艦隊これくしょん―七十年後の君へ―   作:謎のks

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 ○前回のあらすじ

 エースは身の回りで起こる不可解な出来事の数々…その真相を探るべく、元海自の自身の父親に相談を持ち掛ける。
 父は全てを語らなかったが、代わりに一つの手がかりを残す。
 それを元にエースが出した答え、そしてこれからの展開は…?


第四話 邂逅(であい)

 エースが、父に真相を突き詰めて、数か月が経った、ある日。

 

 ──ピンポーン

 

「はーい!」

 

 榛名がドアの前に立ち、次々来る来訪者たちを応対する。

 

「(ガチャッ)お待ちしてました。どうぞ、中へお入りください!」

「お、お邪魔します…」

「お邪魔致します」

 

 現れたのは、小学生位の女の子二人。少し大人しそうな娘とどこか溌剌とした娘だった。二人は榛名に言われるまま中へ入っていく…。

 様々な年代の女性たちが、次々エースたちの元を訪ね、そのまま中へ案内される。

 

 ──この状況の説明は、数か月前まで巻き戻る。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

『…結論から言うと、榛名の夢は「戦艦榛名」の記憶だ』

『え!? エース君、それは…』

『…やっぱり、そうだったんですね?』

 

 エースは父からの助言により、榛名の見た夢についての(暫定的ではあるが)結論を皆に伝えていた。

 周りは驚きの様子だったが、榛名は別段驚きもせずエースの言うことを聞き入れる。

 

 ──戦艦榛名とは、太平洋戦争当時、旧日本海軍が所有していた"軍艦"。

 

 旧日本帝国を何十年にも渡り守り続けた戦艦姉妹…金剛型戦艦、その三番艦である。

 

『何でかは分からねえけど、榛名に「戦艦榛名」の記憶があって、例のヤツらはそれが狙いとしか…』

『おいそれ、親父さんが…?』

『いや、詳しく聞く前に切りやがってよ…これはあくまで俺の推測だ』

 

 父の残した情報と、夢で見た榛名であろう少女がいた港が切っ掛けになっていた。…おそらくアレは戦争末期の軍港急襲の一幕だと思ったエース。

 

『なんだよぅ、それじゃコネも期待できねえなあ?』

 

 フォックスはそう言いながら頭を搔く。ここでいうコネとは、エースの父の広いコネクション(交友関係)の事。

 有事のため、エースには彼の交渉役として入ってもらい、あわよくば、それを”ビジネスのため”存分に使うつもりだった。

 

『諦めろ。アイツはそうそう人の考えには乗らねえ』

『ちぇ、まいいか! それならそれでやりようが…』

『あの…じゃあ私は…?』

 

 気まずそうに手をあげる龍美。エースの推論が正しいなら、彼女も軍艦の記憶を「観た」ことになる。だがその場合、龍美の見た夢は何故榛名やエースと違う内容なのか?

 

『先ず龍美ちゃんがどうして夢を見たのか、だけど…俺と榛名も艦の夢を見たってことは、この夢は「複数人」の人が見るものだと推察出来る、内容が違うのは戦艦榛名とは「違う艦の記憶」だから…だと思う』

『そう? でもそうだとしたら私の場合誰の…あ、ええと”何の”記憶だろう?』

『飛行機っぽいヤツ飛ばしてんだから、空母とかじゃね?』

 

 フォックスの言葉に、一同は自然と頷いた。

 空母…「航空母艦」は太平洋戦争において、最も戦局を左右した艦種であろう。

 龍美は夢の中で、弓を構えそれを放ち、敵に攻撃を加えていたという。その矢の先端には、飛行機のようなものが「くっついていた」のだとか…

 

『案外よ「瑞鶴」とかじゃね?』

『私「飛龍」が良いな…なんて?』

『んだn…いやないべ?』

『ひ、ひどいっ!?』

『お前らなぁ…』

 

 茶化し合う仲間を見て、呆れながらも安堵するエース。

 そして彼らは、これからのことについて話し合うことにした。

 

『とりあえずヤツらのこと、それから「海の亡霊」のこととか? 全部後回しな』

『い、いいのでしょうか? …榛名の事は後でも?』

『いや、これは今の俺たちじゃ解決出来ねえことだと思う』

『た、確かに…政府とか海の亡霊? とか、色々と話が大きすぎて』

『だろ? だからまずは榛名の記憶とか、龍美ちゃんのことを何とかしよう! …いいな? フォックス?』

『へいへい、お好きにドーゾ?』

『それは、素直にうれしいけど…でもどうやって?』

『まずは、俺たちの他に”それ”を見た人たちがいるか、そしてそこから、榛名の記憶の手がかりを探そうと思う』

『え? それって…?』

『フォックス』

 

