そうして全員で大掃除をすることになった、最初は戸惑っていた三人だが今は黙々と掃除を続けている。
山城は俺が近づくと明らかに様子がおかしくなってしまうので、比較的ましな駆逐艦組と一緒に作業を進めているのだが、
どうにも落ち着かない様子だ。
「どうしたんだ曙、手が止まっているぞ」
「あんたは何がしたいのよ、私たちをどうしたいのよ?」
曙がこちらを睨みながら言う、初風も同意するように頷いている
「言っている意味がよく分からないな、俺は掃除を命令しただけだろう?」
「この鎮守府で何があったのか知らないわけないでしょう?そんな人がここに回されてくるわけがないわ」
「そうね、どんな人が来るかによって大本営にどういう意図があるのか見極めるつもりだったのよ
最初は前の提督と同じような人が来たのかと思ったのだけれどね…ここに来たのならあなたの行動が皆に誤解を招くのなんてわかっているでしょう?
どうしてそんなことをするのかしら?」
初風がこちらをまっすぐ見つめながら問いかけてくる、純粋に疑問に思っているようだ。
「ああ、お前たちがどんな扱いを受けてきたのかは、よく分かっているしそれを改善することも命令されてきた」
まあ提督がどうして行方不明になったのかを調べるのが本命なのだが、これも嘘ではない。
「だったらなんで、あんな態度をとったのよ意味が分からないわ」
本気で困惑してるらしい曙と初風が訴えかけてくる
「新しく来た提督に優しくされた所で胡散臭いだけだろう、それにそんなことをするのは面倒なだけだ
俺は左遷されてきたような物だしやる気もない、
提督不在で1ヶ月もやってこれたんだ、お飾りの提督のままで任期を終えるつもりしかない
だから艦娘とも関わる気がない」
言っている意味を理解すると、呆れたような顔になる曙
「クソ提督だわ、本当にクソ提督だわ…」
「こちらに関わる気がないのなら、前の提督よりは遥かにましかなのもね…」
まあこんな話を聞いたらそんな反応になるのも当たり前か
しかしこうでも言っておかないと鎮守府内を自由に動き回るのが難しくなる
実際大淀に仕事の大部分を回してしまうのは心苦しいものはあるが…
「まあそう言う訳だ、どうせ任期が終わるまでの間だし仲良くするつもりもないしな、
そっちとしてもその方が都合がいいと思うがな」
そう言いながらこちらから離れている山城の方に目を向ける
「そう…そうかもね」
「気を遣うぐらいならまともに提督やりなさいよね!
もう掃除は終わったし戻るわよ、ほら山城も戻るわよ」
隅のほうにいた山城の手を取り部屋を出て行こうとする曙と初風
山城はこちらのことを気にしてはいたが、俺が何も言わないと分かると曙達と一緒に部屋を出た。
これで曙達は俺がどんな提督だったか伝えてくれるだろう、もちろん俺の言い分を完全に信用していたわけではないだろうが、こちらから関わらないようにすれば真実だったと思ってくれるはずだ。
自由に動きやすくなったとはいえこれからが大変だな…