おいでよ獣狩りの町 あの田舎町ヤーナムがオバロ世界にインしました   作:溶けない氷

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え?法国の情報が早すぎ?
きっと魔法使ってるんだよ


Hunt 17 法国

『リ・エスティーゼ王国』

 

帝国・法国、竜王国と言った人類種の国の中にあって最大の人口850万人を誇るこの大陸における人類最大の国家でもある。

ユーラシア大陸並みの広大なこの大陸で850万人、室町時代の日本とどっこいどっこいの国が人類種最大の国の時点で人類という種族がどれだけ雑魚な種族かお分りいただけるだろう。

本来であれば人類という種を守り、導かなければならないのは法国じゃなくて王国では?

ではその王国の現状は?

法国にとってみれば、存在自体が害毒を撒き散らす獅子身中の虫であった。

残念ながら人類という種は獅子ほど強くもないし、害虫にしては王国は大きすぎた。

毎年のように、平均寿命3ヶ月とも揶揄される対ビーストマン戦に莫大な血と汗を流して育て上げた精鋭の陽光聖典隊員を送り出し

一方ではエルフの王国とも戦線を維持するスレイン法国にとってはこちらを盾にして繁栄を謳歌できる立場にありながら、やっていることは帝国とのお遊び同然の戦争ごっこ。

別に法国は人類種の守護者をやりたくてやっているわけではない。

ただ、ビーストマンの進行にさらされる竜王国が倒れれば質量ともに圧倒的な彼らの向く矛先が次は自分たちだからという理由もある。

 

「我々が倒れれば次は自分達だというのにな・・・・」

 

神官長は毎日のように上がってくる周辺国のめぼしい報告書に目を通しながら呟く。

・・・・正確には帝国のめぼしい情報が主だが。

法国の王国に対する不満は今や民間レベルまで鬱積している。

『自分達がお前たちの分まで苦労を追ってやっているのに、お前たちの不甲斐なさは何なんだ!』という不満。

 

これで王国が義勇兵を派遣する、傭兵業が盛ん、物資を援助する。

そこまでいかなくてもまともに繁栄し、後方の補給地として活躍していてくれたなら、後のガゼフ暗殺などという急進的な手段は必要なかったろう。

法国の首脳陣は人類優先の理念が読者にどう映るかは読者の判断としても、

王国の重要な戦力のガゼフ戦士長を抹殺するのは大局的にみれば避けたい事態であるのは明白であった。

だが、現実は無情である。

王国が供給するのは傭兵でも、食料でも、良質な武器・防具のような工業製品でもなくもっぱら黒粉と呼ばれる麻薬であった。

繁栄どころか、まともに国家が運営されている帝国にも麻薬を輸出し内部での腐敗は長年の許容限界をはるかに超える事態であった。

それも支配層の貴族が率先して犯罪組織を庇いだてし、犯罪行為を見逃す見返りに金銭を受け取る始末。

 

法国は決断した、この獅子身中の虫を取り除かなければならないと!

王国が帝国に併呑される事によって人類種の勢力は一時的に100から90程度までには下がるかもしれない。

だが毎年のように1ずつ減らしてくれる王国が存在するよりは

100を130までには増やしてくれる帝国に任せる方が遥かにマシだ。

ただでさえ、激戦に次ぐ激戦で死傷者が続出している法国の軍。

何もわからない・理解しようとする努力すらしない王国の王族貴族よりは

法国が倒れれば次は自国が前線になると理解している

帝国のジルクニフ皇帝の方が交渉する価値がある。

 

『帝国は今年の道路網整備によってますます栄えるでしょう。

既に流通費用の軽減によって市場での商品価格は2割以上低下しています』

『皇帝の施策によって常備軍の兵力が去年より1割り増しになっております。

また質に関しても、魔法効果のある装備の量産体制を整えつつあり

今年度の定期戦争での戦力は実質5割り増しと予想されます』

『帝国は経済規模の拡大による貨幣不足を為替手形制度の導入によって緩和できると想定している模様です』

『冒険者組合の新規加入者は昨年より1割減少、

見込みのある冒険者の軍への組み込みが進んでいる模様です』

 

帝国の報告はこうだった。

翻って王国は?

『王国:特に無し』

この一行だけでどういう状況か理解できるのが悲しい。

 

(あの計画も・・・・もはや止む無しか・・・)

神官長としては心情的には反対だったが、ガゼフ暗殺すべしの声はここ三年で議題に上がっては徐々に強くなってきている。

今年は抑えきれないかもしれないな・・・・と肩をすくめた。

だが、つい今しがた追加の報告に目を通す。

(王国関連?珍しいな・・)

ここ三年ほどは特に無しが常態だったのに

『王国:冒険者*恐ろしく強大な魔獣使いが冒険者組合に加入

魔獣の難度は推定で100以上 巨大な狼

未確認の都市遺跡:極めて危険と報告される』

 

報告にはミスリル級の冒険者が都市遺跡の偵察で全滅した事、内部には強大な魔神が蠢いている事。

そして同じく偵察に訪れた蒼の薔薇は無傷で生還し、同時に強大極まりない魔獣使いが彼女達と行動を共にするようになった。

報告書には冒険者のアンゲリカと大狼シフの似姿も添付されていた。

 

神官長は目を見開く、その女性のこの世とも思えぬ美貌。

そして魔獣の狼王としか形容する他が無い威厳と凛々しさ、知性すら感じさせる瞳。

突然現れる巨大な遺跡、そして時を同じくして現れる強大な力を持った者。

六大神、八欲王、ぷれいやぁ達

(まさか!?破滅の竜王!?予言はやはり真実になったというのか?)

とそこまで考えて頭を振る

(・・・この魔獣が本当に破滅の竜王だとは限らん、事実冒険者組合に問題なく登録できているのだからいきなり町を破壊し始めるわけでも無視・・・

それならばこの女性が破滅の竜王・・・いや・・・それは無いな

竜王が冒険者に・・・無い無い・・・

どちらにせよ一度、こちらの手の者に接触させてみるか?)

 

とそこまで考えて神官長は強大な魔獣使いという事で同じ魔獣使いの

『一人師団』の事を考えた。

(あいつもいい加減子を成していい年だったな)

もしこの二人に子が為されたのならば、とてつもない才能を持った魔獣使いになるかもしれないと思った。

それこそ、単騎でビーストマン千人にも匹敵するような・・・

(いかんな、年をとるとどうも夢見がちになる)

自分も若い頃は、前線で剣を振るいビーストマンを余さず打ち取り人類に希望を齎すと自負していた。

だが現実は非情だった、仲間は次々に奴らの牙にかかり

同期で生き延びたのは今や自分だけ。

人類に明日が来るという夢は夢のまま終わってしまうのではと悲嘆にくれた日々もあった。

それでも人々の希望となる事を神からの使命と信じ、歯を食いしばって堪えてきたのだ。

「どちらにせよ今日の議題に加えなければな・・・」

 

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