エースたちは深海棲艦から国を守るべく、人知れず戦う道を選ぶ。
エースと榛名たちは、今日も海上哨戒任務を遂行していた…その時艦隊の目の前に、海の上に立つ「謎の人物」を捉える、そしてその者は…こちらに向かって来ていた。
敵か味方か、謎の人物の正体とは…?
エースが艦載機上空よりの映像から見た光景、それは深海棲艦ではなく、榛名たちの仲間でもない「人影」が海の上からこちらに向かって来る。
…が、その人影は単独ではなかった。よく見ると先頭を疾る人物の後ろから追随するように二人の人影が。上空からの撮影では、青い海に人影が溶け込んでどのような人物かは判別出来なかったが?
「こちらエース、艦載機による映像から三人の人物がそっちに向かっていることを確認した。見えるか、榛名?」
『はい…まだ遠いですけど、どんどん近づいて来ます』
『…敵、なの?』
龍美は心の内から這い上がる不安と恐怖を短く表した。エースは冷静に三人の人物を特定するため、艦隊メンバーに聞き込む。
「菊ちゃん? どうだ何か見えるか?」
『菊ちゃんではない。…ふむ? 先頭の奴は背が高く、髪を上に一纏めにしている。服は青の迷彩服、軍隊のつもりか?』
菊月は隊列の一番後ろで、見張り員のような役割を果たしていた。彼女の報告は人物の特徴を仔細に捉え、かつ簡潔な説明だった。
『後ろからの二人はまだぼんやりしてるが、左が長い黒髪、右が銀の短髪に見えるな?』
『ぴゃあ! 酒匂も見える! お肌は綺麗な肌色、絶対にシンカイの人たちじゃないよ!』
菊月に続き酒匂も詳細を教えてくれる。二人の報告を聞いて一先ず安堵するエース。
因みに話を替えると菊月と酒匂の二人は、あの関四郎と化身たちの戦いにも駆り出されていた。
菊月、酒匂、長門、日向、北上、妙高。…万が一化身、又はそれを乗せた護衛艦が元の母港に戻るならば、そこに待ち伏せした彼女たち「第二部隊」が榛名たちと挟み撃ちの形で包囲網の構築を考えていた。尤も、アクシデント(深海棲艦)の発生によりお呼びは掛からなかったが?
今回は長門と北上の代わりに、榛名と龍鳳を配置した隊列となった、そこに偶然にもまたアクシデント、雪辱を遂げることは出来るか?
エースは聞き込んだ情報を元に、向かってくる謎の三人について予測する。
「なるほど…ということは向こうも艦娘なのか?」
『まぁ! そうでしたら私は仲良くなりたいです!』
『……そうだな?』
何故他の艦娘がこの場にいるのかはさて置き、妙子が向こうに好意的な態度を示す中、日向はどこか懐疑心が見え隠れしていた。エースは彼女の人を見る目を理解した上で尋ねる。
「日向さん、どう思う?」
『……うむ、矢張りあちらは少なくとも我々に対し「敵意」がある…と見ていいだろう』
『…っ!?』
日向の言葉に、艦隊に衝撃が走る。榛名が改めて問い質す。
『日向さん、何故そう思われるのですか?』
『…殺気だ。奴らは殺気を纏っている、しかも疾りに迷いがない、迅速な行動で我々を殺せるという、確かな自信を持っている』
『ひっ…』
日向の一言は龍美には刺激が強いのか、少し身体を震わせて怯えていた。比べて酒匂はちんぷんかんぷんといった表情だ。
『ぴゃ? なんでなんで? なんでコロすの??』
『分からん…しかし向こうに話を聞く姿勢が見当たらない以上、警戒は厳とした方が良い』
日向の意見具申に一考するエース。何にせよ彼女たちが何者か分からない以上、こちらから仕掛ける訳にはいかない。
「…日向さん、彼女たちを止めることは出来る?」
『司令塔(真ん中)を潰すか、或いは…こちらも"その気でいく"かのどちらかだろうな?』
彼女の意見もごもっともだが、後者を選択したらそれこそ殺戮兵器であろう。しかして前者も上手くいくとは思えない、エースは上空からの映像を見る、三人の位置取りは正三角形を描いて見事に隊列を維持している。それらから彼女たちは「組織的な行動」に慣れていると感じるエース。司令塔を潰そうものなら横の二人からカウンターを喰らうだろう。
「…何にしても、こっちから仕掛けたら駄目だ。先ずは彼女たちに近づく、その反応からどうするか決める。でも…十中八九「戦いになる」から、気を引き締めて臨んでくれ」
『了解です!』
榛名が高らかに返答すると、艦隊は謎の艦娘たちと対峙する。果たして…?
