エースは仲間たちと共に、海の亡霊について再度調べていたが、これといった成果は無かった。
そんな折、彼の前に「高木 雄子(高雄)」が現れる。
警視庁捜査一課の女性刑事である彼女なら、何か知っているかも? とエースは彼女に海の亡霊の情報を聞いてみる。
高木は、海の亡霊が高確率で実在していること、人類に対し敵意があり最近になって国を滅ぼし回っていること、そして軍事兵器を研究する裏組織があること、それらが事実とすれば「国が何事かを裏で画策していること」をエースに伝える。
エースは高木にお礼を言うと、榛名たちに情報を共有するために一度拠点に戻ることにした。
──その裏で、何者かが目を光らせていることを知らずに。
──アメリカ ホワイトハウスにて
「…では、今回はこれまでだな」
「うむ。アレックスよ、わざわざワシ何ぞの頼みを聞いて貰えた事、感謝するぞ」
「それはこちらの台詞だ。お前には戦場で返しきれん貸しがある。ジュロータ…すまんな? こんな事でしかお前を助けられんで?」
「何、お互い様と言うことじゃよ?」
十郎太が席を立ち、ドアを開けて出て行こうとする。すると、ブラウン大統領は思い出したように言葉を投げた。
「そういえば…シンゴはどうしてるね? 最近はこちらが呼びかけても中々出なくてな?」
「………」
「ジュロータ?」
「…っふう、そうじゃな? ワシも恩を受けたなら返さねば」
十郎太は意味深に呟くと、ブラウンに向き直る。
「…春野晋五首相は「有事」に巻き込まれておられる。そういうことじゃ」
その言葉にハッと目を開き、憂いを帯びた眼差しに変わる大統領。
「…そうか、奴らか?」
「分からん、証拠が無いのでワシにも手が出せん。…すまん、余計な心配はさせたくないと思ってな?」
「構わんさ? …しかし、お互いに厄介なことになったな?」
「うむ…ワシはこれからこの情報を持ち帰り、子供たちに聞かせようと思う」
「…聞かせてどうする?」
「彼らに委ねるさ? 既に世界はワシらから離れておるだろうからの? これは彼らが向き合って然るべきだ」
「…そうだな? 少しくらい息子を心配してやったらどうだ?」
「ん? これでも心配しとるつもりなんじゃが?」
ガハハ! と笑う老兵に思わず釣られて笑う大統領…しかし程なく、冷徹な面持ちになると話を切り出す。
「…気をつけろジュロータ。奴らが本格的に動いたとなれば「予兆」が出た。ということだ」
「っ! …やはり、そう思うか?」
「ああ…最初は「記憶」、その次は「変異」。もう息子さんの仲間に予兆が表れているやもしれない…その「前」に、奴らは姿を見せる筈だ」
「…うむ、それも伝えておこう…じゃあの?」
大きな音を立てて、乱暴に閉まるドア…大統領は友のいた空間を見つめ、世界の明暗を思慮する。
「…あの戦いに参加していたのは日本国だけではない。我が国も…となれば、私も本腰を上げて探さねばならない…」
”そして、恐らく”…と、大統領はそれ以上何も言わずに、ただ物思いに耽る。
「…っはぁ、面倒なことになったのぉ…?」
頭を掻きながら、父は一路日本へ…彼が見聞きした事柄とは…?
・・・・・
一方、所変わりここはある晴れた日の小学校。
「…潮音? アンタ、アタシに何か隠し事してるでしょ?」
「ふぇ!?」
校舎裏に呼び出された潮音。クラスメートの明里から事の次第を聞かされていた。
「な、何も隠し事なんて…」
「うそ」
「う、ウソなんて…ついて……ないし…?」
「…………」
「………;;」
目鼻立ちがくっきりとした、将来は美人になることが期待できる、潮音の友人である明里。そんな彼女の眼光は鋭く、見つめ合うだけでも目力で圧倒されてしまう。
潮音は少し困っていた。確かに彼女とは家も席も隣同士、幼いころからの付き合いだし、本当はこんなにコソコソとしたくない…しかし。
「(言っても信じないよね…絶対…;)」
実はつい最近「艦の夢」を見るようになって、それを見たのは私だけじゃなくて、仲間たちと一緒にそれについて調べていたら国が何か隠しているらしい。今は彼らと一緒にそれについて調べてる。…と、そんなこと言おうものなら「は?」の一言で片づけられてしまいそうだ。明里ちゃんは昔から「上から入る」からなぁ…と潮音は思った。
「潮音、アタシたちは友だちよ」
「も、もちろん」
「だったら…隠し事は無しよ?」
「で、でも……信じてくれるか、不安で…?」
「何? アタシたちの友情ってその程度だったの?」
