艦隊これくしょん―七十年後の君へ―   作:謎のks

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 ○前回のあらすじ

 遂にリカルドの「艦娘強化訓練」が実施される。

 山間の湖に集まったメンバーが彼から聞かされたのは「人間としての基礎体力」と「柔軟な危機対応能力」の必要性だった。
 しかし…リカルドの「死ぬのは怖いか?」の質問に対し「死んでもいいからやり遂げたいことがある」…との意思を示してしまった長戸と初花は、リカルドに一方的な「戦力外通告」を受け、戦う意味をもう一度考えろとその場を退去させられる。
 曰く「この戦いは全員が生き残る意志を持たなければ意味がない」という…二人のことに後ろ髪を引かれながらも、残った艦娘たちは強化訓練を開始する。
 訓練は滞りなく行われ、艦娘たちの体力、連携、射撃などはみるみるうちに上がっていった…その中でも飛びぬけた才能の高さを見せたのは「妙子」だった。
 リカルドは妙子の能力の高さを称賛するも、当の彼女は暗い表情が晴れなかった。
 というのも彼女には「大切な何かを守るため命を懸けて戦った”姉”」がおり、姉のように守りたいものを守るために命を張ることに意味はあったと思いたい自分がいる、そんな自分が生き抜く意志を語ることは許されるのか? と心情を吐露する。
 妙子の疑問にリカルドは「姉が何を守りたかったか」を考えれば自ずと分かると答える。

 それは妹で会った「妙子自身」であると。

 守られた者は、決してその命を絶やしてはならないと思い進むこと…それが妙子の「生きる覚悟」になる…と、リカルドは妙子の姉の生き様を称賛しつつ、彼女の覚悟を形作るキッカケを与える。

 妙子は涙を拭うと、姉を尊ぶように静かに微笑むのだった…。



第三十二話 消息

 ──都内、某病院内。

 

 フォックスはとある用事のため、病院を訪れていた。

 

「じゃあ、俺もう行くわ」

「えぇ、ありがとう影二。…最近はどこかピリピリしてたけど、今の貴方は昔みたいに優しい笑顔になってる。お母さん嬉しいわ」

 

 柔らかな口調でフォックスの来訪を喜ぶのは…病床に伏せる彼の「母親」であった。長い黒髪に日に当たる優しい笑顔、儚げだがどこか芯の強さを感じる。

 

「っ! べ、別に何も変わりゃしないぜ。ほら、俺忙しいから」

「っふふ、えぇ。また遊びに来てね?」

「うん、じゃあ…」

 

 どこか気恥ずかしくなりながらも、病室のドアをピシャリと閉めたフォックス。

 

「…母さん、元気そうで良かった」

 

 フォックスの母親は、生まれつき身体が弱く入退院を繰り返していた。そんな母の容体を見るため、時々お見舞いに来ていた。

 彼の父と母は過去に離婚しているが、彼は変わらず母を愛しており、だがして母を捨てた父を許せず「大人になったらヤツに母を捨てたことを後悔させる」…と、子供ながらの反抗心(それで済むとは思えないが)で父の後を追っていた。

 病弱な母を父は見捨てたと、かつてのフォックスは離別した父をそんな風に考えていたが…今にして思えば、彼は母の入院費を少しでも稼ぐために、あえて離れる決意を固めたのやもしれない。

 

「入院費の支払いも、親父が肩代わりしてたみてぇだしな。「あまりお父さんを恨まないであげてね?」なんて…母さんは甘いな、俺もだけど」

 

 自身が道楽者と罵り、その実決して真っ当な生き方ではなかったフォックスの父、だが自分を「愛してる」と言い残しこの世を去った父は、母のことも変わらず愛してくれていたのか…何もない空間を見つめながら、フォックスは嬉しそうにしていた。

 

「ふぅ…しっかし、あの艦娘がいる病棟の横とは、ちっちゃい頃から世話になってるが、ここの病院って規模が大きいものだな」

 

 そう言うと、曲がり角に設置された「特別病棟入り口、関係者以外立ち入り禁止」の看板に目をやるフォックス。

 

「この病院ならアイツらも大丈夫そうだな。まっ、俺には関係ないか。さってと…ん?」

 

 ふと、今度は反対側の向こうの病室を見やる。誰かが話している…しかも片方は聞き慣れた声に聞こえる。

 

「…ちょっと覗くかな?」

 

 フォックスは病室に近づくと、開かれた扉から中の様子を見る。

 

「あはは!」

「うふふ…」

 

 …笑い声から女の子だと察する。ベッドの患者は片目が見えないのか眼帯をしていた。ショートカットだが物腰柔らかそうな、穏やかな笑みを浮かべる女の子。そんな娘と立ち話をしているのは…?

