そして、その日はやってきた。
「皆様、長らくお待たせいたしました!若獅子タッグマッチトーナメント本選
いよいよスタートです。」
前日は午前中早くから予選が行われていた。
大規模な武道の大会に25歳以下という制限があるもののその応募者は世界各
国からの実力者が集まった。
だから予選とはいっても、その一戦一戦が普通の大会の決勝戦レベルなんてこ
ともざらにあるのだ。
そんな激闘の予選を終えての今日本選。
朝早くから会場は多くの観客で溢れていた。
開始前だというのに時間が経つにつれて、人の波はは衰えるどころか加速する
勢いで無数に用意されていた全ての席が埋まってしまった。
そしていよいよ本選も開始されようという現在は、席に座って観戦準備万端の
者から空いているスペースに立ってまで会場にひしめく立ち見の者まで観客た
ちのボルテージは最高潮だった。
「本選の実況は私、田尻耕が務めさせていただきます。」
「解説は引き続き私川神百代と、スペシャルゲストの石田でお送りするぞ。」
「では予選を見事勝ち抜いてきた強力な8チームの入場だ!」
実況の気合いの入った掛け声に観客達からも歓声が飛び交う。
そして、壮大なSEとともに選手が入ってきた。
「早速最初のペアの登場だ!かたや肩書きは元暗殺者、かたや普通の川神学園
生。その二人のポーカーフェイスは力の底も読み取らせない!流川海斗と李静
初の怪盗アサシンだッ!」
「怪盗アサシン……ふふっ。」
「ほんと、今更にこんな名前を承諾したのを後悔している。」
自分でつけた名前に笑ってしまう李に海斗は肩をおとして呆れるしかなかった。
最初のペアの紹介に百代も声をあげる。
「うーん、やはり勝ち上がってきたな、海斗。」
「あいつは確か……東西交流戦で俺の刀を受け止めた男、強いのか?」
「私はそう睨んでるんだけどなー、なかなかあいつは隠したがりで本気を見せ
てくれないのさ。今回の予選だって、海斗がひたすらに一方の攻撃をかわし続
けて、その間にメイドのほうが相手を気絶させるっていう戦闘スタイルがほと
んどだったからな。」
「つまり未だに力は未知数ということか。」
「まぁ、このトーナメントで嫌でも分かるだろう。それだけの面子が揃ってく
るはずだ。」
「さあ、まだまだ参りましょう。」
進行が田尻に戻される。
「でかぁぁい!胸が!そのド迫力だからこその優勝候補か。武蔵坊弁慶と板垣
辰子のデス・ミッショネルズだ!」
「ゆるりとよろしく。」
「がーんばるよー。」
「川神院で鍛えた実力は生半可なものではないぞ。修行をともにした武器はも
はや体の一部。川神一子と板垣天使のリトルシスターズだ!」
「努力は勝ーつ!勝利に向かって勇往邁進よ!」
「ウチの名前はフルネームで呼ばなくていいんだよ!」
「和と洋、刀とレイピア、対照的な二人が背中を合わせれば死角なし。源義経
とクリスの侍&ナイトだ!」
「精一杯頑張らせてもらう。」
「侍と騎士の華麗なコンビネーションを見るがいい。」
「ダウナー系コンビに油断することなかれ。のんびりしてるとやられるぞ。椎
名京と榊原小雪のみやこゆきだ!」
「私はいつも通り射るのみ。」
「とぇーいっ♪」
「恐るべきはその戦闘経験の多さ。本当の戦いってものを教えてやる。マルギ
ッテとステイシーのブラッディ・ハウンドだ!」
「ふっ、猟犬の血がうずく。」
「ロックンロールに決めるぜ。」
「ローブによってその正体は全くの謎に包まれている。ただ実力だけは予選を
もって証明済み、ストレンジャーズだ!」
「………………」
「………………」
「いよいよ次が最後のペア。納豆小町と剣聖の娘、日本が誇る和の美人。お嫁
さんにきてほしいが、夫婦喧嘩では勝てる気がしない!松永燕と黛由紀江のチ
ーム大和撫子だッ!」
「ふふっ、応援よろしくねん。」
「足を引っ張らないようにががが頑張ります。」
「以上8組のペアが本選を盛り上げてくれる強き若獅子たちだ!」
実況のあおりにさらに客席からの歓声が大きくなる。
解説の百代と石田も揃った面々に対してコメントをする。
「ほーう、なかなかに濃い面子が揃っているな。というか、海斗以外全員が女
の子じゃないか?」
「いや、正体すら不明なのが1チーム混ざっているが……」
「まぁ、この際私は強ければ誰が勝ちあがってきてもいいのだがな。」
「武神というのは気楽なものだな。」
「ではお待ちかねのトーナメントの組み合わせの発表です。皆様、中央の巨大
スクリーンにご注目ください。」
田尻が指したそこには、コンピューターによってランダムに決められたトーナ
メント表が映し出された。
「出ました!Aブロック、記念すべき本選第一回戦の試合はみやこゆきVS侍
&ナイトだ!」
「いきなり義経たちのチーム……ま、海斗と当たるよりはいっか。」
「初戦は京たちとか。相手にとって不足はないな。」
「Bブロックはブラッディ・ハウンドVS怪盗アサシンだ!」
「いきなり李のとこと当たったか。ファック、ぶっ潰してやるぜ。」
「同業の相手とは……やりにくくもやりやすくもありますね。」
「Cブロックはチーム大和撫子VSデス・ミッショネルズだ!」
「うっわー、クジ運ないなー。」
「早々に面倒な相手に当たっちまったねぇ。」
「そして、DブロックはリトルシスターズVSストレンジャーズだ!」
「うわ、よりによって一番読めない相手に当たっちゃったわ。」
「………………」
「では、この後興奮間違いなしの本選、いよいよスタートです!!」
後々挿絵でトーナメント表を入れるかもです