「っ!? 明里ちゃん…」
明里は強い口調を作るが、これは彼女が潮音の行動を読んでいるから。こうやって頭ごなしに言えば、必ず折れて話してくれるはずだ…その後幾らでも謝ればいい。
伊達に一緒には居ない。彼女が目に見えて不安そうな顔をするようになったのはここ最近。付き合いの無かった「あの優等生」と連(つる)み始めたのもここ最近…もし何かあるなら、自分にも相談してほしい。それが、明里の素直な気持ちだった…だが。
「…あ、明里ちゃんのそういうところ、私…嫌い……!」
「っ! 潮音…!」
潮音は明里に真っ向から対立する、普段のおどおどした彼女からは見られない芯の強さだった。潮音のこの行動の真意は、彼女を自分たちの事件に関わらせたくないから…友を思う優しさ故の衝突であった。
「どうして…そういう風に言えば、私が何でも話すって思ってるの!?」
「潮音、ちょっと…」
「私は平気だって言ってるのに! どうせ自分の思い通りにいかないのが気に入らないんでしょ!!? そんなことばっかり言ってるから皆から怖がられるんだよっ!!!」
「っ!! …な、何よ…! そこまで言う必要ないじゃない!? この乳デカ女ぁ!!」
「うるさい!! もう黙ってよぺちゃぱい女!!!」
「はぁ!!? 人が心配してやってるのにその言い草は何!? もう勝手にすれば?!」
「うるさいうるさいうるさい!! もう…ほっといてよおぉ!!!」
口論がヒートアップし、つい激昂した潮音は明里に向かい手に持っていた筆箱を投げた──その時。
──パァンッ!
「…え?」
砂塵が舞い、その瞬間明里の頬を何かが掠める。あまりの速さ故か、音もなく放たれた何かは後ろの大木に「着弾」、風船が割れるような破裂音と共に、突風が巻き起こる。…アレは潮音の「筆箱」だった。
筆箱はそのまま爆発四散し中身も"粉微塵"になる。…大木には、おおよその力では考えられない「深い傷」が、少女の腕により抉り付けられた。
「………何よ…アレ…?」
明里の顔色は真っ青になる。悍しいものを見たように目を見開き、震える唇で現実を否定した。
アレをまともに受けていたらどうなっていたか、その現実を──
「…うそ」
潮音もまた自分の仕出かしたことを受け入れられず、唯の棒立ちになっていた。
そして、当然のように明里は一言。
「…"化物"」
「っ! …違う、ち…がう…私は…化物じゃないもん!!」
明里の言葉に酷く動揺し、それを強く否定するように潮音は大地を踏み付けた…しかし。
──ズゥンッ!!
「…っ!?」
重く轟音が鳴り響いた後、彼女の足の真下には、まるでクレーターのような「衝撃跡」が。
皮肉にも、少女の子供らしい行動の全てが、彼女が「逸脱」した存在になってしまったことの証左となった。
「っ!! …あ、か……りちゃん…?」
絶望──潮音は明里に助けを求めるように恐怖と涙に震える顔を向けた。
少女を友と豪語した明里、彼女は──
「………っ!!」
逃走。人として当然の本能であった。
「………」
立ち尽くす潮音。辺りには凄惨な光景が静かに広がっていた…。
暫くして、その後ろから初花が近づいて来る。
「潮音ちゃんっ!? どうしたの? 何があったの!!?」
「…初花ちゃん」
声に振り向く潮音、その顔は涙でぐしゃぐしゃに崩れていた──
「…どうしよう、私…「化物」に…なっちゃった…!」
「っ!?」
「う…………ううぅ……うわあああああああああああああ!!!!!」
その場に座り込み、泣き崩れる潮音。初花は彼女を案じながら冷静に分析する。
「(これも…記憶の弊害なの……?)」
冷静に状況を分析する初花。…しかし、彼女にも答えが出るはずがなく、泣き喚く潮音をただ見つめるしかなかった…。
・・・・・
「っく…」
歯を噛みしめエースは目の前の男を睨む。
舞台はいつものマンション…しかし、その剣呑な雰囲気から和やかな日常とは一転していることが理解できる。
エースは、マンションに戻るや否や「得体の知れない男たち」に拘束され、そのまま榛名たちと無理やり座らせられ並べられている。
黒服の人物たちによって背中に銃を突きつけられ、取り囲まれていた…隣には榛名、フォックス、アトラス、龍美、利子、そして酒匂、雪に菊、北上、日向。
…そして、彼らの目の前にはソファに腰掛ける中年の白衣の男性、その周りには二人のローブの人物が。
「……」
二人の背は平均的な男性のそれと比べ低く、ローブから覗く顔は幼く見える…少年、或いは少女か?
