間話2 勇者、100人の不純物と戦う
SIDE 如月
さてと、私も早く雑魚共を倒して子供達の救出に向わなくちゃね。
「悪いけど、瞬殺させてもらうよ」
私は無数の魔法陣を辺り一帯に展開する。
「爆発は連鎖する毎にその威力を増す
『チェイン・エクスプロージョン』」
私は手近に展開させていた魔法陣を高密度の魔力を纏った拳を叩きつけて起爆させる。
するとその爆発は周囲一帯に展開していた魔法陣へ連鎖し、敵はそれによる無数の爆発に呑まれた。
「終わりっと!
さぁ、私も地下へ行こうっと」
「油断し過ぎじゃねぇのか〜い。
お・嬢・さ・ん!」
キィィィィィン!!
咄嗟に背後に展開した防御性魔法陣が刀による斬撃を防いで、辺りに甲高い金属音が鳴り響いた。
あっぶな〜。
魔法陣の展開があとちょっとでも遅れてたら背中を刀でバッサリいかれてたね。
「あれ〜?殺ったと思ったんだけどな〜」
土煙が晴れてよく見えるようになった地上には何人か殺られた者もいたけれどそれでもまだ80人程残っていた。
「ねぇ、もしかしてここにいる全員が
「That's right!
ここにいる全員が神に転生された特別な者たちだよ〜。
にしても〜、その不純物って呼び方を知ってるってことは〜君もそうだったりするわけ〜?」
「正確に言えば違うけど、まぁ、君達と同じ転生者だよ。でも私が転生された理由は君たちと違って、君たち不純物を抹殺するためにこの世界へ転生されたんだけどね。
まぁ、不純物の抹殺と言っても抹殺する対象は選ぶけどね」
「じゃあ俺たちには攻撃できないね〜。
だって俺たちちょ〜良い子だもん」
「残念だけどここにいる全員が抹殺対象だよ。
ちなみに、会話中だからって攻撃を止めるとでも思った?」
「何を『ドシュッ!』」
さっきまで話していた男が上空から降ってきた長大な氷柱に頭から貫かれて絶命した。
これは男との会話中に思考詠唱で唱えていた水魔法『アイシクルレイン』だ。
氷柱は一本だけに留まらず、幾つもの巨大な氷柱が降ってきて不純物達を蹴散らした。
残存勢力…63名
私は続けて短縮詠唱で二つの広域殲滅魔法を発動した。
「融解せよ『シュメルツェンヴェッター』
断罪の裁きを『レイディアントシュラーク』」
全てを溶かし尽くす超高熱の嵐と天から降り注ぐ光の衝撃波が不純物達を襲う。
不純物達も各々の能力で対抗するも、その圧倒的なまでの破壊に為す術なく飲み込まれていった。
その結果、大地をも溶かす熱風により地面は溶けてマグマとなり、残った地面も天から降り注いだ光の衝撃波でクレーターだらけとなった。
残存勢力…2名
「あの猛攻の中を生き残るなんて凄い能力を貰ったみたいだね」
どうやったのかはわからないけど、残った金髪と銀髪の双子の男は二人共無傷だった。
「まぁね。僕等兄弟は神より無敵の力を得たからね。僕にはたとえ神をも殺すほどの攻撃でも傷一つつきやしないよ」
「どんな能力を貰ったかは自分で調べてね」
金髪はその場から動かず、銀髪は上空10m付近に滞空していた私の方へジャンプしてきた。
銀髪はそれだけで私と同じ高度に達し、そのまま拳を打ち付けてきた。
私はそれを瞬時にアイテムボックスから取り出した鉄刀
だが、刀は胴に触れた途端止まり、傷一つつけることができなかった。
な!?どうして斬れないの!?いくら前世で安売りしてた大量生産品だといっても人くらいなら簡単に斬れるはずなのに!
もしかして、音も無く防いだってことはたんに防御した訳じゃなく斬撃そのものの力を無効果された?
それにあの磁石の同極同士を近づけた時みたいな感覚は…。
「考察する暇なんて与えないよ」
地上にいた金髪が掌にあった半透明の球体を握り潰した瞬間、私の全身に火傷や切り傷が生まれて激痛が走った。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「隙あり!」
金髪の攻撃によりできた隙を狙って銀髪が私の腹に拳を叩き込んだ。
私はそのまま地面を割るほどの勢いで地面に激突した。
私は口から溢れた血を吐き出して口元を手の甲で拭った。
くっ、油断したなぁ。まさかここまでやられるとは思わなかったよ。
だけど分かったぞ。こいつらの能力!
