青い空、白い曇。そして、海! そんで……
「うっ……」
船酔いでリタイヤ寸前の私。
昔から船だけはダメだったんですが、全くもってひどいもんですよ……。
ちなみに、この船はデュエルアカデミアがある島に向かっています。
とある島の上に学園を作ったらしいんですが……何でそこに? と私は今でも疑問に持っています。
あ、そうでした。試験は無事に合格しました。なので、今の私の服装はデュエルアカデミアの女性服であるオベリスクブルーです。というよりも、女子寮はオベリスクブルーしかないんですよね。
◇
異世界にトリップしてしまった私はデュエルアカデミアの試験を受けることになった。
試験デュエル前に筆記試験があったようだが、私自身受けた覚えがない。
まぁ、一応だが一次試験は合格している以上、二次試験を受ける資格はある。
試験も無事に終わり、帰ることになったのだが……
(あー、まずい……)
トリップしてしまったことにより、この世界での住所がわからなかったのだ。
受験票がある以上、確実に住所があるのは分かるが、流石に住所までは記載されていない。
「まぁ、何とかなるよね……」
流石の私でも不安になった。
そう言って、財布の中身を確認する。
「…………」
所持金は諭吉が三枚。
「デュエルアカデミアに行けるまで持てば……」
合格発表がいつになるかは分からない以上、下手に出費したくない。
そう私が考えていると。
「花澤遊李だな」
何処かで聞き覚えのある声が私の後ろから聞こえ、振り向く。
そして、一瞬私はフリーズする。
「か、海馬瀬人!?」
なんとまぁ……あの海馬瀬人が私の前に現れたのだ。
流石の私でも驚きを隠せる訳がなかった。
「拒否権はない。ついて来い」
そう言って、海馬は歩きだし、左右に待機していた黒服の男達が私の前に出て来る。
流石の私も観念して、歩き出す。
そして、一台の車に乗車し、ある場所に連れて行かれた。
「海馬コーポレーション……」
降ろされた場がなんとあの海馬コーポレーションだったのだ。
私はそのまま誘導され、とあるフロアーに連れてかれた。
「貴様の使うそのデッキは一体なんだ。あの野郎に聞いたが、知らんの一言だ。データベースには正式に登録されていたがな……」
海馬が私に目を付けた理由がハッキリした。
私が試験に使った捕食植物のことを言っているのだと。
確かにこのデッキは、この世界にはまだ存在しないデッキ。
そんなのを使ったなら、バレるに決まっている。
「それにはお答えできません」
そうしか私は言えなかった。
流石にオカルトを信じない海馬に「私は異世界からトリップした者です」なんて、言える訳がない。
「ふん。なら、これで聞かせてもらおう」
そう言って、海馬は旧型のデュエルディスクにデッキをセットし、展開する。
(うわ……そう言えば、この世界の人ってデュエル脳なんだよね)
改めて私はこの世界を理解する。
揉め事はデュエルで解決することを。
私は仕方ないと、腹を括り、渡されたデュエルディスクにデッキをセットする。
「「デュエル!!」」
◇
(今思うと、あのデッキで良く回るよね……)
私と海馬の戦いは激戦だった。
結果、お互いに引き分けで試合が終わったが、どうも諦めの悪い海馬に私は呆れるしかなかった。
まぁ、そのおかげでアカデミアへの出港までの宿を確保できたんだけどね。
ちなみに海馬が言っていたあの野郎ですが……まぁ、気付いている人もいるかも知れないけど、ペガサスです。
そのペガサスさんにもお会いすることになってしまいましたけど、大変に気に入られてしまいました。
「暴走しなければいいけど……」
ペガサスさんにはあるカードの依頼しておきました。
あ! ちなみにそのカードは、私は使用しませんよ。
では、誰に? もちろんあの生徒ですが、ここではあえて言いません。
「えっと……」
と、まぁ……この学園の理事長の話が終わってから施設の一通り見て回っていたのですが……。
「迷った」
方向音痴ではないのですが、今回ばかりかは何故か迷った。