 

「(あのはねっ毛のポニーテールは…)おい、青子?」

「ドキィッ!?」

 

 呼ばれた青子(何故かジャージ着用)は硬直する、そして振り返って「命乞いのような」言い分をする。

 

「ごめんなさい! すっいませんでしたっ! いや、友だちの様子を見に来ただけで、決して! 決してサボっていたわけでは!?」

「あん? 誰と勘違いしてんだ?」

「え? …なぁんだフォックスさん。驚かさないでください」

「いやいや…」

「青子、お友だち? …随分可愛いお友だちね、弟さん?」

「あ"ん?」

「ひぃ!? ちょ、ちょっと…あ、また今度話そ! ね?!」

「あ、うん。ばいばーい…?」

 

 半ば強引に会話を打ち切った青子、フォックスを連れて病室の外へ。

 

「はぁ…」

「あの女、お前の友だちか?」

 

 フォックスの問いに、息を整えながら青子は答える。

 

「はい…ですが、生まれつき身体が弱い子で、入退院を繰り返している次第で」

「っ! …悪いのか?」

「本人は大丈夫だということですが…私も気になっちゃって。ついつい様子を見に来てしまうんですよねぇ、こういう病気の情報は不確かなことが多すぎて…」

「そうか。お前も…」

「え? 何ですって?」

「…なんてな。独り言だ、忘れろ」

「いえいえ、私もジャーナリストの端くれとして情報は摂取しないと! 改めて…何とおっしゃいましたか?」

 

 プライベートなこともお構いなしの青子、少し小突いてやるか。そういう意味合いで不機嫌そうにしてみるフォックス。

 

「…薮蛇はやめとけ?」

「貴方に言われたくないですけどね? ”ミストフォックス”さん?」

「っ、テメェ…」

 

 二人の情報通は一瞬ピリッとする空気を纏う。…しかし一転し双方ニヤリと笑い合う。

 

「…ケッ、なんてな? お互い「タネ」は分かってんだろ?」

「あはっ、二人とも鼻が鋭いですからねぇ。何を言わなくても分かるってことで?」

「はっ! そういうこったな。…来いよ、ジュースでも奢ってやる」

「わぁい、ありがとうございます〜♪」

 

 柔らかな笑みを浮かべて、フォックスは青子を連れ病院の屋上へ行くのだった…。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 屋上のフェンスから辺りを一望する二人。お互いの事情を話しながら情報を整理する。

 

「ほぉ、幼馴染ってヤツか」

「はい。とっても良い子なんですけど、小学校ぐらいから急に体調を崩して、それからずっとあの調子で…」

「そっか…大変だなお互い」

「そうですねぇ、貴方の場合は母親ですから気苦労も多いでしょうけど?」

「だから薮蛇だっつの。…まぁウチは稼ぎ頭だったヤツが居るから、そこまでじゃねぇよ」

「貴方のお父さん…ですね?」

「あぁ、ガキの頃はただの道楽者だと思ってたが、アイツも母さんのこと大事にしてたんだな…って?」

「ほうほう。…藪蛇ついでにもう一つ、貴方の異名の「ミストフォックス」とは、お父様の名前を拝借している、と聞いたのですが?」

「…どこでそれを?」

「まぁ私の父もジャーナリストでして。情報通の中でも特にハッカー能力に優れ「あらゆる事柄を調べ尽くした」と言われた伝説のジャーナリスト…それが貴方のお父様、ですね?」

「ケッ、アイツから言わせれば「ジャーナリストとは名ばかりの裏筋の情報屋」なんだろうがな?」

「あはっ、皆ライバルみたいなものですから、皮肉も込められてたんでしょうね?」

「違いねぇ。…親父がジャーナリストか、お前も将来そうなりたいって?」

「えぇまぁ。私も父のことはあまり良く思っていませんが…情報に対する真摯な姿勢というか、そういったところに惹かれたんでしょうね」

「そうか…」

 

