PS、前回後書きで次回から戦闘尽くしになると思うと言ったな。
あれは言葉通り思っただけだ( °∀ °c彡))`・v・´)スマヌ
PM8:32
「うっ、急がないといけないっていうのに…、このトラウマはどこまでも足を引っ張ってくれるわね」
結標は先のビルから約1kmほど離れた廃工場や廃ビルが建ち並ぶ、スキルアウトの溜まり場となっている
「にしても、これどうやって破壊しようかしら。
私の能力じゃあ100%再利用不可能な程破壊することはできないし、たとえ地中奥深くに転移させても学園都市の技術力なら容易に掘り出せるでしょうし…、困ったわね」
「じゃあよ、それをこっちに渡してくれねぇか?俺ならそれを100%再利用不可能な程破壊することができるからよ」
結標が声のした方、細い路地の出口に視線をやると、そこには短い黒髪をオールバックにし、両サイドに剃り込みを入れ、額の左側と右頬に傷のある、どこかの学校の制服を着崩して学ランのボタンを全て外して着ている不良のような高校生ぐらいの少年が手をこちらへ向かって出しながら歩いてきていた。
彼女は知る由もないが、彼ーージェイルロードーーは
一見ただのどこにでもいるようなごく普通の不良に見えるが、その少年からは何か異質なモノが感じられた。
一瞬でも気を許せば、その瞬間命を刈り取られるかのような、そんな死神と対面しているかのような感じが。
「悪いけど、素性も分からない貴方にはいどうぞと軽々しく渡せるものじゃないのよ」
結標は気丈にそう返すが、その額には冷や汗が見られた。
ジェイルロードは溜息を吐き、『残念だ』と言い、
「大人しく渡せば命までは取らなかったってのに」
ジェイルロードの失望したかのような声音が聞こえた時には手を伸ばせば届く距離にジェイルロードがいて、その右手を結標の顔へと伸ばしていた。
結標は言い知れぬ危険を感じ、咄嗟に自身を
体をひねって回避しようにももう回避不可能なところまで死神の手は迫っていてそんな暇もなかった。
結標は反射的に目をつぶった。
瞬間。
ボンッという破裂音と共に腹部に衝撃を感じ、結標は後方へと吹き飛ばされた。
強かに腰を地面に打ち付けると思いきや、何故か着地点に見えない、まるで空気のクッションのようなものがあり、緩やかに腰を地面へつけた。
「へ?」
「いやぁ、ギリギリ間におうて良かったわ」
目を開けると、そこには 黒髪の癖毛を軽く整えた20代前半ぐらいの陰陽師のような格好をした若い男ーー
「ちっ、邪魔が入ったか」
不良のような風貌の少年は眉間に皺を寄せ、忌々しげに舌打ちをする。
しかし、一瞬何かに気づいたかのように目つきの悪い眼がピクっと動いたかと思うと、薄い笑みを浮かべた。
熾城はジェイルロードのその仕草を不思議に思うが、彼が周囲に展開している索敵用式神には何の反応もないので、ハッタリかと思った。
しかし、その一瞬の読み違いが熾城の行動をワンテンポ遅らせた。
気が付いた時には既に上空200m地点から豪炎を纏った悪魔ーーイフリートーーが猛烈な速度で熾城達のいる細い路地に急降下してきていた。
今から避けるのは不可能だと判断した熾城は即座に結標の近くへ移動し、周囲に防御結界を張った。
直後
防御結界に聴覚が一時的に麻痺する程の轟音と共に途轍もない衝撃が加えられたと同時に、結界外が真っ赤に染まった。
「これは貰っていく」
防御結界に覆われたこの空間内にいるはずのない人物から声をかけられ振り返ると、そこには気絶した結標と
ジェイルロードの背後の防御結界に穴が空いていたことから、恐らく何らかの方法で結界に穴を空け、後ろから油断していた結標を気絶させて
「逃がさへんで!」
熾城は人型に切り取られた白色の紙を陰陽術で青、赤、黄、白、黒色の閃光とし、ジェイルロードへと放った。
しかし、ジェイルロードはそれを右手で振り払うかのようにして五色の閃光をかき消し、
「イフリート、コイツが追ってこないように始末しておけ」
と、命令を下した。
直後、莫大な衝撃がガタがきていた防御結界を破壊し、炎を纏ったイフリートが現れた。
「あまり長居はしたくねぇから瞬殺させてもらうが異論はねぇよな」
「ちっ、下手こいてもうたなぁ」
ジェイルロードの姿を探すが、一瞬イフリートに気を取られた隙に逃げられたようで、目視ではもちろん、索敵用式神でも見つけることは適わなかった。
「まぁ、逃走したジェイルロードの行方は守羅ちゃんがもう捕捉しとるやろうから…」
探しても見つからないものは仕方ない、と自分はジェイルロードを追うことを諦めて仲間に任せることにし、まずは目の前の敵を撃破するために気絶して倒れた結標を背に、右手人差し指と中指の間に札を挟んで構えた。
「僕はこの娘を護りながらコイツの相手でもしときますかね」
ジェイルロードは闇に包まれた暗い路地をアタッシュケースを片手に小さな声で誰かと話しながら走っていた。
彼が耳に付けた超小型通信機からは彼のもう一人の仲間であるアクロの快活な声が聞こえていた。
『無事
「ああ、現在追っ手をイフリートが足止めしている。
お前も敵の目を引き付けるために適当なところで目立つ様に暴れてくれ」
『りょーかい』
通信がブツッという音とともに切れ、路地の曲がり角を曲がった瞬間、視界が死を匂わせる青白い閃光で埋め尽くされた。
「ーーッッ!?」
ジェイルロードは咄嗟に右手を目の前に翳すことでその青白い閃光を打ち消すことができた。
が、
「ゴハッ!」
背後から凄まじい衝撃が遅い、前方へと吹き飛ばされてしまった。
背中の痛みを我慢して前回り受け身をとることで衝撃を殺すも、掌にアタッシュケースの硬質な質感がないことに気付いた。
『しまった!』っと思い振り返るも、既に襲撃者は
「クソッ!油断した!」
ジェイルロードは眉間に凄まじく皺を寄せた恐ろしい表情で耳につけている超小型通信機のスイッチを入れ、アクロとイフリート両名へと繋げた。
「悪い、
青白い閃光が襲ってきたから恐らく相手はアイテムの連中だ。
だが、そこから誰かの手に渡るかもしれねぇからとりあえずお前らは見かけた奴は手当たり次第潰していけ!」
『おーけー。まっかせといて!』
『次んな失態しでかしやがったらテメェから灰にするぞ!』
「ああ、分かってる」
ジェイルロードは通信を切り、夜空を見上げた。
「まずはテメェからだ。中華野郎」
見上げた先には満月を背に頭からこちらへ向かって空気を蹴って加速しながら急降下してくる、 だぼっとした右太股に紅い龍の刺繍が施された白い中華風袴に綺麗な植物の刺繍が施された中華風の胴着姿の黒髪の男がいた。
「垂降蓮華」
互いに右腕を引き絞り
瞬間
莫大な衝撃波で周囲の廃ビルを破壊しながら、二つの拳が激突した。
垂降蓮華
敵の真上から空気を蹴って加速しながら急降下し、その速度と重力を合わせた殴打による奇襲技。