 あいあい、と言うとフォックスは自身のノートパソコンを見せる。

 するとそこには、ネットのSNSに書き込まれたコミュニティサークルの一覧があった。

 

『ここの、一番上かな?』

『えっと…「戦争の夢持ち募集」???』

 

 ──2014年の大晦日、私は不思議な夢を見ました…戦争の、それも軍艦になった夢です。

 この不思議な体験をぜひ聞いてもらいたく…もしくは私と同じ日時に、同じような夢を見た方を募集します。

 

 …と、サークルの紹介文はこの様に綴られていた。

 

『こ、これはなんとも』

『どすとれーとだなぁ?』

『こうやって素直に書いた方が、そういう奴らを集めやすいと思ってな? …ま! やっかみで書き込む馬鹿にゃ容赦しねぇけど?』

『お前が言うと…いいや、とにかくこれで人を集めようと思うんだ』

 

 早速サークル名をクリックし、中を見てみると、既にいくつか書き込みがあった。

 何か分からないことも書き込まれてたが、ほとんどが真剣に悩みを打ち明けていた。

 

『わぁ…こんなに…っ!?』

『やっぱり、俺たちだけじゃなかったんだ…あの日、あの夢を見たのは』

 

 エースは自分に言い聞かせるように言葉を発した。

 偶然ではなく、何故かは謎だがそれでも、自分たちの他にも「あの夢」を大多数の人が見ていたのだ。

 それを察したエースたちはそれを確認すべく、そしてあわよくば榛名の記憶を戻すキッカケを作ろうとしていた。

 

「(彼女たちの話を聞くことで、榛名が何かを思い出してくれりゃいいんだけど…)」

 

 記憶の手がかりとなる確証はない…が、自らが立てた誓いを違えぬように。

 そして、この夢「艦の記憶」の意味を知るため…エースたちは行動を開始した。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 もちろん、該当者たちの意志も尊重する。このナイーブな議題に、エースは慎重に向き合っていた…彼女たちの悩みを、一人ひとり誠実に聞き取り、それに応える。

 そんな地道な努力に、彼女たちの心も徐々に開いていき──

 

 

 

 季節は春真っ盛り、もうすぐ梅雨か? と思うほど空には雲が広がる。

 エースたちは、すっかり仲が良くなったサークルのメンバーにある提案を持ちかけた。

 

「初めての「オフ会」…いっちゃいます?」

『──イイネ!』

 

 と、軽い感じでサークルのメンバーにオフ会の告知をする。

 榛名の記憶や、あの夢について手がかりを探るため、一度全員で話し合った方がいい…というのがエースの考えだった。

 開催場所はエースたちが拠点としている、フォックスの住むマンション最上階。

 オフ会の日時と場所を記載し、そして当日を迎えて今に至る。

 

 ──しかしここで、驚きの事実が判明した。

 

「まさか、全員女性なんて…」

 

 エースたちの元に訪れたのは、十人位の女性…小学生位から20代後半の女性までと、年齢層も様々だった。

 ここにいるのは「あの夢」を見たという人物たち…もしそこに「女性だけ」という条件が付け加えられたら…?

 

「お前、もしかして女だったの? オナベ? w」

「違わい! …うん、違うはず」

 

 エースは自信なく回答する。これだけの現実を見せつけられたらそうもなる。そう、自分は男だ。頼むからそうであってくれ…そう心から願うエースであった。

 …ふと、エースは辺りを見回す。

 女性たちは、多少ぎこちないながら和やかに歓談していた。榛名が作ったお手製のクッキーと紅茶の味を楽しみながら、笑顔で──と、ここで一人の女性に注目する。

 

「…」

「(うわぁ…)」

 

 サングラス。

 マスク。

 ロングコート。

 

 黒の長髪の女性は、徹底的に肌の露出を避けようとしていることが見て取れた…まだ肌寒いが、だからってロングコートとは? …そう思わざるを得ないエース。

 

「あの…お暑いようでしたら、コートをこちらに?」

 

 気を利かせようとスッと手を差し出す榛名だったが、女性は断固拒否と言わんばかりに手の平を突き出す…正に徹底抗戦の構え。

 

「(あの人、何と戦ってるんだ…?)」

 

 女性は誰とも話そうとしていないようだった。…目を掛けるべきか、そう思案していたが…?

