真剣で私たちに恋しなさい!S   作:黒亜

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私の趣味趣向が伝染したのか感想でも李さん人気でした。
流石ですね。


強敵メイドコンビ

「まさか李やステイシーまで出張ってくるとはな……」

 

 

いくら倒しても次々に数が補充され、そのうえ段々とレベルが上がっているのは気づいて

いたがついに序列2桁までのぼってきてしまったか。

 

 

「定期的に体動かさないとなまっちまうからな」

 

「本当はこんなことする予定はなかったのですが」

 

 

戦えるというだけでノリノリのステイシーに対し、李は気乗りしていないようだ。

李も最初は自ら海斗の敵となることはないと断っていたのだが、揚羽から「卒業試験を不

合格にさせることができれば海斗はまだまだここにとどまることになるな」という言葉を

聞き一度了承してしまい今に至る。

 

 

「私としたことが簡単な餌に釣られすぎました」

 

「おいおい、李やる気ないんじゃねーのか?さっきも相手したくないとか言いやがって、

いくら付き合いがあってもこれは戦闘だぜ?割り切れよ」

 

「何を言ってるんですかステイシー。確かに海斗と刃を交えたくないというのは否定でき

ないところではありますが、私が相手したくないと言ったのはそういう意味ではありませ

ん」

 

「アン?」

 

「どうやっても敵わない相手だからですよ」

 

 

瞬間、海斗が走り出した。

おそらく海斗も多少は李とステイシーを評価しているからこそ、戦闘を長引かせる気はさ

らさらないのだろう。

 

 

「ステイシー!」

 

「オウ、分かってる!」

 

 

李は懐から手品のように閃光弾を取り出し、炸裂させた。

ステイシーは李の呼びかけで目をつむってはいるが、同時にライフルを構えた。

海斗の位置は先ほどから計算していたステイシー、その手に迷いはない。

銃がけたたましく鳴いた後、閃光も消え視界良好となる。

 

 

「これで倒れてくれてたら楽に済むんだけどな」

 

 

そこに海斗の姿はなかった。

直後横からとんできた殴打をギリギリでかわす。

 

 

「やっぱそう甘くはねーよなー!」

 

 

相手の目くらましを利用した完璧な奇襲であったが、事前のシミュレーションのおかげで

なんとか避けきれた。

絶対に一瞬たりとも気を緩めるな、海斗と相対するにあたって李から何度も注意されたこ

とだった。

あの不自由な状況の中で横まで回り込んでくる余裕があったのかと考えると末恐ろしいが、

こちらもそう易々とやられるわけにはいかないのだと意気込む。

 

 

「なっ……!」

 

 

しかし海斗の攻撃はまだ終了していなかった。

低い姿勢からの奇襲攻撃だったので二撃目をつくのは無理だろうと思われるのだが、海斗

はその低姿勢を立て直そうともせずそのまま倒れ込み地面に手をついた。

ステイシーはその行動に反射的な判断で銃を宙に手放す。

同時に己の身はバックステップで出来る限り後退させた。

まさに間一髪、思いきり振るわれた回し蹴りが銃を吹き飛ばしていた。

わずかな油断でもあったら確実に捉えられていた。

最速の判断、銃を蹴りの軌道に放り込むことによるほんのちょっとのずらしでなんとかし

のぐことができたのだ。

 

だが終わってなどはいなかった。

海斗はもう片方の手も地面につき自分の体に回転を加える。

単純な身体能力が求められるのはもちろんだがもはや演武とも取れるそれを実践の中に取

り入れて使うというのは実力の高さを痛感する。

ステイシーがそんなことを冷静に考えていたのは次の一撃はもう避けられないと悟ってい

るから。

先刻の攻撃をかわした動作からもう一度立て直し回避行動に移ることは不可能だ。

この蹴りは受けるしかない。

 

 

「って、そう簡単にやられねぇ!」

 

 

ステイシーの手に鈍く輝くもの。

懐から手榴弾を取り出していた。

 

 

「チッ……!」

 

 

海斗は思いきり下がると同時に頭上に向かって気を放つ。

先ほどの手榴弾はブラフだ、ステイシーなら自爆もしかねないがそういう性格面まで上手

く利用した作戦。

本命は視界の外、遥か上から放たれた無数の暗器。

最初の閃光弾からずっと姿を見せなかった李。

海斗が気づいたのも寸前だった、流石は元暗殺者といったところか。

気で叩き落としたクナイや針の類が地面に落ちる。

 

 

「なかなかロックな作戦だと思ったんだけどな、まさか仕留められねぇとは」

 

「いや今のは正直ヤバかったぜ。大したコンビネーションだ」

 

 

作戦を考えたのはおそらく李だろう。

海斗が攻撃に二の矢、三の矢を用意していると知った上での隙のない入念なプランニング。

そして自分のみに注意を固定させるという任務を完全に全うしたステイシー。

まさに最強のメイドコンビだ。

 

 

「海斗は冷静に考えても私たちに倒せる相手ではありません。ならば私たちの勝利条件は

海斗を全力で抑えて時間を稼ぎ、その間に数で川神百代を制圧すること」

 

 

海斗のほうに実力者をそろえ、見れば百代のほうに他の従者たちが多く割かれている。

百代もあの状態での戦闘にだいぶ慣れてきたとはいえ大きなハンデを抱えているのは変わ

っていない。

あまりのんびりしていると手遅れってこともあり得る。

って言ってもこの二人はかなり強敵だ、何かいい方法……

 

 

「……そうか。この試験ルール無用だったな」

 

 

百代につけられた装置のことを除けば基本的にルールはない。

 

 

「なら仕掛けさせてもらうか」




やっぱ主役は海斗ということで海斗の戦闘ばっかです。
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