この素晴らしい算術士に祝福を! 作:鰯の頭
「あ、いらっしゃいませ。ウィズ魔道具店へようこそ。何かお買い求めですか?」
店の中に入ると、長い茶髪のお姉さんに迎えられた。
「いえ、何か買おうと入った訳ではなくて。ちょっと興味本位で入っただけなんです。」
そう言うと、お姉さんはがっかりした顔をした。
「そうですか…。すみません。あの、名前だけでも知って貰えれば…。私はウィズ魔道具店の店長ウィズと申します。」
そう言って、名刺を渡してきた。
「ご丁寧にありがとうございます。俺は冒険者のリークと言います。職業は算術士をやっています。」
そう、自己紹介をした。
「算術士をやっているのですか⁉︎凄いですね。適正である人が少なく、もはや幻と化してる職業じゃないですか!私も初めて見ましたよ。」
少し興奮しながら反応する。
「そうなんですか?そんなに珍しいって事は初耳ですよ。
それより、ここのお店って何が売ってるんですか?オススメの商品とかはありますか ?」
話を変えて、尋ねた。
「それなら、この願いが叶うチョーカーがオススメです。
珍しく当店で売れてる人気商品でして。つければ願いが叶うまで外れず、日を追うごとに締まっていく物です!」
待てーー!なんだそれ⁉︎呪いの道具じゃねえか⁉︎そんなの売ってんのかよ!しかも人気商品⁉︎おかしいだろ!絶対おかしいだろ!
「…結構です。他に、何かありますか?」
そう訊くと、ウィズさんは笑顔になる。
「こちらのポーションとかはどうでしょう?水に触れると爆発する物です。あとは、獣に寄り集られるポーションなんて物もありますよ。」
…この店、碌な物しか置いてないな…。
「あのー失礼ですが、少し物申してもいいですか?ウィズさんが勧めてくる商品、絶対どれも売れないと思います!もっと、実用的で便利な物を仕入れてはどうですか?」
そう言うと、ウィズさんは酷く驚いた顔で、
「えぇ!?そんなにダメな物ばかりですか!?どれも良い物だと思うのですが…。」
何⁉︎この店主さん、本気でそんな事思ってんのか!?やばいだろ!頭の中!
お節介焼きだとは自分でも思うが、このまま放って置くのも後で絶対気になってしまう。
「いえ、絶対に違う物を仕入れた方が良いと思います!その方がお店の為になりますよ!」
きっぱり言うとウィズさんは落ち込んだ顔をして、
「分かりました。そこまで言われるのでしたら、仕入れに行ったほうがですね…。
リークさん、アドバイスをありがとうございます。私、今から王都に行って仕入れてこようと思います。」
おぉ!素直に聞き入れてくれた!良い人だな。いや、そんな事より“今から王都に行って”ってどう言う事だ?
仕入れのためとは言え、わざわざそんな遠くまで行く必要あるのか?
「あの、王都に行くって、どうやって行くのですか?」
「それでしたら『テレポート』を使えば一瞬で行けますので。
よろしければ、一緒に行きますか?」
テレポートを使えるんだ。凄いな!ウィズさん。
…せっかくの機会だし、ご一緒させてもらうか。
「はい!是非お願いします!王都なんて行ったことが無いので!」
「分かりました。それでは今からテレポートしますので、私に触れてください。」
ウィズさんの袖に触れる。
「それでは、行きますよ。『テレポート』!」
俺達は光に吸い込まれ、アクセルの街から消えた。