真剣で私たちに恋しなさい!S   作:黒亜

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電話のシーンって書きづらいんですよね。
電話の相手とそこにいる相手がゲームと違って分けられないので。


電話の相手は……

「ピポパっと、海斗出るかな」

 

 

数回のコールの後、電話がつながった。

 

 

「もしもし、こちら流川海斗の携帯電話ですが」

 

 

しかし電話に出たのは海斗ではない女の声だった。

凛々しくはっきりと応答してくる。

 

 

「あれ、この番号海斗の番号じゃ……」

 

「だから流川海斗の携帯電話だと言っています」

 

 

話がおかしい。

これは海斗の携帯電話だという。

しかし出ているのは海斗ではなく、女。

京は不可解な状況を頭で整理しつつ、尋ねた。

 

 

「……失礼ですけど、あなたは海斗の何なの」

 

「海斗の何とはどういうことですか」

 

「だからあなたと海斗の関係を聞いてるんだけど、まさか恋人とかじゃないよね」

 

「ここ、恋人!?まさか私がそんな……いえ、いずれはそういうことになってもやぶさか

ではないですが、今は信頼のおける男性として私が尽くしたいというか……」

 

 

何故だろう、海斗との関係を問いただしていたはずなのに、一方的にのろけられている。

いや海斗のことだから共感はできるのだが、素性の分からない相手の今の立ち位置を考え

ると内心穏やかではいられない。

 

 

「どうしよう、このまま何も聞き出せず終わってしまいそうな気がする」

 

「京、ちょっと自分に代わってくれないか」

 

「もしもし、今電話を代わった。もしかして……マルさんじゃないか?」

 

「っ、その声はクリスお嬢様!?」

 

「ああ、やっぱりマルさんだ!電話口から漏れる声を聞いて、そうじゃないかと思ってい

たんだ」

 

「まさかクリスお嬢様からの電話とは……。それでは先ほどの聞き覚えのある声は椎名京

ですか」

 

「そうだ、どうしてマルさんが海斗の電話に出ているんだ?海斗は何してるんだ?」

 

「海斗には今私の部隊を見てもらっています。以前、海斗に部隊の訓練に付き合ってもら

ったときに隊員たちから腕を認められ、アドバイスをもらうような関係になったのです」

 

「おお!やはり海斗は優秀なのだな!」

 

「ええ、あの男は何故か女性隊員の信頼も勝ち得てますから。まだ数えられるほどの回数

しか顔を合わせてないというのに、まったく……」

 

「でも、マルさんも海斗を信頼しているだろう?」

 

「な、お嬢様、何を!誤解です、私はそんな感情は一切……」

 

「ちなみに自分は京に話したこともしっかり聞こえていたぞ」

 

「っ……!」

 

 

マルギッテの顔がカーッと熱くなる。

先ほどは京だとも思っていなかったので、知らない相手アピールについうっかり海斗との

関係をアピールしてしまっていた。

それを聞かれてしまったのだ。

 

 

「お嬢様、それ以上は言わないでください……」

 

「マルさんはもう少し素直になってもいいと思うぞ」

 

「私のような女らしくもない者がそのようなこと似合いません」

 

「そんなことは……」

 

「そんなことはないぞ」

 

 

不意にクリスの耳にマルギッテの後ろの方から声が聞こえた。

その声だけで誰なのかはすぐに分かった、海斗だ。

 

 

「か、海斗、もう終わったのですか?」

 

「ああ、みんなこっちの言うことをよく聞いてくれるからな」

 

「……本当は隊員の中には男嫌いの者も結構いるんですが」

 

「それよりも電話か?」

 

「あ、こ、これはなんでもありません」

 

「あれ?おい、マルさん?マルさーん!」

 

 

クリスのほうには既に声は聞こえてこない。

 

 

「切られてしまった……」

 

「「「「えぇ!?」」」」

 

 

――

 

 

「大丈夫だったのか、切って?」

 

「はい、お嬢様に電話するのに使わせてもらっていただけなので」

 

「まあ、それならいいけど……。あんま自虐的になるなよ」

 

「自虐的とはなんですか?」

 

「マルギッテは十分女の子としての魅力があるってことだ」

 

「な……!?また海斗はそういうことを言って、私を困らせます」

 

「軍人として育ってきたから言われ慣れてないのは分かるけどさ、俺だけはマルギッテの

可愛いとこちゃんと見てるから」

 

「っ……///ずるいです、海斗は」

 

 

―「マルさんはもう少し素直になってもいいと思うぞ」

クリスから言われた言葉が不意にマルギッテの頭の中に響く。

その脳内の言葉に突き動かされるように海斗の体へ近寄った。

 

 

「おい、訓練後だから汗かいてるぞ」

 

「構いません。海斗のなら気になりません。だからあなたの前でだけは女の子でいさせて

ください……っ」

 

「ああ、好きなだけいていいぞ」

 

 

自分の思い切った行動の恥ずかしさから顔を伏せてしまっているマルギッテ。

ギュッと体を寄せてくる彼女の背中にそっと手を添えて、抱きしめかえすのだった。




マルさん見事1位でしたね。
別に狙ったわけじゃないのにこうしてマルさん登場回がちょうどよくというのは
やはり運命を感じざるをえない。
こうして見るとやっぱマルさんの破壊力抜群ですもんね。
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