一人の人物からは腰まで伸びる煌びやかな銀髪が見えた、女性だろうか? と考えるエースを中年男性が遮る。
「…ククッ! それにしてもしてやられました。たかだか餓鬼のお戯れに数か月も及んでしまうとは…いやはや、無駄な時間をよくも取らせましたナァ?」
「…アンタは?」
エースがそう言うや否や、後ろに控えていた男が目を光らせた…「お前たちに発言権は無い」と無言で訴えている。そんな男を中年男性は片手の一仰ぎで制止する。
「裏で色々調べてたみたいデスけど? 我々もそこまでお暇ではありまセンので? こうして「完成品」を受け取りに来た次第デスよ?」
鼻に付く物言いで嫌味たらしく言う男、ふと思い出したように紡ぐ。
「あぁ~ン忘れてましたぁン? 私は「関 四郎(せき しろう)」と言うモノ、宜しくどうぞ?」
にんまりと気味悪い嗤いを浮かべる、本来笑顔は相手に友好を示すもので然るべきだが、この男のそれは「薄っぺらい」ただの意味のないものだ。とエースは思った。
関四郎と名乗る男は、この場にいる者に対し宣戦布告する。
「ここまで関わってしまったのデスから、全員無事で帰すつもりはありまセン…目標を回収次第「消しマス」のでそのつもりで? ああ、無駄な抵抗を考えないよう。例えそこの黒服たちをどうにかしても、彼女たちが貴方たちをくびり殺しマスので?」
関四郎は左右に控えさせたローブの少女(?)たちを指す。エースは首を傾げる「何故彼女たちが?」、そういう暗殺術でもあるのか? と考えていた…と、そんなエースの隣から声がする。
「お前ら、一応ソイツの言う通りにしとけ。下手に動いたら…ソコのローブのヤツらが何するか分からねえからな?」
フォックスの言葉に息を呑む一同。彼がそう言うということは、彼女たちについて調べがついていて、関四郎の言う通りだということ。
「…だが煮え切らねえな? 結局お前ら何者だ? 政府か裏世界の人間か、はっきりと口にして貰わねえと、今時の若者にゃ通じないぜ?」
こんな状況だというのに、フォックスは不敵な笑みを浮かべる。だが絶体絶命な場面なので、その肝の座り様は頼もしかった…。
そんな彼の考えを見透かしてか、関四郎は言葉を投げた。
「お〜っとぉその手には乗りませんよぉ? ミストフォックス、裏世界でも名を馳せる貴方。貴方の前でうっかり喋るなぞ? とても出来ゃしませぇん?」
「…ちっ」
「まぁ貴方がたの大方の予想どおり…とだけ言っておきマス」
「…っ!?」
つまり…目の前の男は「政府関連」で、榛名を使って何事かを画策している…ということか?
エースの思案する様子を見て、関四郎は鼻を鳴らす。
「フン、何か勘違いしているみたいデスが…これは貴方がたの理解出来る範疇を軽く凌駕していマス。知らずにいた方が楽だというのに、わざわざ自らを窮地に追い込むとは…いやはや! お馬鹿チャン此処に極まれり! ってとこデスねぇ~?」
…確かに分からないことだらけだ。ならば"試しに質問してみよう"、コッチも色々訳が分からず困っているし…? エースはそう思うと、大胆に言葉を口にする。
「…そこの娘たちと榛名には、何か関係があるのか?」
「…コイツッ!」
「ヨイデス! …ふぅんまぁいいでしょう? あぁは言いましたがどうせ全員始末するのですカラ?」
何より私の気分がいいからネ! と四郎はエースに彼女たちの素性を明かす、しかしここから事態は、男の言う通り「計り知れない」ものへ変わっていく。
「察しの通りデスよ? 彼女たちは貴方がたが榛名と呼ぶモノと同類デス」
「…さっきっから聞いてると、榛名をまるでモノって言うけど、榛名はモノじゃないぞ?」
「エースさん…」
「フフンッ! では…彼女は私が「造った」…と言ったら?」
「…は?」
四郎の言わんとする意味が分からず思わず呆気に取られるエース。彼は榛名を──
「──造った、だと?」
「イエース! ホラね? 君たちがどれだけ調べようとも、この世の中には君らの常識を超えるものなどゴマンとありマスよ? それこそ「化身」みたいな…ねぇ?」
「(…「化身」?)」
そのワードに妙な嫌悪感を覚えるエース。彼の言う「化身」とは…?
