おいでよ獣狩りの町 あの田舎町ヤーナムがオバロ世界にインしました 作:溶けない氷
紙装甲のマジックキャスターという職業は、物理攻撃力が高く待ち伏せ・奇襲・接近戦の多いヤーナムとの相性が悪い、一撃死もありうる もう死んでるけど
狭い街路が多いので召喚魔法は使い勝手が限定される
更にアンデッド・獣への攻撃力ボーナスがつく銀属性に炎属性物理攻撃が飛び交うのでアンデッドは非常に不利
あれ?これだとルナティックを超えて難易度MMD(Momonga Must Die)じゃね
「なにここ怖い」by骸骨様
アンゲリカ カレル文字
爪痕 内臓攻撃ダメージを増加
血の歓び 内臓攻撃で、HPを回復
継承 内臓攻撃で、得る遺志(経験値と金)が増える
狩り スタミナ回復速度が上昇
でたー!”妖怪はらわた置いてけ”だぁー!!
スキル
リゲイン:相手を殴って返り血でHP回復
獣狩りの狩人:獣系の相手への攻撃ボーナス
上位者殺し:天使系への攻撃ボーナス
悪夢の囚われ人:復活時のレベルダウンのデスペナルティ無し
水銀の銃弾:アンデッド、獣系への敵への銃攻撃ボーナス
このレベル帯ではデスナイトも散弾銃の多段ヒットで一瞬で溶ける
デスさん「 」
わざと死んでスキル再振りができないという致命的な弱点もある
仕込み杖
ほぼ回復魔法(血塗れ物理)が使えるから魔法少女
神秘は魔法へ統合
神秘 彼方への呼びかけ
第10階位魔法に相当 超位魔法に比べると威力・範囲ともに劣るが連射できる
しかし物理ステ振りだと殴った方が遥かに強いのは秘密だ
エーブリエタースの先触れ
第6階位魔法に相当
ほぼ回復魔法
低い階位の為MP消費が少なく、よろめき効果が期待できるので最もよく使う
初心者から上級者まで狩人御用達
内臓攻撃に繋げられるので狩人的には回復魔法
そこらの雑魚のはらわたを3、4人も引っこ抜けば全回復という低コストが魅力
美しき星の娘よ、泣いているのだろうか?
ガスコイン大先生
階層守護者でも現状では勝てない。
NPCゆえスペック頼りで、実践経験が追いついていない弊害がモロに出るだろう。
チュートリアルの卒業試験官
よく殺されるといいよ!by運営
レベルやスキルといった要素はゲームだから許される
ユグドラシルというゲーム内でもPKが横行してるシステムを現実に導入すると・・・
後はお察しである
王国が荒んでるのは半分はゲーム風スキルが現実化したせい
聖職者の獣は今や公園の真ん中で死骸を晒していた。
脳味噌を街路上にぶちまけ、流れる血は公園の石畳を覆い尽くしあたりには血臭が色濃く漂っている。
腑をぶちまけられ、辺りには血と内臓と腐臭の匂いが立ち込めあまりの惨状にラキュースも思わず吐きそうになる。
獣の血を全身に浴び、黒の衣装を更にどす黒く染めた狩人はやはり血のように赤い沈みゆく夕日を背に浴びてこちらに向かってきた時には思わず全員後ずさってしまった。
「おっ、まだ全員生きてるのかぁ。
新米狩人にしてはやるじゃん」
だがその声にはこんな死闘の後だというのに高揚さえ見受けられた。
「あんた・・・想像以上にとんでもない奴だったんだな・・・」
目の前で繰り広げられた血みどろの闘争を目にして歴戦の勇者ガガーランも
この狩人に賞賛を送った、彼女なりのやり方で。
長年を重戦士として過ごして来た自分のやり方に疑問を持った事はないが、目の前にいる人物がとてつもない修羅場を潜り抜けた歴戦の戦士だということは目の前の出来事を見ればわかる。
「素敵、抱いて。血を落としたら」
ティアは平常運転だった
そんな中、イビルアイは震えながら目の前で起こった大惨事の状況をその長い人生の中で目にしてきた事と重ね合わせてある質問をする。
「あ・・アンゲリカ・・どの、あなたは・・その・・”ぷれいやぁ”なのだろうか?」
「うん?そうだけど?」
あまりにも呆気ない感じで返された
「貴方達だってそうでしょ?あ、もしかしてRP?