 二人して広い青空を見上げる。心地よい爽やかな風が吹く…ふと、青子が独り言ちる。

 

「私たちって、何だか似てませんか? 情報通であることとか、父親がその手の者だったとか?」

「ケケッ、俺は別にジャーナリストだとかになるつもりはねぇけどな?」

「ですよねぇ~? アハハ。…ホント、羨ましいですねぇ?」

「あん…?」

 

 青子のどこか寂しそうな言葉に反応するフォックス。青子はその真意を話し出す。

 

「実は私、ミストフォックスに憧れていましてね? どんな防壁やセキュリティを物ともせず、隠された真実を暴く。まるで逮捕しらずの大泥棒って思いまして。…まさか貴方が彼の息子で、彼と同じような手口で政府の裏情報を集めていたなんて」

「っへ、足がついている以上はアイツより実力は劣るがな?」

 

 フォックスの情報収集能力は父譲りの技術だということで、青子はそんなフォックスの父に対し、羨望の眼差しを向けていたのだ。

 

「私としては貴方のお父様に是非お会いして、情報奪取のノウハウをお聞きしたかったのですが?」

「あんまりオススメしないぜ? 四方八方から恨み買って居住を転々としたくなきゃな」

「あら〜…大変でしたね?」

「別に。自分はソイツらの相手ばっかして、買い物も掃除も洗濯もその他家事も、子供の俺に押し付けやがったが。その分アイツの技術を盗み見れたからよ?」

「…ごめんなさい、そこまでだったんですか?」

「あぁ基本的に自分のことしか考えてないから、少し教えたからって「俺の息子なんだから後は出来るだろ!」…ってな。超放任主義、なんて幼稚な言い方だな、もっと悪どい血の通っていないヤツだったな」

 

 愚痴をこぼしながら、フォックスは生前の父の悪行…もといスパルタ気味の放任育児を詰った。

 

「そんなヤツでも居なくなってみりゃあ、寂しくもなるもんだな。…だからだろうな、俺が親父の仇として「機関」を追い続けているのは」

「…ふふっ、なんだかんだでお父様のこと、好ましく思っていらしてたんですね?」

「どうかねぇ? あんまそう言われても実感わかねーっつうか…まぁ、どんな酷ぇヤツでも、家族だからな?」

「なるほど…」

 

 青子はフォックスの身の上話を聞き終えると、普段の作ったような笑顔を潜め、真摯な表情をしてみせる。

 

「…そうですか。少し分かった気がします。貴方が機関を追いかける理由、その真意を」

「なんだ、らしくねぇセリフだな? いつもみてぇに飄々としねぇのな」

「私も、私の父や貴方のお父様のような「情報に真剣に向き合う姿勢」で在りたいんです。だから…今日は貴重なお時間を、ありがとうございました」

 

 青子はフォックスに向き合うと、深々と頭を下げた。

 その姿勢には、彼女の言う「情報に対する真摯な態度」が見て取れた。

 

「まっ、覗いた俺が言えたことじゃねぇが、あんまりいらねーことに首ツッコミすぎんなよ? お前はまだガキなんだ、そういうのは青い春が終わってからにしろ」

「いえいえ、これは性分みたいなものですから。私も…貴方もね?」

 

 ニッコリと笑う青子に、フォックスは「へいへい」と言いながら面倒くさそうに頭を掻いた。

 

「…ところで、その「機関」について何か進展は?」

 

 青子の質問に、フォックスは首を横に振る。

 

「全然だ。機関が解体された際にヤツらの研究資料の有無とかも調べてもらったんだが、そもそも機関の拠点が何処か分からねぇんだと。俺も高木と協力して探してるが、駄目だ。深海棲艦についても、あの男についての追加情報もないし、あわよくば榛名ちゃんのことも…と思ったが、政府の情報を照会してもなんら新しい情報はねぇ」

「春野首相は、機関の拠点がどこにあるか分からないのですか? 情報では関四郎の近くに居たと言われているようですが?」

「それも聞いてみたんだが、あのクソヤローが主任になった時から「把握出来ていない」らしい。…一連の流れにきな臭さは感じるがな」

「確かに、何か「作為的なもの」はありますよね?」

「あぁ、何かデケェ力が働いたっつうか…まっ、それが簡単に明るみに出りゃあ世話ないんだろうがなぁ」

「なるほど…話は変わりますがフォックスさん、これは私の父が入手した情報なのですが」

 

