真剣で私たちに恋しなさい!S   作:黒亜

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お悩み相談

死闘とも言うべき追いかけっこの後。

九鬼家のある一室、数人のメイドたちが待機している部屋では……

 

 

「はぁ、そういえばさ今日の人すっごくかっこよくなかった?」

 

「思った思った、あのおぶって逃げ回ってた人でしょ。なんか超イケメンだっ

たよね。」

 

「しかも、戦いながら相手のこと思いやってるっていうか。」

 

「私、手引いて起こしてもらっちゃった……。」

 

「ほんと紳士って感じ?」

 

「外見も中身もいけてるなんてほとんど反則よね。」

 

「那須与一と一緒に行動してたってことは川神学園の生徒ってことかな?うわ

ー、名前くらい聞いておけばよかった。」

 

「将来はああいう人に仕えたいなー。」

 

「分かる分かる、仕事は仕事で、あの人にはプライベートで奉仕したいってい

う感じでしょ。」

 

「あなただけのメイドみたいな?ドラマの見すぎだって、最高だけど。」

 

「しかも絶対Sだって。あの顔で責められたりしたらたまんないなー。」

 

「でも、あんたみたいにMじゃないけど、私もあの人にだったら絶対服従して

もいいかなーって思っちゃうな。」

 

「めちゃくちゃにされたいよねー。」

 

 

今日の出来事によって海斗の株は急上昇していた。

出会いなんてない特殊な職場で一躍人気者となったのだった。

 

また、別の部屋では……

李とステイシーが立ち話をしていた。

 

 

「なんか今日超ファックな野郎がいたらしいぜ。」

 

「どういうことですか?」

 

「なんでもメイド数十人で追いかけたのに完全に振り回されたとかあずみが愚

痴ってやがった。」

 

「それは災難でしたね。」

 

「興味ないのかよ?」

 

「私は別に。」

 

「……この前の集会のか?」

 

「……!分かるんですね。」

 

「なんだかんだで付き合いもあるしよ。」

 

 

ステイシーは李がこの前の義経たちの編入時の集会から様子がたまにおかしく

なるのに、気づいていた。

李も一瞬感じたものが何なのかいまだに掴めないでいる。

 

 

「まぁいいでしょう。考えすぎも勘が鈍ります。」

 

「お!いつもの寒い李だ。」

 

 

こうしてメイドたちの夜は更けてゆく。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

―次の日

 

 

「海斗はおるか?」

 

 

2−Fの教室に入ってきたのは紋白だった。

わざわざ出向くということは何か用があるのだろう。

 

 

「なんだ?」

 

「実は……相談がある。お前にしかできないのだ。今日少し時間をもらえると

助かる。」

 

 

紋白にしては珍しくはっきりしない物言いだった。

顔は俯かせ、頼むこと自体も気が進んでいないのだろう。

 

 

「勿論いいぞ。」

 

 

紋白には先輩として力になってやると言った。

今こうして頼ってきてくれたのだから、当然海斗はそれを快諾する。

……後ろに立っているヒュームの顔は関わるなと言っているかのように険しか

ったが、海斗は見てみぬ振りをすることにした。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「で、なんか困ってることでもあるのか?」

 

「うむ、実は……」

 

 

放課後すぐに紋白の話を聞くことにした。

背後に立っている執事のプレッシャーは無視するしかない。

 

 

「話というのは義経たちの件についてだ。」

 

「ああ。」

 

「義経たちもだいぶ転入してから時間が経つ。当初は与一の問題もあったが、

お前のおかげでそれも解決だ。とはいえ、まだギクシャクしているところがあ

るのも事実。我はなんとかしてやりたいのだ。」

 

「優しいな、紋白は。」

 

 

頭を軽く撫でると紋白は嬉しそうにもじもじしていた。

ヒュームもなんとか踏みとどまってくれたようだ。

 

 

「我は義経たちの世話役として当然のことをしているに過ぎん。」

 

「そういうとこが優しいんだけどな。」

 

「それで義経たちの歓迎パーティを開こうと思うのだ。」

 

「歓迎パーティか。確かに多くの生徒と一気に距離を縮められるイベントでは

あるな。」

 

「で、あろう。」

 

 

そこで今まで自信あり気に話していた彼女が顔を俯かせた。

 

 

「しかし、あくまで学生の規模でのパーティ。九鬼の力を使い盛大にすること

はいくらでも可能だが、それでは学園に馴染む手助けにはならない。」

 

「つまり学生の力で準備から開催までしたいってことな。」

 

「うむ……しかし我が動かせるのは精々一年生くらいであろう。が、それでは

パーティが成功とは言えん。」

 

「一番大切なのはSクラスの連中をはじめとする2年生だもんな。」

 

「だから…………」

 

 

そこで紋白は言葉を詰まらせてしまう。

さっきは学生の歓迎会なのだからとヒュームやクラウディオ、執事達の力は借

りずにやりたいと言っていたが、元々この九鬼紋白という女の子はまわりに遠

慮する傾向がある。

自分発信の行いで人に迷惑をかけたくないのだろう。

 

そんな見かけに反する妙に大人びた考え方が事態をままならなくしている。

歳不相応に優れている才能が逆に紋白をそういった性格にしてしまったのかも

しれない。

間違いなくそれは紋白の美点なのだが、そのぶん本人の負担は大きくなる。

 

 

「……よし、俺に任せろ。」

 

 

断る理由なんてなかった。

心から目の前の女の子の役に立ってあげたいと思う。

 

 

「本当に頼んでよいのか、海斗?」

 

「当たり前だろ、紋白が頼ってくれて嬉しいぞ。俺のまわりには優しい奴が沢

山いるからな。絶対に大丈夫だ。」

 

 

今回のことは流石に一人ではどうしようもない。

けれど、今は協力してくれる者が何人もいる。

歓迎会を成功させる自信は十分だ。




こんな感じで原作で大和がやったことを
海斗が中心で進める感じで
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