この素晴らしい算術士に祝福を!   作:鰯の頭

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襲来

キャベツ狩りが終わってからのんびりとした日々が続いている。

 

キャベツの報酬が100万ちょいになり、懐が潤ったカズマは、めぐみんと一緒に毎日爆裂魔法を撃ちに廃城に行っている。

 

収穫したキャベツがまさかの換金率の低いレタスだったアクアは、お金を稼ぎに毎日バイトに励んでいる。

 

ダクネスは実家に帰り、筋トレをしているそうだ。

 

ちなみに、俺はテクノカンパニーに出向いている。休暇中ではあるが、副社長のレクトから少し書類の決裁をして欲しいと頼まれたからだ。

 

特にやる事がなかったので承諾しているが、休暇中の社長に頼むのはどうかと思う。

 

まあ、アクセル内にある本社に少しの時間出向いているだけだから、別にいいのだが。

 

 

「リーク社長、昼食を持ってきました。どうぞお召し上がり下さい。」

 

そう言って女性の部下は執務室から出て行った。昼食は鯖の味噌煮弁当のようだ。

 

えらく質素だな。家庭的なものを食べろって事なのか。

 

少しがっかりしながらも、食事に手を付けようとすると、

 

『緊急!緊急!全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、戦闘態勢で街の正門に集まってくださいっっ!』

 

お馴染みのアナウンスが街中に響き渡った。

 

社内はアナウンスが流れたに関わらず、皆毅然と仕事を続けている。

 

どうしようか。一応、緊急だし、冒険者だし、正門に向かった方がいいのだろうか。

 

駆け出し達で対処できない事態だったらマズイし。

 

 

「リーク社長、先ほどのアナウンスですが、社内の戦える者達を駆り出しますか?街の非常事態にこのまま黙っているのも、信頼に関わります。」

 

レクトがドアを開け入ってきた矢先にそう言ってきた。

 

「いや、俺が行くから他の者達は行かなくていい。それより、俺の残っている仕事を頼むぞ。」

 

「分かりました。では、お気をつけ下さい。」

 

レクトに仕事を任せれたので、部屋の隅に置いてある、ステッキとローブとグラディウスを装備し、急いで会社を出て行った。

 

 

 

 

###

 

 

空が薄い灰色に染められている。今にも雨が降り出しそうだ。

 

そして、その下にはおぞましいオーラを噴出し、怒れるデュラハンがいた。

 

 

「俺はつい先日この近くの城に越してきた魔王軍の幹部の者だが…

毎日毎日毎日毎日おお俺の城に爆裂魔法を撃ち込んでく頭のおかしい大馬鹿は誰だああああああ!!」

 

 

…街のピンチかと思って急いで来たのに、何?、このアホっぽい雰囲気とこのデュラハン。

 

それに、爆裂魔法って言えば……

 

フィッ、正門に集まっている冒険者達の目線が一斉にめぐみんに向けられた。

 

「はあ、仕方ありませんね。」

 

めぐみんが意を決した表情でデュラハンの前に歩いていく。

 

「お前が……!俺が幹部だと知っていて喧嘩を売っているなら堂々と城に攻めてくるがいい!その気が無いないなら街で震えてるがいい!

ねぇ何でこんな陰湿な嫌がらせするのぉ!?どうせ雑魚しかいない街だと放置しておれば調子にのって毎日ポンポンポンポン撃ち込みに来おって!」

 

 

このデュラハン、本当に魔王軍の幹部なのか?この喋り方は只のクレーマーじゃねぇか。

 

「我は紅魔族の者にしてこの街随一の魔法使い!めぐみん!そして最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者!」

 

「………まぁいい。俺はお前ら雑魚にちょっかいかけにこの地に来た訳ではない。しばらくはあの城に滞在する事になるだろうが、これからは爆裂魔法は使うな。いいな?」

 

魔王軍幹部なのに優しいな。俺だったら、即行でボコボコにしてるわ。

 

「無理です。紅魔族は日に一度爆裂魔法を撃たないと死ぬんです。」

 

おい!!まだ、撃ち続けるつもりかよ!?めぐみん、最低だな。

 

「聞いた事がないぞ!適当な嘘をつくなよ!

魔に身を落とした者ではあるが元は騎士だ。弱者を刈り取る趣味はない。だが…」

 

「余裕ぶっていられるのも今の内です。こちらには、対アンデッドのエキスパートと最強の算術士がいるんですからね。

先生方!!お願いします!!」

 

ヲィィ!あそこまで喧嘩売って、格好つけて、最後は他人任せかよ!!人として終わってるだろ!…仕方ない。もともと、対処を任せられていたし、行くか。

 

「おい!めぐみん!今回はお前の尻拭いしてやるが、次に押しつけて来たら、ヒュドラの餌にしてやるからな!」

 

「しょうがないわねー!この私がいる時にくるとは運が悪かったわね。あんたのせいでまともなクエストが請けられないのよ!さあ覚悟はいいかしらっ!?」

 

そう言いながら、俺とアクアがデュラハンの前に出た。

 

「ほう、これはこれは。アークプリーストとあと、お前は……どこかで見たことあるような……」

 

「ああー、多分、魔王軍の中で要注意人物に指定されてるからじゃないか?そして、俺の名前はリークだ。」

 

「リーク!!?王都を襲う魔王軍の大軍を狂人のごとくほぼ1人で撃退しているという、あの、光の使徒などと呼ばれているやつか!?」

 

"狂人ごとく"だと!!?俺はそんな危ない奴じゃないぞ!ただ、紙切れのように吹き飛んでいく、魔王軍を見てせせら笑っただけだ!決して狂人ではない!

 

「おい、デュラハン!!誰が狂人だ!俺はいつでも冷静沈着だ!狂人と広めたやつを連れて来い!木っ端微塵にーー」

 

「『セイクリッド・ターンアンデッド』ー!!」

 

「ひああああああああー!」

 

俺が喋っている途中でベルディアが、アクアの魔法をかけられ悲鳴をあげた。

 

ベルディアの足元には白い魔方陣が浮かび上がり、そこから天に向かって光が突き上げた。

 

ベルディアは、体のあちこちから黒い煙が吹き出し、乗っていた馬も消滅した。

 

「おい!アクア、お前凄いな!あんな強力な浄化魔法を使えるのかよ!」

 

「ふふん、まあねー。伊達に女神じゃないのよ。アンデッド如き、このまま浄化してやるわ!」

 

ベルディアはふらつきながらも、ゆっくり立ち上がった。

 

「貴様!不意打ちとはやってくれる!!アンデッドナイト!!」

 

怒りまくった様子のベルディアが右手を掲げて、鎧を着込んだゾンビ軍団を召喚した。

 

「奴らを皆殺しにせよ!!」

 

その右手を振り下ろし、命令を下した!

 

「おい、アクア。お前はめぐみんと一緒にカズマのところに戻ってろ!ここは俺がやる。隙があれば浄化魔法で援護してくれ!」

 

「分かったわ!任せてちょうだい!」

 

そう言って、めぐみんを連れて走っていった。

 

「『ウォール』!『ヘイスト』!」

 

光り輝く半透明の光壁を自分の周りに展開し、速度上昇魔法をかけ、迎撃態勢に入る。

 

ーーさあ、戦闘開始と行こうか!!

 

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