 青子は低いトーンと真剣な表情で、機関の情報を口にする。

 

「機関はこの日本だけでなく「全世界に点在している」可能性がある…というのです」

「っ! …確かか?」

「はい。そもそも機関は「深海棲艦の打倒」を目的としていました。深海棲艦の存在を知っていたのは日本だけではありません。その当時の各国の指導者…もちろん「アメリカ」も」

「っ! マジか…一気に難易度が上がりやがった。リオーネたちの話を聞いた辺りから、何となくは察してたが…ヤツらが一枚噛んでいるんなら、これ以上の情報追及は難しそうだな?」

「ですね? 当時は敗戦によってアメリカの支配下にあった日本ですから…憶測ではありますが、機関も彼らが創ったとみて良いかと」

 

 当時の連合国(アメリカ)は、敗戦により国としての機能を失くした日本を一時的に占領して、新たな日本国創造、復興まで影で支援した。

 つまりその過程で、日本に様々な欧米文化が浸透していったように、TW機関の礎もまた築かれていったのだ。

 

「なるほどな? 要するに機関はアメリカ発祥で、日本は支部だったワケか。なんか態度がよそよそしいって思ったんだよなぁ、あの堅物首相め」

「まぁ立場というのもありますから、あの人もおいそれと言えなかったのでしょうね?」

「…っち、まぁいい。その話は「アテ」があるから、白黒はっきりさせとくわ。まともに相手するか怪しいがな?」

「首相さんにですか?」

「まさか。それこそ国の重要機密だって突っぱねられるだろうから、もっと手っ取り早いヤツだよ」

 

 そう言うフォックスの脳裏には、豪快に笑う「壮年の男性」が浮かんでいた。

 

「そうですか…あのフォックスさん、私が言う義理ではないでしょうが、あまりご無理をなさらないでくださいね? 米国はその他の国とは情報の質が違います、だからこその情報操作だと思うのです。バレたらどうなるか…」

「俺もヤツら相手なら「パンドラの箱を開けるようなモン」だと思っとくよ。…やれやれ、面倒になったなぁ」

 

 一筋縄ではいかない機関の情報、その上で下手を打てばあの「アメリカ」を相手にしなくてはならない。…二重の意味で頭が痛くなると、フォックスは眉間の皺を揉む。

 

「はぁ…それより青子、もうおっさんのとこに戻った方がいいんじゃねぇか? シゴキの途中なんだろ?」

「っは! そうでした!? ではでは私はこの辺で、もう腕立て五百回は嫌なので!」

「へいへい…」

 

 青子が慌ただしく出て行く様子を見て見送るフォックス、ふと…青子が立ち止まると、フォックスの方に向き直る。

 

「フォックスさん」

「あん?」

「…お父様は、本当に死んだと思われますか?」

「なんだよ藪から棒に、違うってのかよ?」

「私も、私の父も、ミストフォックスがそう簡単に死ぬとは思えないんです。だから…私の父も行方を追っているようで」

「待てよ。…言いたいことは分かるが、俺のところに戻った時には親父はボロボロだった。あの様子じゃもう…」

「でも、実際に死ぬ瞬間を見たわけじゃないのですよね?」

「っ、そりゃ…」

 

 言い淀むフォックスに、青子は振り返ると爽やかな笑みを浮かべ、自身の信念を語る。

 

「私、ハッピーエンドが好きなんです。ジャーナリストは時に人の人生を狂わせてしまいますが…だからこそ、私は人が笑顔になれるような情報を届けたいんです」

「青子、お前…」

「それにもし貴方のお父様の行方を追えば、自ずと機関の秘密や深海棲艦にも、辿り着けるのではないでしょうか? 貴方のお父様なら、必ず機関について何か掴んでいるはず」

「…なるほど。癪だが今は藁にもすがりたい思いだ、せめて親父がなにか情報を残してないか、調べてみるか!」

「私も機関のこともミストフォックスのことも、お役に立てるところまでとことんやりますよー!」

 

 フォックスは青子との情報共有により、自身の目的を新たにした。

 そして、青子もまた機関や「先代ミストフォックス」について追及する意欲を見せた。

 

 彼女の穢れのない信念は、いつの日か奇跡を掴むことが出来るのか…?

