真剣で私たちに恋しなさい!S   作:黒亜

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妄想だけははかどるんですけどどうにも文章にする時間が……
誰か私の脳みその中で繰り広げられてることを文字におこしてください


不安なペア

揚羽の言う卒業試験は昼食を食べ終えた午後からだった。

九鬼専用の演習場に海斗、そしてその隣には……

 

 

「久しぶりだなー、海斗」

 

 

川神百代が立っていた。

百代は長い黒髪を逆立て、今にも臨戦態勢といった感じだ。

 

 

「そっちも相変わらず闘志バリバリなことで」

 

「フフ、長いこと戦えていなくて体がなまってしまうかと思ったぞ。さあ存分に戦おうで

はないか!」

 

「どうしてこっちに拳を向けながら言うんだ。今一度確認するぞ?今回百代は俺の仲間っ

てことで呼ばれてるんだからな、忘れるなよ」

 

「言われなくても分かっているさ。ただ真剣な戦闘中だ、流れ弾が仲間に向かってしまう

可能性は十分考えておかないとな」

 

 

それで上手く濁したつもりなのか不敵な笑みを浮かべる百代。

一番気をつけるべきは敵ではなく味方のほうなのかもしれない。

 

 

「フハハハハ、百代よ、そう慌てるでない」

 

「揚羽さん!」

 

「相変わらずの落ち着きのなさであるな」

 

「そりゃあこれから戦えると思ったらうずうずしてしまうのはファイターとして当然のこ

とですよ。で、相手になってくれるのは揚羽さんですか」

 

「フハハハハ、確かに我が自ら参戦してその暴走気味の性格を矯正してやるのも悪くはな

いが……今日は別に相手を用意してある」

 

「そうだ、俺も早いとこ相手を知っときたいな」

 

「ここまで来たら別に隠すこともない。今回お前たちの相手をするのは従者部隊だ」

 

「やっとヒュームさんと戦えるのか、九鬼からの呼び出しでなんとなく予想はしていたが

これは来て正解だったな」

 

「こら、焦るでない百代。今日のお前たちの相手はこいつらだ」

 

 

そう揚羽が言って現れたのは複数の執事たち。

しかしその顔触れは新人や序列下位のものばかり。

九鬼の従者であるから一般人の弱いとはもちろん違うのであるが、それでもとてもヒュー

ムの名前を引き合いに出していいような面々ではなかった。

 

 

「揚羽さん、これはいくら何でも私たちの相手には相応しくないでしょう。仮にも私は武

神と呼ばれてるんですよ?」

 

「まあ焦るな。何もこのまま戦って互角になるであろうなどと思ってはおらん。一つまだ

説明していないルールがある」

 

「ルールだと?」

 

「百代には九鬼が開発したこの専用の装置をつけてもらう」

 

 

百代が手渡されたのは手首につけるような小型の機械。

装着したところで何も戦闘に支障はきたさないように見えるが……

 

 

「なんだこの機械は?」

 

「これは衝撃に反応するようになっていてな。このように……ハッ!」

 

 

揚羽がその機械を壁に投げつけるとブザー音が鳴り響いた。

 

 

「凄い音ですね、これがどうかしたんですか」

 

「俺はなんとなく分かっちまったけどな……」

 

「これが反応して音を鳴らした場合、二人のチームの敗北とみなし卒業試験を不合格とさ

せてもらう」

 

「なっ!?待ってください、それじゃ存分に戦えないじゃないですか」

 

「だから存分に戦えては圧倒してしまうであろう。侮ってはいないと言ったはずだ。その

うえでの処置と思ってもらえればよい」

 

「しかし私の行動によって海斗の卒業試験の結果まで決まってしまうというのはどうなん

ですか?」

 

「それがチームというものだ」

 

「まあ要はダメージ食らう前に叩き潰せば問題はないと」

 

「そうそう言い忘れていたが非常にデリケートな機械で衝撃に敏感であるからな。こんな

ことでもしようものなら……」

 

 

揚羽は装置を腕に取りつけたまま気弾を放つ、威力は想像の通りだ。

地面が大きく抉れていく音の中にビーッとつんざくようなブザー音が鳴り響いた。

 

 

「一発でアウトになる」

 

「おいおい……」

 

「これじゃ満足に攻撃を行うことも出来ないじゃないですか!そんな状況で戦えと?」

 

「『海斗と組んで九鬼で行う戦闘試験に協力してくれ、但しいくつかのルールには従って

もらうことになる』という呼び出しに応えたのは、百代、お前だ」

 

「なるほどな、はじめっから一筋縄じゃいかないわけだ」

 

 

海斗はだんだんと状況が見えてきていた。

百代がダメージを受けてしまえば試験は不合格になってしまううえ、その武神たる力を助

けとして期待することは出来ない。

事実上、百代を守りながら自分が敵を殲滅しなければならないのだ。

おそらく沢山の思惑や理由があるのだろうが、こんな形式を取ったのはあくまでも執事の

試験であるからということか。

護衛対象を守れなければ確かに執事を卒業というわけにはいかないだろう。

 

 

「何故私がこんな目に遭わなきゃなんないんだ!」

 

 

……しかし、あれだ。

護衛対象ってのはもっと小さくまとまってるお嬢様とかじゃないのか?

このお嬢様今にもドレスを引きちぎりそうなんだが。




少し特殊な戦いになりそうな予感ですが……
このじゃじゃ馬どころの話ではないお嬢様を守れるのか
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