境界線を越えた先にあるもの   作:✟クロス✟

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またもやストックが尽きてしまったぁぁぁぁorz
次の更新は期日に間に合うかは分かりませんが、なるだけ間に合うようにします。

能力とか戦闘シーンは簡単に思いつくんだけどなぁ…

その繋ぎがなぁ…

難しいんだなぁ…

(´・ω・`)



第十六話 残骸争奪戦 turning_point

PM8:24

 

 

とあるビル内にてツインテールの風紀委員(ジャッジメント)、白井黒子、残骸(レムナント)を狙う露出度の高い服装の霧ヶ丘女学院生徒、結標淡希、二人の少女が闘っていた。

しかしその闘いには既に決着が着いていた。

白井黒子が結標淡希の攻撃により、テーブルや椅子の下敷きになるという形で。

しかし、下敷きとなっている胸から下の部分が動かせず、痛みで空間移動(テレポート)も出来ないが、押しつぶされてはいなかったのは僥倖だった。

 

劉凱とはここを合流地点としていて、無闇にここを離れる訳にはいかなかったので暇つぶしにでもと、結標はそんな身動きの取れない白井の下にしゃがみこみ、

 

「昔々、ある所に強大な能力者と組織があったの」

 

と、突然訳のわからない話をし始めた。

 

「その組織は、莫大な利益を得るために、その強大な能力者のクローンを作ろうとした。同じように、クローンもまた強力な能力を有していると信じて。

 

しかし、実際にはクローンの性能はオリジナルの性能の1%にも満たない、とんだ『出来損ない』であった。

 

ねえ白井さん。クローニング技術で生まれた子供は、遺伝子レベルで同じ骨格を持つのよ。脳の構造だって、オリジナルと全く同じはず。にも拘らず得られた能力に差が出たのは何故かしら」

 

結標は問いかける。

しかし、白井はその問いかけを一笑に付した。

 

「く、だらない、仮説ですわね。学園都市の学校が、どんな風にランク付けされているのかも、ご存知ありませんの……?」

 

同じ人材でも育て方や環境の違いで開花の仕方は変わってくる。だからこそ、様々な能力開発理論が生まれ、学校にも名門校や優良校などのランク付けも生まれてくるのだ。

 

しかし、

 

「いいえ。作られた個体(クローン)達は、学習装置(テスタメント)などを用いて人工的にオリジナルと全く同じ才能開花を迫られた。

それでもやはり結果は追い着かなかった。

同じ脳を使って、同じ結果が出ないのなら、“単純な脳構造以外の項目”が能力開発に関わっているとは思わない? そして、その項目を見つけ出す事ができれば、人間の脳以外の演算装置だって、能力を扱えてしまう事になってしまわないかしら」

 

つまり、とそこで結標はその話の核心を口にした。

 

「能力の発現に、人の脳を使う必要なんてあるのかしらね?」

 

超能力とは、量子論的な考えを飛躍させたものだと言われている。

 

自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』という、意図的に『枠』を歪めた演算機能と判断能力を使って現実の観測を行う。そして、その結果に応じて極めてミクロな世界の確率を不自然に変動させる事で何らかの現象を生み出すのが超能力である。

 

ミクロな世界の『観測者』は人間の頭であり、 故に人間の頭を適切に操作し、ミクロな世界を観測させれば、ミクロな世界を歪めることができるとされている。例えば、『常識的現象』が『99%存在』し、『超常現象』が『1%存在』する時には、普通の人間が観測すると99%の確率で『常識的現象』が現れ、『超常現象』が現れる確率はわずか1%でしかない。

 

しかし、能力開発などで頭を操作された人間は、『1%の存在』でしかないはずの超常現象を本来の確率を無視して無理やり現れさせることができるのである。そしてミクロな世界の歪みが、タイムトラベル物の創作物の設定で有りがちな『バタフライ効果』のように、マクロな世界にも影響を及ぼし、マクロスケールでの超常現象、本来ありえないはずの歪んだ現象を引き起こす。

 

この、操作された人間の頭の中にある『超能力を発生させる何か』を『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』と呼ぶのであるが……。

 

「ねえ白井黒子さん。貴女は私が失望してしまうような人間至上主義じゃないわよね。『頭脳』なんて呼ばれるものは人間以外にだってくっついてるでしょう? ―――ほら、例えば『樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)』、とか」

 

「ま、さか。演算機器が、わたくし達と同じような能力を発現すると? 貴女、本気でそんな事を考えてますの? それは機械に心があるというのと同じレベルの寝言ですわよ」

 

白井の言葉に対して、結標はムキにもならず、

 