・・・・・
──Start our mission.
"謎の艦娘たちと交戦せよ!"
…榛名たち艦隊の前に、謎の艦娘たちが姿を現した。菊月の言ったとおり青い軍服に身を包んだ美麗な少女たち、あれは確かアメリカ海軍の軍服に似ていると感じたエース。
先ずは話しかけてみる、榛名は率先して謎の艦娘たちに呼びかけた。
「…すみません! 私たちは艦娘といって、貴女たちと敵対する意思はありません! どうか私の話を聞いて下さいっ!!」
──しかし、榛名の呼びかけも虚しく、司令塔と思しき真ん中の少女が手を捻った短いジェスチャーで「突撃」を指示する。
「っち! やはり説得は無意味か!」
菊月は「やられる前にやる」の精神で、手にした単装砲の引き金を引く。
「駄目です、菊月さん!」
「文句は奴らに言え!」
菊月は彼女たちの足元に、砲弾を射出しお見舞いする。威嚇射撃だ、爆発音と共に水柱が立てられた…しかし。
「(ピッシャア!)…っな!?」
水柱から数本のワイヤーが伸びたかと思えば、菊月の腕に巻きついた。まるでこうなると予期していたかのような、数秒の内の出来事。
榛名を旗艦とした艦隊は、突然の出来事に対応出来ず、そのまま腕にワイヤーが絡まった菊月を置いていってしまう。
「っぴゃ!? 菊ちゃん?!」
酒匂の叫び声が響くも、艦隊運動は「急な方向転換」は出来ないもの。遠ざかる菊月を見ているしかない榛名たち。
「…甘い」
その時、長い黒髪の少女は規格外の身体能力を発揮する。水柱の壁を突き破ると瞬時に菊月の真横を捉え、右脚の蹴りを喰らわせようとしていた。
「…っく!?」
「菊月さん!!」
「──させるか!」
抜刀一閃。日向の腰に携えた刀は瞬間、菊月に巻きついたワイヤーを斬り裂いた。日向は事態を考え「単独行動」を試みていたのだ。
「…っ!」
目を瞠った黒髪はそのままバックステップし後退、謎の艦娘たちは一旦距離を置くように旋回し滑っていく。
「やれやれ、あれほど警戒しろと忠告したはずだが?」
「くっ……悪かった」
菊月が早計であったと認めたところで、榛名たちは大きく旋回し菊月たちと合流した。…しかし引くに退けない状況となってしまった。
エースは艦載機の映像で彼女たちの戦いを見ている。菊月が砲撃した瞬間、右の銀髪の少女が何処からともなくワイヤーを出した、それを見計らったように一秒の迷いもなく左の黒髪の少女が突撃、尋常じゃないスピードで菊月の懐に潜り込む。スピードが速いなら単純に力も比例して強いと予想出来る、あの蹴りは「それを踏まえた」蹴りだった。
艦娘はその出自から、鋼鉄のような皮膚と類稀なる身体能力を「例外なく有する」。…矢張り彼女たちも艦娘のようだ。
「日向さんが出てなかったら、危なかった…」
彼女たちの「本気」を目の当たりにしたエース。こちらもやられたからには反撃を…と言いたかったのだが?
