艦隊これくしょん―七十年後の君へ―   作:謎のks

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 ○前回のあらすじ

 長戸は自分が長門であると周囲に黙ったまま、俳優活動を無期限の休止状態にした。
 しかし長戸はその決断が間違いでなかったのか、未だに考えあぐねていた。その迷いを隼子に相談すると「自らの信念に従って行動すれば良い」と答えた。
 彼女の信念とは「仲間を守ること」…それは前世の長門も同じ思いであった。
 戦いの中でその思いを固めた長門は、これからも彼女の信念を貫き進んでいくことを誓う。




第二十三話 姉妹

 

 いつものマンションにて──エースはある人物と通話していた。それは…?

 

『…Hm? その時にナガトの嬢ちゃんに違和感を感じたってか?』

「ああ…アンタは艦娘にも詳しかったし、何か分からないかと思って?」

 

 電話の相手はリカルドだった。いざとなった時の連絡のため、お互いの電話番号を交換していた。

 エースの感じた違和感とは、先の戦いで長戸が自分たちの言うことを振り切り、単独でル級艦隊と対峙した時。長戸がまるで別人のような口調でエースに言葉を投げたあの場面だった。

 

「長戸さんは…あの一瞬だけ"長門"になったんだよ。何を言ってるのか分からねえと思うが…なにか鬼気迫るっていうか、ヤバイ感じがしたんだよな。しかもこの違和感って思い返してみたら「潮音ちゃん」の時にも感じてたんだ」

 

 深海棲艦との最初の交戦時、潮音は自らを囮とし艦隊の活路を見いだそうとしていた、その時の潮音からも普段とは違う「気丈さ」が窺えた。

 

「まぁ俺の勘違いかもしれない。特に長戸さんは俳優さんだし、迫真の演技って可能性もあるけど?」

『いいや? そうとも限らないぜBoy?』

「え…?」

『ソイツはおそらく「記憶に呑まれた」んだろうよ』

 

 リカルドはエースの疑問に回答する、おそらくと明言しているが彼の口振りは、エースの父「十郎太」のような確かな情報のように感じる。

 

「記憶に…!?」

『ああ、艦娘ってヤツにゃ二人の人格が混在してるって考えりゃいい。嬢ちゃんの場合は「ナガト」という人格と「戦艦長門」っつうスケールの違う考えが、な?』

「…長戸さんは戦艦長門なんじゃ? いや前世がって意味で、長戸さん自身は違うんだけど?」

『そうさな? ナガトは今を生きる正真正銘の人間だ、だが…「戦艦長門」は違う。生きた時代、守るべきものの重さ、戦いにおける覚悟。全てが桁違いだ。それはあの戦いが「それだけ熾烈だった」っつうことだろうが、ナガトにとってそれは「もう一人のナガト」だった…それだけの話だ』

「っ、じゃあ長戸さんは…()()()()()()()()()()…?」

『そういうこった』

 

 エースにとって、長戸は戦艦長門でなく、自分たちの仲間である「長戸愛理」だ。その彼女が…いや、潮音や他の娘たちも、もしまた記憶に呑まれでもしたら…?

 

「次は"無い"かも知れない…っ!」

 

 エースの身体は得体の知れない恐怖に包まれた。

 ただでさえ死闘を繰り広げることになる深海棲艦との戦い、だのに生き残る意志でなく「自身を犠牲にしてでも」他者を守る戦い方…果たしてそれが正しいか、それを言う資格は自分にはないかもしれない、だが…。

 エースもまた答えのない難題に頭を抱える、その様子を電話越しに察したリカルドは、エースに発破を掛ける。

 

『Be cool …指揮官が動揺してどうなる? そんなことでナガトの嬢ちゃんたちを、どうにか出来ると思うか?』

「っでも!」

『でもじゃねえ! …いいか、他人がどうこう言ったってな、当事者たちの気持ちになれるわけがねぇっ! ソイツはナガトの嬢ちゃんの覚悟でもあったってことだ!』

「…っ!?」

『戦士にとって覚悟ってのは重要だ、ソイツは何物よりも優先されるべきこと、手前(テメエ)で課した契りなのさ? 誰にもそれを変えることは出来ねぇ! それを本当にどうにかしてぇなら、お前さんはアイツらの「帰るべき場所」であることだ。ソイツは戦い傷ついたヤツにとっちゃ、何よりの癒しなんだよ』