金髪の方は自身から半透明の球体をだしてそれを握り潰すと私が傷を負って、最初の爆撃やら熱風やらで受けたはずのダメージを奴は一切負っていなかった。
ということは金髪の能力は“自身が受けたダメージを自身から分離し、それを相手に押し付けて攻撃する”完全なる受け身型能力。
銀髪の方は斬撃を止めた時の感触と大ジャンプをしてたところから大方斥力操作ってところか。
本当…、厄介な連中だよ。
「まずは、銀髪から殺るかな(幸いまだ大雑把な能力の使い方しかできないみたいだし)」
「ハッ!殺れるものなら殺ってみろってんだ!」
「それ、死亡フラグだよ」
私は柔やかな笑みとともにさっきの戦闘で千切れた服の破片を銀髪の首へ転移させて切断するとほぼ同時に金髪を『サープラス・グラビトン』で地面に叩きつけてから手足に氷柱を刺して縫い付けた。
「な!?」
「君はどんな攻撃だろうと分離させることができるんだよね。それがたとえ死であっても」
「な!?あの攻防だけで僕の能力を見破っただと!?」
「だから、君は殺さずに封印することにした。
この封印術は封印場所が極楽浄土だから一生帰りたくなくなって、最終的には廃人になると思うよ」
「や、やめろ…、やめてくれ…」
金髪が恐怖に顔を歪ませる。
私は金髪の言葉を無視して詠唱をして魔法を発動する。
「光満ちる天界の牢獄で悠久の時を過ごすがいい。
『ヘヴンズフォール』」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
黄金の扉が現れ、金髪は叫び声を上げながら光満ちる穴へと、扉の中から飛び出してきた鎖によって引きずり落とされた。
「へぇ〜、
やるなぁ、あんた」
金髪を飲み込んだ黄金の扉が虚空に溶けるようにして消えていくのを眺めていると後ろから男が声をかけてきた。
振り返るとそこには、ジーパンに上は緑と赤のチェック柄のシャツ一枚だけという格好の筋肉質な大柄の男がパチパチと拍手をしていた。
「誰?」
「俺は木原双極。『闘争』を司る『木原』にして、暗部組織『フレイム』の副隊長だ。
つっても、実質的にゃぁ俺が隊長なんだがなぁ。
書類とかが面倒だから真面目そうなバカに面倒なこと全部押し付けた結果俺が建前上は副隊長ってなっただけでよぉ」
「まさか『木原』がいたなんてね。
データにはそんな記録なかったんだけど?」
双極は嘲って薄い笑みを浮かべ、
「当たり前だ。敵を少しでも欺いた方が潰しやすいからなぁ。
なにより、誤った情報を必死になって手に入れてる所を想像するとあまりにも滑稽で笑いが止まらねぇしなぁ!」
双極は情報部が必死になって『フレイム』の情報を集めてる様を思い浮かべて大笑いする。
「随分と小さな人間だね。木原双極。まるで小学生の悪戯を見てるみたいだよ」
双極はその言葉を聞いた瞬間ピタッと笑い声を止め、冷めた目つきで私を見据える。
「ああ?今なんつった?」
「小学生の悪戯を見てるようだって言ったんだよ。出来損ないの木原くん?」
「おぉうけぇい。余程愉快奇天烈な死体になりてぇんだなぁ?
いいぜぇ、ギネスも真っ青な変死体にしてやらァァァァァァ!!!」
双極が憤怒の表情で高速接近してくる。
「そうやって直ぐキレるとこも小学生みたいだよ?」
私は闇魔法『サープラス・グラビトン』で地面方向へ100Gもの重力をかけて目の前まで一瞬で接近してきた双極を地面へ叩きつける。
「ならその小学生に負ける奴は一体なんなんだろうなぁ?」
「カハッ!」
私は突然謎の不可視の力に押されて100m以上も吹き飛ばされて先の戦闘で地面に突き刺さったままの氷柱に減り込んだ。
「無様だなぁ。自分の攻撃を利用されるなんて本当に無様だぁ」
双極は100Gもの重力をものともせず立ち上がった。
いや…、違う。
自身を押さえつけていた重力を何らかの能力で私へ受け流したのか。
チッ、…口の中が切れたのか。
口内からドンドン血が溢れてくる。
私は魔力を爆発させることで氷柱を崩して脱出した。
私は口内に溜まった血を吐き捨て口端を手で拭った。
「……、あんたの能力は一体なんなの?」
「なぁに、俺の能力は学園都市ではありふれた…、ただの
さっきお前の重力攻撃を受け流したのも
「なるほど。でも良かったの?
