真剣で私たちに恋しなさい!S   作:黒亜

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年上のお姉さん

店を出たとき、そこに本当に偶然居合わせたのは川神百代だった。

海斗一人だったら、若干絡まれる程度で終わっていただろう。

だが今は隣でストラップをもらってご機嫌の燕がいる。

そこから導き出される結論は……

 

 

「海斗ぉ?燕と二人で何をしているんだ……?」

 

 

逃がしはしないとその目が語っていた。

はいさようならとは到底できなさそうだ。

 

 

「私たちデート中だよん。」

 

 

燕が悪ふざけで腕を絡めながらそんなことを言う。

そんな茶目っ気も燕の魅力の一つだと分かってはいるが、今この状況に立たさ

れている海斗にとっては至極迷惑な起爆剤でしかない。

 

 

「ほーう……海斗今すぐ私を納得させる理由を言ってもらおうか。」

 

「待て、百代が怒る理由が分からん。」

 

「よし私もついていく!」

 

「は?」

 

「うわー、海斗クンやっぱ人気者だね。」

 

「海斗に美味いものでも奢ってもらおう。」

 

「いや、なんでだよ。」

 

「この前清楚ちゃん呼び出してやったとき、約束したじゃんかー。」

 

「…………あぁ。」

 

 

あんなの場のノリで出ただけだというのに。

こういう小さいことはしっかりと記憶してやがる。

なんともセコい武神だった。

 

 

「まぁ、ちょうどいいか。なら今から和菓子でも食べに行くか。」

 

「おぉ、話が分かるな。」

 

「むぅ……二人っきりのデートは終了かー。」

 

「だからその誤解を招く発言はやめろ。」

 

 

というわけで三人に増えた一行は近くの茶屋に向かった。

傍から見れば美少女二人に挟まれてまさに両手に花状態であるわけで道中すれ

違う者たちから羨望の眼差しで見られていたのだが、燕がわざと百代を挑発す

るように手を握ってきたりするので海斗は比較的近いはずの目的地に着くまで

にどっぷり疲れてしまった。

 

 

「ほら着いたぞ、さっさと頼め。」

 

「おーう、さぁってどれにしようかなー。」

 

 

無邪気にメニューを眺めて何を食べるか選んでいる姿はお姉さんぶっている年

上でもなく、戦いをふっかけてくる武神でもなかった。

 

 

「私も海斗クンに奢ってもらっちゃおうかなー。」

 

「そんな予定外の出費をするつもりはない。」

 

「百代ちゃんにはあげるのに?」

 

「残念ながら過去に約束の事実があるからな……。」

 

「そういうことだ、残念だったなー燕。」

 

「それじゃ仕方ないね。で、ここには何の用があったの海斗クン?」

 

「ん?」

 

「さっき“ちょうどいいか”って言ってたから。海斗クンの性格なら食べたい

もの聞きそうな気もするし、なんか他の用事があったのかなーと思って。」

 

「……まぁな。待ち合わせだ。」

 

「なんだよ海斗ー、私はついでかよー!」

 

「文句言われても、決まってたことだからな。……そろそろだな。」

 

 

待ち合わせ時間になろうかというとき、店内に二人やって来た。

 

 

「HAHAHA!オマタセ!」

 

「なんで私まで……って、え!?海斗君!?」

 

 

登場したのは待ち合わせ相手の虎子とその後ろにいる無理矢理連れてこられた

ような弓子だった。

 

 

「ソコデユミコハッケン!ツレテキタ!」

 

「夕食の買い物の途中だったんだけど、これどういうこと?」

 

「おー、3−F大集合だな。」

 

「待ち人は生徒会長ってことかな?」

 

「ああ、歓迎会の会場のことを頼んでたんだ。」

 

 

紋白に歓迎会のことを頼まれてすぐ、海斗は会場を確保しようとした。

そこで一番頼りになるのはやはり生徒会長だ。

直接その話をすると虎子は早速準備を始めてくれた。

今日はその確認ということで集まったのだ。

 

 

「会場のことは全部丸投げしちゃってるけど大丈夫か?」

 

「オマカセアモーレ!」

 

 

実際のところ、会場などは学校との交渉も関わってくるので生徒会という機関

が一番適任でもある。

加えてこの虎子の自信満々に笑顔で胸を叩く仕草を見ていれば、心配すること

はないだろう。

 

 

「私はなんか場違いな気がするんだけど……」

 

「そういえば弓子も料理上手かったよな。」

 

「え?」

 

 

京につきあって弓道部に通っていた頃、随分と部員達とは見知った仲になった。

そこで弓子が弁当をくれた日もあったのだ。

味もさることながら見栄えにも気を配られたその弁当は間違いなく家事ができ

る者の証拠だった。

 

 

「弓子にも手伝ってほしいんだけどいいか?」

 

「え、あ、うん。」

 

(ちょっと顔近すぎるよー……)

 

「海斗め、まさかユミにまで手を出していたとは……。」

 

「HAHAHA!MOREイッパイ!(←もう一杯」

 

「こっちはちゃっかり食べ始めちゃってるし。」

 

 

結局確認事項などはすぐに済み、食べつつ雑談に花を咲かせていた。

ただ和気藹々としていたのも束の間……

 

 

「海斗クン、私のあんみつ食べる?はい、あ〜ん。」

 

「何餌付けされてんだお前は!!ほら私のも食え。」

 

「いや、待てって。」

 

「燕のは食えて私のは食えないのか!」

 

「もう意味が分からん……」

 

 

そんな感じで終始騒がしく、海斗がゆっくり和菓子を味わう暇はなかった。

 

 

「ふぅ、思ったよりいっぱい食べちゃったね。何円くらいかな?」

 

「今日は俺が払うからいい。」

 

「え、でも海斗クン……」

 

「いちいち割り勘で一人あたりの料金計算するほうがメンドいっての。こんな

とこで遠慮すんな。」

 

 

海斗はそう言って他の4人分の料金も出す。

普通に学生が利用できる程度の茶屋なので単価は大したことないのだが、5人

の合計となると若干多めの出費となった。

 

 

「お、皆の分払ったってことは私の約束はまだノーカンか?」

 

「……お前は少し遠慮を知れ。」




少しリアルのほうがごたごたしていて、新作を書く時間がありません。
お待ちいただいている方は本当にすみません。
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