おいでよ獣狩りの町 あの田舎町ヤーナムがオバロ世界にインしました 作:溶けない氷
竜王<八欲王=わんわん =アンゲリカ<Majestic ミコ★ラーシュ< <<<ガスコイン大先生 <<<<ゲールマンおじいちゃん
あくまでカタログスペック、数や戦術、プレイヤースキルでひっくり返せる。
ジャイアントキリングこそゲームの醍醐味でしょ。
「皆聞いて。一度、リ・エスティーゼにまで戻るわ」
ラキュースが現状について説明すると、
メンシスの檻を意味もなく被り、世を俯瞰していたアンジェがこう質問した。
「ねぇ!?アンジェったら聞いてるの!?それとその変な檻かぶるのやめなさい!」
「ああ、すまない。つい世の中から隔絶したくなる日もあるってことさ」
よいしょっと脱いでしまうが、やっぱり鬱陶しいよねという感想以外は特になかった。
これを被りながら超位魔法を連発してくるとかミコラーシュやっぱ変人だなと思った。
更に言えばぷれいやぁとは皆変な奴なのかと思われても困る。
実際、変な奴の方が多いだろうが。
聞けばこの世界では第6位階程度で伝説の魔法使い扱いだという。
その程度なら誰でも普通に使えるでしょ?とエブリエタースの先触れで眼に映るものを片っ端からなぎ倒しても良かったが街並みを文字通りなぎ倒したら・・・なんだその・・困る。
なぜレベルが低いままで留まっているか?
これについては色々と疑問に思っているし、ラキュースの筋力にしても本来ならばあの細腕で大剣を振るうことなど出来ないはずなのに・・
現実をゲーム風スキルが上書きしている?あるいは・・・
考えても仕方ないので、
檻を被って考えたらゴースと交信できてOh Majestic!な考えが浮かんでくるかと思ったがゴースはもう死んでるし
遺子に至っては自分で殺したので意味がないと気づきやめた。
私の思考の次元はまだ低すぎる!もっと見聞を高め、啓蒙を上げなくては!と考えたところでラキュースに注意された。
ついでに今度、一緒に寝るときは一晩中アンアン言わせてラキュの啓蒙も高めてやろう。
「わかった、それで王都でどんな要件なんだい?」
「ラナー王女からの依頼よ、今日『伝言』が届いた。
『至急、王都にて依頼あり 黄金』
手紙でも使者でもない、つまり伝言では伝えられない重要な案件が緊急であるということよ」
黄金という単語で皆が顔を合わせる。
「黄金、この国のラナー姫の依頼だね。
緊急ってのはわからないけど、王都でって事は八本指関連かな?」
「!?アンジェ、いつの間にそんな・・」
「おいおい、もう私だって冒険者の一員なんだ。
君達みたいな超有名人なら噂話くらいなら組合でに行けば簡単に聞けるよ
想像以上に凄い冒険者だったんだね」
「今の噂話の花形はもっぱらアンジェだけどな」
突然現れたミスリル級の魔獣使いアンジェと大狼シフは今や町中の噂話の的。
アダマンタイト級の蒼の薔薇が滞在しているというだけでも今までは噂になったが
ここにきて話題を攫われてしまった。
「リーダー、モブキャラに格下げ?というか実力順でヒラに格下げ?
おい、ラキュ ちょっとパシッてコーヒー買ってこい」
「ボス、遂にボスの座から転落?おいラキュ、肩もめ」
調子にのる二人にゲンコツを食らわすと改めてアンジェに向き直り
「アンジェの言った通り、あらかじめラナーが犯罪組織”八本指”に対する対策が出来次第、私に知らせると伝えてきた。
だからこれは蒼の薔薇への依頼じゃなくて私個人への友達からのお願いになる」
「うん?でも冒険者組合を通してじゃなくて?」
「・・・恥を晒すようだけど、犯罪組織の腕は長い。
貴族にも冒険者組合の中にも息のかかったものがいる、だから連中はまず間違いなく捕まらない・・」
為政者や警察機構とヤクザが密着しているようなものか、別に珍しい話でもないなとアンジェは思った。
「なるほど、それで話が漏れにくい"友達"のラキュースに対応してもうつもりなのか・・・
いいよ。それで、その八本指なんていうご大層な名前の連中ってのは強いのかい?」
「六腕と噂される暗黒街を仕切っている連中の腕は確からしい。
筆頭を始め、それぞれがオリハルコン級かそれ以上の腕前の凄腕・・・ってアンジェの前ではどんぐりの背比べだろうな」
イビルアイが今までに集めた連中の情報を話すが、実働部隊の腕前は本物だと断言する。
「うん・・・単純に1対1でなら問題ないと思う。
でも、そういう犯罪者連中は戦い方が何でもありだからね。
正面から勝てなくとも、そういう奴らは周りを巻き込んででも勝とうとするから苦手かな」
「アンジェでも、油断ならないって事?」
「勝てない相手は毒を盛ったりや友人・家族を攫って脅迫するくらい平気ですると思う。
それでも駄目なら、追跡できないように足のつく部下を殺して地下に潜るくらいはするだろうね」
正面からのどつきあいなら神経毒・火炎瓶・時限爆弾に罠などなんでもありの狩人も、獲物がいないのでは話にならない。
「アンジェもサラリとえげつない事思いつくよな・・・」
真っ向から戦うタイプのガガーランにとて確かに気づかれないうちに毒を盛られでもしたらどうしようもない。
解毒ポーションがあっても即死毒を盛られては意味がない。
死亡すれば大幅に弱くなることはこの世界でも知られているので、その時点でほぼ詰んでしまう。
要は殺せばいいのだ。
「支配階級と結びついたロクデナシってのはそれくらいやるから、支配層に重宝されるんだろ?
見栄えを気にする連中が汚れ仕事を任せる連中だ。
そもそも、犯罪者でなくその後援者を叩かないのでは対処療法に過ぎないと思うけどね」
「確かに王国の恥を晒すような話だが、私も王国の現状を変えなければ意味はないと思っている。
だが、アンジェ。そんな中でも必死に世界を良くしようと努力している者達がいるということを忘れないでほしい。
・・・・”ぷれいやぁ”から見れば愚かしい人間達だと思われるかもしれないが」
「そうだね、でもプレイヤーなんて所詮は旅人。
世界を変えられるのはその世界の住人だけだと思うよ。
勝手に余所者が来て、偉そうにかき乱すなんておこがましいにも程がある」
とはいえ、アンゲリカ自体は名前も知らない六大神のプレイヤーに感謝はしている。
彼らが人間を守ってくれたおかげで、こうして彼女達とも出会えた。
仮定だが、もし人と出会えずに外で過ごしていたらアンゲリカは自分と獣と世界の境目も曖昧になり、やがては世界を呑み込む獣になっていたかもしれない。
自分と他者を区別する事に意味がない世界では人は存在できず、獣になってしまう。
「それでさ、またシフに皆で乗って行くかい?」
「・・・・いえ、私達はここまで来るのに馬で来たからそれに乗って行くわ」
ラキュースはちょっと顔を蒼くした。
森の中でちょっと300km出した程度で危うく戻しかけたのだから、道のひらけた街道ならもっと速度は出るだろう。
「いや・・・あれは悪かったよ。今度はもっとゆっくりにするか『遠慮しておきます!』そ、そう?」
残念ながら、最大速度で王都に向かうという案は却下されてしまった。
馬のようにのんびり行くしかないが・・・まぁ散歩がてらという事で同意した。