自分の手札を晒しちゃってさぁ」
「構わねぇよ。その程度じゃぁ不利にはならねぇからなぁ」
「そ、でも…、その驕りは命取りになるよ」
私は掌に大量の光子を収束させて一筋のレーザーを双極に放った。
双極はレーザーが当たったにもかかわらずダメージが一切なかった。
「ハッ!その程度の光で俺を焼けるとおもってんじゃねぇぞひよっこがァ!
俺を焼きたきゃぁこれぐらいはやってみろォォォ!!」
双極は掌を満月とともに数多の星が煌く夜空へと掲げた。
その瞬間、視界が真っ暗になり、頭上に爛々と光り輝く光以外なにも見えなくなったと思うと、次の瞬間には視界を白が塗り潰した。
音の消えた世界で余波が辺り一帯を吹き飛ばし、そこに遅れて轟音が轟いた。
「ほう、幾ら夜で光が少なくて威力がカスみたいなもんになったとはいえ……」
双極が後ろを振り向き、所々服が消失し、火傷を負った私を視界に入れた。
「まさか、あれを直撃してさらに追撃を防ぐ為に空間転移する余裕があるとは思わなかったなぁ」
「直撃って訳じゃないよ。
当たる寸前にギリギリ防御性魔法陣を3枚展開したからね。
ホント、こっちこそ防御性魔法陣3枚でもこれだけくらうとは思わなかったよ」
私は全身の至る所に負った大火傷を治癒魔法で治癒しながら返答した。
会話中に治せるように急いで治癒させたから魔力の消費が激しいな。
こりゃぁさっさとケリをつけないとヤバイかもね。
「まぁ、そんなことはどうでもいいんだがよぉ…
お前、戦闘中に休みなんてものがあるって思うか?」
私は嫌な予感がして咄嗟に空間転移でその場を離れた。
すると、私がいた場所に直径10mほどの巨大なプラズマが落ち、大爆発を起こした。
「
『
私は空気を薙刀を持つようにして掴み、そのまま双極に向けて薙ぎ払った。
大気の薙刀による斬撃は触れる物全てを消滅させながら突き進む。
双極はそれを念動力で自身を掴み放り投げて、マッハ5の速度で空気抵抗により負傷しながらもギリギリのところで緊急回避に成功した。
でも、それじゃぁまだまだ甘いよ。
「なんだと!?」
直線上の尽くを消滅させながら突き進んだ神薙は空間すらも切断していて、双極の右腕は空間断層に巻き込まれて砕け散った。
「こんの小娘がァァァ!!!!」
右腕を砕かれて憤怒に染まった双極は念動力で上空の膨大な量の大気を掴み、踵落としと共に落としてきた。
「『エアクエイク』!」
私はそれを拳を双極が振り下ろした脚に打ちつけて巨大な振動波を発生させて相殺し、そのまま双極の脚を掴んで地面に聳え立つ氷柱へと投げ飛ばした。
双極はそのまま氷柱の一つに激突し、氷柱を崩して止まった。
私は双極が吹っ飛んだ方へと移動し、両掌を合わせた。
「六の支柱を支えとし、空間を断絶せよ『シャットアウト』」
すると、私の周りにある上空から見て六角形に聳え立っていた氷柱が光だし、その六つの氷柱からそれぞれ光のラインが出て六角形模様に繋がり、さらにそこから対角線を結んだ。
そして光のラインが一際強く輝いた時、六つの氷柱を軸とする空間を断絶する光のカーテンが展開され、全方向を囲む断絶の結界が張られた。
氷柱の対角線が走る地面にもカーテンと同じように光の膜が張られた。
「逃がさない……ってか?
ハッ!笑わせる。テメェを殺さずして誰が逃げるかよクソッタレが」
双極は崩れた氷柱の山を
「逃がさない為に張った訳じゃないよ。
私が本気で戦うと周りの被害が凄まじいからね。
それを防ぐために張っただけだよ」
「あぁ〜ムカつく。
俺はそういう周りを気にする『闘争』が一番嫌いなんだよ。
虫唾が走る!
