真剣で私たちに恋しなさい!S   作:黒亜

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はぁ、書く時間が欲しいです


メイド道中

「海斗くんはどこに座るの?」

 

「よかったら、こっち来なよ」

 

「海斗くーん、私の隣空いてるよー」

 

「ちょっと隣に私がいるの見えてないの!?」

 

 

見知ったメイドが口々に海斗に呼びかけてくる。

バス内は既に海斗の席争奪戦状態だ。

 

 

「どうでもいいから、さっさと決めてくれよ」

 

 

あずみがやれやれと言った感じで前のほうの席につく。

メイドたちのリーダーとして元々決まっている座席のようだ。

 

 

「ほらほら、時間もないみたいだしわたしの隣に来ちゃいなよ」

 

「ファーック!横から手ぇ伸ばしてきてんじゃねー。海斗は私の隣に座るんだよ」

 

「そりゃないよー、ステイシーはいつも海斗くんと一緒にいるじゃん。たまには私たちに

もいい思いさせてよ」

 

「ハンッ、海斗だって気心知れた相手と座るほうが居心地いいだろ。私は海斗のためも思

って提案してるんだよ。なぁ、海斗」

 

「さぁ海斗、窓側に座りますか?じゃあ私が飲み物とかは取りますね」

 

「ってオイ!!!」

 

 

なんだかんだ話している間にちゃっかり海斗を隣の席へと連れ込んでいた李に全力でステ

イシーがツッコミを入れる。

しかし李はしれっとした顔で海斗の腕にギュッと抱きついた。

 

 

「おい、李。こっちが必死に争ってる間になかなか勝手なことしてくれんじゃねーか」

 

「こういうのは早い者勝ちですよ」

 

「だから私が主張してただろ」

 

「言動よりも行動です。それに私は海斗が九鬼にいるときは仲の良い者としてあまり近づ

くことができなかったんです。これくらいは妥当かと」

 

 

意外にあの一週間を根に持っていたらしい。

 

 

「だからって独り占めしていい理由にはならねーだろうが」

 

「では何故、ステイシーはそこまで海斗と隣に座りたいんですか?」

 

「な、それは……」

 

「ステイシーは海斗のこと好きなんですか?」

 

「……っ!」

 

 

それはあのとき答えられなかった質問だった。

取り乱してしまい、結果的に海斗を負けに導いてしまった。

 

 

「私は海斗のことを誰よりも信頼しています。海斗は私の恩人であり、海斗の他に慕う男

性はいないと断言できます」

 

「私だって……、私だって海斗のことが好きだ!!どうせ独り言も聞かれちまってたんだ、

気に食わねー部分もいっぱいあるはずなのに嫌いになれねぇんだよ」

 

「ステイシー、やっと素直になりましたね」

 

「自分が行動しないで、他の女に取られるなんて一番御免だからな」

 

「まあ、その告白と座席のこととは全くの別問題ですが」

 

「李、テメッ!!」

 

 

自分の心は決めたものの、言わされるだけ言わされた恥ずかしさは変わらない。

そんなステイシーは李に食ってかかるのだった。

 

 

「大体海斗がはっきりしねぇからだろーが!」

 

「ここで俺に飛び火かよ……」

 

「海斗は私と隣でも構いませんよね、ぎゅっ」

 

「ファック、またくっついてるんじゃねぇ!」

 

 

ステイシーに対する挑発もあるのだろうが、李はいつもより積極的だ。

普段はクールに振る舞っているが、休暇ということもあり彼女なりに羽目を外していると

いうことなのかもしれない。

 

 

「分かった、せめて海斗通路側に座れ」

 

「別に俺はどっちでもいいが……」

 

 

ステイシーに言われ、窓側の席から通路側の李の席と交換する。

すると、ステイシーはおもむろに補助席を引っ張り出して、海斗の隣に陣取った。

そして満足げに海斗の腕を豊満な胸にうずめるように抱く。

 

 

「へっへー、これでフェアだな」

 

「ム、あまり海斗に胸を押しつけないでください」

 

「ハン、今更そんな要求が聞けるかよ。ほら海斗、思う存分楽しめ」

 

「うぉっ!」

 

 

ステイシーは海斗の頭を自分の胸に思いっきり引き寄せた。

なんとも柔らかくも強烈な圧迫感が海斗を襲う。

 

 

「くっ、自分の武器を最大限に使ってきますね」

 

「勝負の基本だろ?」

 

「ステイシー、この旅行中は負けませんよ」

 

「私も同じ言葉を返すぜ、李」

 

 

仲が良く、同時にライバルでもある二人。

だからこその全力勝負に海斗は巻き込まれることになりそうだった。




ステイシーと李に取り合いされるとか……
羨ましい限りですね
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