 

「(…よしっ!)」

 

 悩むより行動と、エースはスッと立ち上がり、手を叩いて彼女たちの注目を集めようとする。

 

「はいっ! 皆さんどうか注目してください…どうも。えー、改めまして、今回僕たちのオフ会に参加してくれて、ありがとうございます」

「はいは~い!」

「お前じゃねえよフォックス! …えっと、僕はこのサークルのまとめ役をさせてもらいます、エースといいます。あぁ、もちろん本名じゃなくて、コードネームってやつです」

「ほぁ~あ? 最近の若い奴は、そんなことしてんの?」

 

 銀髪の女性は不思議そうに呟いた…心なしか顔が赤い気がする。

 

「いやいやwこれはコイツの趣味っすよ?」

「マジでぇ? かぁー! 忘れられぬ青春の一ページってやつかあ!」

 

 フォックスと銀髪の酔人のやり取りに、女性たちからたどたどしい笑いが聞こえる…まるで晒し者にされるような気分だ、フォックス、お前後で覚えてろよ? っつうか余計なこと喋んな! …エースは心の奥で叫ぶのだった。

 

「もう隼子ったら! …すみません、彼女昼間からお酒ばかり飲んで…今朝もダメだって言っても、聞かなくて」

「そ、そうですか…」

 

 隣にいた真面目そうな女性が酔っ払いを制止していた。…まあ確かに少し幼稚かも知れないが、それでも自分なりの考えがある。人と人の距離を縮めるためには形から入るものだ、エースはそう頑固に思った。

 

「(っ! そうだ!)」

 

 とここで、頭の中で電流のような煌きが灯るエース。

 先ずは、何事もなかったように自己紹介を続ける。

 

「えっと、そこでいらん事くっちゃべってる奴がフォックス」

「ひどw」

「そしてデカくて頭にタオル巻いてるやつがアトラス」

「んだなぁ」

「それで、オレの隣にいるのが榛名」

「はい! よろしくお願いします!」

「最後はたt…ゴホン! 「龍鳳」ちゃん!」

「……」

 

 それぞれの自己紹介が終わると、ふと思いついたように手を挙げる女性…今度はおさげをした女子高生だった。

 

「ねぇ~それってさぁ? 皆コードネームなの?」

「そう! その通りです! だから…"貴女たちにもつけようと思います"!」

「………」

 

 

 ──え?

 

 

 一瞬にして場が凍り付く…まさか変なあだ名付けられるのでは? と何を言わずとも全員の苦い顔を見れば考えていることが分かる、慌ててエースが訂正する。

 

「ち、違いますよ!? ほ、ほら夢の中で自分がなっていた船の名前! それをコードネームにしましょう! 榛名たちみたいに?」

 

 彼女たちの相談を受ける過程で、多種多様なシチュエーションから船の名前は大体割り出していた…。と、ここで頬を膨らませながら抗議する女性。

 

「むぅー…私、飛龍がいいのにぃ…」

「文句言うなよぉ?よーほーちゃん?w」

「りゅ・う・ほ・う!」

 

 一体何度繰り返したのだろうか? という位フォックスと龍美…改め「龍鳳」のやり取りは洗練されており、もはや夫婦漫才だった。

 

「えっと、それじゃあ貴女たちの自己紹介してください。コードネームと…できれば本来の名前も?」

「うぃー! 鷹野隼子(たかの じゅんこ)! しがないOLやってまーす!!」

「隼子! ほら、コードネーム!」

「うぇい? …っとぉお? あ、アタシは「隼鷹(じゅんよう)」さんでーす!」

 

 と口火を切ったのは先程の酔っ払い…隼子改め隼鷹だった。

 この調子で自己紹介ついでにコードネームを決めることで、一気に彼女たちと距離を詰めよう…そう算段をつけるエースだったが?

 

「え? 私ですか? …えっとぉ、パスできます?」

「えぇ? どうして? …え、耳? は、はい」

 

 どうやら言いづらいことのようだ、言われるまま真面目そうな女性に耳を近づけるエース。彼女が囁いたのは…?

