中途半端ではありますが今回で最終回になります。
今まで見てくださった方ありがとうございました。
百代と合流する直前、海斗はある提案をしていた。
「ここで静初とステイシーを倒すのは簡単だ。だが今の状況、俺たちにとって有利とは言
い難い。圧倒的な戦力不足だ。そこで二人にはこのまま協力してもらいたいんだが」
「ハァ!?頭イカれちまってんじゃねーのか、私たちは敵だぜ。そう易々と従者部隊裏切
ってそっちサイドにつけるわけないだろうが」
「だが敵を引き入れちゃいけないなんてルールはなかったぞ」
「ファック、常識で考えやがれ」
「確かにルール上は問題ありませんが、それでも九鬼のメイドとしての立場もあります」
「それでなんかこっちにメリットでもあんのかよ」
「そうだな、ここで手を下してしまえば二人は脱落。この試験での仕事は終了だ。だが俺
の味方につく選択をとればまだまだ好きなように暴れられる」
「そりゃあ確かにロックな提案だ!」
「ステイシー簡単に釣られないでください。ステイしてください」
「どんなタイミングで挟んできてんだよ」
「ゴホン、血気盛んなステイシーは乗りかけてましたが私たちもこの試験にある程度意図
を持って参加しています。海斗の手助けをするということはその目標から遠ざかってしま
うことを意味しているわけでして……」
非常に濁し濁しの表現となっているのは海斗を引き留めたいからという理由で参加してい
ることを知られると恥ずかしいからであった。
「そうか、二人の実力を知ってるからこそ力を貸してほしいと思ったんだがな」
「……海斗、そういう言い方はずるいです」
李が今日まで腕を磨いてきたのはもちろん九鬼のメイドとしての責務を果たすためという
のはあるが、本心ではほとんど海斗の隣で戦えるようになりたいと思ってのことだった。
その海斗にこうして認められつい顔を赤くしてしまう。
「言われて悪い気はしないけどよ……おっ!ならこんなのはどうだ」
「妙案でも浮かんだか?」
「協力する代わりに私たちの言うことを何でも一つ聞くっていうのはどうだ?これなら李
の試験に臨む理由と比較しても遜色ないんじゃねーの?」
「ステイシー、あまり余計なことを口走らないでください。ただ確かにいい案だとは思い
ます、元々私はあまり海斗と敵対したくないですから」
「だってよ。どうすんだ、海斗」
「無茶苦茶なのじゃなく俺に出来る範囲のことならそれで問題ないな」
「安心しな、このまま九鬼に残って執事を続けてくれなんてこと言わないからよ」
「ちょっとステイシー!」
「そんな怒るなって。軽いジョークだろ」
「ん?」
ステイシーに声を上げた後、ちらちらと李が海斗に視線を送ってくるが当の本人にその意
味が分かるはずもなく首をかしげるのみだった。
「よし、交渉成立だな。ロックに暴れてやるぜ」
………
……
…
そして、海斗、李、ステイシー、百代のチームが完成した今に至る。
「こっからはフォーマンセルだ」
李とステイシーが傍らで頷く。
百代もその頼もしい布陣に思わず笑みを浮かべていた。
そんな彼らの様子を見ていた揚羽と老執事たちは……
「まさか二人を引き入れてしまうとはな」
「ステイシーめ、後でお灸を据えてやらにゃいかんな」
「まあまあヒューム、戦場とは常に何が起こるか分からないところですよ。弟子自らが選
んだ道を見守るのもまた師匠の務めでしょう」
「弟子と言った覚えはないが」
「あなたが連れてきたんです、同じようなものでしょう」
「二人が流されやすいわけではないのはよく知っているであろう。この場合見るべきは流
川海斗の人を惹きつける力、人材を活かす力だ」
揚羽は今の状況に慌てるでもなく、むしろ展開を楽しんでいるようにも見えた。
もっと言えばこんなことは予想していたとばかりに。
「まず百代はここから二人一組で行動してくれ。これまで通り戦闘には参加してもらうが
必ず常にサポートパートナーがいるように。俺は前衛で少しでも多く相手の戦力を削る。
そして俺と百代ペアの中間に残りの一人を配置し、そのときの状況次第でどちらの援護に
も入れるようにする。百代のパートナーと中間の役は李とステイシーが交代しながらやっ
てくれ。不規則に入れ替えることでパターンもかたまりにくい」
「よくもまあそんなに作戦がすらすらと出てくるもんだ」
「それが海斗の凄いところですから」
「なんで李が偉そうにしてんだよ!」
「……賑やかなチームだなー」
しかしそこからの快進撃は緩い雰囲気を微塵も感じさせないものだった。
海斗を中心に多くの敵を倒しつつ、百代も自由に戦わせてもらいながらも完璧なメイドの
サポートでダメージを被ることはない。
即席で誕生した四人組とは思えないチームワークだった。
「四人になってしまっては並のレベルの従者たちでは止められないな。全員倒すのも時間
の問題であろう」
「なかなか……底が知れませんね、彼は」
「試験はこのまま合格か……ム、ヒュームはどうした?」
「本当に面白いですよ、彼は」
―ザッ
「おいおい、ラスボスってレベルじゃないぞ」
「私たちも聞かされてませんね」
目の前に立つだけで他を威圧するオーラ。
九鬼従者部隊ナンバーゼロ、ヒューム・ヘルシング。
「赤子よ、俺が直々に卒業試験を行ってやる」
今日は4月1日ですからね……。
皆様、多くの感想ありがとうございます。
こんなに見てくださっている方がいたとは、やはり実際に感想という形でしか
気づけないですからね。本当に嬉しいです。
こう応援してくれる方の存在を肌で感じられると書く活力になります。
今回で終わるわけもなく、完走まで頑張っていきますよ!
ただ需要がないとモチベーションが低下していたのは事実で
別にこの日のための前振りとかではないですから、決して。
そして本編もできれば嘘であってほしいような展開ですね。
ただし小説の内容には4月1日効果は適用されませんから。