「──化身」
エースに回答を与えたのは、他でもない「身内だった」。
「フォックス…?」
「艦の記憶の保持者の総称。本来は「生まれついて」成るモノだが、生体実験を繰り返し、お前らは「人口的に」化身を造り出すことに成功した…」
「ほぉう、矢張り調べてマシタか…?」
「フォックス君…?」
龍美も信じられないといった具合に、驚きの表情で彼を見つめた。
「お前、それはどういう…」
「この場にいる人造化身は、榛名、お前らの手駒二人、そして……」
フォックスはある人物たちの方向を見やる。その先には──
「酒匂ちゃん…!」
酒匂、雪、菊の三人が「そうである」と、彼は言ったのだ──
まさかの発言に困惑するエースたち、しかし一番戸惑っていたのは当人たちだ。
「…ぴぇ? どーいう…こと?」
「………っ!」
「…あう……?」
「おーぅ! いやいやいや、まーさかぁ! どこかで見覚えがと思ったら…数年前に脱走した
「お、おい…冗談だよな? なあ、フォックス…?」
「………」
問いかけるも、フォックスは返答はしない。酒匂たちも混乱している様子だった。
「ぴゃ…そんなこと急に言われても……分かんない…よぉ」
「しらばっくれるのデスかぁ? それとも記憶がトンだか…何にしても、これで思い出しますか?」
四郎が指を鳴らすと、側にいたローブの人物の一人が、ローブのフード部分を取り顔を見せる。
端正な顔立ち、青い瞳、輝く銀髪…それらの要素から「少女」であると断定出来たが…彼女の顔はどこか機械的で、まるで魂が抜け落ちていた。男の言う通り、造られた美しさがそこにあった。
一番目を引いたのは、彼女の頬に刷られた「ナンバーコード」…黒色の数字が彼女たちが「モノ」であると知らしめていた。
「……っ!」
「思い出しましたかぁ? ナンバー8、ナンバー29、そしてナンバー28?」
その時、三人の頭の中では「記憶の反流」が渦巻いていた。
──切り刻まれる四肢。
かき回され続けた頭の中。
疲弊しきり、なお止まらない実験、実験、実験。
──それらは、彼女たちの深層心理に深く刻まれていた。
「………ッ!!!」
呼び覚まされた記憶…その瞬間、三人の顔はみるみる内に青ざめた。
「あぁ………あああ……ッあああああああああああ!!!!!」
「っ!? 雪ちゃん! しっかりして!!」
「…っ! そうだ…私たちは実験体で…あの地下の部屋で…わ…私……は……っ!?」
何がそうさせるのか、雪は突然泣き叫び、菊は絶望に打ち拉がれていた…エースたちもあまりの変わりように、心配の目を向ける。
「雪ちゃん…!」
「ック! 五月蝿いデスねぇ…ま、良しとしまショウ! 何せ私の手元に彼女が戻るのデスから!」
「……ッチ!」
彼女たちの顔を湛える絶望、エースはその光景に狼狽し、フォックスも悔しそうに舌打ちするしかなかった…その時渦中の「彼女」は。
「(皆さん…私は…!)」
彼女たちの苦しみを「拭いたい」…榛名は一人、そう思うのであった…。
〇磁石
隼子「うひひ~ぃ! ちょっと酔いが回ったかなぁ~~~ん?!」
妙子「もう隼子…はい、お水」
隼子「お! 気が利くねぇ? …ってこれ水やないかーい! さぁけもってこーい! (≧∇≦)」
妙子「うふふ…もう」
青子「うーむ、こうしてみると本当に性格が真逆ですよねぇ?」
妙子「そうでしょうか?」
青子「ええ! と言う訳で何故そこまで仲がいいのか、是非! (インタビュー)」
妙子「え!? えっと…私、よく真面目過ぎるって言われて」
青子「ほおほお」
妙子「それで同期の隼子は、よくお酒を飲むし、仕事サボるし、自分に正直というか」
青子「なるほど」
妙子「それをお酒の席でお互いの事を言い合っていたら「アタシらまるで反発の磁石だな!」って隼子が…その表現が面白くって、お腹を抱えて笑っちゃって」
青子「…」
妙子「それ以来私たちはよく話をするようになって、まぁ言わばお互いにない個性に魅かれたといいますか…」
青子「それだけ?」
妙子「…え?」
青子「記事にするにはインパクトが足りませんねぇ? 更にそんな固い物言いは文章を飽きさせるものに変えてしまっています、駄目ですね!」
妙子「(グサッ!)うぅ…どうすれば良いのですか?」
青子「まずは…」
隼子(妄想)「オレ、お前の事嫌いだと思ってたのに好きになっちまったZE」
妙子(妄想)「隼ちゃん…(キュン♡)」
青子「…とこのように最初は嫌い合っていたけどいつしかお互いを意識し合う…だったら面白いんですが!」
妙子「あぁ、そういう恋愛関係? ですよね。私が言ったらアレですけど…それはゴシップ記事というのでは?」
青子「いやいや世の中ゴシップだらけですから! このぐらい許されますって! (青子調べ)」
妙子「はあ…? っていやいや」
隼子「んなアホな(シラフ)」
※反発が引き合いに変わった瞬間であった。(オチは無い)