おいでよ獣狩りの町 あの田舎町ヤーナムがオバロ世界にインしました   作:溶けない氷

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私アンゲリカ!冒険者になるって大変なのね!
え?違う?


Hunt14 試験勉強

宿ではラキュースとイビルアイによる

「いい!?組合長と話すときは、絶対に”ぷれいやぁ”だってこと言っちゃダメよ」

「・・・わかった」

「本当に?じゃぁはい、出身は?」

 

「・・・南方の方から旅をして来ました」

「ほら、言い淀まない!背筋伸ばす!ほっぺた膨らませない!」

 

「鬼リーダーの熱血指導」「鬼ボス教師、愛の特別授業」

 

アンゲリカが宿に帰ってくると明日の都市長と組合長との面接対策を受けさせられた。

不満たらたらだが、これを機会に彼女に常識というものを叩き込んでおかなければ

この先何をしでかすかわかったものじゃないという判断から急遽、面接の練習を行うことにした。

アンゲリカとしてはそもそも、冒険者の心得を受講すればいいだけの話ではと思ったが。

あまりにも隔絶しているらしい彼女の実力を考えれば冒険者講座の受講だけで済ませられる話では無いらしい。

「まぁまぁ、ラキュースもアンジェもさ。今日は疲れてるだろ、面接ったってそんな特段厳しいものを求められてるわけじゃ無いんだしテキトーでいいだろ」

 

「甘いなガガーラン、アンジェの人間界の常識の無さは下手をしたらドラゴン以上だ」

 

「・・・えぇ、チビさんよ。それマジか?」

 

「わかるだろ!普通に考えて!あんな大魔獣をポンと呼び出すようなのが普通だったら世の中おかしいのは我々か?

それ以外にも菓子屋を金貨で買い占めるし、

道しるべにと金貨をポンポン街中に置いて回るし・・・

今や町中で色んな意味で噂なんだぞ!」

 

「うむ、私の持ってる金貨が普通の金貨2枚に相当するのは意外だった」

とアンジェは講習を受けながらも大量の飴やケーキをアイテムボックスから取り出して皆に配っていた。

 

「いや、そこかよ・・・・・っていうか今どこから出した!?」

「アイテムボックス」

蒼の薔薇の一同も

「全く、アンジェには驚かされてばかりだな。

その”あいてむぼっくす”だったか?何でも大量の荷物を亜空間に収納しておける魔法のようなもので”ぷれいやぁ”なら誰でも使えるらしい

おまけにアンジェの持っているアイテムはどれもこれも規格外な代物だ」

と言ってイビルアイはポーションの瓶を皆の前に置いた。

「ポーション?」「赤い?』

 

「そう、赤いポーションだ。我々の常識ではポーションは青い。

そしてこの赤いポーションは劣化変質することがない、これだけでも大したものだが

アンジェ曰く、これは”ぷれいやぁ”の間では最も安価で効果の低いものだそうだ」

 

顔を見合わせる面々

アイテムボックスだけでも利用価値は凄まじいが、その中身も問題だった。

どれを取っても今までの世界の常識がひっくり返る代物。

「何ていうかよ・・・・本当にアンジェって別世界の人間だよな・・・

いや、神様なんだっけか」

 

「はは、私ごときで神様だったら薪の王や墓王、

深淵歩きを見たらみんな心臓止まるんじゃ無いかな。

私は何百回も文字通り止められたけど・・・

たかが不死人もどきになった程度で神様なんてお笑い種だよ」

 

ラキュースが文字通り、アンゲリカを何百回も殺した敵がいたことを考えて

どれだけ凄まじい戦いが”ゆぐどらしる”では繰り広げられていたか想像する。

「・・・・なんか名前だけで凄いことがわかるのが怖いわね

ねぇ、何で”ぷれいやぁ”達はそんな世界で楽しめるの?