「ええ。機械は所詮、機械。そもそも情報処理の方向性そのものが現象の観測とは大きく外れているもの。だけど、予測することはできる。あらゆる現実を完全に再現する究極のシュミレートマシンを使えばね。ねぇ、白井さん。貴女は初めてその能力を手に入れた時、どんな気分がしたかしら?」

 

結標は語る。

 

「私は正直恐ろしかったわ。この能力で何ができるか考え、怯えて。実際にその通りの結果が出てしまい、さらに脅えて。私はね、白井さん。この手に力がある事がこの世の何よりも怖かったの。他愛のない想像通りに人すら殺せてしまうだろうこの力が。だから、私は問いかける。人間以外に超能力を扱える個体は存在するか否かを」

 

結標はそのキャリーケースを大事そうにそっと触れた。

 

「例えば、イルカは海のヒューマンと呼ばれ、蟻の社会には厳格な規律と秩序がある。超能力は人間の特権なんかではないはず。ではなぜ、人間でなくてはならないの? 私はそれが知りたい」

 

そのために、『残骸(レムナント)』から新しい樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)を作り上げる。

 

それが彼女達の計画であった。

 

「あなたはそのために樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)を?」

 

「ええ。いくら価値ある残骸(レムナント)でも、私1人では創り上げられないわ」

 

だから、技術をもった仲間が必要だったの、と結標は白井の問いに答える。

 

「どう、白井さん。あなたにだって、その力で人を傷つけてしまったことがあるでしょう? 私にはそれが分かる。私と仲間にならない? そうすれば――」

 

「お断りですわ」

 

白井は迷うことなく即答した。

 

「分かってないの? もしもヒト以外のものに超能力を宿せるとしたら、私達だって空間移動能力者なんて怪物にならずに済んだじゃない。そもそも私達は、こんな危険な能力を持たなくても良かったはずなのに―――」

 

「馬鹿馬鹿しい。どんな可能性を示された所で、わたくし達の能力が消えてなくなる訳じゃありませんの」

 

 白井の言葉に、結標は黙った。

 

「すでに能力者になってしまったわたくし達に、他の可能性を提示した所で何になりますの? そもそも、能力が人を傷つける、何て言い草がすでに負け犬してますわよ。……力が怖い? 傷をつけるから欲しくない……? 口ではそう言いながら! 人にこんな怪我を負わせたのはどこの馬鹿ですのよ! 自分達の行いが正しいか否か知りたければわたくしの傷を見なさい! これがその答えですわ!!」

 

能力に意思はない。人を救う道具にもなれば、他者を傷つける武器にもなる。

 

それは力を扱う能力者自身によって決まるのだ。

 

白井は、自分を床に押しつけてるテーブルや椅子を押し上げ、立ち上がる。

 

「結局あなたの言っていることは、”周りは平凡、自分は特別”などという見下し精神まるだしの汚い逃げでしかありませんわ! 今からその腐った根性を、たたきのめして差し上げますの!」

 

今の白井黒子を支えるのは確固たる信念。開いた傷口から溢れる血で服も身体も汚れていても、泥臭く立ち上がる。

そばにあった電気スタンドを握りしめる。

 

白井は一歩ずつ、近づいていった。

 

「ひっ!?」

 

結標は後ずさる。

 

その白井の姿は、まるで彼女の言っていることこそが正しいと証明しているように思えた。

 

「(こ、こないで……)」

 

 結標はその時、震える手で隠し持っていた拳銃を取り出し、構えた。

 

白井が床を蹴り飛び出したとき、銃声が鳴り響いた。白井は床に倒れる。彼女のポケットから、御坂のコインが飛び出し、手放した電気スタンドが割った窓から転がり落ちていった。

 

一方で、結標はただ無言の沈黙のままに結論を出す。

 

全ての元凶。自分の周りで、今まで誰かが傷ついたのは。

 

目の前の彼女を、拳銃で撃とうとしたのは、紛れもなく自分自身だ。

 

 自分こそが……怪物だ。

 

「は、ァ……ァ、がっ。ガァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああッ!」

 

床に座り込み、両手で頭を抱え、結標は絶叫する。

 

周囲の空間が歪み、彼女の座標移動(ムーブポイント)が暴走する。

 

しかし、その暴走した能力は窓から侵入してきた一人の男によって強制的に止められた。

その男は、 引き締まった筋肉質な身体に白を基調とし、青色の蓮の花柄で飾った中華服を着崩していた……。

 

「……劉………凱……」

 

劉凱は床にしゃがみ込み、劉凱を見て呆然としている結標の下まで歩き、腰をかがめて顔を近づけて結標の頬を右手でむぎゅっと掴むように挟み込んだ。

そのせいで、緊張感のない変な顔になった結標に、

 

「ったく、何暴走してんだよ嬢ちゃんよぉ。

んなことしたら周りに居場所を知らせることになる上にテメェも死ぬかもしれねぇんだぞ。

自分(テメェ)が望んで手に入れた能力(ぶき)ぐらい完全制御しやがれ!

