そして今回は実はあのときから計画していた話を持って来れます。
あのとき、とは読んでいただければ分かるということで。
「おー、こんなところで偶然会うとはなー海斗」
「本当にこの遭遇は神のイタズラとしか言えませんね」
「なんなんだ、この清々しいまでのわざとらしさは」
散歩に出ていた海斗は街中では目立つ容姿の二人組と出くわしていた。
ステイシーと李のいつもの組み合わせである。
ただ今日は見慣れたメイド服ではなく、二人とも私服に身を包んでいた。
そんな二人はいつの間にやら海斗の両脇をかため、逃亡を阻止している。
登場の不自然さといい、明らかに何か企んでいる気配だ。
「わざとらしいなんてファックなことは言いっこなしだぜ」
「はぁ、それで静初の両手に持ってるボールは“たまたま”ってことでいいのか」
「流石海斗です。私の渾身のネタに即座に気づくとは」
李は得意げな顔をしているが、いつも通りのクオリティである。
そして、もう一方にはノリノリで背中をたたいてくるステイシー。
「ばしーん海斗ばしーん」
「いたた、なんかステイシー、テンション高くないか」
「それだけ楽しみにしてましたからね」
「楽しみ?」
「いえ、間違えました。聞き流してください」
「それよりも、なぁ海斗。偶然会ったことだし、これから私たちについてこいよ」
「どこか行く予定があるのか?」
「メイドの慰安旅行にご招待ー!」
「は?」
「実は帝様に久しぶりにプライベートの時間ができたということで、家族の時間を十分に
満喫できるよう私たち従者は警護に必要な最低数を除いて、暇を出されたのです」
「つーわけで、私たちメイド組は羽を伸ばすためにレッツ旅行だ」
「ああ、それは分かったが、それに俺がなんだって?」
「だから海斗も一緒に行くんだよ」
「待ってくれ、参加するのはメイドだけなんだろ」
「海斗以外は全員そうなりますね」
「流石にそこに行くのは……」
「海斗ー、私たちとの約束、忘れたわけじゃないよな?」
「九鬼の卒業試験で約束しましたよね。私たちの言うことをなんでも一つ聞いてくれると」
海斗は思い出していた。
確かにそんな安請け合いをしてしまったと。
「というわけで、海斗強制連行ー!ヘーイ!」
「おい、まさかそのために俺を探してたんじゃ」
「何度も言わせんなよ、ファック。……これは偶然だっての」
「そうですよ、偶然なら仕方ありません」
偶然という言葉の恐ろしさを知った。
――
「おー、やっと連れてきたか」
「おう、待たせたな」
バスの前で立って待っていたのはあずみだった。
万全の態勢を整えてはいるが、有事の際に備えてバスで行ける範囲の旅行というのが従者
としての意識の高さを感じさせる。
バスも勿論、九鬼が所有しているものだ。
「ほら、さっさと乗り込め。お前待ちなんだよ」
「待て待て。あずみは俺の同行をなんとも思わないのか」
「あたいらはメイド業務から解放されて休みに行くんだよ。となれば、役に立つ執事は必
要だろ」
「……なるほど、そうやって懐柔したか」
こういったことを許しそうにないあずみがどんな理由で受け入れたかと思えば、こういう
ことかと納得した。
勿論あずみも海斗以外の同行なら許しはしないのだろうが、海斗の知るところではない。
「よぉーし、ロックに楽しもうぜ!」
「この度の旅行は天気も良好ですね」
「李、くだらねぇこと言ってないでいくぞ」
「……精進します」
ステイシー、李に続いて海斗もバスに乗り込んだ。
その瞬間、バス内にキャーと黄色い声が響いた。
「あー、お前は何かと一部のメイドたちに人気があるんだったな」
海斗の後ろから乗り込んできたあずみが思い出したように言う。
いつかの逃走劇やこの前までの九鬼での労働で面識がある者も多くいる。
なんだかんだ人間性を知られれば、好感を持たれる海斗だ。
それにしても見渡す限りの女性、女性、女性。
大変な旅行が目に見えていた。
なんか好きだからって李さんとステイシーばっか出しちゃいますね。
許してください。
大体終わりまで話の流れはできているのであとは書く時間なんですよね。
まゆっちとか伊予ちゃんもそろそろ出したいんですが。