「…ん?」
突如、映像に映る謎の物体。艦載機に向かって何かが飛んで来る…それは鋭利な「サバイバルナイフ」だった。
「えっ!?」
投擲は艦載機に命中。何かが壊れる音が響くとエースの眼前には「砂嵐で見えなくなった」映像が広がる。
「そ、そんな!?」
『エースさん、どうなされました!?』
「…っ、悪い榛名…どうやら先手を打たれたみたいだ。艦載機の映像が…見えない…っ」
『え…っ!?』
エースが混乱する中、榛名たちにも変化が。
「…っ!」
目に見えない、ぼんやりと写る程の遠くにいるはず、謎の艦娘たちの方角から又も「投げナイフ」。
──シュッ
「きゃあ!?」
「触れるな! このスピードは下手な弾丸より強力だ! 奴らも艦娘と考えれば、一発でも刺されば終わりだ!!」
日向の叫びに戦慄する艦隊。
艦娘の肌は鋼鉄のように固く、如何なる弾丸爆撃でも彼女たちの身体を貫通することは出来ない。しかし…この離れた距離からそれを感じさせない力強い投擲は、化身の能力「手にした武器、兵器の威力を上げる」によるものだろう、それで言えば今も投擲されている投げナイフは、艦娘の肌さえ貫く「殺人ナイフ」と化した。
日向の言う通り艦娘であろうと触れるのは不味い、”目には目を”とはよくぞ言ったものだ。
雨あられと一直線に注がれる殺人ナイフ、水平線の向こうからの攻撃は青色の迷彩服の効力か攻撃のモーションが全く見えない。"近づいて駄目なら離れて殺る"という向こうの意思が表れていた。
「っく! エース君指示を!」
『ごめん日向さん、今…俺からは現状を把握することが出来ない…っ、艦載機がやられて、全然状況を把握出来ないんだ…っ!』
嘆くエースの言葉を受け艦娘たちが見たのは、無惨にも海に浮かぶ艦載機、その横には恐らく「敵」の仕業であろう海面に揺蕩うナイフが。
「っ!? …そんな、エース君無しでどうやってこの状況切り抜けたらいいの!!?」
龍美の叫びに、艦隊に絶望が蔓延する──しかし。
「──なるほど、でしたら榛名が…艦隊を守ります」
「っ!? 榛名、何をするつもりだ! 早まるな!!」
「大丈夫です…彼女たちは「本気じゃない」…本気なら私たちはとっくにやられてる」
榛名の的を射た発言。同時に彼女の瞳には「闘志」が宿る。
「彼女たちは私たちを「試している」…なら! 私はそれに応えたいっ!」
榛名は艦隊の前に出る…仲間を守るために立ち塞がる彼女の頰ギリギリを掠めるナイフの雨。
「…すみません、龍美さん?」
「…え?」
「援護…お願いします!」
「っうえ!? ちょ、ちょっと榛名ぁーーっ!!?」
攻撃を仕掛ける元凶に向かって全力で駆け出す榛名。龍美は訳が分からずだが、とにかくついていく。
海を駆ける少女は、美しく長い髪を靡かせながら敵陣をただひたすら突き進む。
「…何っ!?」
「やりますね…」
「面白い…!」
謎の三人組は、榛名に向かい全力の投擲、榛名は放たれた殺人ナイフを物ともせず進む、進む、進み続ける。しかし後ろの龍美は避けるので手一杯だった。
「ひゃわわわああぁ!?」
「! …っは!」
龍美を危惧した榛名の威嚇砲撃、海の上にまたしても水柱が建つ…。
「このままでは…ならば!」
この時、銀髪の少女は直感で榛名の直情的行動には「何かある」と予感した、しかし一瞬の判断ミスも許されない状況で、敢えて先程と同じ要領でワイヤーを放つ、それは確実に彼女たちの眼前に迫る榛名の腕に巻きついた。
「榛名!?」
「龍美さん! 航空爆撃をっ!」
「っ、分かった! これでも…喰らえーーーっ!!」
榛名の叫びと同時に、龍美が素早く構えた弓から艦載機一機が発艦する。龍美の艦載機の航空爆弾は、次々と彼女たちの足元に着弾した。
「っく!?」
「──今!」
水柱が三人組の足を止めていた──好機を狙っていた榛名、彼女の腰に装着した艤装…艦首を模した部分からアンカー射出。そのまま銀髪の少女の身体に巻きつく。
「なっ、しまった!?」
「はああぁぁぁあああ!!!」
榛名はアンカーを巻き戻しつつ跳躍、銀髪に向けて「飛び蹴り」をお見舞いしようとする。本来なら砲撃を撃つ場面だが、榛名もまた彼女たちに対し「加減」をしたのだ。
「……っ!」
敵司令塔、榛名と銀髪の少女の間に割って入り、榛名に真っ向から勝負を挑む。腕でバツの字を描き榛名の攻撃を受け止めようと構えた…!
「うぁあああああ!!!」
「はぁあああああ!!!」
共に気迫が込もった雄叫びを上げる。この一撃が勝敗を決める──しかし。
──それまでだ!
──Mission complete.
