真剣で私たちに恋しなさい!S   作:黒亜

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タイトルは「マジとマジ」とお読みください。

感想でありましたけど、殺し合いなら負けないかみたいな質問は
ほぼそんな感じですね。
現に幼き日の海斗はそれで生き残ってきたわけですし。


本気と真剣

「……!天衣、避けろ!」

 

「ふっ!……っつぅぅ」

 

「おいおい」

 

 

いきなり窓から矢が飛んでくる。

金づちが飛んできたり、矢が飛んできたりとこの窓はどうなっているんだ。

そして海斗の声に反応し、矢を得意のスピードでしっかり回避した天衣はテーブルの脚に

右足の小指をぶつけて悶えていた。

これは不運なのか、ただのドジっ娘なのか。

 

 

「ほら天衣、大丈夫か」

 

「あ、ああ……ありがとう」

 

 

さっきまで身悶えていた天衣は海斗がぶつけた部分をさすってやると恥ずかしそうにして

黙ってしまった。

 

 

「ん?これ手紙がくくりつけられてるな」

 

「矢文というやつか。危うく私の血で汚れて読めなくなるところだった」

 

「そんな心配はしなくていいから」

 

 

どれだけネガティブな思考で動いているんだ。

第一天衣が出血していたら手紙どころじゃないだろう。

 

 

「この内容は……」

 

「海斗、どうしたんだ?」

 

 

手紙を読んで顔つきが変わった海斗に天衣が問いかける。

一方の海斗は読み終えると、その紙を気で跡形もなく消し去った。

 

 

「少し出かけてくる」

 

「今からか?久しぶりに家に戻れたというのに……」

 

「悪いな、すぐに帰ってくるから」

 

「別に私が寂しくて言ってるわけではないぞ!料理の本を読む時間もできるからな、そう

だ、何も問題はない」

 

 

天衣はそう言ってまた本に目を落とす。

そう装いながらも目線だけちらちらとこちらを伺っているのはどこか小動物っぽくて可愛

らしい。

 

 

………

 

……

 

 

 

海斗は川神院にやってきていた。

しかしいつもとは少し違った雰囲気だ。

何より静かすぎる。

 

 

「いるんだろ、言われた通り来たぞ」

 

「感知能力も流石のものだな」

 

 

背後にある陰から百代が姿を現す。

手紙の内容は“一人で川神院に来い”という果たし状だった。

これから行われるであろうことも理解したうえで海斗はここに足を運んだ。

 

 

「海斗のことだ。気づいてるとは思うが、今この場はじじいが張っている結界によって第

三者の介入が認められないようになっている」

 

 

この静寂が意味するところはやはりそういうことか。

それにしてもこの規模の結界術を正常に機能させるとは流石川神院総代か。

 

 

「さあ、これで気兼ねなく戦えるな」

 

「俺はまだ戦うとは言ってないが?」

 

「フッ、戦うつもりがあったからここに来たのだろう。でなければ、するりとかわすよう

な奴だからな、お前は」

 

「よくお分かりで」

 

 

海斗が拳を握る。

それは戦闘に対する了承も同義だった。

 

 

「海斗、一つ言っておくことがある。……本気で来い」

 

「俺がヒュームと戦ったのがそんなに刺激になったか?」

 

「私はお前の力を測りかねてる。強いと分かりつつも、その強さの実態を掴めていない

んだ」

 

「武神からそこまで言われるとはな」

 

「本気の海斗と戦って白黒はっきりつけることで、私の中で吹っ切れる気がするんだ」

 

 

百代の決意は固い。

ならば、こちらもそれに応えるのが礼儀だろう。

 

 

「分かった、勝負は受けて立とう。審判はさっきからそこでこそこそしてる爺さんでいい

んだな」

 

「別にこそこそしてるわけじゃないわい。若者の邪魔をしないよう、気遣っておったんじ

ゃろうが」

 

 

そう言って川神鉄心が姿を現した。

もしものときに止めに入れる実力者はそういないが、鉄心が審判ならばその心配はないだ

ろう。

 

 

「そうだ、百代。俺も一つ言っておく。俺は訳あって本気を出すことは約束できない」

 

「やはり、そう言うか」

 

 

百代は予想通りといった様子で特に落胆した素振りも見せず、ただつぶやく。

しかしそんな百代は海斗の次の言葉を聞いて、気を引き締めることとなった。

 

 

「本気の代わりといっちゃなんだが、俺の真剣見せてやるよ」

 

 

周囲の音は途切れ、風さえも消えた。




初めの頃、避けていた百代との対決。
それが遂に実現しようとしていますね。
そして、冒頭には安定の天衣さん。
分かりますよ、天衣は見てるだけでぽかぽかしますよね。

あと感想でくださった報告についても少し……
どうせコピーするならもっとマシな作品ありそうですけどね。
楊志でも私の小説だけはパクらないと思います。
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