色々とキャラづけできるのがいいですよね。
「はいはーいっ!シェイラちゃんに何かご用ですかー?」
「いきなりなかなかのテンションだな……」
出てきたのはシェイラと名乗るピンク髪のメイドだ。
やはり、九鬼邸でも見かけたことのない顔だった。
これだけ派手な見た目なら気づかなかったということもないだろう。
「あれー、なんだか不思議そうな顔してますね?シェイラちゃんの顔に何かついてますか?」
「…………」
「それともシェイラちゃんの可愛さに見とれちゃったとか!」
「俺たち今までに会ったことないよな」
「あらら、意外とクールなんですね。確かにシェイラちゃんは最近海外からこの日本支部
にやってきたので初めましてでも不思議じゃないかもですね」
「ああ、そうだったか」
「とはいえ、シェイラちゃんほどの人気者だと顔ばれしちゃってるかもしれませんけど」
「いや間違いなく初めて見た」
「あー、そうですか。そんなに知らないことを自信満々に言わないでくれますかねぇ」
とても不服そうな顔をしている。
とはいえ、それは雰囲気だけでニコニコとした表情は崩していない。
外からの映り方を優先し、自分のイライラなどは隠しているのだろう。
忘れないうちにこちらも本題に入らなければならない。
「そうだ、俺は相部屋の交渉に来たんだった」
「相部屋、誰と誰がです?」
「そりゃあ、俺とシェイラがなんだが」
「なるほどなるほど、新入りで組むペアもいなかった余り者の私に寄越されたってことで
すね。シェイラちゃん、一瞬で理解しちゃいました」
「それはわざわざ説明する手間が省けて助かる」
「しかーし!その提案に首を縦に振ることは難しいですね。なぜならシェイラちゃんはア
イドルだからなのです。男の子とお泊りスキャンダルなんてNG中のNGですから」
「つまり無理ってことか、了解した」
「ちょ、ちょっとちょっと!あっさりしすぎじゃないですか!?」
聞き分けよく、すぐに立ち去ろうとした海斗を必死にシェイラが呼び止める。
「まあ最初っから期待はしてなかったしな。初対面の異性に部屋に押し入られるって普通
嫌だろ。俺もおかしな話だとは思ってたし」
「それにしてもシェイラちゃんとの同室のチャンスですよ。もう少し粘るべきでしょう」
「分からないな、断られたら素直に引き下がるもんだろ」
「いえ、そうじゃなくてですね……。あー、私はあのシェイラ・コロンボなんですよ!」
「ああ、俺は流川海斗だ」
「自己紹介してるわけでもなくて、私がみんなのアイドルだという意識を……あれ?今、
名前なんて言いました?」
「流川海斗だが」
「海斗……あぁ!あなたが海斗ちゃんですか」
「俺の名前に聞き覚えでも?」
「いや昨夜の話なんですけどね……」
シェイラの話によると、昨夜ステイシーに向けて呼び出しのメールを送ったらしい。
どうやら二人の間には色々とあるようで昨日はシェイラがステイシーに仕掛けようと罠を
用意して外で待機していたらしい。
だが約束の時間をかなり過ぎてもステイシーは現れず、何をしているんだと探しに行った
ところ、あろうことか部屋で様々な服を引っ張り出していたステイシーを発見した。
そして言われたのだという。
―「明日、海斗と会うための服選んでるんだ。しっしっ」
そんな流れでシェイラはただただ待ちぼうけをくらわされたのだそうだ。
「そうですか、あなたがステ公の想い人でしたか」
何故かしきりに納得したようにうなずいているシェイラ。
そしてこちらを見定めるかのようにじろじろと視線を向けてくる。
「話は終わったか?俺はもう行くぞ」
「ちょっと待ってください。特別にシェイラちゃんの部屋に招待しちゃいます」
「……アイドルがどうこうはどうしたんだ」
「アイドルだって恋愛禁止は表側だけで裏ではバンバンなんですから問題なしです!」
「さっきと言ってることがまるっきり逆なんだが」
「細かいことは気にしちゃダメです。さぁ、海斗ちゃん、シェイラちゃんと二人で濃密な
時間を過ごしましょうね」
シェイラちゃんは挙動や表情も可愛いですが、そういうのは表現できませんね。
何故九鬼のメイドはここまで可愛い娘ぞろいなのか……