真剣で私たちに恋しなさい!S   作:黒亜

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もう少し話を長くしようと思ったんですけど、
時間がかかったのであげちゃいます。
できるだけ早く次を書きます。


毒より強きもの

ベッドに寝かされたシェイラとその横にひかえる海斗。

表面上の笑顔こそなんとか保っているものの荒い息遣いは隠せていない。

傍らで見守る海斗からも容態が悪いのは伝わってきた。

 

 

「……海斗ちゃん、悪いけど部屋を出ていってくれませんか」

 

 

重い口を開いて、シェイラから零れ落ちたのはそんな言葉だった。

怒りがこめられたわけでもないその言葉には弱々しい笑いが伴っていた。

こんな状態でさえ自分のポリシーを貫く姿は尊敬すら覚える。

 

 

「そんな状態のシェイラを独りにして置いていけと?」

 

「風邪うつしちゃうとかそういうのじゃないですよ。ちょっと服がべたべたして気持ち悪いので着替えたいんです」

 

 

シェイラは照れつつ、にこやかにそんなことを言うが……

 

 

「嘘だな」

 

 

海斗は一言で一蹴した。

 

 

「な……」

 

「いつも笑顔でいるスキルは流石のもんだが、裏を返せば微細な表情の変化は隠せない。第一、さっきから散々誘惑していた奴が着替えくらいで恥ずかしがるか」

 

「それもそうですよね」

 

「何を隠してる?こういっちゃなんだが、風邪程度で少しオーバーすぎやしないか?」

 

「……海斗ちゃんに嘘は通じませんね。私の体質は特殊でして、まあそれが理由で九鬼に目をつけられたってこともあるんですけど、体内で毒を作り出すことができるんです」

 

「毒……そうか、さっきの変な感じは」

 

「はい、ちょっと海斗ちゃんに仕掛けちゃいました」

 

 

触れたときに感じた妙なしびれはそのせいかと合点がいく。

もっともそのしびれもすぐに海斗は気で相殺してしまったのだが。

なるほど、あれだけ接触を狙っていたのもそのせいか。

 

 

「で、話は戻るんですが、そんな体質のせいで病気とかで身体の抵抗力が低下すると、体内の毒が暴走してしまいまして、はぁ、それで……」

 

「大体分かった、もう無理して喋るな」

 

 

ここに来て、シェイラの表情にも辛さが浮かんできている。

それが負担の大きさを表していた。

 

 

「そういうことなので海斗ちゃんは出ててください。今の状態じゃ毒が制御しきれずにいつ外に漏れ出すか分かりませ……ひゃっ!」

 

 

シェイラの言葉は遮られた。

突然の出来事にそれ以上言葉が紡げなくなったとも言える。

海斗は部屋から出ていくどころかシェイラの手をしっかりと握っていた。

痛いほど強く握っているわけではない、優しくその存在を示すような力で。

 

 

「なっ、なな、海斗ちゃん!何して……毒があるって話はしましたよね!」

 

「関係ないだろ、毒があるとかじゃない。病気の女の子の手を握るのがおかしいことか。病気で辛いとき、独りは不安だろ?」

 

「海斗ちゃん……」

 

 

色々と画策はしたものの警戒されて、あんなに詰められなかった距離、触れられなかった手。

毒があるという種明かしをした今になって、何故かその距離はゼロになって、ぎゅっと二人の手がつながりあっている。

熱を持ったシェイラの手には海斗の手は少し冷たく感じられたが、それ以上に心地よい温もりが伝わってくるのだった。

 

 

「なんだか、海斗ちゃんお母さんみたいですね」

 

「なんでだ?」

 

「いや、こうやって風邪のときに心配して布団のそばで手を握っててくれるなんて、なんだか家族みたいじゃないですか」

 

「そうなのか。俺には家族はいないからな」

 

「えっ……」

 

「別に重くとらえる必要はないぞ。不幸だと感じたことはない」

 

「海斗ちゃん……げほげほっ」

 

「おい、シェイラ!」

 

「海斗ちゃん……、海斗ちゃんの優しさは十分に伝わりました。だから、本当に出ていってください。さっきの毒とは次元が違います、威力を抑えることもできないシェイラちゃんの毒はたとえ耐性があろうと、壁越えの強さを持っていようと死にますよ」

 

「……それだけの毒、抵抗力が減衰したシェイラはどうなる」

 

「シェイラちゃんは毒の使い手ですよ。元々持ち合わせてる毒耐性が違います。それに解毒剤を体内で調合することも可能です。何も心配はないんですよ」

 

「おかしなことを言うな。なら、俺が一緒にいて毒に襲われようと解毒すればいい話だろ?」

 

「…………」

 

「つまり解毒剤を調合するにも繊細なコントロールがいるってことだ。そりゃある程度自分で解決できる部分があるのも事実だろう。だが、正直それは紙一重だ。優秀な能力ゆえにな」

 

「言われなくても危険性は十分に分かってますよ、自分のことですから。だからこそ、海斗ちゃんを巻き込みたくないんですよ。……分かってください、っ」

 

 

シェイラは潤む瞳で必死に訴えていた。

笑顔で何かを隠していた彼女はそこにはいない。

今日会ったばかりの他人を思いやれる優しさ、これがシェイラなのだ。

 

 

「生憎とそんな願いはきけないな。他人の言うことに従う聞き分けのよさも持ち合わせてなければ、自分の安全さえ確保されればいいってほど呑気でもない。それに……」

 

 

海斗はシェイラの頬に手をやると、一筋の雫を拭いながら言う。

 

 

「その涙、毒よりも効いた」




頭の中を勝手に文章にしてくれる、そんなマシンが欲しい今日この頃。
シェイラは人一倍優しい、そんな妄想が出来上がってます。
私に家族おもいとかいうワード与えたら、これだけ妄想広がりますよ。
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