急遽前回天衣さんを書きたくなって一話挿入しました
「はぁっ!」
川神院、今日も鍛錬にいそしむ声が響く。
「今日は一段と気合が入っておるの、モモ」
「じじいこそ珍しいじゃないか、いつもなら部屋でゆっくりしてるだろ」
「何、気にあてられてのう」
「なぁ、……天陣ってひとりで発動できるものか」
「唐突じゃのう」
「どうなんだ?」
「不可能ではないが難しいかのう。天陣ほど大規模な術じゃとその扱う気の量に目がいき
がちじゃが、そもそも結界術の特徴は気のコントロールの難しさにある。大きくなればな
るほど安定させるのが困難なのは言うまでもないのは分かるじゃろ」
「なら、例えば戦闘中に天陣を使えるか?」
「結界術の主な用途は土地や城を守ることじゃ。戦闘中であれば固さが多少落ちようとも
素早く安定して展開できる防御術のほうが向いておる」
話を聞けば聞くほど海斗のしたことが夢であったのではないかと疑いたくなる。
しかし実際にそれで守られていた自分にとっては否定できない現実だ。
「……じじいは、海斗の強さについてどう思う」
「いきなり話が変わるんじゃな」
「いや、変わってない」
「なるほど……大体理解した。そうじゃのう、ワシにも海斗の強さは分からん」
「分からない?」
鉄心は百代に対して言ってもいいものか迷っているようだ。
それでも口を開き始めた。
「分かるのは海斗が底を見せていないということだけじゃ」
「……底を見せてない」
それは百代にも心当たりがあることだった。
例えば海斗と自分が戦ってどちらが勝つかと想像したとき、答えが浮かばない。
自分が勝っているとも、自分が負けるとも。
それは海斗が本当の実力を出していないからだ。
海斗が戦っているときはどこか相手に合わせながら戦い方を変えているような印象を受け
ることが多くあった。
燕を入れた三つ巴のエキシビションマッチのときも、三人の誰もが優位に踊り出ないよう、
自分と燕を上手く均衡させるバランサーのように動いていたと百代は感じていた。
わざと自分と燕をぶつけ合わせたり、片方が有効打となりそうな技を放つ素振りを見せた
ら全力で阻止しにきたりと。
それも自分が一員として戦闘に参加しながらだ。
……そんなこと、相当な実力差がないとできっこない。
(幼児と大人ならまだしも、仮にも武神相手だぞ……)
別に驕っているのではない。
ただ自分の力も壁を越えていることは事実だ。
「モモ、何か考えておるな」
「私は本気のあいつと勝負がしたい」
「それをわしに頼むのか?」
「いや、場所を貸してくれ。誰にも悟られない場所を」
今までの経験からも海斗はそう簡単に本気を見せてくれはしないだろう。
海斗はおそらくその力を他の者に知られたくない。
まずそのためには環境をととのえる必要がある。
「海斗は一体どれくらい強いんだろうな……」
「おそらく海斗は仲間相手に本気を出すことはないじゃろう」
「そんな……、それじゃあ」
「しかし!それでもなおモモの全力を凌いでくるじゃろうな、あやつは」
「…………そうか」
それはどんな比喩表現よりも海斗の強さをはっきりとあらわしていた。
ついにこのときが来てしまったか。
そんな感じでお楽しみいただければ。
まじこいPの最初のURが一子で、この小説の最初の
ヒロインも一子なところに何か運命を感じます