テーブルトーク?お茶話はとりあえず拠点に入ってからでいいでしょ」
アンゲリカはこのヤーナムが現実化して以来、まだ他のプレイヤーには出会っていない。
それゆえ、蒼の薔薇を新米プレイヤーだと誤認していた。
自分たちを尻目にスタスタと分厚い鋼の門を開けて屋敷に入っていってしまうアンゲリカを呆然と見送るしかなかった
「ね、イビルアイ。“ぷれいやぁ”って例の話よね・・・いつか話してくれた」
「ああ、かつての十三英雄達がぷれいやぁ。
六大神や八欲望もまた同様に“ぷれいやぁ”であったとも聞く。
だが、それならばあの圧倒的な力も頷ける」
イビルアイは嘗て共に戦ったことのある仲間達、そして今だに存命の老婆のことを思い出す。
「おいおい、チビさんの昔の仲間達の事なら聞いたことがあるけどよ
あんなとんでもない連中がそんなにいたのか?」
「いや、私も目にしたがあの狩人の力は彼らよりも明らかに上だ。
あの獣にしても嘗ての魔神以上だったのに、ああもあっさりと殺せるなんて規格外なんてものじゃない」
「しかも美形、ますます惚れた。濡れそう」
「弟がいたら紹介してほしい」
二人の忍者はあくまでもマイペースだがイビルアイは深刻に捉えていた。
“ぷれいやぁ”百年周期で降臨すると言われる神々。
善行を為して人々を救う者達もいれば、我欲のまま悪を行う者達もいるという。
(どちらだ!?彼女は?確かに人に仇なす化け物を倒したが、あの戦い方はまるでバーサーカー・・・)
嘗ての六大神は人類が滅亡しかけていたところに降臨し、今の法国を建国した。
人類がこの地方だけとはいえ人らしく生きていられるのも、元を正せば彼らのおかげと言える。
一方で八欲王は欲望のままに世界を汚し、最後はお互いが殺しあって何度も殺された末に消滅したという。
「大丈夫よ、彼女は違うわ」
考え込むイビルアイにラキュースが察したかのように言う。
「だって、あんなにカッコいいんだもの!絶対に正義の味方に決まってるわ!」
・・・・・・あ、うん
一同も外にいるのは危険だと判断し、セーフハウスに入った。
門を抜けて入ると、そこには小さな部屋に物が散らばっているだけで何もなかった。
「ああ、すまない。今エレベーターを下げるからね」
上から声が聞こえると目の前に音を立てて天井が外れ、鋼鉄の籠が降りてきたので一行が入ると籠が上に動き始めた。
「成る程、隠れ家ね。こう言う一見ただの物置に見えるところから入るなんて!」
とラキュースは目を輝かせながら熱心にメモを取っている。
「むぅ、ニンジャの隠れ家にも使えそう」
・・・
「意外、思ったよりも荒れてないのね」
ラキュースは館に入ると厳つい外から見た目とは違い、優雅な内装に暖炉には火が入り
ソファーもテーブルも上質な絹と黒檀で彩られ、意匠は奇妙だが大貴族の豪邸だと言っても通りそうな豪奢な建物に感嘆を受けた。
「ここがヤーナムの狩人の隠れ家、言って見ればヤーナムの冒険者ギルドってとこかな
尤も、ここを使う狩人は今や私だけだがね・・・」
ソファに寝転んで衣装を脱ぎ、ワイングラス片手にくつろぎながらアンゲリカは言う。
ユグドラシルの過疎化に伴ってただでさえ難しく、敬遠されがちだったヤーナムの過疎はもっと先を行っていた。
結果としてあの日にヤーナムにいた狩人は確認できるのは彼女一人である。
(あんなに一生懸命狩ってたのにね・・・)
