アルカナ:太陽
<所持ペルソナ>
・タナトス
・メサイア
・ソロモン(六華の固有ペルソナ)


コミュランク:全MAX
※「誰か」1人のみと“特別な関係”になっているが、第3者には「誰か」がよく分からない状況にある。
・刑死者(試練、忍耐、献身)⇒マシュ
・隠者(沈黙、静穏、内省)⇒ロマニ
・運命(チャンス到来、大きな変化、一時的な現象)⇒ソロモン(ゲーティア)


ペルソナ能力は疑似夢幻召喚(インストール)扱いになりそうだなと思います。
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