この素晴らしい算術士に祝福を! 作:鰯の頭
トンッ!トンッ!トンッ!
炉から取り出した真っ赤に染まっている金属を金槌で打ち鉄を鍛えていく。
家の地下に作った鍛治スペースでやっている魔法剣作りだ。
良さげなクエストがなく、暇なので趣味としてやっている。
今作っているのは、アダマンタイトという超硬い金属を材料にした刃渡りが短い両刃剣【グラディウス】だ。
そして、これに今から光の魔力を込めて、焼き切れる短剣を作る。
……形ができてきたな。熱い内に魔力を込めて、剣に馴染ませないとな。
手から剣に向けて魔力を放出し、光の魔法を宿らせていく。
短剣が光り輝き、赤から黄金にと変わっていく。
…よし、できた!水に浸けて冷やすか。
ジュワアアア!
傍に置いてある水に突っ込むと、水を沸騰させながら冷めていく。
完全に冷えた頃合いに出すと、刀身が黄金に輝く短剣【グラディウス】の完成だ。
うん、上出来だ。さっそく、何かクエストに行って試したいな。
因みに、カズマ達は新しく加入した仲間とともに酒場で昼食を食べている。
確か、名前は「めぐみん」と「ダクネス」って言ってたか。いや、ダクネスはまだ加入してないんだっけか。
ダクネスの方はよく知らないが、めぐみんはカズマのパーティに入って以降この家に泊まっている。
紅魔族の少女で職業はアークウィザードだそうだ。
良いメンバーをスカウトしたなと言ったら、どこがだ!1日1発しか魔法が撃てない頭のおかしい爆裂娘だぞ!お前の目は節穴か⁉︎と怒られた。
めぐみんは爆裂魔法しか使えないらしい。確かにピーキー過ぎるが、使い所を考えればかなり良い戦力だと思うんだが…
まあ、あいつらにはちょっと扱い辛いか。駆け出しで爆裂魔法は過剰戦力だもんな。
…今はカズマ達の仲間のことより、【グラディウス】の試し斬りをどうしようかだ。
何かいいクエストが降ってこないか、と非現実的な事を考えていると、
『緊急クエスト、緊急クエスト!冒険者達は至急正門まで集まってください!』
かすかにだが、そう聞こえた。
緊急クエスト?何かあったのか?…待てよ、この時期ならキャベツ狩りかな?ちょうどいい!グラディウスの餌食にしてやる!
グラディウスを腰に掲げて、駆け足で正門に向かった。
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「おいアクア、今から何が始まるんだよ?早くリークの城に帰りたいんだが。」
「何言ってんのよ?今からキャベツの収穫が始まるのよ?このまま帰るなんてあり得ないわ!」
「キャベツ?どういう事だ?おいアクア、ちゃんと説明しろよ。」
正門に来ると、大勢の冒険者達が身構えいる。その中で呑気に喋くっているカズマとアクア。
「おーい、お前らも来てたのか。そんな呑気にしてるが、キャベツにやられるなよ。」
「ようリーク、お前こそ来ていたのかよ。もっと早く声をかけてくれよ……今なんて言った?キャベツにやられる?」
カズマが困惑している。あいつ、キャベツの事知らないのか?アクアは知っている様子だが。
「カズマ、この世界のキャベツは飛ぶわ!簡単に食われてたまるかとばかりに。収穫の時期になると、飛んで疾走するの。放っておくと、人里離れたところで息を引き取っちゃうの。だから、私達が彼らを収穫して、美味しく食べちゃおうって話よ。」
「俺、もう城に帰って寝てもいいかな。」
カズマが呆然と呟いた。
「キャベツは金になるからお前も頑張れよ。それより……来るぞ!」
キャベキャベキャベプー!!
猛スピードで緑の物体の大群がこちらに襲いかかってきた。
「「「ウォォォォォォォ!」」」
荒くれの冒険者者達がキャベツに向かって突撃して行く。
さあ、狩りまくってやるか!
「『ヘイスト』!『スカラ』!『パワード』!」
素早さ、防御、力、を上げてキャベツ達に向かっている冒険者達の間を駆け抜けていく。
「ハァッ!セイッ!ヤァァ!」
周りにいるキャベツを次々と真っ二つに切っていく。
「リーク、すげぇ!めっちゃ華麗にキャベツを切っていってる!あいつ、近距離でも戦えるんだな。」
「カズマ、何ぼうっとしてんのよ!私達も行くわよ!」
アクアに連れられて、カズマもキャベツに突っ込んで行く。
あいつら、大丈夫なのか?キャベツになぎ倒される気しかしないが…
迫ってくるキャベツを切りながらカズマ達の身を案じていると、
「我が必殺の爆裂魔法の前において、何者も抗うことなど敵わず。
あれほど敵の大群を前において爆裂魔法を放つ衝動が抑えられようか。いや、ない!」
おい、まさか爆裂魔法を撃つつもりか⁉︎ヤバい、急いでここから離れないと!
「光に覆われし漆黒よ、夜を纏いし爆炎よ、
紅魔の名の下もとに原初の崩壊を顕現せよ。
終焉の王国の地に、力の根源を隠匿せし者、我が前に統べよ!
『エクスプロォージョン』ッ!!」
ボォォォォォォォン!
一筋の光が走り抜け、キャベツの大群を激しい轟音と共に消し飛ばした。