海斗のために乙女になるステイシーの可愛さが分かってもらえて嬉しいですね。
あと、いわゆる18禁シーンは書いても投稿前に削っているので、
海斗は健全な青年なので悪しからず。
「というわけで、シェイラちゃんの部屋にようこそですよ」
「いや確かに間違ってないが」
まるで個人的な部屋に誘ったような言いぐさだ。
ここは旅館の一室にすぎないというのに。
「ところで海斗ちゃん、最近悩んでることとかないですか」
「悩み事とかは特にないな」
「シェイラちゃん手相とかできちゃうので見せてみるといいですよ」
「俺の返事は聞こえてないのか……」
「さあ!さあ!」
「いやだからな、悩み事はないって」
「……それじゃ、めでたくルームメイトになったことですし握手でもしませんか?」
「またいきなり話が変わったな」
「ほらほら公式の握手会でもないのに、シェイラちゃんの手に触れられるまたとないチャンスですよ」
「…………」
差し出された手をじっと見つめる。
別に握手くらいどうということはないのだが……。
「可愛い娘と握手できるなんて役得だと思いません?」
「ああ、そうだな」
「シェイラちゃん可愛くないですか?」
「いや、可愛いと思うぞ」
「なら握手しましょう、迷わずしましょう」
「…………」
「もしかして警戒してます?」
「別にそういうわけじゃないんだが……」
「そういうわけじゃないけど、なんですか?」
「さっきから不自然に手に触れたがるからなんかあるのかとな」
「それって警戒以外の何物でもないですよね」
「そうか、自分でも無自覚だった」
しばしのにらみ合い。
決してシェイラ自身に害意は感じられないのだが、何か企んでいるような不自然さはやはり拭えない。
「そっちがその気なら……隙アリっ!」
「おっと……!」
「なんで避けるんですか!」
「いや反射的に?」
お遊びとは思えない本気の速度だったので、つい体が反応してしまった。
それになんだろうか……、単なる打撃のダメージではない危険を察知したような。
また束の間の沈黙のあと、シェイラがぱんぱんとスカートを手ではらうと、
「まあ今のは冗談です、シェイラちゃんの茶目っ気です」
「完全に今の一連を無かったことにしようとしてるな」
勝手に仕切り直されていた。
(なかなかの身のこなしですね……まさかシェイラちゃんの一撃をかわされるとは)
シェイラがまた何か考えているような顔をしている。
やはり思惑があると見て間違いないのだろう。
「一旦忘れましょうか、こっち来て一緒にくつろぎましょう」
「本当にマイペースなんだな」
「シェイラちゃんは可愛いから許されるんです……っと、わっ!」
そこでシェイラは突然足をもつれさせた。
海斗は咄嗟にその倒れかかった体を受け止めた。
「す、すみません。なんだか急にふらついてしまって」
「別に構わない、大丈夫か?」
「はい、ちょっとバランスを崩しただけなので。……はっ、この状況チャンスじゃ」
一瞬で怪しい雰囲気を感じたのだが、今シェイラを支えている手を離すことはできない。
そんなことをすればシェイラが頭を床に打ちつけてしまいかねないからだ。
「接触チャンスです!えいっ」
「うわ」
抱える海斗の手にシェイラの白く綺麗な手が重ねられる。
その手は人としての温もりを感じさせながらも、ぞくっとするような寒気を伝えてきた。
(この毒で手っ取り早く気を失わせて、ステ公への嫌がらせに利用させてもらいますよ)
相手の警戒が強くなかなか難航していたが、この一手でシェイラは勝利を確信していた。
これでこそわざわざ招き入れた目的が果たされるというものと。
「ん?なんかしたか?」
「なっ!?」
だが事はシェイラの思い通りには進んでいなかった。
少なくとも目の前にいる海斗はピンピンしている。
「なんでですか!?」
「何がだ?」
(象でも一瞬で気絶するレベルの精度ですよ、それを受けてどうしてなんともないんですか!まさか……)
シェイラは考えられる可能性の一つに辿り着く。
毒には自信のあるシェイラだが、壁越えの者相手に通用する毒となると限定される。
目の前の男の実力がそのレベルと考えれば……。
しかし、シェイラはすぐに浮かんできたその考えを否定した。
壁を越えた者の名前が認知されていないなんてことは流石にないだろう。
それこそ数えられるほどの選ばれた存在なのだから。
(一体、何者ですか)
シェイラちゃんの少ない情報をなんとか切り貼りして物語を構成してますね。
ちなみにタイトルは傭兵時代のあだ名毒蜘蛛から。
シェイラのテリトリーに入ったはずの海斗が……という展開ですね。