「リカルド…」

『記憶に呑まれる、って言い方だが? 何もナガトの嬢ちゃんがそのまま戦艦長門になるわけじゃねえ。…アイツもまた人間だって、お前が導いてやりゃ良い話だ』

「俺が…?」

『そうさ。ソイツが指揮官…提督の役割ってヤツだぜ?』

 

 リカルドの叱咤激励に、エースもまた覚悟を湛えた顔つきになる。

 

「…分かった。ありがとうリカルド、相談に乗ってくれて?」

『You Bet! お前さんもあんまり考え込むなよ? 彼女たちはカンムスになるべくしてなった、それだけだぜ?』

「あぁ…分かってるよ」

 

 それだけ言うと、エースたちはお互いに電話を切る。ああは言われたがエースはそれでも考えてしまった。

 

「(…俺が、彼女たちを導く……)」

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 エースが己の今後に思いを巡らせて暫く、静かに玄関のドアが開く音がした。

 

「…ん? 榛名かな? 買い出し終わったのか、早いな?」

 

 榛名は先ほど買い出しに出かけたばかりだった。財布でも忘れたのかな? と思いながら構えていると?

 

「(ガチャ)…」

「え…!?」

 

 リビングの扉が開いた先、そこにいたのは榛名でなく…軍服に身を包んだ少女”矢矧”だった。

 

「や、矢矧…ちゃん?」

「………」

 

 何処か不機嫌そうな顔でエースを見やると、ゆっくりと近づいて来る。…エースの前に来ると、今度は右手を差し出す矢矧。しかしエースは彼女の言わんとしていることに見当がつかなかった。

 

「…?」

 

 エースが首を傾げると「はぁ…」と短くため息を吐く矢矧。

 

「…マンガ。浜風から頼まれたの、次の巻って言ってたわ」

「え…あっ!」

 

 そういえば、浜風に矢矧たちの懐柔を頼んでいたのだった。「私なりのやり方でやりますので、その時はエースさんにお任せします」とだけ言っていたが…これがそういうこと、なのだろうか?

 

「(えっと…そうしたら)あ、ゴメン。今アトラスのヤツに貸し出しててさ? あ、でも今日ここに寄るっていってたから、もう少し待っててくれたら…?」

「…そう」

 

 エースは苦し紛れに、なんとか矢矧を引き留めて彼女との交流を図ろうとしていた。だが…。

 

「なら、浜風には後で取りに来るように伝えるから、それで構わないかしら?」

 

 華麗に躱される、見事な避けっぷりにエースも思わず口ごもる。

 

「お、おぅ…」

「そう? …じゃあ」

 

 なまじ反発的な態度であれば、つけ入る隙も生まれようが…こうも冷静な対処をされてはそれも出来ない。寧ろ美しい容姿も相まって、礼儀正しい大人の女性といった印象。

 

「(こりゃ今日は無理そうだな…;)」

 

 エースがそう思い、リビングのドアまで歩く矢矧を見送っていると…?

 

 ──ガチャ! ドタドタ…。

 

 誰かが勢いよく玄関を開けて、こちらに向かって来ている。

 

「(ガチャ!)ぴゃあ〜! たっだいまー!! …はれ??」

 

 ドアから顔を出したのは「酒匂」だった、おそらく旗艦として「哨戒任務」完了の報告を上げに来たのだろう。元気よく手を挙げてのただいま宣言をしていると、目の前に立つ人物にビックリした様子で目をパチクリさせていた。

 

「(酒匂ちゃんか、彼女が矢矧ちゃんを引き留めてくれたら嬉しいんだけど…ん? あれ、この組み合わせは…?)」

 

 そう、エースは思い出していた。そういえば彼女たちにはある"共通点"があったことを。

 

「ぴゅ〜? 矢矧…お姉ちゃん!」

「…は?」

 

 ビシッと人差し指を向けて矢矧を「お姉ちゃん」と呼ぶ酒匂。

 そう、彼女たちには「阿賀野型軽巡洋艦」その三番艦(矢矧)と四番艦(酒匂)という、立派な共通点があったのだ。

 しかし、初めて矢矧たちと出会った際にその場に居たにせよ、碌な話もしていない彼女たち、果たして事態はどう転ぶのか?

