「二組目の準決勝進出者は怪盗アサシンに決まったぁっ!では一回戦に続いて
大いに盛り上がった二回戦を解説していただきましょう。」
「今のは見事な作戦勝ちだったな。」
「最後のあの攻撃か?」
「ああ、あの距離なら近づく間に態勢を整えられかねない。だから、二人がか
りで挟むことができるマルギッテに的を絞ったわけだ。一見、弾を切らして隙
ができた方を狙うと見せかける心理の裏をついたフェイントも加えてな。」
「それにしてもあのメイドもよく合わせられたものだ。」
「移動の速さ、ギリギリまで気取らせない隠密さ、首への一撃で正確に仕留め
る技術、流石は元暗殺者といったところか。」
人の急所を知り尽くしているのだろう。
それでもやはり積んできた経験がないとあそこまで上手くはいかない。
「さぁ、盛り上がってまいりました!次なる試合はチーム大和撫子VSデス・
ミッショネルズ、なんと序盤から優勝候補同士の激突だぁっ!」
「これは見ごたえのある対戦カードだな。」
「俺としてはチーム大和撫子の強さはまだよく分かっていないのだが……。」
「燕の力は手合わせで何度も見ていたが、試合になってさらにその力を発揮し
てきている。さらにはまゆまゆも凄いものを隠し持っていそうだからな。もし
かすると、一番危険なのはここかもしれないな。」
「なるほど、だが相手のデス・ミッショネルズも予選で多くの強豪外国人選手
たちを根絶やしに潰してきている。完全なパワーでねじ伏せるタイプ、ただ単
純であるからこそ強力だ。」
ダイナミック且つパワフルな技で会場を沸かせてきたデス・ミッショネルズ。
まさに瞬殺というべき早業で勝ち上がってきたチーム大和撫子。
観客からの優勝の期待を背負った両チームの早すぎる潰しあい。
解説の二人も含め、会場中が注目の試合だった。
「では、早速試合を始めたいと思います。」
「よろしくねんっ。」
「ぜーったいかつぞー。」
「試合開始!!」
「まずは挨拶代わりに……ねっ!」
それは開始後数秒の出来事だった。
一瞬の轟音とともに状況は一変した。
弁慶は地面に拳をうちつけていて、燕は最初の立ち位置からずれたところで姿
勢を低くしている。
ほとんどの一般客は何が起こったのか全く分からなかった。
「おーっと、どういうことだこれは!?今のほんの一瞬の間に一体何が起こっ
たのかぁ!?」
「私が説明しよう。燕が開始早々威力を抑えた代わりに速さを重視した正拳づ
きで先制。しかし、それを辰子が同じく正面からの拳で相殺。硬直した燕に弁
慶の拳が振り下ろされたが、燕は体をひねってなんとか回避したというところ
だろうな。」
それだけの攻防が瞬き一回の間に詰め込まれていた。
初戦で前情報がない分、最初から手抜きなしの真剣勝負だ。
見ごたえがあるなんてレベルじゃない。
素人でさえその迫力に呼吸を忘れてしまうほどだった。
「これは一気に決めるしかないね、いくよ辰子!」
「おーーっ。」
弁慶と辰子がそれぞれ燕をはさむように前と後ろに距離を置いてスタンバイす
ると、会場がどよめく。
これは予選でも悉く強敵の首を刈ってきたダブルラリアットの構えだ。
あの石田も光龍覚醒の前に一撃で倒された技だ。
「デス・ミッショネルズ、必殺技で一気に仕留めに来る!」
「でも、逃げさせてもらうよん。」
燕はその挟み撃ちに対して上へと跳躍した。
そこは唯一の抜け道だった。
だからこそ読まれている。
辰子の蹴り上げが燕のガードの上から襲う。
「くっ……」
さらに浮き上がる燕を辰子と弁慶も追うように跳び上がった。
そして空中で辰子が固め技に入る。
「前後をかためることで上へと誘い込む、まさに逃げ場なし!デス・ミッショ
ネルズ!」
「……いや誘い込んだのはどっちだかな。」
そのとき空高くにいる弁慶が吹き飛ばされた。
見れば由紀江が一瞬のジャンプで同じ高度まで移動していた。
そこで隙を突いて刀を振るったのだ。
「これは凄い!もはや四人とも地に足がついていない、リング無視の空中戦だ
あっ!!」
由紀江は弁慶をはじいても止まることなく、技をかけている辰子のほうを向く
と、何もない空中を蹴って一気にその距離をつめた。
「斬!」
辰子は上手く斬撃を防御するが……
もう一人の相手もそんな片手間で押さえられている者ではなかった。
技が緩んだ瞬間、燕は抜け出して逆に今度は辰子の腕を取った。
そして、肩に足をかけ身動きの取れない状態にする。
あとは重力に任せて落ちていくしかない。
弁慶が助けようと攻撃を仕掛けるも、それは由紀江が許さなかった。
全ての攻撃と真っ向勝負するのではなく、冷静に見極めある攻撃は回避し、あ
る攻撃は刀で受け流す。
弁慶はそんな最強の守護者のせいで全く近づけない。
ただ落下していく味方がやられるのを見ているしかなかった。
「勝者、チーム大和撫子!」
最強の大和撫子たちだ。