境界線を越えた先にあるもの   作:✟クロス✟

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なんとか間に合ったε- (´ー` ) フー

にしても夏バテって厄介ですね〜
倦怠感が半端じゃないです(^_^;)
皆様も夏バテにはお気を付けて(と言ってももう夏も終わりが近いですが)


第一五話 残骸争奪戦 Saint-rough_stone

9月15日 PM8:10

 

月明かりや周囲のビルより漏れる光により照らされた薄明るい工事現場の鉄骨の上に二人の男女がいた。

一人は引き締まった筋肉質な身体に白を基調とし、青色の蓮の花柄で飾った中華服を着崩した中国系(チャイニーズ)の男、劉凱、もう一人の女は 晒しで胸を覆い、その上から霧ヶ丘女学院の制服を羽織った露出度の高い服装の女子高生、結標淡希だ。

二人は監視カメラが存在せず、頭上は青いビニールで覆われたここで、劉凱による人払いの術式を周囲に展開して時間を稼いでいた。

 

「外の彼等が準備を終える予定時刻まで残り1時間…か…」

 

結標は右腕に着けた腕時計で現在時刻を確認し、そう呟いた。

 

「このまま何も起こらず順調にいけばいいんだけれど…」

 

「でも、そうはいかないみたいだぜ」

 

劉凱は工事現場の入口を見ながらそう言った。

 

「あら、そのようね」

 

そこには二人の少年少女がいた。

とある高校の制服を着た髪を整髪料でツンツンに尖らせたウニ頭の高校生、上条当麻と常盤台中学の制服を着た茶色い短髪の少女、御坂美琴だ。

 

「やっと見つけたわよ。結標淡希」

 

御坂は鉄骨の上に座り余裕の笑みを浮かべる結標を睨み付けながら言った。

 

「あら、恐い顔。女の子がそんな顔しちゃモテないわよ?」

 

「私はアンタと無駄話をしに来た訳じゃないのよ。

私はその残骸(レムナント)をブッ壊しに来たんだから」

 

「あら、それは困るわ。

これは私にとって救世主となる大事な物なのだから。

でも、かと言ってこれを守るために貴女と戦うというのも愚策だわ。level4とlevel5の間には圧倒的なまでの壁があるんだから。

だから、貴女達の相手は彼に任せることにするわ。

と、言うわけで後は頼んだわよ劉凱」

 

「ああ」

 

そう言って劉凱は鉄骨から飛び降りて二人と相対し、結標は何処かへと空間転移した。

 

「んじゃ、始めようか。

 

精々楽しませてくれよ、第三位、ウニ頭」

 

「どうやら逃げられそうにないなこりゃあ…。

御坂、まずはコイツを倒すことに専念するぞ」

 

「分かったわ」

 

 

......................................................

 

PM8:10

 

 

「おっうぇ、…ハァ、…ハァ、…やっぱり自分自身の転移はキツイわね」

 

とあるビル内へ転移した結標は過去に空間転移を失敗し、片足を地面にめり込ませたトラウマからくる吐き気を堪えられずに嘔吐した。

 

「体調を崩してるとこ悪いですが……隙ありですのよ」

 

声が聞こえたと同時に右肩、脇腹、左太腿に風切り音と共にコルク抜きが刺さった。

 

「ぐぅあっッッ!」

 

各部の痛みに跪きながらも周囲を見回すと、たくさん並べられていたテーブルの一つに常盤台中学の制服を着たツインテールの少女が腰掛けていた。

白井黒子、結標が昨日の夕方、残骸(レムナント)を奪うために襲撃した風紀委員(ジャッジメント)だ。

 

「ふふふ、私が貴女に負わせた傷と同じ場所を攻撃するだなんて、貴女結構根に持つタイプなのね」

 

「ええ、私としても、今回のことに関してはかなり頭にきていますの」

 

白井はテーブルから降り、跪く結標の前に立った。

 

「余程あの常盤台のエースに心酔しているのね。

でも、そこまでして守る価値があるの?

超電磁砲(レールガン)が思い描く、身勝手で、おセンチで、絵空事しかない世界を」

 

「守りたいに決まってますの。

どれだけ身勝手だとしても、お姉様は望んでいますの。私や貴女がこんなことをしなくていい世界を」

 

白井は今も残骸(レムナント)を破壊するために街中を駆けずり回っている愛するお姉様のことを想いながら言う。

 

「お姉様は、その気になればコイン一つで全てを粉々に打ち砕くことができる。

それでも『争って欲しくない』と、どんな絶望の中でも真顔で言える人なんですの。

 

…その想いを、私が蹴るとお思いですの!

 

……これから貴女を日常へ帰してさしあげますわ。

何処かで誰かが想い、この私が共感した通りに」

 

「ならば、貴女を倒してその想いを踏み躙れば、私の勝ちかしらね?」

 

白井は愛するお姉様のために、そして何より自身の掲げる正義の名の下に、一人の少女を日常へ帰すために。

結標は劉凱が超電磁砲(レールガン)ともう一人の男を倒して、追いつくまでの時間稼ぎのために。

二人の少女は互いの思惑を胸に、再び相対した。

 

 

......................................................