 

「…貴女、酒匂だったのね?」

「うん! 矢矧ちゃんとは一回話してみたいって思ってたんだぁ! 阿賀野型ドーシだからね!」

「…そう」

 

 用件を済ませさっさと帰りたいのか、矢矧は酒匂の横を通って無理やり外に出ようとする。

 

「ねぇねぇ!」

 

 酒匂は彼女の腕を掴む。しぶとい、そう思ったか少し眉を顰める矢矧。

 

「…何かしら? 私はもう用事を済ませたから、早く帰りたいのだけど?」

「ぴゃ? 忙しいの??」

「え? …いえ、そういうわけじゃ」

「だったらさ! 一緒にお話ししよ! ねっ! ねぇねぇ〜♪」

 

 腕にしがみつきながら嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねる酒匂、ここまで来ると次の一手は力ずくになる…そう悟ったのか、矢矧は諦めた様子で顔を伏せてため息を一つ。

 

「…っはぁ、仕方ないわね」

「ぴゃあ〜! やったぁーっ!」

 

 腕を離して、今度はバンザイのポーズ。どこまでも自由な酒匂に、矢矧もペースを乱されていた。

 エースはそんな彼女たちのやり取りを、驚きながらも少し温かになる気持ちで見ていた。

 

「…ふふっ、本当…仕方ないわね…?」

 

 矢矧も満更でもない表情で笑うのだった。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 テーブルの上に程よい温度のお茶が並ぶ。

 これは矢矧が入れた緑茶だった、エースは自分が入れると言っていたが「こういうのは女性がやるのでしょう?」と皮肉気味に言われて大人しくしてしまった結果である。

 

「いっただきまーす! …(ズズ…)っあち!?」

「あぁ! 無理に飲んじゃダメよ? 熱かったらふーふーして?」

「ぴゃい! …フー! フゥー!!」

 

 酒匂は矢矧に言われたとおりに湯気の出るお茶に息を吹きかける。何度かそれを繰り返して、漸く口につける。

 

「ごくごく…っぴゃあ〜おいし〜♪」

「…っふふ」

 

 まるで仲睦まじい姉妹のような一幕。エースがニヤつきながら見ていると、それに気づいた矢矧は一瞬「ハッとした様子」になると、鋭い目つきになりジッとエースを見つめた。

 

「…何?」

「な、なんでもない…はは……;」

 

 矢矧はふんっと鼻を少し鳴らすと、酒匂の隣に座る。史実では姉妹だった彼女たち、こうしてみると確かに…似てなくはない、気がする。

 

「矢矧ちゃんの顔が凛々しすぎるのかもな?」

「…だから何?」

「い、いや。矢矧ちゃんと酒匂ちゃんって、似てるかもな〜って…?」

「…似てるわけないでしょ。姉妹だったのは史実だけだし、私たちはあくまでも赤の他人よ」

「ぴゃ〜…そんな言い方するんだぁ…酒匂カナシー」

 

 しゅんとする酒匂、彼女のチャームポイントであるアホ毛も悲しそうに下を向いた。そんな酒匂を見兼ねてか、矢矧は優しく言い聞かせるように言葉を投げた。

 

「…姉妹なんていない方が良いのよ、だから…私たちは、これで良かったのよ?」

「矢矧ちゃん…」

 

 エースは矢矧のその言葉に寂しさを覚える、矢矧も何処か哀しそうに顔を俯いているので、本意ではないことが窺える。

 

「ぴゃ、酒匂はそう思わないな?」

「えっ?」

 

 酒匂は矢矧に顔を向けながら、彼女の人生観の片鱗を否定した。

 

「酒匂ね? キオクソーシツ、みたいなの? だからね…本当の名前とか、家族とか、兄弟姉妹が居たのかも分かんないんだ」

「…っ!」

「だけどね! 皆が酒匂に優しくしてくれたんだ! …院長先生、雪ちゃん、菊ちゃん、エースちゃん、榛名ちゃん、フォックスちゃん、アトラスちゃん…皆みんな、優しいんだぁ!」

