バタッドカッ
マルギッテが烏合の衆を蹴散らし終える。
いくら実力では勝っていて安全な試合だとはいえ、すぐに決着はつけられるわ
けではない。
数が増えれば、それに比例するように倒すのにかかる時間は増えるのだ。
今回は特別大勢でのお出ましだったのでしばらく戦っていた。
「……直江大和はどこに行ったのですか?」
「なんか活躍してないから、せめて大将でも見つけて貢献するとか言って、ど
っか行っちゃったよ。」
「なに!?」
マルギッテは思い切り狼狽する。
それはそうだ、マルギッテの任務は二人を守ること。
海斗に頼まれた大事な任務。
(どうする……!今から追いかけて探し出して連れ戻すことも不可能なことで
はない……、しかしここを離れたら必然的にこっちの1人を残していくことに
なってしまう。ただ任務を遂行するにはやはり追いかけるほかにない。だが、
それでは……)
どちらかを優先すれば、どちらかが破綻する。
そんな自分の中の葛藤でマルギッテは苦しんでいた。
終には頭を抱えて悩み始める。
というのも……
(海斗が頼んだのは二人を守れということ、このままじゃ海斗に褒めてもらう
ことが出来ない……。私は一体どうすればいいのだ……。)
「あの……大丈夫かな……。」
頭の中でそんなことを考えているとは知らずに。
モロは、しゃがみこんで本気で悩むマルギッテに声をかけるのだった。
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「このエアポケットまでくれば安全だな。」
石田と島は工場が立ち並んだ隙間の空間にいた。
周りは囲まれていて視認されることもない。
人目を避けたい現状としてはうってつけの場所だ。
「まさかここまで西方十勇士が壊滅させられるとは思いませんでしたな…。」
「大友、長宗我部、毛利と次々と連絡が絶たれていっている。ほぼ確実にやら
れたと見て間違いないだろうな。結局、残ったのはおれたち二人だけだ。」
「あちらにも手練れがいたということでしょうな。」
「いざとなれば、おれが一人で片付けることもできるが。」
「いけません御大将、あの技はかかる負担が大きすぎます。」
「まあ、ここならば敵に見つからず時間切れまで持ちこたえられるさ。なにせ
おれのように小狡い保身に長けた男でなければ見つけることすら出来ないスポ
ットよ。」
「残念ながら、多少小狡いくらいじゃないと軍師なんてやってられないのさ。
やっぱ、ここだったか。」
「む、なにやつ!?」
「直江大和だ、下見しといて正解だったな。」
「ほう……ここを見つけるとはなかなかやるな。しかし、一人でやってきたの
は愚かとしか言いようがないな。」
石田の言っていることは大和もよく分かっている。
ここにやってきたのは大和一人。
本来の目的は発見だけの予定だったのだが……
「ただの軍師が西方十勇士二人に武力で敵うとでも思っていたのか!」
「それがしは西方十勇士が一人、島右近。お覚悟なされよ!!」
そう言うと島は槍を取り出し、鋭い突きを放ってくる。
大和は持ち前の瞬発力でなんとか初撃をかわすことに成功するが……
「やべっ……」
咄嗟の回避行動だったため、体のバランスを崩す。
相手がそのチャンスを逃すはずもなく、かわせない位置にもう一度鋭い突きが
放たれた。
ガキン
「俺の仲間に手を出さないでもらおうか。」
「くっ、またも新手とは……!」
「流川、ここが分かったのか。」
「本部からいなくなったって聞いたからな、マルギッテが罪悪感にとらわれて
たぞ。なだめるのが大変だった。」
「ああ、何も言わなかったからかな……。」
助っ人としてやって来た海斗。
その強さを知っているがゆえに大和はそれだけで安心する。
「それがしの槍を蹴りだけではじき返すとは……なかなか腕が立つとみた。」
「だが、そっちの男が戦力として数えられないのなら、実質的2対1にかわり
はない。いくら手練れといっても西方十勇士の大将と副将相手に果たして何秒
もつかな?」
「それは確かにキツそうだな、だけど2対1なんて誰も言ってないぜ?」
それは空からやってきた。
まるで図ったかのようなタイミングで。
「カイトー、きったよ〜ん♪」
「はぁ……ちょっと追いていかないでよ。ほんと凄いジャンプ力ね。」
参戦したのは小雪と一子。
本部に戻ったときに呼んでおいてもらったのだ。
「二人はあのオッサンのほう頼むわ。」
「おっけー。」
「分かったわ。」
「それがし、立派にそなたと同い年!」
「いや、ただのあだ名だ。」
「ふむ、そうか。それならば……ではない!」
「話している暇はないわよ!たぁっ!」
「くっ!」
ガキィン
槍と薙刀がぶつかった音が響いた。
互いにリーチは同じようなものだ。
しかし、その他の条件は平等とはいかない。
「よそ見してちゃダメだよ〜。」
「む、後ろに!」
やはりあの二人相手に2対1では辛いところがあるのだろう。
実際槍で攻撃を裁ききるので精一杯だった。
横で戦闘が行われているなか、海斗は石田に向き直る。
大和は安全な位置まで退避している。
「で、俺が大将の相手ってわけだ。」
「ほう、お前はさっきの奴のように弱すぎないことを期待するが。」
「期待されても困るが、さっさと終わらせようぜ。」
言って構えをとる。
これによって全ての勝敗が決まる。
最後の戦いが始まった。
前回、たくさんのコメントありがとうございます。
これでまた私は頑張れます