ユグドラシルは所詮はMMOである、もともとソロ向きのヤーナムはその難易度も合わせてイマイチ人気が出なかった。
最終日には他の狩人も他プレイヤーと共に最後を祝うために他の街に行ってしまった。
「なんか、変な匂いがする。ちょっときつくてくらくらする」
ティナが微かに香る匂いに気がつく。
「ああ、獣避けの香を焚いているんだよ
隠し家の入り口と合わせて知らない人間と獣は入ってこれないようになってるんだ」
原作では無かったヤーナムの隠し家。
ユグドラシルで言うところのそれぞれの町にある冒険者ギルドであり、ここでヤーナムクエストを受注できた。
クリアできたものは少なかったが。
「まぁ我が家だと思って寛いでっていいよ」
「そういえば、いつコートを洗ったの?」
ティアがアンゲリカが掛けた衣装がいつのまにか血糊が落ちて綺麗になっている事に気づいた。
あそこまで血に染まってしまっては洗い流すのも大変だと思うのだが。
「うん?しばらくすれば落ちるものだろう?」
常識はずれの答えが返ってきた。
「ちょっと見せてくれ」
イビルアイが衣装を鑑定し、とてつもない性能に驚いた。
「とんでもないな、不壊・維持不要・軽量・それに強靱化の魔法がかかった防具だったのか。
これ一着で王都に屋敷が立つぞ」
イビルアイの評価を大げさだと感じるアンゲリカ
「馬鹿な、言っては悪いがそいつは拾ったものだよ。
その程度なら誰でも手に入る、優秀なのは認めるが屋敷と交換というのは大げさにすぎるよ」
「ひ、拾ったぁ!?」
あまりにも突飛な入手方法に驚く一同に対して
「ああ、そこの下水道でね・・・そんな顔するなよ、ちゃんと洗ったって」
ちょっとずれた誤解をするアンゲリカであった。
実際には死体から剥ぎ取ったのだが、ゲーム内でのことなので気にしない。
「さて、君たちの事は聞いてなかったけど。
どういう風の吹き回しでこの獣狩りの町へ来たのかな?
連絡が取れなくなって他の街でも大騒ぎだろうに、どうやって?
しかも来るにしてもここにわざわざ来た理由は?
ちゃんと聞きたいものだね」
鋭い眼光でラキュースたちを見るアンゲリカ。
質問の幾つかは理解できなかったが
その視線に僅かに身震いしつつもラキュースは
「ええ、前にも言った通り行方不明の冒険者チームと突如として出現した未知の街の調査を依頼されたのです」
「待ってくれよ、行方不明?あのチュートリアルコースで死んでた連中かい?
それに未知の街?ヤーナムは結構有名なダンジョンとして知られてたと思ったけどな・・
君達もプレイヤーならここがどんなに危険か噂くらい知ってるだろ」
「いえ、我々は本当に何も知らないために調査に来たのですが」
「アンゲリカ殿!あなたが”ぷれいやぁ”だというのは分かった
そして我々は”ぷれいやぁ”ではなくただの冒険者なのだ。
大変心苦しいのだが、ここがどういう場所なのかご教示願えないだろうか?」
丁寧に自分なりに説明を求めるイビルアイ。
「貴方達は・・プレーヤーじゃない?NPCでもない?」
「かつて世界を破壊せんとした魔神達が”えぬピィシィ”だったと聞いている。
堕ちた神々の眷属だとも」
そこまで言って、イビルアイはまだ理解できていないアンゲリカに世界のこれまでのおおまかな歴史を説明する。
「いやいやいや、プレーヤーが神とかどう考えてもオカシイでしょ!?