・・・・・
「…!?」
響く声と同時に、榛名は脚で海面の水を切り、強制的に動きを止めた。アンカーの鎖も動かなくなると、銀髪の少女はすかさず拘束を自力で解いた。
緊迫した一戦に投じられた一声、それは男のもの…見ると海の上に厳つい男性が立っていた。
三人と同じ青い迷彩服、眼帯をした如何にもな男に、謎の艦娘たちの先程まで殺意が嘘のように消えていた。
「貴方は…?」
榛名の発した言葉は空中に溶け、仁王立ちで物怖じしない男は掛け声を上げる。
「…Bite cats! 集合!!」
貫禄充分な張りがある声、萎縮してしまいそうな勇ましい掛け声に、謎の艦娘たちは直ぐ様に対応する。瞬く間に海面を滑り彼の周りに集まると、そのまま直立不動となり整列する三人組。呆然と様子を伺う榛名たちに、日向たちが追いついた。
「何がどうなっている?」
「分からん…アイツが親玉だということは確かだが?」
菊月の言葉に、眼帯男はニカッと笑って肯定した。
「ガハハ! その通りだ! Japにしちゃ良い観察眼だ!」
「何…?」
「にしても…俺のCatsとここまで良い勝負をするとは…素人同然と聞いてたが、侮れんな?」
ニヤリと不敵に笑いながら、男は榛名たちの健闘を称えた。
「貴方がたは一体…?」
「俺は「リカルド」ただの傭兵だ。お前さんらに協力するようにと、然る御方に雇われた」
「…協力?」
「然る御方?」
「まぁ細かいことは無しだぜ? …さぁて、お前さんらの戦闘を遠くから確と見せてもらった。まだまだ粗いが及第点といったとこだな?」
「…何の話だ?」
日向が疑問を投げかけると、リカルドと名乗る男は榛名たちに事の次第を説明する。
「お前さんらはあの「深海の化け物」と戦うつもりだろ?」
「っ!? 深海棲艦を知っておられるのですか?!」
「まぁな? だが…そこのお嬢ちゃんたち(榛名と日向)はともかく、他の奴らはついていくだけで精一杯ときた。そんなんじゃすぐあの世行きだぜ?」
「確かにそうかもしれないけど…」
龍美の渋々な肯定に「だろ?」と笑うリカルド。
「そこでだ。どうだい? 俺がお前さんがたに戦い方を教えてやる、そこにいるCatsに負けねぇぐらいには、強くしてやるぜ?」
リカルドの意外な提案に目を丸くする一同、キャッツと呼ばれた少女たちは姿勢を正したまま微動だにしない。
「良いのですか? 榛名たちは何もお支払い出来ませんが?」
「Haha! 心配すんな、前払いでキッチリ貰ってる。後はお前さんらが気に入るかどうかだぜ?」
リカルドの言葉に、艦隊は疑心暗鬼だった。いきなり攻撃して来た(キッカケはこちら側だったかもしれないが?)、更に一歩間違えれば死んでたかもしれない、そんな状態から一転し、今度は戦い方を教えてやる、などと…まるで上からの物言いは、全く筋が通っていなかった。
「リカルド殿、貴方の言い分は分かる。我々も今の戦いぶりを見せつけられたら是非もない…しかしながらあの戦いは、我々を「殺す」つもりだったのでは?」
日向の紡ぐ言葉に、リカルドは首を傾げた。
「Hm? お前さんが言いたいことは分かるが、俺はCatsには確かに「殺すな、傷つけるな」と伝えた。第一だ? 殺す気でいかにゃあお前さんらは本気も出さねえだろう? 戦場の敵同士で「生死の有無」を確認しあったら、とんだお遊戯会だぜ?」
両手でお手上げのポーズを取るリカルド、彼の言い分も一理あるが、その「らしい」横暴な態度に艦娘たちは益々顔をしかめた。そもそも素性が分からない輩を如何にして受け入れろというのか?
