私は現実から目を逸らした。
理不尽な塊の中、それから目を逸らすこと以外に存在はなかったのだ。
私が目を逸らしたのは、私の唯一の趣味だった。
「十二獣ドランシアをエクシーズ召喚」
「はい」
デュエルモンスターズ。それが私の唯一の趣味だ。
しかし、デュエルモンスターズは時代を重ねることに加速していき、ぶっ壊れカードをバンバン作ってしまった。
そのうちの一つ。エクシーズ召喚の定義である同じレベルの二体以上を素材にして召喚するを十二獣と言うカテゴリーがぶっ壊したのだ。
十二獣であれば一体でエクシーズ召喚!? ふざけているのか? と思いたくなる。実際にその通りだった。
今の時代ではサーチが容易い為、あっという間に場が真っ黒になる。
そして、出て来たエクシーズモンスターには破壊耐性はないものの面倒くさい効果持ちがあった。
「ドランシアの効果発動して、ガメシエルを破壊」
ずっと俺のターン状態になってしまうのだ。
先攻制圧され、私は何も出来ずに終わる。
そんなことの繰り返し。その勝負が終われば次の対戦で頑張ればいいと思うが、現実とは非道だ。
「モルモラットを召喚」
また、十二獣。そのまた、十二獣。実を言えば前後左右全てが十二獣しかいないのだ。
対策カードを入れればいいのでは? と思うが私のデッキが回らなくなるため多く入れられない。
結局その日の成績は十戦十敗。その十戦が十二獣である。
「もういやだ……」
私は逃げ出す様に家に向かって走り出した。
好きなカードを使って戦う。別に間違っていない。勝っても負けても面白ければそれだけでいい。だけど……ただ、勝つだけのために他のデッキで出て来ないのは可笑しい。
それのどこが面白いの? と私は思ってしまった。
「おっと」
「あわわわ! すみません」
前を見てなかった私は誰かとぶつかってしまった。
倒れた私を引き上げてくれるように手を伸ばしてくる男性。
私はその手を掴み、立ち上がる。
「大丈夫かい?」
「だ、大丈夫です」
私は慌てて服についた塵を軽く叩き落とす。
「そうかい。これ君のだよね」
そう言って、男性が何かの紙切れを差し出す。
私はそれを受け取る。そこに書かれていたのは、どこかの受験票だった。
「え? いえ、私ので……は」
見覚えのない物だったので、返そうと私が再び前を見たが、そこには誰もいなかった。
「え、え?」
周りを見渡すがその人はいなく、私はどうしたいいのか迷っていた。
「どうしよう……これ」
他人の物だし、無暗に捨てることはできない。
「そうだ、これが受験票なら名前が……」
そう言って、再び私は受験票を見る。
そして、名前の欄に……私の名前が書かれていた。
「どう言うこと……?」
そして、その受験票が何の受験票なのか。この時、私は知った。
「デュエル……アカデミア」
そう。それは、デュエルアカデミアの受験票だったのだ。
デュエルアカデミアなんて物は私は知らない。
ただし、一つだけ思い当たることがあった。
私はすぐさまスマフォを確認する。
「圏外なんって……」
スマフォが町中で圏外になっていた。
そして、私はここが何処なのか分かってしまったのだ。
「デュエルモンスターズの世界に来てしまった……」
私は思わず笑ってしまった。
デュエルモンスターズの始まりの世界にいつの間にか、私はトリップしてしまったのだ。
◇
「会場はここだよね……」
私は知らぬ間に来てしまったこの世界で、偶然にも手に入った受験漂を手に、指定された会場に来ていた。
受験時間もまじかだったので、近くの人に聞きながらその会場へと向い、今着いたのだ。
「では、呼ばれるまでお待ちください」
係員の人に誘導され、私は待つ。
今がどの時代なのかは分からないが、たぶん私のデッキは問題ない。
だけど不安要素はある。
「では、百番台の人は指定された場所へと」
私の受験番号は百番台の百七である。
係員の人の後に続き、指定の場所に立つ。
「では、試験デュエルを開始する」
「よろしくお願いいたします」
私は一回頭を下げる。最低限のマナーを守る。それは人として普通である。
貸出用のデュエルディスクに私はデッキをセットし、起動させた。
そして、お互いの掛け声で私の最初の戦いが始まる。
「「デュエル!!」」
試験官
LP:4000
手札:5
LP:4000
手札:5
「先攻は受験者からと決まっている」
「わかりました。では、私のターン、
気付いた人がいるだろうか。じつはこの世界はマスタールール2であったのだ。
受験番号が百番台だった為、他の人のデュエルを見ることが出来た。そのおかげで私のデッキが使えると分かったのだ。まあ、本題はそこではないのだが……
「私は
「
試験官の言う通り私の出したカードは誰も知るはずがない。
そのことで、会場が少しざわついた。
だが、デュエルディスクが反応し、モンスターを実体化したことにより、このカードは正規のカードと認識される。
「ペガサスが特別にデザインされたカードは数多くあるし、その一つだろう……」
試験官は私の出したカードを見て、そう解釈した。
「では、続けます。オフリス・スコーピオンの効果。このカードの召喚に成功した時、手札のモンスターを一枚墓地に送ることで、デッキからこのカード以外の
手札を二枚消費して、私の場に二体の
だが、これだけでは終わらない。
「
「融合を手札に加えたということは……」
「はい。私は融合を発動し、場のオフリス・スコーピオンとダーリング・コブラを融合。食事の時間よ、
私の場に現れたラフレシアを見て、会場が騒ぎになる。もちろん、試験官も何とも言えない顔になっていた。
「カードを一枚伏せて、ターン終了です」
そうそう。自己紹介がまだでしたわね。
私の名前は