 

PM8:18

 

 

 

肌寒い風が吹き荒び、辺りのビルから漏れる光や月光により照らされているといえども、薄暗いといえる鉄骨が組まれた工事現場に断続的な稲光と共に雷鳴が鳴り響いた。

 

「ハァ…ハァ…、なんで何度も直撃してるはずなのに効いてないのよ!」

 

御坂はかつて学園都市最強の能力者、一方通行(アクセラレータ)と対峙した時と同等かそれ以上の焦燥感に駆られていた。

 

稲光と轟音の正体は御坂が劉凱に向けて放った雷撃の槍だった。

御坂の放つ雷撃の槍はlevel5の名に恥じぬ強力なものだった。

しかし、その雷撃の槍を持ってしても、劉凱には傷一つ付けることすら適わなかった。

劉凱に当たった瞬間、雷撃の槍が周囲に弾けるようにして拡散するのだ。

 

「無駄だ、無駄。諦めろ。

その程度の力じゃぁこのオレにはかすり傷一つ付けられねぇよ」

 

「なら、これならどう!」

 

御坂は磁力を発生させて周囲に散らばる砂鉄を操作し、砂鉄の竜巻を劉凱を中心に巻き起こす。

だが、そんな普通なら体がズタズタに引き裂かれる竜巻の中で尚、劉凱は平然としていた。

 

「ったくよぉ。

こんなのは……、無駄だつってんだろうがよぉ!!」

 

劉凱が蚊でも振り払うような動作で右腕を振るうと、劉凱を襲っていた砂鉄の竜巻が内側からの圧倒的な力により、弾け飛んだ。

 

……いや、違う。

 

御坂の起こした砂鉄の竜巻を破壊したのは、内側からの圧倒的な力ごと破壊したのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

……一本の右腕だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今だ!ビリビリ!」

 

幻想殺し(イマジンブレイカー)

それがこの現象を引き起こし、今、劉凱の振るった右腕を掴むことで劉凱の能力を封じている上条の持つ能力だ。

御坂が砂鉄の竜巻で劉凱を攻撃するのと同時に、劉凱の視界が封じられている内に上条は劉凱の能力を封じた上で、必ず倒せる展開にするために劉凱の背後に回っていたのだ。

 

「あぁ?(能力が使えないだと!?)」

 

劉凱は突然能力が使えなくなって怪訝な表情をした。

 

「言われなくても分かってるっつうのッ!」

 

その一瞬の隙を狙い御坂が雷撃の槍を放った。

劉凱の右腕を掴んでいる上条は幻想殺し(イマジンブレイカー)のお陰で劉凱と一緒に感電する心配がないので、一撃で気絶させられる程度の威力を持った一撃だ。

 

「ーーーッッッッ!!」

 

今度こそ今まで傷一つ付かなかった劉凱に、攻撃が通った。

これで結標の後を追える、と油断していた二人に、最も聞きたくない声が聞こえた。

 

「中々……やるじゃねぇか。

今のは結構効いたぜ。

だがよぉ、相手が悪かったな……」

 

倒したと思われた劉凱はまだ、意識を手放してなどいなかったのだ。

しかし、幸いなことに上条はまだ劉凱の右腕を握ったままで、能力は封じられたままだ。

御坂はこれが最後のチャンスだと思い、もう一度、今度は死なない程度の威力で自身の代名詞ともなった技、超電磁砲(レールガン)を放った。

 

「オレは聖人原石だ」

 

劉凱は右腕を思いっきり上下に振って上条を地面に叩きつけ背中から思いっきり地面に叩きつけられた痛みで右腕の拘束が緩んだ後、右腕を振り払いながら左拳を上条の鳩尾に叩き込んだ。

地面を割る程の一撃は上条の意識を完全に絶ち、劉凱は勢いそのままに左腕を軸に右脚による後ろ回し蹴りでコインの側面を蹴り、御坂の放った超電磁砲(レールガン)の軌道を逸らした。

蹴りの勢いで体勢を整えた劉凱は真正面から御坂が知覚できないほどの速度で肉薄し、鳩尾に拳を叩き込んで吹き飛ばした。

聖人の力で鳩尾を殴られた御坂はそのまま気を失った。

この間、僅か1秒にも満たない。

これが、世界に二十人といない聖人が誇る圧倒的なまでの身体能力である。

 

「…学園都市第三位つってもこんなもの(・・・・・)か。

この調子じゃぁ科学サイドにはオレの好敵手足り得る奴との出逢いには期待できそうもねぇな。

さて、嬢ちゃんとこに行くとするか」

 

劉凱は聖人としての圧倒的な身体能力を用いて目にも止まらぬ速さで工事現場から姿を消し、事前に打ち合わせていた結標の逃走先のビルへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

劉凱が立ち去った数十秒後、工事現場に横たわる二人の指が、微かに動いた。

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