このままでは、一行に事態が水平線のまま──その時、通信から聞き慣れた声が響いた。
『──榛名、状況を説明してくれ。一応決着は着いたんだな?』
エースは映像が見えない状態なので、榛名に現状の説明を乞うた。
榛名はこの状況を表す言葉を探しながら、エースに事のあらましを説明する。
「…という訳なんです」
『…えっと? つまりそこに彼女たちのボスがいるって? 海の上に立って?』
「そう…信じらんないだろうけど」
エース側から視認は出来ないが、仲間たちの言葉に疑いの余地がないことは理解していた。
『それでその…傭兵なのか? その人たちが稽古つけてくれるって?』
「うむ、しかし簡単に信じるなど…」
『うん。良いんじゃないか? 俺はやってみて損は無いと思う』
エースの即決に、流石の日向も呆れを通り過ぎ唖然としていた。
「いやエース君、こればかりは承服しかねるぞ!」
「全くだ、特訓の途中で後ろからグサリ、など私はご免被る」
「雇われた、と言われましても…どう考えたらいいか?」
「ぴゃあ…」
仲間たちの意見も仕方ない部分がある…だがエースは既にあるアイデアに辿り着いていた。
『えー…リカルドさん?』
「ん? おおっとこいつは…お前さんらのリーダーも男だとはねぇ? しかも声から察するにまだハナタレBoyと見える!」
『大きなお世話だよ! …アンタ、傭兵だろ? 契約は守ってくれるんだろ?』
「Oh,yeah! 勿論だ!」
『よし、じゃあ俺と「契約して」くれ』
「っ!? エースさん!!?」
エースの突拍子もない発言に、榛名は喫驚した。彼の大胆不敵な行動力は今に始まったことではないが、今し方生死を分ける戦いを繰り広げた集団を「雇う」…中々常人には思い浮かばないだろう、仲間たちも驚きを隠せず、そしてそれは向こうも同じであった。
「ほぉ! 改めて契約と来たか!!」
『ああ、内容は…俺たちに戦い方を教えてほしい、但し…度が過ぎた訓練や殺傷行為は禁止、二度と皆を危険な目に遭わせないこと、これを破ったら出るとこ出てもらう…皆、それでいいかな?』
エースの言葉に、渋々頷く一同。
この顛末はリカルドには予想外だった、内心この場は無理やり通すつもりでいたが…まさか丸く治めるとは。
「…ふ、うはははは! 中々肝の据わったBoyじゃねえか!」
『どうも…それで、契約は成立でいいかな?』
「ん! 気に入ったっ! いいぜ、今日からアンタがボスだ! 契約金も要らねぇ!!」
『え、マジ?』
リカルドの気前の良さにエースは逆に驚かされたが、仮に契約金が発生しても、父である十郎太辺りにでも頼もうと考えていた(元海自なので”それなりに”あるだろうとの考え)ので、ちょっとラッキー位の心境だった。
「(なんて言ったら「進一! この親不孝モンがぁーーー!」とか言われそうだけど?)」
心の中で十郎太のセリフを浮かべて、思わず笑いを零すエースだった。
「…でも、何故貴方がたはあのような真似を? 本当に私たちの戦いを見るためだけですか?」
榛名は先程の強行の経緯をリカルドたちに問いかける、リカルドは「Oh,鋭いな!」と言いながら話し出す。
「…実はお前らに伝えたいことがあってな? それを踏まえての「演習」ってわけさ!」
「えぇ…演習なの?」
龍美の言いたいこともさておいて、リカルドはこの場に居合わせたもう一つの理由を述べる。
「…化身、ん? カンムスだっけか? その法則性について、だ」
『…っ!?』
リカルドの語る真相…それはエースたちを、新たなステージに押し上げるものだった…。
○同じ艦種だからって…
エース「え、龍美ちゃん? 隼子さんと仲悪いの?」
龍美「いや、悪いというか…話しかけづらいというか……;」
エース「あ〜龍美ちゃん、よっぽど仲良くならないとああいう人には話ししなかったからなぁ?」
龍美「うん…フォックス君ならまだしも、私ああいう「大声で笑う人」苦手…」
エース「でも、同じ空母同士だし? 元の龍鳳と隼鷹も一緒の部隊だったって聞くし、仲良くしてみたら?」
龍美「それとこれとは話が別。んもぉエース君乙女心解ってない!」
エース「えぇ……とにかく、ちゃんと話してみて? 結構気さくな人だからさ!」
・・・・・
龍美「…って言われたけど」
テレビ見てる隼子「いゃっははー! やっぱ○ット○ール○ワーの後○さんの切り返し面白いわー! 何でやっ! あははは〜」
※ビールを飲みながら”さきいか”をつまみ、ゲラゲラ笑っている。
龍美「(無〜理〜!? 絶っっっ対話したくない! もうチンピラだよ? 下手したらヤクザだよ?! 私まだ死にたくない!! …はぁ、でもこれから協力しなきゃだし)」
龍美「…あの? 隼子さんって」
隼子「んん? どした龍美?」
龍美「ど、どして哨戒任務に行かないのかなぁ〜って? 戦ってるとこ見たことないし…?」
隼子「……………言わなきゃ駄目?」
龍美「えっ」
二人「「………」」
隼子「…っくは! わりわり! ちょい意地悪だったなぁ? …うーむ、ビール空になったから、買いに行って来るわ〜!」
龍美「あ! …(ガチャリ)………っはぁ、やっちゃった…うぅ〜やっぱり私あの人苦手ー!!」
隼子「…はぁ、やっぱそう来るよなぁ? …でも」
隼子「ワリ、今は無理だわ…弓なんてやった事ないし…何より」
隼子「アタシの「戦う」は、人前でおいそれと見せらんねーからなぁ…」