『闘争』ってのは周りを巻き込んでなにもかもを破壊し尽くしてこそ至高だろうがァ!!!」
「私は私が正しいと思ったことをやる。ただ…、それだけ!」
私は|『フィジカルスペック』と『フィジカルグレード』《身体強化魔法》で身体能力と身体強度を強化し、マッハ10という恐るべき速度で双極に接近し、その勢いのまま鳩尾を手刀で貫き、腕を掴んで、そのまま上に思いっきり振り上げた。
高速で振り上げられた双極の腕は千切れて、身体だけが高速で錐揉み回転しながら夜空へ吹っ飛んで行った。
私は大気魔法の応用で宙を駆けて、吹っ飛んで行った双極に追いつき、かかと落としを決めて地面に叩き落とした。
ガァァァァァァァン!という硬質な轟音を響かせて地面に叩きつけられた双極は最後の力を振り絞ったのか、大気を集めて作った巨人の拳を上空にいる私に叩きつけてきた。
「これで終わりだよ。
『闘争』の木原」
私は空気を力強く踏み締めて、思いっきり飛び出した。
音速を軽く越えた速度の中、私は半回転して脚を双極に向けた。
そして、双極の大気の巨人の拳と私の脚が激突した。
私の蹴りは巨人の拳を霧散させ、そのまま双極に蹴りが直撃した。
双極の身体はそのあまりの威力に爆散した。
「…さて、子供達の救出を手伝いに行く前に傷を治しとくかな。
ていとくんは心配性だから、見つかったらまたいろいろ心配かけちゃうだろうし」
私は結界を解除してから身体中の怪我を『フルケア』で治した。
すると、丁度ていとくんが地下へと続く階段からたくさんの子供達を引き連れて上がってきた。
手伝うまでもなかったみたいだね。
「ハァ、やり過ぎだ」
「にゃはは、今回の敵はちょっと厄介だったから一掃するために広範囲殲滅型の技を使ったからね」
私は辺りの惨状を見てあきれて頭に手をついて溜息を洩らすていとくんにそう言った。
ていとくんがこちらに視線をやると私の全身を見て心配と呆れと驚愕の3つの感情を孕んだような眼をした。
「珍しいな。お前が傷を負うなんて。
「混ざってたっていうか全員
「どうりでこうなる訳だ」
ていとくんが溶解したりクレーターだれけになっている地面へと眼をやりながら言った。
ま、まぁ、どうせ下部組織の連中がなんとかしてくれるでしょ!
……なんとかなるかなぁ…これ…。
私は“まぁ、いざという時は私の魔法で直せばいいか”ということで結論付け、話のベクトルを子供達の今後についてに移した。
「それよりこの子達はどうするの?」
「こいつらは部屋が用意できるまでは第七学区にある
…ということでいつもの頼む」
「了解( ̄^ ̄)ゞ」
私は『ゲート』でワームホールを形成して、ここと
「じゃぁ、俺はガキ共を預けに行くから後始末は頼んだぞ」
「えぇ〜、私が預けに行くからていとくんが後始末してよ〜」
「仕様がねぇな。じゃぁガキ共は頼んだぞ」
「まっかせなさい!さ!みんな行こっか!」
「あ、ちょっと待て。
これを持っていけ」
そう言ってていとくんはポケットから折りたたまれた紙を取り出して私に渡した。
「コレは?」
「それは研究所にあったそこの髪が長いガキについて書かれた書類を無駄な部分を省いて纏めた物だ。
それを
「うん、分かった。
それじゃあ後始末よろしくね〜」
私は子供達と手を繋いでワームホールの中を通っていった。
いやぁ〜、後始末やらずに済んで良かった〜。
コンピューターってのには未だに慣れないから情報を消す時苦労するんだよね。
それにしても、あの子に一体何があるっていうんだろ?
他の子の分はなくてあの子の分だけがあるってことはなにかがあるはずなんだけど……。
まぁ、それについてもさっきの紙に書いてあるだろうし、移動しながら見るとするか。
場所は移り
ワームホールを通ってきた私はワームホールに興奮する子供達を連れて
カエル医者のもとを訪れた。
カエル医者のいる部屋の扉をノックして、返事が返ってきたので開けると、カエルに似た顔の老医師が椅子に座ってカルテを見ていた。
カエル医者は扉が開く音を聞いて、カルテを机の上に置いて椅子を回転させてこちらに向いた。
「おや?どうしたんだい?こんな夜遅くに大勢の子供達を連れて」
「この子達の入居先が決まるまでこの子達を預かってくれないかな?