「…そう」

「でもね? 本当に血の繋がった家族って、どんなんだろ〜って思う時もあるんだ。姉妹って、好きでも嫌いでも関係なくて、一緒にいてくれる存在だって、院長先生が言ってたからますます気になっちゃって?」

「………」

「だからね? 矢矧ちゃんが私の…昔だったとしても姉妹だったら、すごい嬉しいなって! でも…矢矧ちゃんが違うって言うんだったら、そうなのかなぁ? うーん…お姉ちゃんの言う事だしぃ??」

「…っふ、うふふ!」

 

 突然笑い出す矢矧、驚くエースだったが、彼女の笑顔は「何かが吹っ切れたような」柔らかな雰囲気となった。

 

「…負けたわ、敵わないわよ貴女には。……そうね? 貴女がそう思うなら、私も貴女の姉になることは吝かじゃないわ」

「っ! ぴゃあ!? ホントに!!?」

「もう、落ち着きなさい」

「はっ!? ご、ごみんなさい…」

「…私もね、一人なの」

「ぴゃ!? 矢矧ちゃんも?」

 

 今まで自分の事を話さなかった矢矧が、初めてエースたちの前で本音を零した瞬間であった。

 

「えぇ、だから…貴女の気持ちもすごくよく解るし、私も妹は欲しいと考えたけど、貴女にとって良いことか分からなかったから」

「そうか、じゃあ同じだったんだな、二人の気持ちは」

 

 エースがそう言うと、矢矧も彼に対し壁のない、朗らかな笑顔を向けた。

 

「まぁ、ね? 貴方にも私と関わりを持ってほしくなくて、つらく当たってしまったわね? …ごめんなさいね? 私はもう裏世界の住人と言ってもいいから、貴方たちに迷惑かけたくないと思って」

 

 矢矧のその言葉は、彼女たちが「傭兵」であることを意味するのだろう。リカルドと行動を共にする彼女たちも、自分たちには想像がつかない光景を見続けて来たのだろう。

 

「やっぱ…リカルドと居るとそういう世界に入っちまうんだな?」

「ええ、私も隊長と同じような裏の仕事をしているの。だから方々から恨みを買っている、という自覚はあるわ。もし貴方たちと一緒にいれば、そういう輩に狙われると思って…」

「言い辛いかもだけど…そんなに?」

「そうね? ここにいる事も気づいて監視しているかも、執念深い者が多かったし?」

「じゃあ、酒匂たちが危なくないようにしてくれてたんだ…ぴゃあ! お姉ちゃんやっさしー!」

「もう、茶化さないで? これでも真剣に考えているんだから…」

 

 つまり彼女が冷たい態度を取っていたのは…自らの立場を理解して、不用意に自分たちに危害が加わることを防いでいたのだ。

 前にリカルドが言っていた「矢矧は堅物」というのは、こういうことであったのか。浜風の言っていた「あまり人と仲良くなりたくない」ということも、彼女の度が過ぎた真面目な人柄を考えれば頷けた。

 

「そっか、じゃあ仕方ないか?」

「えぇ、仕方ないのよ?」

「ぴゃあ! 仕方ないない〜♪」

「ははは!」

「うふふふ…!」

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 エースたちがそう言い合いながら笑うと、徐に矢矧は立ち上がる。

 

「…私の気持ち、分かってもらえたかしら?」

「う、うん。…ごめんね? 君と仲良くなったら、雪ちゃんたちにも会ってくれるかと思って?」

「雪風…浜風の差し金ね? 最近妙に雪風のことばかり話すと思ったら」

「あはは…;」

「でも…ごめんなさい」

 

 矢矧は背を向けると小走りにリビングのドアに向かう、そのままドアノブに手をかける。

 

「ぴゃ! 矢矧ちゃん!」

「…ごめんなさい、酒匂。でも…私と貴方たちは住む世界が違う。血の濡れた戦いを、貴方たちに見せたくないの、これ以上はもう…」

「そんなの関係ないっ! 俺たちはこれから一緒に戦わなくちゃならない、皆で一緒に…」

 

