真剣で私たちに恋しなさい!S   作:黒亜

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パートナーは誰?

朝礼が終わってすぐ、早速大変なことになっていた。

海斗のまわりには多くの武士娘たちが殺到している。

勿論目的などいうまでもない。

 

 

「海斗、アタシとペアを組んで!」

 

「海斗、自分とともに戦おう!」

 

「海斗、私と永遠のペアの契りを結んで!」

 

「おい、京はなんか違うだろ。」

 

 

ペアは一度申し込んでしまえば変えられない。

だから、このパートナー探しも重要な前哨戦なのだ。

というわけで風間ファミリーの女子の面々は当然のごとく揃い踏みし、2−S

からもマルギッテや小雪や心にくわえて、義経と弁慶までが顔を出している。

海斗は戦力的に強いというのもあるが、ここに集まる者にとってはそんなのは

二の次なのだ。

 

 

「いや、まだ俺は参加するとは……」

 

「でも主催者側は引き入れる気まんまんみたいだよ。」

 

 

そこにモロがノートパソコン片手に介入する。

開いているウェブサイトは若獅子タッグマッチトーナメントのホームページ。

そこにはさっき壇上でされたルールや会場までの道のり、そしてバラエティに

富んだ豪華賞品の数々も全て公開されていた。

その中には……

 

 

「おい、これ“勤労にゃんこ”シリーズの限定版じゃねぇか。相当数が少ない

はずなのに……あ!こっちにはウルトラレアが。」

 

「動物園無料チケットなんてのもあるじゃないか。」

 

「なんていうか完全に海斗をターゲットとしてるのがあるね。」

 

「こんなことやってまで参加してもらいたいっていうのは……」

 

「そういえばお姉さまが色々賞品に注文つけてた気がするわ。」

 

「やっぱりか。」

 

 

普通に決闘を申し込んでも海斗に断られ続けている百代。

全くめげずにこんな合法的な手段でくるとは、どれだけの執念だろうか。

そしておそらく海斗が優勝まで勝ち続けると自信でもあるのか。

はたまたエキシビションマッチまでに敗れるくらいの実力なら戦う気もなくな

るといった意味なのか。

 

 

「で、海斗どうするの?誰と組むの?」

 

 

そう、どちらにしても今回のトーナメントは二人一組で進んでいく。

参加するにしてもパートナーを決めなければいけないし、自分ひとりだけの力

で勝ちあがれるものでもない。

 

 

「悪いけど俺は選べないよ。この中から誰か一人に決めちゃったら、なんか平

等じゃないだろ。」

 

 

ここにいる少女達はかつて自分に想いを伝えてくれた。

海斗はまだそれに明確な答えを提示できていない。

たとえ優柔不断だと罵られようが、逃げているだけだと蔑まれようが、海斗に

とっては自分を好きでいてくれる女の子みんなが同じくらいに大切で、そこに

優劣や境なんてなかった。

自分を求めてくれるからこそ、告白してくれたからこそ今この中からパートナ

ーを一人選んで差をつけたくはなかった。

 

 

「だから俺はもし参加するってことになったとしても、少なくともここにいる

皆とは出場できない。」

 

 

それは悪いと思いながらも、海斗なりのけじめだった。

 

 

「なら仕方ないわね。他のペアを探して目指すわ優勝よ!海斗、もし当たって

も全力でいくんだからね。」

 

 

海斗の、一見、一方的にも思えるこの言い分を一子は何も問い詰めることなく

受け止めて、すぐに切り替えた。

それを聞いた京もやれやれといった感じで続く。

 

 

「はぁ、海斗との愛を育むチャンスを失ったのは残念だけど、一応日頃の修行

の成果も試したいしね。」

 

「私、頑張って動物園チケットを海斗さんのために獲得します!」

 

「あ、ずるいぞまゆっち。自分も海斗と一緒に行くために優勝を狙うぞ。」

 

 

口々に勝手なわがままに乗っかってくれる。

こんな皆だからこそ選ぶことなんてできないくらい全員が大切で、海斗もあん

なことを言えるのかもしれない。

 

 

「できれば参加してほしいけど……、絶対会場には来てよね。海斗にアタシの

戦う姿を見せてあげるんだから。」

 

「ああ、勿論だ。」

 

「よーし、そうと決まれば早速ペアを見つけにいくわ!」

 

 

そう言うと一子は一目散に教室を飛び出していってしまった。

誰かあてでもいるのだろうか?

 

 

「じゃあ、俺も行くわ。」

 

「ああ、楽しみにしていてくれよ。」

 

「結局海斗が出るかどうかは分からずじまいなんだね。」

 

「ごめんな。」

 

 

そんなことをため息をつきながら言う京には悪いとも思ったが、こればかりは

現時点では回答できないのも事実だった。

 

 

(……調べときたいこともあるしな。)

 

 

海斗の中に浮かぶ1つのこと。

それは今最も話題の中心である若獅子タッグマッチトーナメントと同じくらい

大切……いやもしかしたら直接に大会に関係してくる可能性もある。

結論を組み上げるピースは揃いつつある。

あとは予想が正しいのかを確かめて、突き詰めるだけ。

それで最後のピースは埋まり、その先にあるものが見えてくる。

海斗はそれを知る必要があった。

 

 

心の中で思うと、一人で少し考えるために海斗は場所を移動するのだった。

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