PM8:45
第七学区が一望できる高層ビルの屋上で、肩まで届く薄い赤の混じった白髪を夜風になびかせ、左手に能力を用いて立体映像のようにマップを表示させ、そこに映るいくつかの光る数字を眺めながら
「現在、熾城さんは結標さんを守りながら侵入したAOメンバーの一人と交戦中です。交戦相手は雰囲気から言って恐らく悪魔なので少々手こづるでしょう。
奪われた
『わかった。聖は引き続きそこから全体の監視をしつつ、みんなのフォローをしてあげて』
「分かりました」
聖は通信を切り、再び学園都市全域の監視を再開した。
すると
「これは……」
左手に表示させている立体映像マップに突如紫色に光る❸がかつて上条当麻と神裂火織が戦った、第七学区のスクランブル交差点に現れた。
そのマップは青、黄、赤、紫の四色と1〜5の数字で敵の危険度を表し、先述した順に危険度が高くなっていく。
つまり、青の1が最も危険度が低く、紫の5が最も危険度が高いということだ。
レベル5目前という結標をなんの抵抗もできないまま殺す寸前まで追い詰めたジェイルロードが黄色の❺、熾城と交戦中の悪魔であるイフリートが黄色の❹であることからも、相手の異常なまでの強さが窺い知れるだろう。
「まずい…、けど……」
しかし、その紫の光点の近くには、緑色に光る❿の表示があった。
緑は味方を表し、そして数字は1〜10の十段階でその強さを表している。
つまり、
緑の❿とは
その者が最強の味方であることの何よりの証左である。
ビルから漏れる光や街灯に照らされる中、如月はさっきから見えている爆発や火柱の方へ向かって走っていた。
走りながら如月は眼前の光景について考察していた。
(さっきから
それに
AOの連中が侵入して
だとしたら交戦してるのはたぶんAOの連中と学園都市の暗部組織だろうからAOの誰かが
この調子じゃ、
念の為にていとくんを
「にしても、おかしいな。
もう着いていてもおかしくないぐらいには走ったつもりなんだけどなぁ。
逆探知の可能性があるからできれば使いたくなかったけどしょうがない」
如月は一度立ち止まり、全方位へ魔力の波を放った。
すると、一定距離まで行った魔力が全て何らかの力で乱された感覚があった。
「まさか、幻術か結界の中にでも閉じ込められた?」
「正解です。ここは私の有幻覚により構築された、外界より隔絶された世界ですよ」
声が聞こえたと同時、深い霧が発生し、その中から黒いロングジャケットを纏い、艶やかな藍色の長髪をうなじで縛った空色の瞳の男が不敵に笑んで立っていた。
そして、その男の両手には以前会った時には無かった異形の指輪がはめられていた。
「貴方は…」
「これは失礼。そういえば以前お会いした時は自己紹介をしていませんでしたね」
男は恭しくお辞儀をし、
「私は
と名乗った。
それに倣い、如月も警戒しているためお辞儀はしないが、「如月樹よ」と名乗り返した。
「にしても、ヘルリングをこの世界に存在できる六個全て持ってくるなんて随分気合い入ってるね。
今回は全力で私を殺しに来たって訳?」
そう、如月の言う通り、クロードは左右の人差し指、中指、薬指にそれぞれ三つずつヘルリングをはめていたのだ。
クロードは笑い声を押し殺しながら、それを否定した。
「それも面白そうですが、残念ながら違いますよ。
今回は単純に貴方の足止めが目的です。
今回の事件に貴方に介入されると色々と不都合があるものですから」
如月はその言葉を聞き、訝しげな表情になる。
「面白そう、ね。
貴方、本当にそう思ってる?
どうにも私には違うように思えるんだけど。
だって、本当に殺す気があったのならあの地下道の時に数秒と掛からずに殺せたはずなのに、貴方は殺さなかったじゃない」
「フフフ、貴方と殺し合うことが面白そうだというのは紛れもない本心ですよ。
それと、あの時は貴方を殺せという命令がなかったから殺さなかっただけですよ。
今と同様にね。」
クロードが身に付ける六つのヘルリングのうちの一つである、
次の瞬間、辺り一面のアスファルトが罅割れ、その下から水晶で出来たゴーレム、鳥、狼、熊など様々な形の怪物が如月を包囲するように現れた。
「さぁ、まずは小手調べです。
先に言っておきますがそれらはタダの水晶人形ではなく
如月は静かに刀身が薄氷の如く薄く、刀身越しに向こう側の景色が見えるほどにも関わらず、絶対に折れることも欠けることもない神刀、
「なら、生半可じゃない攻撃を加えればいいだけ」
水晶の軍勢が如月に向かって攻撃を開始した。
水晶による飛び道具型の攻撃は前衛の水晶体に当たっても吸収されるらしく、後衛の鳥型が水晶羽の弾幕を張る中、前衛の熊や狼、ゴーレム達は弾幕に度々当たりながらも気にせず襲いかかってきた。
「一刀流居合
如月は後数寸というところまで敵の攻撃が迫ったところで体捌きを用い、剣を抜いたことすら、最初っから剣など抜いていないかのように錯覚するほどの高速で抜刀しマナを含んだ渦型の斬撃を発生させて水晶体達の攻撃を防ぐと同時に前衛の敵を全て切り刻みつつ巻き上げ、一時的に身動きを取れなくし、
「
その隙に【垂渦】を放って直ぐ納刀した薄氷之絶をもう一度超高速で抜刀し、大量のマナを波状の斬撃に乗せた飛ぶ斬撃を全方位に向けて放った。
その飛ぶ斬撃はいとも容易く水晶体達を切断し、それだけに留まらず、周囲の有幻覚で形作られたビルごと切り裂きながらクロードの目前までたどり着いたが、クロードは瞬時にさらに高純度の水晶体を生み出し、それを防いだ。
「幻影の宴はまだまだ始まったばかりです。存分に楽しんで下さいね」
転生特典能力及び物品について
身体能力強化や魔力増大又は無限化、容姿の選択権、ポピュラー且つ一定以下の能力(火炎能力や電気操作能力、水流操作能力など)など以外の転生特典は一度にその世界に存在できる数が決まっていて、基本的に転生特典の能力及び物品は一つしか存在できない。
ヘルリングについて
今回出てきたヘルリングですが原作でもあまり解説が無かったので殆どオリジナル設定となっています。(能力が判明しているものは原作通り又は+αで使用しますが)
ちなみにヘルリングとは家庭教師ヒットマンリボーンに登場する曰く付きのリングのことです。
それと、今回登場した水晶軍勢(クリスタロッテ・スクアードラ)は十年後の六道骸が使用していた真ん中に藍色の宝石?がはまったヘルリングです。
薄氷之絶の設定
SSSランクの魔物であるグランジュと呼ばれるヱヴァンゲリヲンのラミエルのような形の氷塊を纏った人間の胎児のような見た目をした魔物が纏っている氷塊にグランジュの透明な血を混ぜ合わせて作られている。
そのため、グランジュの能力の一部を使うことができ、決して溶けることのない氷を生成することができる。
その刀身は刀身が見えない程薄く、透明度が高いので、その形状上メスのように非常に切れやすく、見えにくい。
一見すぐ折れてしまいそうだが、グランジュの氷は途轍もない硬度を誇るだけではなく柔軟性などにも優れているのでそんじょそこらの宝剣、妖刀などよりも耐久性が高い。