東京永年戦争   作:人世一夜

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ここまで読んでいただきありがとうございました。
これが最後です。もし続編や新たな作品を投稿する時がありましたら、またご愛読ください。




千葉、消失

 

「ふふふ……ふははははははははっ!!」

 

「あらぁ? どうしたんですか、ついに壊れちゃいました? 絶望するしかない状況に」

 

 えみるの言うとおり、ユージの味方は誰もいない。強いているとすれば倒れているアヤのみ。どこへ逃げようとも、えみるは追ってくるに違いない。しかし、出血多量で今にも死にそうな状態でもユージの心は愉快だった。彼は言い放つ。

 

「あぁ!! 俺は数々の出会いと運命の最中で生きることができて、全くこれほど幸せなことはなかった!! ありがとう、運命。ありがとう、この世界よ!!」

 

 そう、もうユージに、この世界を見ることは数分とできなかったのだ。あと残り少ない人生の中、彼は表情をニヤリと笑わせた。えみるが間を置いて口を開く。

 

「それが、あなたの最後の言葉ですか?」

 

「あぁそうだ……だが、ただでは死なん。――この千葉も道連れだ」

 

 ユージは全身に力を込める。すると、みるみる内に辺りへ影響を及ぼしていく。瓦礫が浮かび上がり、これはまるで、この場所一帯が浮力を得ているようだ。

 

「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

「これは……まさか」

 

 重力を反転させている。このままでは千葉が上空へ吹き飛ぶ。いや、それがユージの狙いだ。恐らく範囲外は半径数十キロ。もう逃げようにも間に合わない。

 

「気づくのが遅すぎたな……既に力は溜まっている。流石にヒーローも大気圏の摩擦熱は耐えられないだろう? まぁ、逃げられたところで千葉が消えてなくなるに変わりはない」

 

 空を見上げるユージ。これまで彼は他人のことを思い遣りすぎた。だが、これで解放されるのだと彼は思った。もう他人を考える必要はない。自分の欲を露わにしても彼に文句を言う他人は、彼の前にいないのだから。

 

(そういえば、自分の私欲を考えたことはなかったな……)

 

――もし、今叶えたい欲があるとすればなんだ?

 

 ふと、考えてみると、答えはすぐに作り出された。

 

(あぁ……俺は)

 

――ヒーローに成りたかったんだったな。

 

 それは子どもの頃、彼が最初に憧れた存在。歳を重ねるごとに少しずつ連れて消えていった存在。『ただの戯言か』と、ユージは自分の夢を鼻で笑った。

 

「さぁ、終わりにしよう……対ショック体勢でもとっておけ、クソ幼女」

 

 えみるは傘を畳みながら。

 

「ごめんなさい。素敵なあなたと地獄へランデブーしたいところですが、私はまだ死ぬわけには行かないんです。それではごきげんよう」

 

 その場から背を向けるえみる。無様だな。逃げられるわけがないというのに。

 

「……ふん、勝手にしろ。逃げられるものならな、はぁっ!!」

 

 千葉は、浮上し始める。その光景はまるで、巨大な空中都市のように優雅な遊覧飛行だ。その分、浮上するときに掛かる重力も恐ろしいは恐ろしい。えみるが潰れる前に、ユージが潰れてしまいそうだ。

 

(すまない……リョータ、俺がお前の面倒を見てやれるのはここまでだ。死ぬなよ――俺の身も心も救ってくれた最高の戦友。生き延びて、俺の成れなかったヒーローにお前がなるんだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数時間後のこと。

 

「あっ、流れ星」

 

 誰かがそう言った。願いを叶えてもらおうと、祈る者もいた。恐らく、千葉が消失したことに気づく時には、驚くだろう。たった一人の破壊神が、都市を大気圏に持って行き、大勢力千葉を滅亡寸前まで追いやったなんて知ったら。しかし、それを知る者は決して現れない。なぜなら、彼の姿を見た者は数少ない。千葉で知る者は指導者のえみるくらいなものだ。

 流れ星はやがて、まれにも見ない流星群となって夜空を着飾る。そして、誰かが言った。

 

「罪なきヒーローが死んだ」

 

「えっ?」

 

 名も知らない誰かはこう語る。流れ星は、生命が儚く散るときに出す光だ。きっと頭上ではたくさんのヒーローが浄化され、ここに新たな生命として誕生するのだ、と。

 彼は何の根拠もなく流れ星を見てそう言ったに違いない。もう一人の誰かがそう思っていると、信じざるを得ない出来事がすぐに起こった。

 人間が空から降ってきた。

 彼は一つも驚かず、哀れだとばかりに悲しい顔で言った。

 

「なんということだ。彼女は生きていたから、流れ星として流れる彼らとは一緒になれなかった。だが、それだけ彼女はこの世に未練があるのだろう。しばしの間俺たちで保護しようではないか」

 

 そう集まる顔面に彼女の救護を任せる。落ちてきた彼女は、何かを呟く。どうやらリーダーらしき彼には聞こえていないようだった。

 

「さぁ、始めよう――ヒーロー撲滅プロジェクトを」

 

 千葉が消失。戦争はそれで終わり。だが、それが東京永年戦争の完全な終止符にはならなかった。

 全てはここから始まる。

 

 

 

 東京永年戦争――END。

 

 

 

 

 

 




長かったですねぇ~。
それにしては、連載期間が本当に少ないと後から実感してしまいますwww

まぁ、確かにわずか二千文字ですからね。
他の人は一万文字とか少なくとも八千文字は普通に書いているのでしょうか。

う~(;_;)

そんなに書いている時間がないです。
でも、そんな俺はできるだけ濃密なストーリーにこだわりぬいたつもりです。
唯一の後悔は、なんでユージとリョータの過去話を最後に持っていってしまったのだろう、ということぐらいでしょうか。

こんどはもう少し繋げ方を考えて投稿していきたいなぁ。
そんな次の作品への向上心が湧きました。

それでは、最後になりますが、(前回の後書きで既に感謝とお礼は済んでいますが)ここまでのご愛読ありがとうございました。この作品は俺も大好きなので、また書くかもしれません。
その時に、原作ファンの方はまた会いましょう。

それでは、またどこかで。
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