自分(テメェ)能力(ふぞくひん)ごときにふりまわされてんじゃねぇぞコラァ!!」

 

その言葉を聴いて、結標は目が覚めるような感覚に陥った。

 

自分(テメェ)が望んで手に入れた能力(ぶき)ぐらい完全制御しやがれ!』

 

そうだ、何を思い悩む必要があった。

 

全て、幼い頃の自分が望んだことじゃない……。

 

制御できずに周りを傷つけたのは、……自分が不甲斐ないからじゃない。

 

 

『テメェの能力(ふぞくひん)ごときにふりまわされてんじゃねぇぞコラァ!!』

 

そうだ、何を思い悩む必要があったんだ。

 

能力なんて…、自分の付属品でしかないのに……。

 

こんな付属品ごときに今まで振り回されてたなんて、……我ながら情けないわ。

 

 

そもそも、能力を手に入れてしまった今、新たな選択肢を創り出したところで。

 

そんなものは白井さんの言う通り、何の意味も無いじゃない……。

 

……白井さんや協力してくれた皆には、悪いことをしちゃったわね。

 

 

 

結標は頬を掴む劉凱の手をそっと放して立ち上がる。

今度は、人を傷つけるためではなく、人を、……護る、……その第一歩を踏み出すために。

 

自分の不始末ぐらい自分で片付けたいけど…、今の私じゃあ力不足…。

 

だから…

 

「劉凱、依頼内容を変更させてもらうわ」

 

「いいぜ、元より俺の依頼主は嬢ちゃんだ。金も既に貰ってるしな。嬢ちゃんの望むとおりに動いてやるよ」

 

「ありがとう。

それじゃあ、貴方はーー」

 

その時、下からは閃光が、上からは純白の人間大の砲弾がビルの一室を襲った。

 

「ーー私を全力で守って」

 

最後まで手伝ってね、劉凱。

 

「了解だ」

 

劉凱は猛獣のような表情を浮かべ、突如飛来した人間大の純白の砲弾に拳を叩き込んだ。

 

「テメェが嬢ちゃんを狙うってんなら、オレが相手してやるよ。メルヘン野郎」

 

「ちっ、また面倒そうな野郎だな」

 

 

 

二人の闘いを背後に、白井は床の一部を破砕した見覚えのある閃光を見て叫んだ。

 

「来ては行けません!お姉様!って……へ?」

 

結標は下に超電磁砲(レールガン)とツンツン頭の少年を見つけると、白井の襟首を掴んで持ち上げたかと思うと、悪戯っぽく笑い、そのまま白井を下にいる二人へと放り投げた。

 

 

「ほぅらっ!ちゃんとキャッチしなさいよっ!」

 

「んなぁぁぁああああにするんですのよぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

白井が超電磁砲(レールガン)がぶち開けた穴から落ち、下にいたツンツン頭の少年にキャッチされるのを見届けた結標は、今までの冷たい人を馬鹿にしたような笑みや挑発するような笑みではなく、心の底から出た暖かい笑みを浮かべ、

 

「ごめんなさい。

それと、……ありがとう。」

 

結標はそう言うと、後ろの闘いに巻き込まれないように、他の場所へと空間移動した。

それを見て下の二人は焦った。

 

「ちょっ!どういうことよ!待ちなさいっ!」

 

「追うぞ!ビリビリ!」

 

「待ってくださいですの!」

 

二人が結標の後を追おうとしてると、上条にお姫さまだっこされている白井が二人に制止の声を掛けた。

 

「…もう、…大丈夫ですの。

彼女を追う必要はもうありませんわ」

 

「どういうこと?」

 

白井は先程見た、彼女の笑顔を思い出しながら、

 

「彼女にはもう残骸(レムナント)を使ってどうこうしようという気はないということですの」

 

白井は二人に向かってそう笑顔で言い、その笑顔を見た二人は顔を見合わせた後、互いに『仕方ないな』という風に笑った。

 

「じゃぁ、帰ろうか。俺達の元の世界(にちじょう)へ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




白井「いつまでお姫さまだっこしているつもりですの!
私をお姫さまだっこしていいのはお姉様だけですの!」アゴパーンチ&オネエサマノズジョウヘテレポ

上条「げふっ」フコウダ

御坂「ったく、仕方ないわね。
今日だけよ」

白井「あぁぁぁん!大好きですのお姉様ぁぁぁん」クネクネ

そうして白井をお姫さまだっこした御坂一行は病院へと向かうのであった。






次からはたぶん戦闘尽くしになると思いますです。


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