 

 確証はないが、その晴れやかな笑顔に迷いはなかった。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「…ふふっ、影二は相変わらずだったわ。お友達と仲良くしているみたいね? …進一君に源三君、最近は女の子のお友達も出来たみたい」

「……」

「えぇ、また会いたいわね」

「……」

「そう…ありがとう。また遊びに来てね?」

「……!」

「え? もちろん、貴方のことは秘密にしてる。お仕事…頑張ってね?」

「……」

「…これを私に? まぁ…ありがとう。コチョウランの花束…「永遠の愛」? ふふっ、貴方は相変わらずね?」

「……」

 

 ──ピシャッ

 

「…いってらっしゃい」

「(ガラガラ)失礼します。桑原さん、診察のお時間です」

「あら看護師さん、ご苦労様です」

「…あら? まぁ綺麗なお花ですね? 飾っておきましょうか」

「はい、お願いします」

「…それにしても誰か面会に来てたんですね? 足音もそれらしい影も見なかったから」

「それは…秘密、です♪」

「…?」

 

 悪戯に微笑みながら、黒髪の麗人は窓際を見つめる…彼女の見つめる先には、誰が見えるのか…?




○会議 その3

風子「榛名様、私は思うのです」
榛名「は、はい?」
風子「司令官様は…所謂「にぶちん」の部類に入るのではないかと」
榛名「ニブチン…! それはどういう意味でしょう?」
風子「はい、彼はどこかご自分に自信がなく、当人に起こっている出来事でさえ「そんなことあるはずない」とまるで傍観者のように思ってしまう…と」
榛名「あぁ…」
風子「ですので、もし司令官様にお伝えしたいことがおありなら、はっきりとお伝えすることが良いかと存じます」
榛名「はぁ…? 具体的にはどのように?」
風子「そうですね…例えば「彼に対する気持ち」…ご自身が司令官様に抱えるお気持ちを、そのまま、すとれーとにお伝えするのがよろしいかと」
榛名「っ! …エースさんに対する、気持ち…?」
風子「はい。榛名様は司令官様をどのようにお考えでしょうか?」
榛名「…榛名は」

エース『何言ってんだよ! 榛名が元気そうなら、それだけでいいんだからよ!』

エース『この戦いは、呪いから世界中の多くの人々を守ることが最大の意味を持つ、誰かがじゃない、誰でもない、"俺たち"がやらないといけないんだ』

エース『それがお前の考えか? 違うだろ榛名! 昔はそうだったのかもしれない! でも! お前は誰が何と言おうと「人間」だ! 誰かが否定しても、俺はそう信じ続ける!!』

榛名「…(私、胸の鼓動が高鳴っている…これって…?)」
風子「…うふっ、そうでした、私これからお稽古の時間でした。…では榛名様、そろそろお暇(いとま)させていただきます」
榛名「はっ、はい」
風子「では…(うふふ、作戦は成功ですね?)」





・・・・・

風子「わたくしが榛名様に発破を?」
フォックス「あぁ。アンタいつものとこで家事やってくれてんだろ? 榛名や他の艦娘と話す機会もあると思うんだ」
風子「はい、左様でございますね?」
フォックス「だったら、榛名ちゃんと腰を据えて話すことがあったら、あの娘がエースについてどう思っているか確認してくれ。それとなくで構わねぇ」
風子「そのようなことをして、お二人のお邪魔になりはしませんか?」
フォックス「いやむしろ”邪魔してくれ”、今のままじゃゼッテー進展しねぇし、このまま何年も甘酸っぱい恋愛劇見る気にはなれねぇからな」
風子「…ふむ、了解しました。私も司令官様に恩を返せるのなら…!」
フォックス「すまねぇな。本来は首相の娘に頼むことじゃねぇとは思うんだが」
風子「いえ、わたくしを頼って頂けるのは光栄の限りです。それに…面白そう、ですしね?」
フォックス「…はっ、そうか。んじゃ頼んだぜ?」
風子「お任せください♪」





・・・・・

風子「私のお役目もこれにて終了。後は野となれ山となれ…ですね? うふふ…!」
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