なんでただの人間が神になれるのよ」
「いえ、彼らの中には半人半魔、エルフ、アンデッドなどもおりましたが」
「ええと、説明すんの難しいな・・・私は頭がそんなに良くないんだ。
ただの狩人ですからー、魔術師じゃないんだぞー」
しきりに悩んだ後、アンゲリカはとりあえず説明を開始した。
「うん、分かった順を追って説明するね。
プレーヤーってのはユグドラシルの住人の事。
彼らは皆、そもそも人間だけど外装はそれぞれ好きなものを選んでた。
だから貴方達が人間じゃないと思ってるプレーヤーも中の人は人間なのよ」
「中身が人間?それって・・・ごめんイビルアイ、何言ってるかわからないわ」
「私もわからん、申し訳有りませんが詳しく教えていただけるでしょうか・・」
理解しにくい説明のせいで混乱する一行。
「ええとね、つまり貴方達がゾンビやスケルトン、吸血鬼を演じていたら
演じた人物・・・なんでアンデッドばっかなんだろ、死んでるし
とにかく!彼らは肉体や外見は違うけど、記憶や経験は人間のものなの」
吸血鬼、と聞いてイビルアイが誰にもわからないほど身を震わせる。
(言うべきか?私が吸血鬼だと?だが・・・彼女が吸血鬼を邪悪な者だと決めつけているなら
不用意に明かすのは、ラキュース達にも累が及びかねん!)
「確かに、アンデッドの中には生前の記憶や経験をそのままにした者もおりますが」
ラキュースの考えるには、ぷれいやぁとは強力な戦士や魔法使いが生前の記憶や経験を持ったままアンデッドになったのか!と危機感を持ったが
よく考えたらそれ以外はどうなんだという考えがあり、否定した。
「いや、違う。なんか違う気がする。
うーんと、貴方達が魂を取って別の肉体に入れたとする
そのまま事故か何かでその肉体から魂が取れなくなったら、外見はゴーレムでも中身は人間って事・・・無い、ファンタジーだから」
「そのような、魔法は聞いたことがな・・ありません。
第一、魂を取られた人間が抵抗するのでは」
肉体から魂を移し変えるなど、イビルアイも聞いたことがない。
だが・・・それは邪悪な魔法のような気がする。
「ううんと、私たちの世界では魂を一つの器から別の器へ入れ替えるのは別に難しいことでも無かったの
そして本来の自分達では出来なかったことを別の肉体という器に入れて
自分達が作ったユグドラシルという世界で冒険そのものを楽しんでいたのが
貴方達がプレーヤーと呼ぶ人達ってわけ」
ラキュースはその説明を聞いてこんな状況にも関わらず目を輝かせている。
メモにペンが止まらないのが見える。
「でもよ、楽しむ為だったらなんでこんなおっかないとこを作ったんだ?
いくら俺でも死を覚悟するのが普通なんてとこじゃ楽しめないと思うぜ」
ガガーランは楽しむなら、童貞男だらけの楽園をつくりたいといっていた。
ティアとティナもこれには自分の趣味を盛り付けて理想の世界に入りたいと言っている。
「ガチで可愛いのと綺麗な女の子だらけの楽園に行きたい」
「私は可愛い男の子だらけの王国を築きたい」
これにはイビルアイも呆れ果てて
「そんな世界があってたまるか!」と叫んでいた。
「え、私死なないし」
「は?」
「だって悪夢に囚われてるし、死んでもすぐにデスペナ無しでリスポーンするだけだし」
ゲームシステム上、アンゲリカはいくら死んでもすぐに最後の灯火の場所で復活すると説明した。
「死んでも死なないって、マジかよ。はは、不老不死どころじゃねぇな」
「た、確かに八欲王は何度も殺されてようやく消滅したと聞いているが」
「うん、それは聞いた。でも彼らは悪夢に囚われていたわけじゃないから
話を聞く限りでは死んでレベルダウン・・・
死ぬと魂が弱くなって、これ以上弱くなれないまで殺されるともう復活できなくなる。
でも私は死んでも、そのレベルダウンが起きないから多分幾ら殺しても無駄だと思うよ
事実、貴方達が来る前に聖杯ダンジョンでうっかり一回死んだけどなんとも無かったし」
蒼の薔薇の一行は唖然とした、殺しても死なずにすぐに蘇る強大な戦士など
規格外どころの話ではないではないか。