「では、これよりエキシビションマッチ、川神百代VS松永燕VS流川海斗の
バトルロワイアルを始めます!」
「いくぞ、川神流・無双正拳突き!!」
「っと、開幕からとばしやがるな。」
「いきなり大技だねぇ……やる気満々みたい。」
「どうした、燕、海斗。さっさと本気でぶつかってこい。」
「まーまー、そう焦りなさんなっ。海斗クンの参戦は作戦に入ってなかったけ
ど、私は当初の予定通りいかせてもらうよん。」
燕はチューブを取り出し、平蜘蛛につける。
『スタン』
すると、機械の声とともに手甲が電気を纏った。
「平蜘蛛は色々バリエーションがあるんだけど、モモちゃん相手ならこれで決
まりだねぇ。」
「む、これは……」
「さっさと仕留めさせてもらうよ!」
狙いは百代に絞り、重い一撃を振るう。
「そうはいくか、川神流・畳返し!」
「くっ……!」
目の前に突如現れた壁に拳を遮られる。
「どうしたの、モモちゃん。防御なんてらしくないね。」
「…………」
「そっちが来ないなら攻めさせてもらうよ。」
燕は連続で拳撃を放つ。
我武者羅にではなく、隙のない攻撃だ。
百代はそれに対して、カウンターも行うことなく回避に専念していた。
(何かおかしい、いつものモモちゃんの戦い方じゃない……)
不審に思うのも無理はない。
百代は瞬間回復という反則技を会得している。
だから、その戦闘スタイルはダメージを考えずに突撃というもののはずだ。
(電撃の属性……)
一方で百代は海斗が川神院に修行を見に来たときのことを思い出していた。
ある日、一度言われたことがあるのだ。
―“不用意に電撃をくらうな”と。
いつものように瞬間回復を多用して、修行に臨んでたときにいきなりだ。
何を言い出すんだと問いただしても、詳しいことは言わずに回避とかもできる
んだからしたらどうだなどと言うばかりだ。
ただ、“自信と慢心は違う”……そう断言する海斗の目は真剣だった。
だから、今も燕の攻撃をかわしきっている。
「…………だが、どうもこれは私の性分じゃないな。」
「およ?」
「ふっ」
百代は後退しながら避けていたのから一転、高速移動で一気に距離をつめる。
「川神流・人間爆弾!」
「あぶな……って、ぐぁっ!」
百代の攻撃をもろに受ける前に燕は蹴り飛ばされた。
勿論、もう一人の参戦者によって。
「くそ、直撃は逃したか。瞬間回復。」
「ごほっ、ごほっ……!」
「海斗、邪魔してくれるじゃないか。」
「邪魔も何も俺も戦ってるだけだ。」
「そうだったな……やっとお前とも戦える!!」
百代は気を纏った突進とともに拳のラッシュを繰り出す。
一撃一撃が重いが、海斗は冷静にさばききり、蹴りを入れた。
「ぐぅっ……やはり強いじゃないか、海斗!」
「やんなきゃやられるだろうが、生存本能だ。」
「いいぞいいぞ、ならこれも耐えてみせろ!川神流、人間爆弾!」
「またか……!」
広範囲高威力の技を連発できるのも武神ゆえか。
今から回避は間に合わない。
またもステージに轟音が響き渡った。
「瞬間回復!……なるほど、私の技を利用してダメージを軽減したか。」
「使えるものは使う、貧乏性なもんで。」
海斗は百代が先ほどめくり上げた壁の後ろに咄嗟に身を隠した。
全て防ぎきれるわけもないが、大方のダメージは壁の崩壊に割かれる。
『リカバリー』
「はぁっ!」
「おっと!」
百代の攻撃をかわし一息……とはいかず間髪いれずに燕が突っ込んでくる。
最初の手甲での重い一撃はかわすも、素早く放たれた回し蹴りがヒットする。
それでも焦らず受身をとり、燕の追撃を受け流すとカウンターのハイキックを
見舞う。
燕も即座に腕でガードするも……
「っ……重い蹴りだね。それでも……!」
燕は海斗の左足をはじくと、同じように蹴りで返す。
それを海斗も蹴りで応戦した。
互いが互いの威力を相殺する。
「ふふっ、そんな二人で固まっているのなんて格好の的でしかないぞ!これは
防ぎきれるか、かわかみ波ーー!!」
「ちっ……」
「勿論、対策済みだよん。」
『シールド』
今度は燕の前にバリアーのようなものが現れる。
それは百代から放たれたエネルギー砲に真正面からぶつかるのではなく、少し
斜めにずらして防御した。
結果、光の砲撃は天へと伸びた。
「なるほど、威力を逃がしたのか。」
「それでも結構なダメージではあるけど……ね。」
『リカバリー』
「便利なからくりだが、そう何度も使えるわけでもないだろう!」
百代が距離をつめてくる。
遠距離攻撃も可能な武神が近づいてくるということは行動は自ずと絞られる。
(また、あれがくる……!)
海斗はそう思った瞬間、先手をうち始める。
相手を迎え撃つようにように前進した。
「川神流、人間爆は……」
「そう何度もやらせるか。」
海斗は百代の襟を掴むと、そのまま投げ飛ばした。
爆発は…………起こらない。
「なっ……!」
(爆発が発動しない!?)
地面をすべりながらもなんとか立ち上がる。
確かに海斗の行動は迅速だったが、技を決められた程度で人間爆発をキャンセ
ルできるはずはない。
一瞬、何が起こっているのか理解できなかった。
そのため、投げ技にも反射的に対処がとれなかったのだ。
百代は自分の首筋に手をやる。
(一瞬、襟にいく前にここを触られた気がする…………。まさかとは思うが、
そのときに何かしたのか……?)
「ギリギリだったな、運が良かったぜ。」
(今、海斗クンが何かモモちゃんに干渉したのは確実だけど……)
(爆発を止めるということは……気を乱されたのか?そんな高度なことを今の
たった一瞬で……いや、海斗ならそれも不思議じゃないということか。)
「ますます面白いぞ!!」
三人の激闘は続く。