それとも、殺し殺されるのが趣味なんて・・・そんなわけ無いよね・・」

 

ラキュースが疑問に思う。

客観的に見れば”ぷれいやぁ”とは殺したり殺されたりの世界にわざわざ受肉して降臨したと見られているので、ゲームでない現実の世界を生きる住人にとってはサイコパス以外の何物でもない。

 

「うん?楽しいよ。殺し殺されるの」

 

アンゲリカはあっさり肯定した、ゲームだしね。

 

「マジか・・・って殺されても蘇るのが”ぷれいやぁ”だったな・・・

なら、街中じゃしょっちゅう殺人も起こるんじゃないか?」

ガガーランが”ぷれいやぁ”の血を好む習性に引きつつも興味があるらしい。

強者のみが存在する世界、神話や伝説の存在がどんな風に生きているかに人は惹きつけられるもの。

 

「いや、流石に街中では殺人は取り締まられるね。

でも一歩町の外に出ればPK・・・プレイヤー同士の殺し合いなんてしょっちゅうさ

むしろダンジョンの方が安全かな?」

 

蒼の薔薇の認識では”ぷれいやぁ”の世界”ゆぐどらしる”は凄まじい力を持った

猟奇殺人鬼が無限に蘇って殺し合いを繰り広げる世紀末修羅世界になった。

あながち間違いでもないのだからアンゲリカは言われてみると恐ろしい世界だなとも思った。

「いや、生産職系とか治癒系とかのぷれいやぁもいるし、みんながみんな流血沙汰を好むわけじゃないよ。

PvPにしても基本的に礼儀正しくしないのはごく少数だし」

 

「くうぅぅ!でも羨ましい!気の向くままに好きに冒険できるなんて!

ねぇ!アンジェの冒険のお話ってもっと聞かせてくれる!?」

 

「おい、リーダー。特別講義はどうするんだ?」

「まぁ、何とかなるでしょ」

「おい、それでいいのか?」

 

「イビルアイは心配性だね、でももうほぼ大丈夫だよ。多分」

「不安しか残らないんだが・・・」

「まぁ、冒険者組合の登録ってもよ 面接なんて触りくらいなもんで実技が殆どだろ。

常識なんておいおい覚えてきゃいいさ

冒険者は腕っ節こそ全てだからな!」

 

「アンジェなら絶対大丈夫、麗しの太ももに誓って」「ああ、この柔肌イケない恋に落ちそう」

 

皆が口々にこれまでのアンゲリカにこの世界の最低限の常識を教えた努力に太鼓判を押す。

苦労したのは殆どラキュースとイビルアイという事実はスルーするとして。

 

「そう・・・じゃぁ私が覚えてる限りだけど、ちょっとした昔話をしようか・・・

少し前、だけど実際には遠い遠い昔

それは大地が記憶した都の物語。

古い時代

世界はまだ分かたれず、霧に覆われ

灰色の岩と大樹と、朽ちぬ古竜ばかりがあった・・・・

だが、いつかはじめての火がおこり

火と共に差異がもたらされた

熱と冷たさと、生と死と、そして光と闇と

 

そして、闇より生まれた幾匹かが

火に惹かれ、王のソウルを見出した」

 

 

アンゲリカはかつて追加されたダンジョン、ロードランの話をした。

それは嘘のような本当の物語。

不死者と狩人が死んで、蘇って、また死んで

”ぷれいやぁ達”が神々に挑み続ける物語。

 

薪の王 グウィン

ソウルも肉体も燃え尽きて 対峙するのは燃え残り

されど刃は空間すら裂き 炎は全てを燃やし尽くす

 

深淵歩きのアルトリウス

その技余すことなく絶技

大地を裂き、天を突く

 

竜狩りのオーンスタイン

雷の力備えた騎士の長

その槍は死なずの竜をも打ち砕く

 

強敵はいっぱいいます、たくさんいます

Lv100でもあっさり殺されること間違いなしです

 

気がつけば夜も更けて、辺りは濃い暗闇に包まれました。

それでも終わらない

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