 

「……え、「高野山」?」

「え!?」

「ブゥは!? w」

「んだなぁ」

「なぁ!? だろだろぉ! ヘンな名字だよな~ニヒヒ!」

 

 彼女は「高野山妙子(こうやさん たえこ)」といって、コードネームは「妙高(みょうこう)」。ちなみに横にいる隼子(隼鷹)とは、同じ会社で働く同期である。

 まるで漫画に出てくるライバルや敵キャラのようなこの名字を、小学校から今まで散々からかわれたという。

 

「うぅ…だから言いたくなかったんです」

「で、でも良いじゃないでしょうか。正直カッコいいって思いました!」

「え…そ、そうですか? …そんな事言われたの初めて///」

「出たよ、天然タラシw」

「エース君いっつもこうやって、女の子の気を引こうとしてたんだよ?」

「そうなんですか〜(榛名)」

「うぉい?! そこナニ話してんのぉ!!?」

 

 フォックスや龍美、榛名たちとそんなやり取りを交えながら、エースは自己紹介を続けるよう促す。言われたその通り次々とアピールしていく女性たち。

 

 おさげの少女「んぁ? あたし? …「北上(きたかみ)」だよ~名前は教えてやんない」

 

 ポニテの少女「ども! その友達の「青葉(あおば)」です! 秘密の集会を取材しにきました!」

 

 おどおどした小学生「え、えと…「潮(うしお)」です…なっ名前は、潮音(しおん)…です」

 

 しっかりした小学生「潮音ちゃんの同級生で、初花(いちか)と言います…あ、こーどねーむ? は「初霜(はつしも)」です」

 

 アホ毛の少女「ぴゃ~い! 「酒匂(さかわ)」だよー♪名前も酒匂~…え? 名前ないんだよ~孤児院で育って、昔のことも覚えてないし…」

 

 酒匂の名前と居所を聞いたエースは、一瞬彼女の話を榛名と重ねたが、酒匂の場合は事情が違うと直感で理解する。

 

「そう! 大晦日にね? お船になった夢みて「すごーい!」ってなったんだけど、私だけじゃなかったからおよよ? ってなったの~」

「酒匂ちゃんは、昔から酒匂って名前だったの?」

「うーん? 酒匂気づいたら孤児院にいて、その時にね? 覚えてることが「酒匂」だったの~」

 

 要するに、彼女の幼少時に出自不明のまま孤児院に運び込まれ、その時のショックか、自身の記憶を失くしてしまう…だが自身が「酒匂」だということは、頭の中に刻まれていたのだという。

 

「どう思う? 榛名?」

「うーん…私と似ていますが、時期が違うのが気になりますね?」

「そうだな? …ごめん、話を止めちゃって」

「だいじょおぶだよぉ? 雪ちゃんと菊ちゃんなら分かってくれるよぉ~多分。ねえ雪ちゃん? 菊ちゃん」

 

 雪と呼ばれた少女「……あう?」

 菊と呼ばれた少女「ふん…」

 

 雪と菊は、酒匂と同じ孤児院育ちで、彼女たちも酒匂と同じ境遇にあった。

 菊は睦月型駆逐艦「菊月(きくづき)」そして雪はあの超のつく武勲艦「雪風(ゆきかぜ)」であるという。

 

「こんな小っちゃいのがねえ? 人は見かけによらねえっつうことか?」

「っ! がーあ! ぶぶうーう!!」

 

 雪は舌を出し、精いっぱいフォックスを威嚇する…彼女は知能の発達に遅れがあるらしく、まともなことは喋れないらしい。

 

「はいはい、これでも相手してロ?」

「ポフッ)!! あ~ぁ! もひゅもひゅ~♪(ギュー)」

「ぴゃあ! おっきいお人形さん! …よかったね? 雪ちゃん!」

「あい!」

「…プッ」

「おい? なんだよそーほー? 文句あんのか?」

「龍鳳! …優しいところあるんだなあって、普段からそうすればいいのに?」

「ケッ! 俺は優しいんじゃなくてコス狡いの!」

「はいはい♪」

「ぴゃー! それじゃ改めて自己しょーかい! 次は菊ちゃん!」

「(なんかノリノリで仕切ってる!? …まあいいけど…)」

「…「菊月」だ。…名はない。」

「………」

「…以上だ」

「いやなんかアピールしよう!?」

「それ以外に何がある? …私は最近頻繁に見る夢の正体を突き止めたいだけだ」

「いやそれは…」

「皆も同じ気持ちで集まったのだろう? …ならば茶番は早々に切り上げ、それを話し合うべきではないか?」

 

 和やかな集会に、一転してどよめきが聞こえ始める。

 菊月は知り合う機会を「茶番」と切り捨てた…確かにこのような場所に集まっているのは、各々の理由があるからで、こんなことに掛ける時間も無いかもしれない──

 

「でもそれは…」

「──それは違うと思います」

「…なに?」

「榛名?」

 

 エースが言いかけたその時、隣にいた榛名がはっきりとした口調で自身の心情を綴った。

 