まるで、何かに導かれるかのように。
「ん?」
何処から人の声が聞こえたので私はそちらに向かう。
そして、そこにあったのはデュエルリングだった。
「あれは……」
そして、その声の主が誰なのか私はすぐに分かってしまった。
「遊城十代……」
そうこの世界の主人公……遊城十代がいたのだ。
「そろそろ寮で歓迎会が始まる時間よ」
「引き上げるぞ」
私と同じ制服を着た女子生徒に言われ、オベリスクブルーの男子生徒三人が立ち去る。
「万丈目隼……」
立ち去ったオベリスクブルーの一人の名前を私は呟く。
その場にいた全員の名前を私は知っている。
「そこの貴女も早くしなさい」
「え? あ、はい」
オベリスクブルーの制服を着た女子生徒……天上院 明日香に言われ、私は寮へと走り出した。
その時は何故かすんなりと寮に戻ることが出来た。
◇
歓迎会を終えて、私は自分の部屋でデッキをいじっていた。
「この時代だと強欲な壺と天使の施しにぶっ壊れ天よりの宝札があるんだよね……」
ペガサスさんから送られて来たカード山からデッキを強化する。
むしろ、現実の世界に居た時よりも凶悪なデッキになっている気がするけど……。
だけど、私は何も悪くない。こんなカードを作った人に言ってくれ。
「ん。時間か……」
私は一通りデッキを強化してから、時間を確認する。
時間はそろそろ0時をまわろうとしていた。
私はデッキを後ろにあるデッキホルダーに入れ、寮を抜け出す。
そして、あの場所を目指した。
「カードドロー!」
私が着いた時にはどうやらもう始まっていた。
「貴女は……」
天上院明日香は私が来たことに気付いたようだ。
「こんばんわ、天上院さん。少し遅かったみたいですけど……」
「貴女も来てしまったのね……」
「えぇ。あの時の話の流れから関するに、この時間ぐらいからやると思ったので」
まぁ、最初から知っていたことは伏せて私は話す。
丁度、十代のターンが終了したところだった。
「ヘル・ポリマーを使用したのですね」
「あら、良く分かったわね」
「融合モンスター、強奪系統のカードで絞れば分かりますから」
明日香さんから褒め言葉を受け取り、私はデュエルの行方を見守った。
そして、十代のラストターンが訪れた時だった。
「ガードマンが来るわ」
明日香がそう叫び、デュエルは中断になった。
まぁ、校則違反のデュエルですから見つかったら退学ですよね。
と言う訳で、その場から動こうとしない十代を担いで撤退。
◇
「全く世話の焼ける人ねぇ」
「ちぇ……余計な事を」
「ありがとう、明日香さん」
とりあえず脱出は成功し、私たちは今外にいます。
「オベリスクブルーの洗礼を受けた感想は?」
「まあまあかな。もう少しやるかと思っていたけどね」
まぁそうでしょね。万丈目は最後にまぐれと言っていたけどね……十代の引きは本物だから。
「引いたカード。死者蘇生でしょ?」
「お!? 知っていたのか」
「一つ指摘するけど、フレイム・ウィングマンは蘇生できないからね」
「え?」
使っている本人すらそうの指摘に驚いていた。
流石の私も、まさかと思ってしまい……。
「十代くん……まさか、フレイム・ウィングマンのテキストをちゃんと確認してないでしょ……」
そう言って、私は十代の墓地にあるフレイム・ウィングマンを手に取る。
「フレイム・ウィングマンは融合召喚でしか召喚できない。よって蘇生は不可能だけど……」
そう言って、デッキから一枚めくる。
次に十代が引くカードは強欲な壺だった。
「強化系のカードを引かない限りは、十代の勝ちね」
「そうだったのか……。まぁ、勝ちは勝ちだ」
十代はそう言って、笑う。
「そういや、あんたは誰なんだ?」
「あ、そう言えば自己紹介がまだだったね。私は遊李、花澤遊李よ」
重要なことを言うのを忘れていた。
「遊李か……よろしくな」
「えぇ」
そう言って十代は行ってしまった。
「私たちも行きましょ」
「はい」
私たちも解散することになり、明日香さんと共に寮へと歩き出した。