「”あの戦い”には、そんな綺麗な気持ちはなかった」

 

「…っ!」

 

 矢矧のその重い一言は、彼女がこれまで何を見て来たか…それだけで雄弁に物語っていた。

 

「人が獣に戻り、狂い、やがて全てが焦土と化した。それが──戦争よ」

「矢矧ちゃん…」

「エース、貴方がどういう気持ちでこの先を見ているか分からないけど。あの戦いだけは…絶対に繰り返してはいけない。だから…傷つくのは、私たちみたいな薄汚れた人間だけでいい。貴方は…こちらに来てはいけない」

「…俺は」

 

 覚悟が足りない。

 

 エースには、その震える後ろ姿を抱きしめることすら出来ない。足が竦んで動けない、思うように言葉が紡げない。

 

 ──平和な時代に生きた者には、戦争を視てきたモノを導くことは出来ないのか…?

 

「大丈夫、私たちがなんとかする。だから…貴方はこの日陽(ひなた)の世界で、見守っていて?」

「…っ!」

「酒匂を…妹を、お願いね?」

 

 そう振り返り微笑むと、矢矧はドアを開けて、外に出てしまった…。

 

「ぴゃ…エースちゃん?」

「…くっそ……っ」

 

 テーブルに握りこぶしを置き、更に力を込めるエース。

 

 悔しかった、自分の力不足が。見守るだけしか出来ない自分が。

 

「…大丈夫だよ、エースちゃん! 矢矧ちゃんもきっと分かってくれてるよ! だって…酒匂のお姉ちゃんなんだから!」

 

 酒匂のどこまでも純粋無垢な微笑みが、エースを元気づけた。

 

「…ありがとう、酒匂ちゃん?」

「えへへ…♪」

「そうだよな。でも…向こうが分かっているだけじゃダメなんだ」

「ぴゃ?」

「解ったんだ。彼女たちと全力でぶつかれば、素直な心で話し合えたら、きっと分かり合えるって。でも…それには俺は力不足だ」

 

 そう言うとエースは立ち上がる。今までとやることは変わらない、ただ…「前に進む」だけ。

 

「だから教えてもらいに行く。他ならぬ彼女たちに…これから!」

 

 彼は勢いよくドアを開け、そのままマンションを飛び出す。…全ては、彼女たちを導く「提督」になるため。

 

「…っは!? い、行ってらっしゃぁ~~あい!!」

 

 天真爛漫な少女は、その未完の後ろ姿を、手を大きく振りながら見送った。




○やっぱり男の子です。

エース「酒匂ちゃん、またその服装(戦闘衣装)なんだ?」
酒匂「ぴゃ! 酒匂この服結構気に入ってるの~!」
エース「(ノースリーブのセーラー服にプリーツスカートか…酒匂ちゃんだから似合っているけど、出撃時以外は控えてほしいな…;)」
酒匂「ぴゃ~! エースちゃん今エッチなこと考えてたでしょ!」
エース「っは!? か、考えてねぇし…」
酒匂「うーん、でも時々…街に出かけると、ちょっと視線があるんだよね…?」
エース「でしょうねぇ?」
酒匂「っ! そうだ、今度矢矧ちゃんと一緒にお揃いの制服着て出かけよ! それなら恥ずかしくないよね♪」
エース「ペアルックか…まぁ向こうが良いんだったら…ん? (待てよ、つまり矢矧ちゃんが酒匂ちゃんと同じ格好に…?)」

浜風(エース回想)「矢矧の3サイズは…すごいですよ?」


 ぼん

 きゅっ

 ぼんっ


エース「…っ!? ぶほぁ!!? やべ、鼻血が…!」
酒匂「大丈夫エースちゃん?」
エース「う、うん…酒匂ちゃん、矢矧ちゃんが嫌がるかも分からないから、出来るだけ普通の格好でいける?」
酒匂「ぴぇ―? んーしょうがないなぁ…」
エース「(そんなの見せられたら、こっちが色々大変なんだよ…)」

 ※しかし男としては、ちょっと見てみたいかもと思うエースであった。
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