「なぜ、私たちにこのような事が起こったか? …私たちの身の回りで何があったのか? それは分かりません…でも」

 

 そう区切ると、榛名は息を整えて…確りとした口で答えを返した。

 

「偶然かもしれませんが、私たちは同じ事件、同じ目的のもとに出逢いました…それは"仲間"、というのではないですか?」

「なっ!?」

「榛名、お前…」

 

 榛名の言葉に驚きを隠せないエース、しかしこの言葉の意味することは、この状況は榛名にとって「良い影響を与えている」と確信を持って言えた。

 

「私は、そんな貴女たちが、どういう人か、何を考えているか、それ以上のことも、もっともっと知りたいです!」

「お前は…それで良いのか? お前も記憶が…」

「確かに私も、この夢の意味を知りたいです…でも、なんとなくですが──皆さんに会うためにこの夢をみた。私は…そう思うんです」

「…もういい、勝手にしろ」

 

 菊月はそれ以上、口を挟むことはなかった。

 榛名の確信を得た回答は、その場にいる全員を納得させ、エースはそんな彼女を見て、自身の行動が身を結んだことを実感した。

 

「(…さて?)」

 

 いよいよ、とエースが目をやったのは、完全防備の怪しい女性。

 女性は「いいですよ、私は」と言わんばかりに首を横に振った。

 

「ここまで来たんだから、観念しろよネエちゃん?w」

「んだなぁ?」

「あの、私は貴女のことも知りたいです!」

「っていうか、自己紹介中なのに正体隠したままじゃ意味ないじゃん?」

「北上ちゃんのいうとーりぃ~ってお前も名前言ってないやろがーい! ってかぁ~!!」

「隼子!?」

「もし本当に迷惑だったら、これ以上は何も言いません…でも、榛名も言ったように、貴女も「仲間」…ですからね?」

 

 エースがそう言うと、女性は溜息を一つついて…。

 

 ──スッ

 

 まずコートを脱ぎ、次にサングラスを外す…と、この時点で一部から驚きの声が上がった。

 

「えぇ!?」

「おいおいwマジかww」

「おぅふ」

「…? 皆さんどうなされました??」

「いやそこは驚こうよ榛名?」

「おおこれは! 大スクープですねえ!!」

「ぴゃあ?」

「初花ちゃん、ここれって…も、もしかしなくても…?」

「こんなことって、あるんだね…?」

 

 目を丸くする一同をよそに、女性はついにそのマスクを外し、一言。

 

「──名前は長戸愛理、本名です。…コードネームは「長門」です。その…宜しくお願いします」

 

 ぺこり、と頭を下げる彼女は──

 

「ま、マァジかああああああ!!!!?」

 

 ──言わずと知れた人気若手俳優「長戸愛理」その人であった。

 




〇ある男の末路

モブ男「あーあ! 上司の野郎偉そうにしやがって…接待する身にもなれよなぁー! 疲れたー! …よしちょっとすっきりさせるか? (言いながらパソコンを開く)」
モブ「…何々? 「戦争の夢持ち募集」?? っぶっはあwwwなんだこれwwww草しか生えねえwwwww」
モ「よーし…「悪戯にしても悪質ですね(笑)まともなサークルじゃないことは確か。」…あと「どこの中二病か知らないけど、もう少しマシな題名を書きましょうねえ~?」…ふふ、乗ってきたぞぉ──」
もっさん「──ふ―う、まだ書き足りないが続きは明日にするかなあ? …さて明日はどこにしよう? ふふふ…」

・・・翌日・・・

──ピンポーン

もっ「はーい?(ガチャ)」
K☆察「あ、すみませんここあなたの家? …警察ですが、貴方に逮捕状が出ています、署までご同行を?」
モーさん「えっ!? 何で!!? 何もしてませんよ!!」
計札「ほーぉ、そうですか? …では罪状を読み上げます。…殺人罪、死体遺棄、強盗、過失致死、暴行、誘拐、強姦、わいせつ物陳列、不法侵入、詐欺…あぁ、もういいでしょう。面倒だからしょっ引いて?」
んもぅ…「え”えええええええええ!!!!?!!??」

テルェビ『史上最悪の犯罪者、呆気なく逮捕です』
もう駄目『俺は何もしてない! してないってヴぁあああ!!!』
エースん「おい、お前まさか…」
狐☆「テヘッ☆」
え~す「テヘじゃねえええ!! 今すぐ何とかしてこおおおい###」

──彼は無事釈放されましたとさ。チャンチャン。
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