入居先の方は親婆(親船最中)が手配してくれるからさ」
「ああ、構わないね?」
「なにも聞かなくていいの?」
「聞く必要がないからね?
僕はただ病室を貸し与えるだけなんだから。
それに、余計なことを聞いて、患者を救う側である僕が逆に患者を傷つけてしまうかもしれないからね?
それより君の方こそ大丈夫なのかい?
見たところボロボロのようだけれど」
「私は大丈夫。傷自体はもう能力で治したからさ。
あ!それとコレ」
私はポケットからさっきていとくんから渡された紙を取り出してカエル医者へと渡した。
カエル医者は渡された紙を開いて見た。
「この書類によれば彼は『木原』に右眼を義眼に変えられてるみたいだからそれの安全確認とメンテナンスもしてくれると助かるんだけどいいかな?」
「もちろん。
患者のためなら必要とあらばなんでも用意するとも」
「ありがとう。それじゃ私はそろそろ帰るよ。
費用の請求は親婆にしてね」
私はにこやかに笑うカエル医者を背に自宅へと『ゲート』で帰った。
SIDE 三人称
学園都市第七学区に位置する窓のないビルと呼ばれるビルの中で二人の人物が話していた。
一人はビーカー型の生命維持装置に入った学園都市統括理事長アレイスター・クロウリー。
もう一人は白衣を着た二十歳ほどの男だった。
その男の身体にはラインが入っていて、そのライン上を一定間隔で光が走っていた。
「大事なレベル5を失ったが良いのか?」
「失ってなどいないさ。
彼によって脳の回収はもう済まされているからね。
能力を行使する脳さえあればその入れ物などどうでもいい」
「へぇ、良くあの結界の中に気づかれずに侵入できたな。
一体どうやって入ったんだ?」
「彼のことは同じ『木原』である君の方が良く知っていると思うのだが?」
「そうだな。無音ならその程度のことは造作もないか」
「それより、君の方こそ良いのかい?
『フレイム』は君の大事な玩具だったはずだが」
「大事だろうがそうじゃなかろうが所詮は玩具に過ぎない。
子供ならまだしも、大人は玩具を壊された程度じゃ怒らないものだ。
それに、貴様のプラン通りに動くのは癪だしな」
その発言を聞いてアレイスターは僅かに表情を変えた。
「君は常に私のプラン通りに動かないからもしかしてとは思っていたが。
やはり、私のプランについて知っているのか?」
「いや、知らないな。
それに興味もない。
俺が貴様のプラン通りに動かないことができるのはただ単純にこれまでのプランの内容から次に行われるであろう複数に枝分かれしたプランを予測しているだけだ」
「もしそれが真実だとしたら君はレベル5以上の化物だな」
「フン、俺には史上最強最悪の魔術師の方が余程化物に見えるがな」
ラインの入った男は去り際にそう言って窓のないビルから消えた。
「『木原』の中でも最上位に位置する君も、私とあまり大差はないと思うがね」
アレイスターは薄暗い窓のないビルの中で独り言ちた。
陰謀なしで『木原』の『木原』らしさを表現するのはやっぱり難しいですね(^_^;)
『木原』は好きなキャラだから上手く表現したいんだけどなぁ(´・ω・` )
木原 双極の使用した技詳細
【天墜】
周囲の光全てを上空の一点に圧縮した後、対象へと光の柱として墜とす技。
そのため、太陽が出ている日中が最も威力が高い。
さらに、周囲から光が無くなるので視界も奪われ、回避はほぼ不可能となる。
【念動鎧】
念動力で全身を覆い、自動防御する技。
一方通行の蹴った超電磁砲の数倍の速度の石(厳密にはそれによって生じた衝撃波)を軽々と防ぐほどの防御性能。
【崩天脚】
大気を念動力で掴み、それを念動力で強化した踵落としと共にぶつける技。
【空巨人の拳撃】
微かに目に見えるほどの莫大な量の大気を念動力で圧縮し、巨大な拳を作り、対象を殴り飛ばすと同時に拳を構成する風で対象を切り刻む技。